真・恋姫無双 〜新外史伝第113話〜
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賊討伐に向かったに桔梗たちと別れた翌日、一刀たちは武陵・遷陵(注:武陵郡にあった県らしいですが、現

 

在は何処の場所か判明しないので、この物語上では武陵郡の郡都の北側にある町ということにします)に到着

 

した。

 

遷陵に到着すると一刀は出迎えを受けたが、予め出迎える予定であった馬謖と魏延の姿が無かった。それを一

 

刀たちが指摘する前に出迎えた代理の者が

 

「大変申し訳ありません。本来出迎える予定であった馬謖殿と魏延殿は周辺に賊が出たという知らせを受けた

 

為、討伐の為、留守にされています。代わりに私、鐘進が務めさせていただきます」

 

鐘進が馬謖と魏延の不在を詫び、片目でありながらも言葉は丁寧で卑屈になることもなく口上を申し述べた。

 

先に使者が来た時は、馬謖と魏延は遷陵で出迎え、ここで降を受け入れる予定であったが、賊が出没したた

 

め、これを看過できずに賊の討伐に出陣したということであったので、一刀は勿論、信義等に重視する愛紗も

 

文句を言う訳にはいかなかった。

 

そして鐘進からある事が告げられる

 

「それで大変申し訳ないのですが、ここは何せ小城で兵士の皆さんに泊まっていただける部屋が足りない状態

 

で…、城の中に入れるのは北郷様を加え100人位にしていただきたいのですが…」

 

「ちょっと待て。城に入れる人数がそのような少人数ではご主人様の身を考え、それは受け入れる事はでき

 

ぬ」

 

「貴女は私たちが信用できないとでも?」

 

鐘進は挑発気味に言うが、愛紗はこの挑発に乗らず

 

「それはどう考えるのはそちらの勝手だが、私はご主人様の身を護ることが第一に考えている。ただそのよう

 

な少数ではこちらが受け入れことはできないだけの話、無理なら城の外で過ごせばいいだけの話だ」

 

愛紗は一刀の安全を考えると、これを受け入れることはできなかった。鐘進も

 

 

「これは失礼しました。将軍様の言うことももっともなことです。それにいずれ主をなるお方を外で泊らせる

 

など失礼なことはできません。城に泊まれる人数をもう少し増やせる様手配しますので。しばらく外でお待ち

 

願いますでしょうか」

 

鐘進は素直に頭を下げ、そして後程、こちらから人を出して城内に宿泊する人数を調整することが決まり、鐘

 

進は一旦城に戻った。

 

鐘進が去り、本陣に戻ると皆が集まると愛紗は一刀に頭を下げ

 

「申し訳ありません。勝手にあのような事を決めて」

 

一刀や璃々も愛紗の気持ちが分かっていたので、

 

「愛紗の気持ちは分かっているよ」

 

「そうだよ。愛紗お姉ちゃん、ご主人様の事を心配してあのような事言ったのでしょう♪」

 

二人から素直に感謝されると愛紗は、照れたのか顔を赤くしていた。

 

「それで、向こうとの話し合いだけど…、ご主人様、私が行って来る?」

 

「いや、璃々殿や愛紗殿は部隊の指揮があるだろう。話し合いなら私が行こう。幸い他にすることがないの

 

で、客将としてはこれくらいの事をしておかないとな」

 

ここで名乗りを上げたのはこの遠征中、夏侯覇と名乗っている秋蘭であった。

 

一刀も流石にこのような事に使うのも気が引けたが、しかし他の者は色々と仕事があった為、最終的には夏侯

 

覇が行くことで落ち着いた。

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一方、城に戻った鐘進は、部屋に戻ると賊討伐に行っているはずの馬謖が居て、そして鐘進と名乗っていたの

 

は鐘会であった。(注:鐘進というのは三国志演義に登場する架空人物で、演義では鍾?(鐘会の父)の弟と

 

して登場)

 

鐘会は自分の配下に態と賊に成りすませ武陵郡で活動。それが話題として上がり、荊州鎮撫に来ていた一刀の

 

軍が賊討伐の為兵を分散させたのを見届けてから、兵と一緒に城に戻り今回一刀の素顔を確認したのであっ

 

た。そして馬謖と魏延は城内に潜んだまま一刀の暗殺の機会を窺っていた。

 

「首尾は?」

 

「流石にそう簡単に隙は見せないわ。向こうは数百名くらいの兵を入れさせるつもりよ」

 

「チッ…そんなに城の内部にそんなに兵を入れさせる訳にはいかないわ」

 

「そうね。後で人数の方を話し合いするつもりだけど、何とか3、400位で妥協させるしかない」

 

「ちょっと待って。それだけの人数を城に入れさせるつもりなの?」

 

「ああ、あまり護衛できる人数が少ないと向こうは城外に宿泊すると言ってきた。だからここはまず北郷一刀

 

を城内に入れることを先決。城に入れて北郷一刀さえを討ち取れば、城内にいる兵が少々多くても敵ではない

 

わよ」

 

「…そう分かった。その辺の裁量は貴女に任せるわ」

 

その後、二人は更に打ち合わせた、鐘会は部屋から出ると、話し合いをする部屋に向かう。

 

先に部屋で待っていると案内の兵に連れられ、夏侯淵こと夏侯覇が入って来た。流石にその姿を見て鐘会も驚

 

いた。自分の右目を奪った張本人が蜀の将として現れ、そして自分の正体が発覚することを恐れ、完全に動揺

 

してしまい、しばらくどうすればいいのか思わず固まってしまった。そんな鐘会を見て夏侯覇(夏侯淵)が声

 

を掛ける。

 

「私の顔を見て急に固まってしまい、どうかなされたか?」

 

「あっ…いやぁ…私の知り合いによく似ていた者で、“初めまして鐘進と言います”」

 

「ハハハ、世の中には自分と同じ顔の人が三人はいるとよく言いますから、余程、私がその方によく似ているのでしょう。私は夏侯覇と申す」

 

鐘進(鐘会)は片目に眼帯していることもあり夏侯淵に何とか気付かれていないと思いそのまま偽名を使う、

 

そして初めましてという部分を強調したが、夏侯淵はその事に気付かずにそのまま自分も偽名で名乗る。

 

そして話し合いは始まったが、鐘進(鐘会)は自分の正体が気付かれないかどうか、そちらに気を取られてし

 

まい、話し合いの結果、城に入る人数は400人と決まり、夏侯覇(夏侯淵)は一度陣に戻った。

 

だが話し合いの途中、鐘会はある事を考えていた。

 

(「以前、私と夏侯淵は会っているから、私が眼帯を付けた位なら話し合いの途中でも気付くはず。だが夏侯

 

淵の視線から敵意や刺々しい視線が感じられない……私は魏を裏切っており、曹操忠臣の夏侯淵に取って私は

 

不倶戴天の敵と言っていいほど。それがなぜ私との戦いで死んだはずなのに夏侯覇と名乗り、蜀に仕えている

 

のか…」)

 

そして推測ながら漸く出した結論が

 

(「恐らく夏侯淵は、何らかの事情で記憶を失い蜀に辿り着き、そして今ここにいるのだろう。そうなれ

 

ば……」)

 

そう結論付けた鐘会の残された片目から復讐の炎が宿る。

 

自分の片目を奪った夏侯淵から復讐できる好機であり、そして一石二鳥で北郷一刀と共に葬り去る事ができる

 

と。

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そして話し合いの後一刀たちは、城外に大半の兵を残し宿泊する屋敷に入って行ったが、その様子を城壁から

 

見ている焔耶の姿があった。

 

行列の中に桃香がいることを知らない焔耶は

 

「桃香様、もうすぐ貴女の仇を取ることができます。あの世から見守って下さい」

 

とそう言いながら一刀への復讐を目の前に迫っている逸る気持ちを何とか落ち着かせようとしていた。

 

そして丁度その頃、賊の討伐に来ていた桔梗は賊の本拠地の前で厳しい表情を浮かべていた。

 

今、目の前で賊の本拠地が炎上していたからである。

 

桔梗の軍が賊の本拠地を攻めようとしたところ、いきなり中から出火それが瞬く間に燃え広がり、広域な山火

 

事になろうとしていた。

 

これを見て桔梗は、周りに賊をいないことを確認して兵たちに火災の消火に当たらせた。

 

最初、桔梗は賊が本拠地を捨て逃亡したのではないかと思っていた、だが消火に当たっていた兵士から賊がい

 

た様な形跡が無かったという報告を聞いた瞬間、陽動に引っ掛かったと気付いた。

 

鐘会は配下の兵に賊に化けさせた後、それぞれの本拠地にそれらしい砦を築き装い、ほとんどの兵を引き揚

 

げ、桔梗たちが来ると残った兵数名で砦に火を付けたのであった。そして火災を拡大させる為、予め油を捲い

 

ていたため、直ぐに治まる様子が無かった。

 

桔梗は途中で陽動と気付き、この火災を無視して、一刀のところに兵を引き連れて合流したかったが、義侠心

 

を重んじる桔梗は、火災で混乱している民の事を無視することができず、何とか伝令を出して消火活動に当た

 

るしかなかった。

 

だがその伝令も一刀の元には届くことは無かった。途中で鐘会の小隊に待ち伏せに会い討ち取られていた。

 

そして蒲公英や夕霧(法正)の部隊も桔梗と同じ状況に陥り、釘付け状態となり、一刀たちはこの事実をまだ

 

知らなかったのであった。

 

 

 

 

説明
なかなか本題に入ることができない…。

次回、ようやく本題に入ることができますが、残念ながら、次回の投稿は私、遅めの夏休みを取り長期旅行のため、しばらく投稿が空いてしまいます。

次回の投稿は9月の2回目の連休が終わってからになると思います。

読者の方、大変申し訳ありません。

では第113話どうぞ。
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コメント
taka234さん>鐘会は史実でも、友人から「野心がその器量より大きい。慎み深くしないといけない」と言われているそうで、何かといわくつきの人物ですから…。(殴って退場)
鐘会は恐らく心中では焔耶を戦うしか能の無いと見下しているでしょうが、結局策の途中で私怨に気を取られ予定を変更してしまう時点で彼女も小人物なんでしょうね(taka234)
平野水さん>この邂逅がどっちにどう転ぶのかじっくり見守って下さいw。(殴って退場)
ohatiyoさん>最終的に一番の被害者は誰になるのでしょうか…難しいところです。(殴って退場)
ふかやんさん>もし逆に焔耶が襲撃してその時に桃香が巻き添えに…というシーンだったら多分、焔耶はその場で自殺するでしょうね。あとはネタばれになってしまうので…。(殴って退場)
陸奥守さん>確かにその通りだと思います。ここの華琳は桃香や愛紗への謀略している場面を書いているためその印象が残っているのでしょう。ただここの華琳は三国志演義の曹操の要素も入っているのもあります。(殴って退場)
陸奥守さん>流石に一国の主と武将では小物感が違うww。自分ではそう思っていないでしょうが。(殴って退場)
nakuさん>鐘会には小物臭がする悪役として頑張って貰いますw。(殴って退場)
taka234さん>次回からその辺を書いていきますが、これで平穏になるのか更に波乱になるのか温かく見守って下さいw。(殴って退場)
禁なる玉さん>流石に南蛮遠征の様な事はできません、流石に書くのは無理ですww。(殴って退場)
神木ヒカリさん>戦術的には大将さえ討ち取れば、部隊は四散するということに間違いではないのですが、その後の事を考えているかいないかですね。(殴って退場)
ataroreo78さん>焔耶の心の目には遮眼帯が付けれているのか、自分が桃香の忠臣ということに酔っているかのどちらかだと思いますw。(殴って退場)
たっつーさん>史実でも鐘会はあっけない死に方ですからね…。その辺でも小物臭がするかも。(殴って退場)
Alice.Magicさん>鐘会は自分の事を棚に上げて、目を秋蘭に射られて失っているので…。ただ自業自得なのにそういう発想が出てくる時点で小物かもしれませんがw。(殴って退場)
一番の被害者は馬良(ohatiyo)
出来うるなら焔耶が襲撃を掛けるもその時に桃香を見つけ、彼女の嘆願で一刀達に加勢する…なんていう感じの流れって、甘いですかね…?(ふかやん)
ふと思ったのだけど、華琳は原作では分けの分からん誇りっぽい何かを絶対視していたけど、それと同時に心の広い部分も頻繁に描かれてたからそれなりに格好良かったけど、この作品では謀略をしてる所しか描かれてないのでどうも小物くさく感じる。何か華琳の長所を描いたほうが面白くなるのでは。(陸奥守)
鐘会は華琳の倍くらい小物臭がするな。桃香達も凄かったけど、迷走してた時だったから比べられない。(陸奥守)
序盤は刺客側も筋書き通りに進んでますが、その分失敗した時の取り返しのつかなさは半端ではないですな。一刀側の被害が大きくなれば蜀誅罰を体面的に発動しなくてはならないかも。例え一刀や蜀の武将達が反対しても、多大な被害が出てしまえばやらなくてはならなくなりますからね。アホが勘違いしてシャシャリ出るとそいつが死んだとしても面倒な事態を残しますね(taka234)
↓↓何も感じないのでしょう復讐は大事ですから…もし責任から逃げただけの暴君劉備を見たらまた更に歪みそうむしろ歪んで愚策の中の愚策(費用と人命コスト的に)七縱七禽になり兼ねん(禁玉⇒金球)
一刀を討ち取れば、兵が多くても如何とでもなると思っている時点で大間違いなんだけどね。(神木ヒカリ)
愛紗に成長の片鱗が・・・。それにしても亡き桃香(と勘違いしている)の義姉妹である彼女が一刀に心服している様を見てもあの脳筋バカは何も感じないのかな。(ataroreo78)
相変わらず乗せられやすい焔耶。それに小物臭がプンプンする鐘会w元々裏切ったのは鐘会なのに復讐とはこれいかにw(Alice.Magic)
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