魏EDアフター仮想続2・志在千里 |
一刀「さよなら……愛してたよ…華琳−−−」
視界が遮られ体が浮くような感覚になる
自分は今どうなっているのか
何処にいるのかさえわからない
一刀「…おれ、このままどうなるのかな…」
暫くすると辺りが赤く光る
眩しさに目を細めながら少しずつ目を開ける
一刀「ここは・・・」
どこかの部屋だった
でもすぐにそこがどこかわかった
知らないわけが無かった
最後に見た部屋のまま
そこは一刀の部屋
でも城の中ではなく現実の世界
一刀「そっか…帰ってきたんだな……ハハッ・・・・そっかそっか」
部屋に笑い声が響く
決して楽しそうなど
嬉しそうになど聞こえない
一人の男が涙を流しながら
顔を顰め苦痛にもだえるように
一刀「あれは夢か?華琳・・・・夢じゃないよな?そんなこと無いよな!」
力一杯床を叩く
手が痺れる
これはあくまで現実
紛れも無い事実だった
一刀「こんなにもあっけないなんてな・・・ホント夢みたいだ」
そういうと立ち上がり鏡の前に立つ
一刀「!!!これは・・・・・」
鏡の前で見た自分の顔
驚いた
自分の着ている制服
顔や手
どうみてもあの世界に行く前にあったものではない
ほつれかけた袖
慣れない馬に苦戦した時に出来た傷
全てが物語っていた
一刀「そう・・・だよな。おれはあそこに居た。華琳達と共に天下を、大陸を統一したんだ!」
「これは夢じゃない!おれのこの想いも夢になんてしない!」
嬉しかった
あの世界での出来事は、確実に一刀のいた世界であり
みんなとの出会いは夢ではなかった
華琳への想いは嘘なんかじゃなかった
一刀「でも・・・・もう戻れないんだよな・・・・・でもあれが事実ってだけでおれは救われるよ」
紛れも無い事実
現実の世界に戻ってきたこともまた事実
結局残るのは辛い悲しみ
それでもよかった
華琳への想いさえあれば夢にならない
そう自分に言い聞かせた
一刀「こんなこと誰に話しても信じてくれないな・・・・でもいいんだ!俺は自分の信じた世界があった」
「それさえあれば華琳への想いは消えない。」
その日はそのまま寝ることにした
明日からこの世界での今までどおりの生活に戻る
戦いもない
政務もない
華琳もいない
そう思いながら布団に潜った
空は赤く燃える茜雲が流れていた
あれから半年
最初は現実の世界に少し戸惑いながらも
少しずつ体を慣らしていった
友人からは「なんか変わった?」と言われたり
月の綺麗な日には思い耽ったりと
あの世界ヘの思いを振り切れず
少なくともあの世界での出来事で少し成長した姿に
違和感があるのかもしれない
一刀「なぁ華琳。やっぱそっちは平和か?こっちは相変わらず何も変わらないよ」
「出来るだけそっちのことは考えないようにしないとな・・・戻りたくなる」
あれから何度も考えた
でもその分辛くなった
現実の世界が嫌なわけじゃない
友人とも仲良くやってる
以外にモテだしたりもした
でも何かが足りない
一刀「もうこれから考えないようにするよ。いつまでもこんなんだと華琳に怒られそうだ」
最後にそっと願いを込めた
天に、空に問いかけるように
儚きひとよの交叉
貴女も同じ願いならばと
心の中でそっと悲しみながら願い詠う
一刀「俺ら2人は見えない雲居に隔たれてる。でも許されるなら今すぐ鳥になって飛んでゆきたい」
「そうすればすぐにでも華琳を抱きしめてやる・・・・・」
恋しい想いが胸に溢れた
体中の身が震えた
恋しい想いは貴女へと捧げる
天に向かって
花を咲かせるように祈る
一刀「・・・・ホント綺麗な月だ。華琳も見てるか?・・・さて明日も学校だ!寝るか」
その日を境にあの世界のことは考えないようにした
1人になると思い出してしまうからとにかく誰かといた
友人とバカばっかりやった
何も考えなくていいように
あの日からもう1年がたった
今でもなんら変わらない日常
いつもどおりに学校へ行き
いつもどおりに遊び
いつもどおりに剣道に励み
何も変わることなく一日を過ごす
ただ1つ違うことは
一刀「ふぅ〜今日も疲れた〜〜。じいちゃんから剣道を本格的に習い始めたけど・・・・正直きっつい;」
「まぁ辞めたいとは思わないかな・・・・・・あぁ・・・思い出すのも久々だな」
理由は不純なのかもしれない
それでも強くなりたかった
全ての意味で鍛えたかった
もしまたあの世界に行くことがあるならば
あの時のままでは格好がつかない
そして
自らを鍛えればたとえ願いがかなわなくとも
事実を受け入れる器をもつこと
理由はそれだけ
でも一刀には十分すぎる理由だった
一刀「もう1年か・・・・早いなぁ。思い出すのもだいぶ無くなったかな。よし!寝よう」
気持ちの整理をつけるのにも慣れた
気を落ち着けるとすぐ寝支度をする
その夜
「あなたの知られざる世界。あなたが作った外史。その世界で再び強く願う者がいます」
夢を見た
「あなたはその声を聞く勇気がありますか?今のアナタのその世界を捨てることができますか?」
誰かが問いかけてる
問いかけの意味わわからない
「アナタの愛した人が強く願っています。その声を聞きその手を取ることがアナタには出来る」
「選びなさい。現実を受け止め本当の世界で暮らすか、想いのままにあの世界に再び舞い降りるか」
ようやくわかった
でもこの問いかけに答えられない
急な出来事で戸惑う
「答えが出たら再びこの出来事を強く願いなさい・・・・・その時がアナタの進むべき道の扉が開かれるでしょう」
そのまま声は遠ざかっていき
次第に意識がよみがえってくる
「また逃げるの?恨んでやるんだから!・・・・もう行かないで!!」
その声とともに飛び起きる
一刀「!!!・・・・なんだ・・・・今の夢・・・・・・今の声は・・・」
懐かしく
もう聞くことは無いと思っていた
間違えるわけがないあの声
この夢はいったい何なのか
戸惑いが隠せずにいた
一刀「もう一度行けるのか?あの世界に・・・・でもあの2つの選択肢・・・どちらか選べなんて」
もうこのまま忘れていくのかと思っていた
そんな時に出てきたこの夢
再び一刀は新たな外史を作ることを選ぶか
所詮これは夢。何も無かったかのようにこのまますごして行くか
とにかく今日はそのまま眠ることにした
あの声が頭を巡りとても眠れる余裕などなかったが
ただひたすら目を閉じた
あの夢からもう半年が経っていた
あれから考えない日は無かった
1度は行こうとも思った
でも気持ちに流されたままで行くわけにいかなかった
こっちにも大切な仲間、友人、家族がいる
それを蔑ろにはできない
ただひたすら悩んだ
そんな時
「なぁ一刀?」
一刀「・・・・・・・」
「一刀!」
一刀「・・・・・・・・・・・・・・」
「おい!一刀!」
一刀「え?ああ、どうした?」
「どうした?じゃないだろ!最近おかしいぞ?やけに想い耽って、ボ〜〜〜っとして」
一刀「あ〜、スマン。ちょっとな・・・・・」
「ほらまたそうやってふさぎこんでる!ちょっと前まですごい凛々しかったのに、急に元気なくなってしまって!」
一刀「そんなにか?いたって普通にしてるつもりなんだけどなぁ;」
「あああああ!じれったいな!ハッキリせぇよ!何を悩んでるか知らんけど一刀らしくないぞ?」
「そこまで悩んでるならいっそ後悔なんか考えんと自分の想いのままに決めたれ!」
一刀「・・・・・・そうだよ・・・・な。うん・・・・そうだな!ゴメン!心配かけて。おれもう迷わない!」
「お!らしくなってきたな!男なら力一杯やってみな!」
一刀「ありがと!頑張ってみるよ!」
その日の帰り
もう一刀の顔に不安や悩みの色は無くなっていた
もう迷わない
もう振り向かない
ただ1つの想いを決心して家に戻る
帰りの途中通る桜並木
淡く薫る八重桜
花びらがはらはら舞い落ちる
1人走り抜ける姿は憐れみ浮き
哀しきことよの音色
心を震わせ高鳴る気持ちを詠う
一刀「もう後悔なんてしない。振り向かない。なんでもっと早く気づかなかったんだろう・・・・」
「あの声は確かに呼んでくれていた・・・必要としてくれている」
彼方へ向かい
舞う花のなか
風に乗せその想いを共に奏でる
貴女を想うだけで笑顔がこぼれる
貴女に逢いたいとこの身全てに
咲き誇る想い
今本当の気持ちに気づいたその男は
一つの迷い無くひたすら駆け抜けていった
そして家に帰り着くなり
あの日目覚めた時と同じように眠る
強く
強く祈りを込めながら
ただ・・・・もう一度逢いたいと願う
一刀「(あの時の答えをだしたい!再びあの時の声の主よでて来てくれ・・・・)」
静かに眠りに入る
「・・・と・・・ほん・・・う・・・・・・ずと・・・・・・北郷一刀」
一刀「あなたは・・・・・この前の声の主ですね」
「答えが出たのですね?」
一刀「ああ・・・・・もう迷ったりしない。後悔もしない。俺は俺の想う気持ちに正直に行く!」
「そう・・・・・ならば答えなさい・・・現実を受け止め本当の世界で暮らすか、想いのままにあの世界に再び舞い降りるか」
一刀「さっきも言ったろ?おれは自分の想いに正直に行くんだ!おれは・・・・・・華琳の元に戻る!!」
「その答えしかと受けた・・・・・その想いが本物ならばどんな試練も耐えられますね?」
一刀「ああ!どんなことがあっても俺は、華琳の元に戻ってみせる」
「わかりました。アナタとその相手が本当に想いを募らせ、互いに同じ考えならば必ずこの試練は乗り越えられるでしょう」
一刀「越えてみせる。んで?その試練ってのは?」
「アナタはアナタだけの意思で、その相手の元に行けません。記憶を無くして再びあの世界に召還されます」
「互いの想いが本物ならば必ずめぐり合えるでしょう。そしてアナタが記憶を取り戻す言葉をその相手が言えば無事降り立つことができます」
一刀「なるほどね・・・・・・わかった!俺は必ずめぐり合えるって信じてる!」
「いいでしょう。ならば行きなさい・・・・再び新たな外史の門を開きなさい・・・・・」
一刀「あぁ・・・・誰かわからないけどありがとう!本当に感謝してる・・・・・んじゃ行ってくるよ!」
その瞬間眩い光に包まれ
門が開かれる音とともに一刀は走って行った
初めは忘れることなど出来なかった
その気持ちが辛くて逃げるように忘れようとした
半年後には考えることも少なくなった
1年後には未練ではなく思い出になろうとしていた
そしてようやく気づいた
いや気づかされた
本当の想い、ただ恋しいと想うその気持ちこそ
あの子に捧げる想い
そう考えるだけで笑顔にさえなれる
一刀の作った外史はもう一度新しく作れらてゆく
「北郷一刀・・・・・フフッ・・・・・本当に人を惹き付ける力を持っているのね・・・・」
「華琳・・・・・・・貴女は本当に愛されているのね。頑張りなさい・・・・見守っているわ」
山の中で1人の男が倒れていた
「ん・・・・ここは・・・・」
意識を取り戻した男はゆっくりと起き上がる
「どこだろうここは・・・・・なんでこんなところに・・・・・」
徐に立ち上がりフラフラと歩いていく
「頭が痛い・・・・なんだろう・・・・・ボクは何かを探してる気がしたんだけど・・・・思い出せない」
山を降りおぼつかない足取りで当ても無く歩く
体力は無く次第に意識が再び朦朧とする
「くっ・・・・意識・・・・が・・・・」
そのまま倒れこんでしまった
そんな時
老人「おや?・・・・おお!こんなとことでどうなすったんじゃ!しっかりせい!」
老人が倒れていた男に駆け寄る
老人「このままじゃいかん・・・・もう少し辛抱しておれ!今助けを呼んでくるからの!」
老人は近くの村に戻るところだった
そのまま男は村人に抱えられその老人の家に運ばれた
老人はその村の村長らしく
そのまま村長の家で男を介抱することにした
老人「しかしなぜあんな所で・・・・・今のこの時代あのような若い男が行き倒れなど無いと思うんじゃが・・・・」
「近々ここから数里先の成都に曹操様がおこしになるとかなんとか言うておったが・・・・ふむどうしたもんかのぅ」
村人「村長〜!旅の途中とかで魏の将軍・張遼様がお見えになりました!」
老人「おお!それは丁重にお迎えしなされ。曹操様と成都で合流でもなさるんだろぅ、今日は村に泊まっていかれるように案内しなさい」
村人「わかりました。ではちょっと行ってきます!」
老人「ああ頼んだよ・・・・・調度よい、この若い男の事も相談してみるかのぅ」
再び動き始めた外史
物語は2人を確実に近づけてゆく
男は全てを忘れ
少女は何も知らずに成都へと向かう
このときは誰にもわからぬ
見果てぬ夢を思い描いて・・・・・・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
恋姫無双・魏EDその後仮想へ・・・
説明 | ||
今回もとりあえず続編ですが、一刀エピソーゾってことでw 曲はちょっと関係してるかな?w まぁ自分なりに帰ってきたいと思う一刀の願いを描いてみましたw 今回おまけは無いけど話つながってるのかなぁw 無駄に長くなっただけかもOTL 設定や友人が適当なのはご愛嬌ってことでwwww |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
8401 | 6207 | 57 |
コメント | ||
れうさん>学園かwたしかのそうかもw友人はサムネにもあるけどご愛嬌ってことで簡便しておくれw(曹魏の民) うんwいいと思うwただ・・・一刀の学校は聖フランチェスカ学院だから「学校」じゃなくて「学園」のが合ってるかも?あと途中で出てくる友人は及川なのかな?wなんか中途半端に関西弁使ってる気がしてww(れう) 祭礼さん>無い頭振り絞ってつなげましたwwちょっと強引かもw(曹魏の民) munimuniさん>ちゃんと納得できたでしょうか?w自分でもわかってなかったりww(曹魏の民) ビスカスさん>妄s・・・思ったままを書いたのでちゃんと繋がってるんやらwでもありがとうです^^(曹魏の民) Poussiereさん>感動していただけたなら本望ですw続き頑張りますw(曹魏の民) 霊皇さん>ありがとうです^^できる限りの想いを出せたと思ってますw(曹魏の民) こういう展開なんだw 記憶をなくすとw なかなかな展開でw(祭礼) こんな風に持ってくるとは!!!!GJ(^w^)b(ビスカス) うぉおおおおおおお 一刀の想いがとても分かる作品でした。 続きが楽しみです!(Poussiere) 一刀の気持ちが伝わる作品でした。次へのつなげ方もうまいと思いましたね。続きが楽しみです。(霊皇) |
||
タグ | ||
真・恋姫無双 魏ED エピソード一刀 茶太 | ||
曹魏の民さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |