カブトガニ
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その (( 遺骸|いがい ))は ((凄惨|せいさん))だった

死に焦がれる人が見れば、きっと((踵|きびす))を返して生き直そうと思えるものなのだと、誰かは熱弁していたように思う

 

彼女は余りにも幼く、脱皮に失敗して死んだカブトガニのようなものだったんだろう。

或いは誰よりも早く大人になってしまった為に

 

彼女は飛んだ

 

怒号を、悲鳴を、携帯を振り((翳|かざ))す人々から遠く、私はその少女の肉片を追った

 

彼女には、こうなるよう周到に環境を形成した他者の影があったのかもしれない。

けれどきっかけはどうあれ、彼女は終わりを、自ら操作し、決定してみせたのだ

この、年で。

 

私は

その事実が

たまらなく美しいと思った。

 

そしてそのたまらなく美しい意志を選択する遺伝子が

またひとつ

この世から去ってしまったことに

((哀惜|あいせき))で肺を潰しそうに、なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明





句読点無かったりするのは一応わざとです
目で追うときに、あるかないかで読み方の息継ぎとか意味が変わってくると個人的には思ってるので
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タグ
散文 自殺 少女 

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