裏次元ゲイムネプテューヌR |
3…モンスター
〈プラネテューヌ・ビル街〉
いつも通りの街並み、いつも通りの景色、いつも通りの人混み………
そのいつも通りが、何か違うような気もしながら、ユウザは走っていた。
ふと、なんとなく、違和感を感じた。
けどそれは気のせいだ。何となくな思い込みだ。あの夢を見たからだ。
そう、あの時の、鏡に映った少年と女性の夢のせいだ。
そう、何も変わった事なんてない。いつも通り右折して、ビルの間を見れば、いつも通りの………
モンスター
「グルルルルルルルルル………」
ユウザ
「……………え?」
そこには、大きめの狼のような化け物と、店のあちこちにぶちまけられたように付いている((赤い何か|・・・・))。そして……
店員たち
「…………………………………………」
その赤い何かをドクドクと流しながら、何も言わずに只々そこに倒れている店員たち。
ユウザ
「……………………あ………」
(回想)
店員A
「やあ、いらっしゃい。」
店員B
「ふふっ…いつもご苦労さまねぇ………」
店員C
「まいどまいど〜!!いやぁ…汗水たらして稼いだお金を一気にぼったくる感覚はやっぱ良いねぇ〜……」
店員D
「お前…相変わらずだな……」
(回想終わり)
店員たちをよく見ると、((長いモノ|・・・・))が腹辺りから垂れてるものや、首辺りが((欠けてるように|・・・・・・・))なっているように見える人もいた。
ユウザ
「…あ…あ…あ………」
少なくとも、ユウザにはそう考えてるしかなかった。((それがどういう意味か解っていても|・・・・・・・・・・・・・・・・))。
モンスター
「……ウウウ……………」
怪物の口辺りにも((赤い何か|・・・・))が…否、これ以上、((知らぬふりは出来ない|・・・・・・・・・・))
ユウザ
「う……おえええっ……」
全てを直視した瞬間、膝をつき、胃の中にあった物を出し切るように吐き出した。
目から、鼻から水らしきものが流れていった。
モンスター
「…………………ウ?」
ユウザ
「あ……………」
その瞬間、化け物に((気付かれた|・・・・・))。
〈同時刻・ビル街・屋上〉
チータ
「いい加減死んでくれないかな…この((似非騎士|エセナイト))ッ!!」
愛用のライフルを連射するチータ。しかし、盾を構えて突っ込んで来るデバッカには傷一つ付いてなかった。
そして……………
ザンッッ!!
懐に飛び込まれ、ライフルを両断された。間一髪かわしたチータは、両腰に一丁ずつ下げていたショットガンを抜いてそのままデバッカに向けた。
デバッカ
「遅いっ!!」
ガンッ!!
重い音が響いた…引き金を引く寸前に、素早く構えた盾に防ぐがれたのだ。
デバッカ
「覚悟っ!!」
そのままデバッカは剣を突き出しながら、チータに突っ込んだ。
チータ
「ヤバッ!!」
着地後の少しの硬直、かわせないと思った次の瞬間………
モンスター
「ギィィィィィィィィィィ!!」
チータ&デバッカ
「ッ!!!!」
ドッ!!
二人そろって鳥のような化け物にぶつかり、そのままビルとビルの間に落ちて行った。
〈ビル街・シャンクショップ跡〉
モンスター
「グルルルルル…………」
ユウザ
「あ……あ……あぁ……」
((目が合ってしまった|・・・・・・・・・))もう逃げられない、そもそも逃げようにも身体が固まって動けない。
喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
脳裏に駆け巡るのはその二言のみ、否、それしか思い浮かばなかった。
突然の化け物、血まみれの店、死屍累々の店員たち、もう頭の中はそれでいっぱいで、落ち着く事なんてできなかった。
ユウザ
「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」
呼吸が速くなる、荒くなる。
何なんだあれは、苦しい、怖い、死にたくない、動かない…
そんな感情が一気に押し寄せ、巡り巡る。
モンスター
「グルルルルルル……………」
化け物が低く屈む。ユウザに狙いを定めている。飛び掛かり、一気に首を抉り、食いちぎる気だ。
ユウザ
「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」
声が出ない、否、出せないのだ。もう立ち尽くすしか出来なかった。
モンスター
「ガァァァァァァッ!!」
そんなユウザに向かって化け物は飛び掛かった。
ユウザ
「―――――――――――――」
声が出ないまま、動けないまま、只眼前の化け物を見ていたユウザは、そのまま化け物に首を………
ドスンッ!!
モンスター
「ギャウッ!!」
抉られる手前、上から落ちて来た二人の下敷きになった。
チータ
「いたたたたた……なんなんだ?あのでっかい鳥……」
デバッカ
「さてな…どの国にもおらなんだ……」
ユウザ
「………………え?」
落ちて来た二人は化け物がクッションになったからか、大してけがはなかった。
チータとデバッカは軽快に会話が弾んでる中、ユウザはその場でへたり込んだ。
チータ
「ん?あれ……?君……大丈夫かい?」
ユウザ
「え……………」
何も言えなかった。下敷きにされてる化け物は、二人が落ちてきてから依然のびたままだ。
何も言えないチータは、取り合えず辺りを見渡して、察した。
チータ
「あー…そーゆー事………辛い目に遭ったみたいだねぇ…………」
デバッカ
「で、犯人は我々の下にいるコイツか……」
デバッカは、のびている化け物を指さした。
チータ
「こんな時に言うのもなんだけど……用事とかそう言うのは全部ほっぽって…おうちに帰ったほーが懸命だよ?君にだって、家族がいるんだろ?」
ユウザはその言葉によって、ふと親仁を思い出した。
顔が真っ青になり、今一番想像したくない((想像|ビジョン))を思い浮かべてしまった。
ユウザ
「ッ!!!!」
ダッ!!
そしてすぐさま立ち上がり、ビルの間の外を振り向いて、走った。
いてもたってもいられなかった。「ああなる前に早く」…そんな事しか、今のユウザの頭の中に入らなかった。
チータ
「あれ……お礼は………?」
それを只見送っていたチータは、きょとんと呆けていた。「普通ならお礼してからが筋だろう」と思っていたからだ。
デバッカ
「馬鹿者、余計なことを言いおって…あんな目に遭ったのだ、家族の事が心配になって……!!」
ギィンッ!!
説教の途中、鋭い何かを咄嗟に盾で防いだ。その直後に見渡せば、下敷きになってる化け物と同種のモノが数匹、ビルの間の退路である、前と後ろを塞いでいた。
チータとデバッカは反射で背中を合わせていた。
チータ
「どーやらお仲間のよーだね……どーする?」
デバッカ
「決まっている…仕事はまだ続行中だ、殲滅してから依頼者の元へ向かう。」
チータ
「ふーん…ま、そーするよねぇ…ここでいがみ合うのは得策ではないのは一目瞭然…取り敢えず、今は共闘と行きますか。」
デバッカはすぐさま盾を前に構え、チータはショットガンを再装填する。
デバッカ
「遅れるなよ?」
モンスター
「グルルルルアアアアアアアアアア!!!」
警戒をしている群れの中の一匹が、待ちきれずにがチータに飛び掛かる。
が、既に弾を籠め終えたショットガンを向けられ…
ドパァンッ!!
その身を無残に爆ぜ散らされた。
チータ
「こっちの台詞だってのっ。」
その時、チータは自分に襲い掛かった化け物すら見なかった。
これが開戦の狼煙となり、化け物の群れが一気に襲い掛かった。
チータは素早く弾を再度籠め、デバッカは盾と剣を構え、それぞれの目の前の敵に向かって突っ込んだ。
市民A
「うわあああああああ!!」
市民B
「きゃあああああああああ!!」
ユウザが来た道を走り、家に帰っている中、街中に悲鳴が響いていた。恐らくは、自分が体験したように、化け物に襲われているのだろう。
そんな声に怯えながら、家族である親仁を思いながら、只々走るしかなかった。
ユウザも何度か見かけたが、気付かれないようにやり過ごしたり、気付かれた場合も、振り切ったりして難を逃れていた。
街の外が見えて来た。もうすぐあの駄菓子屋に着く、我が家に着く…
そう思いながら走るユウザは、ふと街の静けさに違和感を感じ、辺りを見渡した…((見渡してしまった|・・・・・・・))…………
ユウザ
「……………………………………あ。」
見渡す限りの赤、朱、紅、アカ…偶に黒、灰色……
ここは最早死の世界、地獄ではないのかと思える位の血、煙、炎…
人々はまるで、((散らかった|壊された))人形のようにそこら中に((落ちていた|・・・・・))。
倒れていたでは合わない程に、バラバラで、ぐちゃぐちゃで………
またあそこに戻ってしまったのかと思ってしまうほどなら、まだ良かったのかもしれない。
ユウザ
「…………うっ………」
吐き出しそうになったが、もう出なかった。ジャンク屋の光景を目の当たりにした時に、既に出し切ったのだろう……
ここでは既に化け物に襲われて、逃げきれず、喰われていった人の亡骸。
身体を屈み、頭を抱え、目を瞑る。そして今ある現実を逃避し、夢なら覚めてくれと懇願する。目が覚めたら、またあの日常に……
そう思いながら、何かが起きるまで蹲ってい…………
ブロロロロロロロロロロロロロロ……………
ユウザ
「ん………?」
蹲る直前、音が聞こえた。あまりに聞き覚えのあったから、ふと振り向いた。
キキィッ!!
ジャンク屋店長
「おう、ユウザ!!お前も帰る所か…取り敢えず乗れ!!」
ユウザ
「店長…店の皆が…みんなが……!!」
ユウザの眼から、、枯れたはずの涙が急に出て来た、止まらなかった。「無事だった」という安堵か、それとも助けを求めているのか、もうそんな事を考えてる事も、今のユウザには出来なかった。
ジャンク屋店長
「…良いから乗れ……」
暗い呟くような声でそう言って、無理矢理ユウザを片方のサイドカーに乗せ、家に向かった。
…店長も見たのだ、あの惨劇を……
〈街外れ・駄菓子屋〉
化け物たちを振り切り、街を抜け、ユウザとジャンク屋店長は駄菓子屋に着いた。
荒れた様子はない…いつものままだ。どうやら化け物は、ここには来てないようだ。
ユウザ
「親父っ!!」
ユウザは自分の育ての親でもある駄菓子屋の親仁の身の安否を確かめる為、駄菓子屋へと走って行った。
ジャンク屋店長も後に続くように走った。
昔ながらの木製の引き戸を開けたその先には…
駄菓子屋の親仁
「おーユウザじゃないか…パーツは買ったのか?」
ユウザ
「そんな場合じゃねーんだよ!!」
相変わらずの調子だった。どうやら外での状況を把握どころか知らないようだ。
…まあ、どっちかと言うとその方が良かったと、呆れるようなお惚け顔をした親仁を見て、密かに思うユウザなのであった。
ジャンク屋店長
「とにかく話は後で…今は―――――」
ピキッ
ユウザ
「……………?」
何かが割れた音がした………その時、可笑しなことが起こった。
ユウザ
「あ……れ……?」
…止まっていた。ジャンク屋店長は口を開けたまま、駄菓子屋の親仁は首をかしげたまま、((動かなくなっていた|・・・・・・・・・))
ピキピキピキ………ピシッ!!
ユウザ
「!?」
また何かが割れるような音…しかも今度は大きかった。音がどこから来るのか、ユウザは辺りを見渡して探した。そして見つけたとおもったら……
ユウザ
「え……………」
割れていたのは足元だった。今この時、地震なんて起きてはいない。老朽化にしては早すぎる。
ピシッ! パキッ! ピキィッ…………
また割れるような音がした…今度は上が割れていた。しかも、天壌だけでは、壁だけではなかった。((駄菓子屋の親仁にも|・・・・・・・・・))、((ジャンク屋店長にも|・・・・・・・・・))、ヒビが入っていた。
自分以外にヒビが入っているこの状況に、ユウザは只々立ち尽くしていた。
ユウザ
「え?え…?え……?」
振り向けば、外もヒビだらけだった。開けっ放しの引き戸も、その先の空も大地も、ヒビが入っていた。
ヒシッ!パキパキパキッッ!!
外を見て呆けていた気持ちも、後ろの大きな音で我に帰った。若干慌てて振り向いてみれば、二人の、否、辺りのヒビ割れが激しく進行していた。
ユウザ
「『おっさん』っ!!『親父』っ!!」
ユウザは咄嗟に二人に手を伸ばした。それで何か変わるわけでもないだろう、それでどうにかなるわけでも無いだろう。
けど、そうせずにはいられなかった。今のユウザにとって二人は、((大切な人達|・・・・・))だから。それだけで十分だった。
だが、のばした手が届きそうになったその時……………………
バリィィィィィィィィィン………………ッ
二人は…否、辺りが砕け散った。
ユウザ
「あ…あ………」
届かなかった…触れられなかった…周りは真っ黒、暗闇とは違った真っ黒な空間。
そこにはユウザがたった一人、スポットライトに照らされたわけでも無いのに、くっきりはっきりと、その姿が在った。
ユウザ
「……………………」
沈黙…只々黙っていた。何もかもが理解できなかった。
突然現れては人を襲う化け物達、ジャンク屋の悲惨な光景、荒れ果てた街、散らかった玩具のような市民の死体、ひび割れ砕け散ったあらゆる((者/物|モノ))、その全てが……
ユウザ
「何なんだよ一体………」
分けの分からない事すべてに、次々と起きた出来事に、頭の中がパンクしそうになったユウザは……
ユウザ
「何なんだよ………ッ!!」
何もない真っ黒なこの空間にぶつけるように叫んだ。
…例えその事すら無意味だとしても、そうせずにはいられなかった…………
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コメント | ||
コメント、ありがとうございます。実はこれ、外れ者シリーズとは別なんです…ごめんなざい……あと他の更新は暫しお待ちを!!(汗)(ヒノ) byZ 久々の更新お疲れ様です、あの二人と出会えたけどすぐに戻って見ればの地獄。まさに絶望ですね・・・。ところでチータくん、プルルートとは仲良くやっている?(ゲス顔)( Z ハデス) |
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