太守一刀と猫耳軍師第16話
[全8ページ]
-1ページ-

仕事が一段落ついて思い切り背伸び。

 

ようやく戦後の処理が落ち着いて時間に余裕が出てきたな。

 

「北郷、居るか?」

 

ドアが開けられて白蓮が入ってきた。ノックというのがいまいちなれないらしい。

 

背伸びした姿勢のままで硬直する俺。

 

白蓮って、鎧着てると目立たないけど、着てないと意外と出るとこ出てるなぁ。などと思ったり

 

「あ、すまん。ノックするの忘れてた」

 

「まだなれないんだなぁ」

 

苦笑しながら椅子に座りなおしてと……。

 

「何か用事?」

 

「ちょーっとな」

 

椅子を引っ張ってきて白蓮が俺の正面に座る。

 

「政務の方は進んでるか?」

 

「ん、ボチボチ」

 

「ここはいいな、有能な軍師が3人もいて。遼西郡の太守をやってた頃より随分と楽だ」

 

「ああ、わかる。白蓮と会うちょっと前まではほとんど一人でやってたから。あのちょっと前だからなぁ桂花がウチに来たの

 

正式に仲間になったのは、連合軍で洛陽にいった後だけど」

 

「連合軍といえば……。董卓を引き込んでたのにはびっくりしたぞ。よくあんな危ない橋わたったな

 

あの時バレてたら、お前今頃洛陽の土の肥やしだぞ」

-2ページ-

「あー……」

 

何となくバツが悪くて後頭部を引っ掻いてごまかす。

 

「あの時の大勝は、董卓を助けるっていう約束で華雄や霞、恋に協力してもらった面が大きいからなぁ。

 

まぁ、おかげで3人も仲間になってくれたから、十分に危ない橋をわたっただけの価値があったと思ってるよ」

 

「3人とも、一騎当千の猛将だもんな。特に霞は頭もキレるし、戦ってるのを間近でみてたけど、愛紗と同等じゃないか?」

 

「うん、手合わせでもだいたい互角らしい」

 

「ここにいると、何だか肩身が狭い部分もあるんだよな。愛紗や鈴々を筆頭にした武官とは実力に差があるし、

 

頭のほうも桂花や紫青、朱里には全然勝てないし」

 

「んー、そんなことないんじゃない? 鈴々達は強いし、桂花達は確かに頭もいいけど、白蓮には他のみんなに無いものがある」

 

「他に無いもの?」

 

「太守の経験だよ。俺より長いこと太守をやってたはずだし、紫苑もそうだけど、確か領地はそんなに広くなかったはずだし。

 

経験則からくる意見って、参考になるしね、白蓮の意見で随分助けてもらってる」

 

「う、そ、そんな褒めるなよ、こっ恥ずかしいじゃないか。私は家臣として当然のことをやってるだけだ」

 

「だからまぁ、肩身が狭いなんて思って欲しくはないかな。そんなことを言ったら、俺なんてどうなるって話しだし。

 

それこそなーんにも出来ないんだぞ?」

 

「お前は、この大陸のお前以外のだれも知らない知識を持ってるし、それを民のために使ってるなら十分だ。

 

それにお前はみんなに好かれてて、やる気を引き出すのがうまいじゃないか」

-3ページ-

「……、白蓮も好いてくれてるのか?」

 

「なっ、な、何を言い出すんだお前はっ!」

 

慌てていらっしゃる。結構そっち系の話題には弱いのか?

 

「あんまり変なこというんじゃない。もう。

 

ま、鍛錬をしっかりやる時間も取れるようになったし、ここにきてから良いことばっかりだな」

 

「鍛錬か。白蓮の隊は流鏑馬が得意なんだっけ?」

 

「やぶさめ……?」

 

白蓮が小首をかしげる。馬上で弓矢を使う技術は、ここじゃなんて言うんだっけか。

 

「騎射、だっけ? 馬の上から弓矢を射るヤツ」

 

「騎射だな。あれだけは霞や翠の隊にも負けないぞ」

 

「そういう、自分だけの長所があるなら尚更肩身の狭い思いなんてしなくていいって。

 

……そういえば、白蓮の用事って世間話だったの?」

 

ふっと我に帰るとまだ用事の中身を聞いていないきがした。

 

「ああ、そうそう……。一度お前に町を案内してもらおうとおもってたんだ。政に関わるなら町の様子は知っておきたいとおもってな

 

やっぱり直接見て回った方がよく分かるだろ?」

 

「ん、丁度仕事に一段落ついたところだから、今からでもいけるけど」

 

「お、じゃあ早速行こうぜ」

 

白蓮がそういうのと聞けば、ゆっくりと立ち上がり……。

 

「逢引ならそうと言ってくれればいいのに」

 

「な、ななな、何を言ってるんだお前はっ! そんなわけ無いだろ!」

 

ぼそっとそういうと、聞こえたのか耳まで真っ赤になる白蓮。

 

笑う俺をみてからかわれたのに気づいたのか、むくれてみせる。

 

可愛いとこあるなぁ……。

-4ページ-

──────────────

最近だれかと町に出てくることも多いな、なんて考えながら、白蓮に町を案内する。

 

といっても、俺が案内すると、美味しいラーメン屋とか屋台とかの案内になっちゃうんだよなぁ。

 

色気もへったくれもあったもんじゃない。

 

「なぁ白蓮、俺より、桂花とか紫青とかに頼んだ方が良かったんじゃないか?」

 

「別に見たい施設があるとかじゃないからな。街の様子が知りたいだけで。一人で町にでて迷子になるのもな」

 

そういえば白蓮は政務重視で警邏とかはほとんど行ってないんだっけ。ここまでは忙しかったしなぁ……。

 

「ようは道案内ってことか。ここのラーメン屋美味しいよ。おすすめ」

 

「お、じゃあ食べていこう。昼飯まだだし」

 

白蓮の提案に乗る形でラーメン屋に入り、メンマ丼とラーメンを頼んでと。

 

「星もここのラーメン屋は好きなんだよな、特にメンマが美味いらしい」

 

「へー、メンマがうまいのか。じゃあ私もメンマ丼とラーメン」

 

「そうそう。美味いよ。星のメンマについて語らせると非常に長いから注意な」

 

「あ、ああ。星の好物なのか、メンマ……」

 

「へい、ラーメンとメンマ丼2人前お待ちっ」

 

きたきた。これが美味いんだ。早速メンマ丼をかきこむ。

 

白蓮も豪快にいくかとおもいきや、視線を向ければ意外と普通に食べている。

-5ページ-

「確かにうまいなぁ……」

 

「太守様、この方は太守さまのいい人で?」

 

「ふぐっ……」

 

丁度ラーメンのスープをすすっていた白蓮が、ラーメン屋のオヤジの言葉に危うく吹きそうになっていた。

 

口を抑えながらあわあわとやってるのが何とも……。

 

顔真っ赤だし。

 

前にも誰かにおなじネタを振られたような。あの時は桃売ってたおじさんだっけ。

 

こういう噂話すきだよなぁ、町の人。

 

「残念ながらそういうんじゃないよ。ほら、遼西郡のほうで太守をやってた公孫賛だよ、知らない?」

 

「あぁ、ひょっとしてこの人が公孫賛様で?」

 

「そうそう、最近ウチの軍に入ったって噂なかった?」

 

「ええ、聞いてますよ。へぇ、こんな綺麗な人だったのか。

 

そりゃこんな綺麗な人太守様がほっとくワケないよなぁ。

 

そのうちいい人にするつもりじゃないんですかい?」

 

「んぐっ!?」

 

絶対狙ってやってるだろこのオヤジ。

 

今度はお茶飲んだ瞬間にそういう話題を振ると、見事にまた吹きそうに。いいぞもっとやれ

 

でもまぁ、このへんで止めとかないと白蓮がかわいそうだし、キレられても困る。

-6ページ-

「おやじさん白蓮の事からかってるでしょ、度が過ぎると首はねられてもしらないよ?」

 

「おお怖。でも太守様が止めてくれるでしょ」

 

「俺は死にたくないからヤだよ。口では止めるけどさ」

 

怖い怖い、なんていいながらオヤジさんは店の奥へ戻っていく。

 

「あぁ苦し。しかし、太守相手に随分と軽い対応だな……」

 

「どこいってもこんなもんだよ。威厳が云々とかは愛紗を筆頭にみんなから言われるけど」

 

「確かに、威厳は欠片もないな。それも魅力なのかもしれないけど。袁紹みたいに威張り散らすのも少なくないからな」

 

アレは何か威張るというのとは違う気がするが、まぁ似たようなものか。

 

「温和で親しみやすい太守が居たっていいだろ」

 

「ま、そうかもな」

 

「ああ、でも白蓮も親しみやすい方になるかなぁ? 色恋話で赤くなるし」

 

「わ、私はもう太守じゃないからいいんだ」

 

その様子がなんだかおかしくて思わず笑ってしまう。

 

「ラーメン、伸びるよ」

 

「……」

 

何だかちょっと不機嫌そうな白蓮が可愛かった。

-7ページ-

──────────────

「しかし、予想以上だったな。活気がある町だとは聞いてたけど」

 

町の人にからかわれたりはしてたけど、白蓮は始終楽しそうだったように思う。

 

今はのんびり城に向かって歩いてる途中。

 

「治安もいいし。よくここまでがんばったな」

 

「そう言ってもらえると嬉しい。ここまで来るのに大分苦労したからなぁ」

 

「この先もっと苦労するぞ。曹魏や孫呉を相手にしなきゃならないんだからな」

 

「それをいうなよ、折角楽しい雰囲気だったのに」

 

「散々からかわれたお返しだ」

 

「俺あんまりからかってないとおもうけどなぁ」

 

苦笑しながら歩く、まぁ、こういうのもいいか。

 

「さて、長いこと休憩しちゃったし、仕事に戻らないとな」

 

「町の様子は参考になりそうか?」

 

「ああ、十分だ。民の暮らしぶりがわかれば政務の方向性も決めやすいからな」

 

「そうか。目的も達成できたし楽しそうだったから良かったよ」

 

「確かに今日はたのしかったな。また連れてってくれよ? それじゃ、またな」

 

城に戻ればそれぞれの仕事場へ。軽く手なんぞ振り合いながら。

 

何だか今日一日で随分白蓮と仲良くなれた気がするなぁ……。

-8ページ-

あとがき

 

ちょっとトラブルで書いた文のデータが吹き飛んでしまったので投稿が朝になってしまいました。

 

さて、今回は白蓮さんの拠点でした。

 

原作でほとんど出てこないので、割りとやりたい放題。

 

真とかで白蓮のキャラをよくしってる人には違和感だらけかもしれません。

 

ある意味オリキャラ化してると言えるので、白蓮として見ないほうがいいかも……?

 

次回は誰の拠点を書こうかなぁ……。

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 

説明
今回は白蓮さんの拠点。
白蓮さんオンリーです。
正直この人の性格がつかめていないので期待に添えるかどうかは謎です。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
9410 7084 51
コメント
>>クラスター・ジャドウさん 公式でも大体こんな感じなんですね。一安心ってところでしょうか。しかし、公孫賛は苦労人なんだなぁ……。苦労人キャラな描写もそのうちしていこうかなw(黒天)
>>Alice.Magicさん そうですねぇ。キャラの性格的にもそんなに尖ってない普通な感じがしますし(登場シーン少ないけど)なるほど、参考にさせていただきます(黒天)
…只、他の恋姫達は能力特化型が多く、更には当人がお人好しで控えめな性格の為に、存在感が霞んだり貧乏籤を引いたりするのが多い。…真・蜀√でも無印同様に袁紹に滅ぼされ、今度は辛うじて命は助かったので旧知である劉備の下に。その後、袁紹も劉備(&一刀)に屈して虜囚となった際、公孫賛は袁紹と二枚看板の身柄を預かる事になるが、袁紹が立場を弁える筈もなく…。(クラスター・ジャドウ)
公孫賛のキャラ描写ですが、これで問題ないと思いますよ?自身を卑下しがちな所があるので、褒められるのが苦手ですし。騎兵部隊の指揮に秀でる位で、他の能力は平均的だが、逆に言えば欠点や苦手も無い。組織の長を務めるには押しが弱いが、参謀や副官には打って付けなタイプ。(クラスター・ジャドウ)
うん、素晴らしいな、素晴らしく『普通の』逢引だw >>きまおさんの言うとおり 実際は白蓮さんは貴重な人材です。他が濃ゆいキャラが多いせいなだけで、目立たないのです。勝てはしないが、惨敗の様な負けも少ない。白蓮さんだと挑発にも乗りそうにないですし。(Alice.Magic)
>>いたさん 確かに、曹操さんって器用万能ですからねー……。キャラとしても濃いしw(黒天)
>>飛鷲さん きっと一刀にもすぐそのあたりのことがわかってくるハズ……(黒天)
>>アルヤさん なんでもできる人っていうのは貴重ですよね。(黒天)
>>たっつーさん まぁまだ1発めの拠点ですからね〜。このあとどうしていくか悩みます。(黒天)
>>きまおさん 確かにそうですね。今回のは白蓮さん主観でそんな風に感じてる、ってところでしょうか(黒天)
大変お疲れ様でした。普通とよく言われますが、確かに万能な方です。でも、それ以上の万能を越える覇王さんがいるから余計目立たないのではと。(いた)
どの局面でも安定して運用できる将って貴重だと思うから使い勝手のいい子だと思うけどな。(飛鷲)
白蓮って悪く言えば普通とか器用貧乏だけどよく言えば万能とかオールラウンダーじゃないか(アルヤ)
何度か同じような米書いた事ありますが、なんでもこなすオールラウンダーって十分凄いし普通じゃないと思うがなあ。武において愛紗に負け知において朱里に劣るが、知において愛紗に勝り武において朱里に勝つ、みたな。(きまお)
タグ
恋姫†無双 一刀 北郷一刀 白蓮 

黒天さんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com