恋姫†無双 関羽千里行 第31-3話
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第31話 −拠点3-3−

 

○風

 

一刀「お?あれは...」

 

 城の中庭を通りかかると、お茶をする二人の姿が。一刀は仲睦まじいのは良いことだと感心し、そのまま行こうとしたのだが、

 

星「主ー!そんなとこに立っていないで、こちらでお付き合いくだされ。愛紗には黙っておきます故。」

 

 お茶にお呼ばれされてしまった。

 

一刀「失礼しまーす。」

 

風「どうぞどうぞー。」

 

 お茶をしていたのは風と星であった。

 

星「ちょうど主の話をしていたところです。」

 

一刀「俺?」

 

星「はい。主がどんな主君であるか、もとい、どんな男であるかについて少々。」

 

一刀「...あんまりいい話の気がしないですが。」

 

風「いえいえ。お兄さんは今時大陸でも珍しい人ですからねぇ。話は尽きないのですよ。」

 

一刀「うっ...大陸と言えば二人は一緒に旅をしていたんだっけ?」

 

 尻の据わりが悪くなって思わず話を逸らしてしまう。

 

星「ええ。私と風、そしてもう一人面白いのの三人で、見聞を広げる旅を少々。」

 

風「果ては南蛮や幽州、色んな所に行きましたねぇ。風はてっきりあのまま公孫賛さんのとこにいるかとも思っていたのですが。」

 

星「いや、ちと調べたいことがあってしばらくとどまっていたのだが、やはり白珪殿では天下は難しいと思ってな。そこに天の御遣いが街を興したという噂を聞きつけ、こちらまで旅してきたのだ。途中少々厄介事には巻き込まれはしたがな。」

 

一刀「へぇ、そういう経緯だったんだ。ちなみにその調べたかったことって?」

 

星「...いえ、北と南、そこに生える竹の生育の違いによるメンマの味を比べようと...」

 

一刀「なるほど。」

 

星「そういえばここのところ忙しくてろくに話もできなかったな。風はあの後どうしていたのだ?」

 

風「ぐぅ...」

 

星「おやおや。」

 

一刀「風、起きろ〜。」

 

風「おおっ?どうかしましたか?」

 

 頬をつんつんと突かれ、ぴくりと震え目を覚ます。

 

星「話の途中だ。風は私と別れた後どうしていたのだ?」

 

風「ああ...風と稟ちゃんもその後寂れた地方領主のところでコレを稼いでいたのですよ。星ちゃんがいない以上、護身術も使えない風たちだけで旅をするのは危険でしたからね〜。」

 

 そう言って親指と人差し指で輪っかを作ってみせる。

 

風「そうして路銀も貯まってどこかに仕官しようという話になったのですが、稟ちゃんは曹操さんにぞっこんでしたからねぇ。」

 

星「ほう。まあ稟ならばそうだろうな。しかし、ならばなぜ風だけここに?」

 

風「なんとなくですかね。」

 

一刀「なんとなくなんだ...」

 

 ちょっと天の御遣いに対する憧れなんかを期待していた一刀はがっくりと肩を落とす。

風「まあ折角なのでどこかに仕官する前に、天の御遣いとかいう変なのが興した噂の街を見物に行こうと思いまして。そしたら思いの外栄えていてあれ?ここでもいいんじゃね?的な?」

 

 変なのという言葉に再び落ちていく一刀。しかもノリが軽い。

 

風「そうしてたまたま入った本屋で雛里ちゃんと出会ったというわけでして。仕官先を探しているというお話をしたらそのままお呼ばれされちゃったのですよ。」

 

星「となると...稟もこの街まで来ていたのか?」

 

風「はい〜。ただ、稟ちゃんもこの街に来ていた曹操軍の人にたまたま出会っちゃったみたいで...そのままその人と一緒に行っちゃったのですよ。星ちゃんが居ると初めから知っていれば、挨拶に来るくらいはしたと思うのですけどねぇ。」

 

 さらりとスパイがこの街に紛れ込んでいたと暴露されてしまった。しかし、既にいないということならどうしようもない。そもそも、入国審査などないこの世界でスパイの入国を防ごうなど土台無理な話ではあるのだが。

 

星「そうか...稟とも話してみたかったが、次会う時は敵同士というわけだな。まあともあれ、お前が参加してくれたことは嬉しいものだ。ここで改めて乾杯するとしよう。ささ、主。」

 

 そう言ってどこからか取り出した酒をこれまたどこからか取り出した杯に注がれる。そうして三人に行きわたったところで、乾杯してそれを呷る。

 

風「そういえば、お兄さん。家臣の女の子を片っ端から手篭めにしているという噂は本当なんですかね?」

 

一刀「ぶぶぅぅっ!」

 

星「主、このような席でそのような真似はよしてくだされ。せっかくの雅な雰囲気が台なしではありませんか。」

 

一刀「ぐふっ...ごほっ...吹いたのは悪いけど、雅な雰囲気なんてあったっけ!?」

 

咳き込みながら何とかツッコむ。

 

宝ャ「で、そこんところどうなんだい、兄ちゃん。」

 

一刀「そんなことないって...星も言ってやってくれよ。」

 

星「...私からはなんとも。」

 

 ニヤニヤしながら言っても事実無根だからね?少なくともここでは!

 

風「おおっ...ならば風も、いつか発情しきったお兄さんにいきなり組み敷かれて、強引に初めてを奪われてしまうのですね。」

 

星「だが、それはそれで一興であろう?」

 

風「なるほど、そういう見方もありますね。」

 

一刀「いやいや...そんなことないから。」

 

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○雛里

 

一刀「お菓子も買ったし...そういえば雛里も桃好きだったりするのかな。ちょっと寄っていくか。」

 

 街で買い物を済ませ、城に戻る道をまっすぐではないが帰っていく。今日は軍師の二人にお茶会にお呼ばれしている。なんでも今後の方針について意見を交わしたいということで、お茶でも飲みながらゆるりと話しあおうということになったのだ。もちろん、本腰を入れて話すなら愛紗など軍部に携わる人も交えなければならないから、今日のは本当に軽くということなのだろう。

 

雛里「それでは、国境の兵隊さんたちが犬死にですっ!」

 

風「無駄ではありませんよ〜。少なくとも、本隊が来るまでは少数の国境警備隊では耐える以外にどうしようもないのですから。大軍に攻め寄せられればその時間はわずか。それならいっそのこと...」

 

 なんてお気楽に考えていたのも二人の待つ中庭に到着するまで。二人は机を挟んで既に大嵐。

 

一刀「いや〜、やってるねぇ。」

 

 どこから口を挟めばいいのかわからないので、とりあえずは見たままの感想を。

 

雛里「ご主人様っ!」

 

風「遅いですよ、お兄さん。なので先に始めてしまいました〜。」

 

 大声を出していたことが恥ずかしくなったのか顔を赤くし恥じらう雛里に対してのんびりとした様子の風。だが、先ほどまでの剣幕から察するに、結構議論は白熱してきていたのかもしれない。

 

一刀「えーと、ごめんよ?とりあえずこれまでの経過を教えてもらえるかな。あ、それとこれお菓子ね。」

 

雛里「有難うございます。」

 

宝ャ「おう、兄ちゃん。貢物とはよくわかってるじゃねぇか。」

 

 椅子に座ると向かい合う二人に対し、三角形になる形だ。まとめると、どうやら国境に敵軍が攻め寄せてきた時の対処について議論していたらしい。雛里の主張はもっと国境の城を改修し防備を厚くすべきという意見で、一方の風は警備を厚くするよりすぐに引けるような体制をつくるべきだということらしい。

 

一刀「どっちも正論に思えるんだけど...んー、まずはそれぞれの意見について詳しく教えてもらおうか。じゃまずは雛里から。」

 

 いつのまにか討論番組の司会者のような立ち位置になってしまうが、この場は安易にどちらかに肩入れしないほうがいいだろうと判断する。

 

雛里「では...まず、国境に敵の手が伸びてきた場合、優先されるべき事項は二つです。一つは国境周辺に暮らす民の安全。そしてもう一つが国境線の防衛です。」

 

一刀「ふむふむ。」

 

雛里「一つ目について、侵略側は時として接収と称して略奪行為に及んだり、また抵抗する民を反乱分子として処刑する可能性があります。そういった自体を防ぐためにも、民の安全を確保しなければなりません。そのためには国境に存在する城の防備を厚くし、いざとなれば民が逃げ延びる時間を稼ぐだけの耐久力が必要となります。そしてその耐久力はまた、本隊が到着するまでの間時間を稼ぐのに有用であり、到着した暁にはそれに寄ることで敵の侵略を阻止するのにも地形的優位を築きやすくなります。二つ目について、防備が薄く侵攻速度が早くなれば、その分逃げ遅れる民に危害が及ぶ可能性も高まります。ですから、国境線の防衛もまた重要な事項になります。国境線を維持するためには、少なくとも敵の侵攻を阻むに足る防御力のある城が必要になります。以上の理由で、国境の出城は古いものから優先的に改修していく必要があると考えます。」

 

一刀「なるほど、わかりやすかったよ。俺にもわかるよう説明してくれたお礼に桃を進呈しよう。」

 

雛里「あわわ、有難うございます...」

 

 机においた袋から桃を出して雛里の手に一つ握らせる。

 

一刀「んじゃ次、風の主張を聞いてみようか。」

 

風「では〜。まず第一にお兄さん、国が国を侵略する行為に及ぶ理由はわかりますかー?」

 

一刀「え?そりゃ領土が欲しいからじゃないのか?」

 

風「いえ、そういうことではなく。領土が欲しいと言うのはどこの国も...まあお兄さんは違うかもしれませんが。ともかく領土が欲しいだけで侵略するならこの大陸は常に戦争状態になってしまうのですよ。」

 

一刀「ああ、なるほど。てことは...勝てると思ってるから?」

 

風「その通りです。少なくとも国が侵略行為に及ぶにはその根拠となるもの、つまり勝算があってのことになるのですよ。まあ偶におバカさんが勝てるという思い込みだけで戦争したりすることもありますけど。」

 

一刀「ふむふむ。」

 

風「つまり、侵略の計画が立案され、それが実行に移された時点で、十中八九その侵略は成功するのですよ。そもそも勝てもしないのに攻め入るというのは愚の骨頂ですからねー。ですから私たちにできることは二つです。相手の戦う気をなくさせるか。或いは相手が攻めてきた時にいかにして被害を減らすか。ここまではいいですか?」

 

一刀「うん、よくわかるけど一つ質問してもいいかい?」

 

風「どぞ〜。」

 

一刀「さっき雛里が言った防備を厚くするっていうのは、相手の戦う気をなくさせるってことにつながるんじゃないのかい?」

 

風「それがそうでもないのですよ。お兄さん、国境の出城はいくつあるか把握してますか?その国境一つ一つを調べて改修しようと思うと、物凄く手間とお金と時間がかかるのですよ。その間敵さんが待ってくれるわけありません。その間に攻められたら終わりです。」

 

雛里「!でもそれではっ!」

 

風「雛里ちゃん、後でお兄さんが反論の時間はとってくれると思うので今は最後まで続けさせてくださいな。」

 

雛里「...わかりました。」

 

 シュンとなってしまう雛里にとりあえず桃を手渡しヨシヨシ。

 

風「ほらほら、それでは続けますよー。さっき言った二つの方法について、一つ目の方法を用いるには政略が有効になります。相手の勢力に毒を仕込み、相手にそもそも攻める気をなくさせる方法ですね。そこからはゆるゆると泥沼な同盟関係を気づき、他国に攻められた時の盾としたり、或いは併合していったり...とまあ、この方法もとっても時間がかかるので、即効性には欠けるのですけどね。」

 

一刀「えげつないなぁ。」

 

風「まあ政治ってのはそんなもんです。まあこちらは同時並行でやるとして、やはり二つ目の被害を減らす方向で行ったほうが手っ取り早いですね。さっきも言ったように、攻められた時点である意味詰んでいるのですから、そこからは雛里ちゃんも言ったように民衆を逃がすことを考える必要があります。」

 

一刀「ふむふむ。」

 

風「そしてそれと同時に考えなければならないのは、失われた領土を取り戻すことです。もし城を新しくすれば、その城を落とされた時こちらの領土奪還作戦の大きな妨げになります。城によって立つ敵を倒すには三倍の兵が必要と言われていますから。ですから、城を新しくするより、どうやって逃げるかを考えた方がいいということですよ。そのためには、城同士の連絡を密に行う伝令の増員と、逃げるのに必要な街道の整備が優先と考えます。」

 

一刀「なるほどね、説明有難う。風にも桃を一個あげよう。」

 

風「有難うなのですよ。」

 

一刀「うーん、一概にどっちが正しいかはわからないなぁ。雛里の言い分もわかるし、風の言ってることも正しく聞こえるし...」

 

 正直に言うと、合理的に考えると風に軍配があがりそうだけど。

 

宝ャ「煮え切らない兄ちゃんだなー。」

 

雛里「一つだけ...いいですか?」

 

一刀「どうぞ?」

 

雛里「風さんの方法だと...国境の警備にあたっている兵隊さんはどうなるんです?」

 

風「民衆が逃げるまでの間は防衛、そのあとはかわいそうですが城に残って時間稼ぎですかねぇ。民衆についていくより、城によって立つ方が時間が稼げますから。」

 

雛里「それではやっぱり兵隊さんたちは助からないじゃないですか!」

 

 さっき雛里が突っかかっていたところはここだったのか。確かに、その場合城ももろく取り残された兵士が生き残れる確率はぐっと下がるだろう。抵抗するだけして降伏しても、受け入れられるとは限らない。

 

風「まあそれが兵隊さんの仕事ですし。自分の家族が無事に逃げられるなら本望だと思いますよ?」

 

一刀「風、それは違うよ。」

 

風「というと?」

 

一刀「確かに、自分たちの守りたい人が無事に生き延びられれば本望だと思うよ。でも、それは本人が決めることで、俺たちが勝手に決めつけていいものではないと思うんだ。」

 

風「でも、結局は兵士の皆さんには犠牲になってもらわなければいけませんよ?」

 

一刀「払わなきゃいけない犠牲もあるさ。ただ、それをこっちで消耗品みたいに扱うのは違うと思うんだ。だからさ、風の言い分もわかるんだけど...」

 

 じっと聞いていた二人の手をとって、

 

一刀「二人で知恵を合わせてさ、できればない方がいいけど...なるべくその犠牲が少なくなるような方法を考えてくれないかな。」

 

 互いの手を重ねる。二人は互いを見つめ、一度一刀と目を合わせた後、再び互いを見つめる。

 

風「はぁ。全くお兄さんは甘々ですねぇ。画餅を食わせろと言われても風は困っちゃうのですよ。」

 

雛里「でも、それをなんとかするのが私たちの役目です。」

 

一刀「よろしくね。俺くらいは好きに使ってくれて構わないから。」

 

風「なるほど。そういう事なら...」

 

 椅子を降りた風はてくてくと歩いてくると、

 

風「ささ、雛里ちゃんも。予想通り中々の座り心地なのですよ。」

 

雛里「あわっ!?」

 

風「いいからいいから〜。」

 

雛里「し、失礼します...」

 

 膝の上に二人して腰掛けた。

 

一刀「なんでもとは言ったけど、これは少し違うような?」

 

風「ま、いいじゃないですか。お兄さんお菓子。」

 

一刀「はいはい...」

 

雛里「うぅ...」

 

一刀「雛里もほら。」

 

雛里「あぅ...ありがとうございます...」

 

 一人はのんびり、もう一人はこの上なく恥ずかしそうにしばらく膝の上に居座っていたのだった。

 

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○張三姉妹

 

地和「はぐはぐはぐ...おじちゃーん、杏仁豆腐追加ね!」

 

天和「んじゃ私は点心くださーい。」

 

人和「お茶をもう一杯いただけますか?」

 

 飯店で片っ端から料理を頼んでは腹の中に収めていく。

 

一刀「よく食べるなぁ。」

 

地和「最初の興行が成功したら...はぐはぐ、美味しいものをお腹いっぱい食べるって...はぐはぐ、決めてたんだから、これくらい当然よ!」

 

人和「しかも勘定は持つなんて言われたら、頼めるだけ頼んでやろうって思うのも当然ですよね?」

 

天和「ごしゅ...じゃなかった。一刀だーいすき♪」

 

一刀「全く、調子いいんだから。」

 

 財布はすっからかんになりそうだが、ここまで気持ちのいい食べっぷりを魅せつけられると、奢った甲斐もあるというものだ。

 

店主「はい、杏仁点心とお茶ね!はい、それと兄さんには水ね。」

 

 出来れば一緒になって食べてあげたいと思う一刀だが、財布の紐を絞めるしかない小遣い制の君主様である。

 

一刀「それで今後の興行の方はどうなの?」

 

地和「それが、前の興行の噂が広まったのか、何箇所からか来て欲しいって文が届いたのよ!」

 

一刀「おお!それはよかった。」

 

天和「うんうん。また練習しなくっちゃね。」

 

人和「んー、でもいくらなんでも情報が回るのが早すぎる気がするのだけれど...」

 

地和「それだけあたしたちがすごいってことでしょ?ま、あたしがいる以上当たり前だけどね!」

 

天和「隙あり〜。」

 

地和「ああー!それ私の!」

 

一刀「うんうん。仲良きことは美しきことかな。」

 

 一刀は不思議とこの三人との空間に溶け込んでいた。

 

 

 

 そして後日。

 

天和「みんなーありがとー!」

 

 着実に、以前三人でやっていた時の手応えを感じる。もしかしたら今はそれ以上かもしれない。

 

観衆「ほああああああ!!」

 

 多くの人前で歌えることがこんなに嬉しいことだなんて、しばらく忘れていた。こうしていられるのも...

 

天和「(ご主人様...)」

 

 あの人に命を救われてからというもの、ほんとうに楽しかった。仕事というものに縛られていても、旅をしていた時よりも自由にさえ感じた。覚えなきゃいけないことはいっぱいあったけど、みんな暖かく迎えてくれた。それもしばらく触れることのできなかった人のぬくもりで、もう妹たちや付いて来てくれた人たち以外には求められないのではないかと思っていたものだ。それが今や、

 

観衆「天和ちゃーん!!」

 

 こんなにも多くの人たちが自分たちのことを受け入れてくれている。それも、これからもっと増えるのだろう。この喜びを妹たち...そして、助けてくれたあの人と分かち合いたい。ならばすることは決まっている。舞台袖に下がった天和は姉妹たちと今日の麗舞の成功を祝うと、直ぐに一刀のもとへ向かうのであった。

 

 

 

 

天和「やっほー!かーずと♪」

 

一刀「やっほー…って、思わず返しちゃったけど天和か…」

 

天和「わからなかったの?ひどーい。」

 

一刀「ごめんごめん。今までと違うからつい。」

 

天和「だーめ、許してあげなーい。」

 

 ぱすっ。

 

一刀「あの...許してあげないっていう割には口と態度が違う気がするんだけど?」

 

天和「〜♪」

 

 椅子に座って政務に勤しむかずとの後ろから抱きつく。かずとの匂いが花を抜けなんだかとても落ち着く。一刀はそのたわわな膨らみに赤面しているのだが、それは天和にはわからない。

 

一刀「天和てさ、」

 

天和「なーにー?」

 

一刀「歌手に戻ってから雰囲気が少し変わった気がするんだけど。」

 

天和「うーん、そうかなぁ?」

 

 確かにあのメイド服とかいうのをきている間は、いつもよりなんというかしまってる気にはなっているかもしれない。今は衣装をきたままだからかな?

 

一刀「そういえばそれ麗舞の衣装だろ?そのまま来ちゃったのか。」

 

天和「さっきまで私も気づかなかったんだけど、そうみたい。」

 

一刀「おいおい。」

 

天和「ね、これ似合う?」

 

 背中から降り、一刀の前でくるっと回って見せる。可愛く見せることならお手の物だ。

 

一刀「うん、とってもよくにあってるよ。さっきは遠目だったからよくは見えなかったんだけど。」

 

天和「(あ、じゃあ、やっぱりさっきの一刀だったんだ。)」

 

一刀「んん?なんか言った?」

 

天和「なんでもー♪」

 

 歌っている時、チラリと見えた人物を思い出す。

 

天和「でも来てくれるならちゃんと招待したのに。」

 

一刀「ごめんごめん。近隣の街の代表の人たちと会議があってさ、天和たちの話をしたらぜひ観たいって言われたからちょっとみんなで抜けて来たんだよ。」

 

天和「そうだったんだ。」

 

一刀「あ、このこと愛紗には内緒な?また怠業だとか怒られちまう。」

 

天和「...うん。」

 

 胸が少しだけちくりと痛む。

 

天和「じゃ、ちょっと着替えてくるよ。お茶でもいれてあげるね?」

 

一刀「いや、天和だって麗舞で疲れてるだろ?今日はもう休んでおきなよ。」

 

天和「いいからいいから。こんなのへっちゃらだよ♪」

 

 ひらひらと手を振って部屋をあとにする。静かに閉めた扉の後ろで、

 

天和「…ばか。」

 

 そして、頬を平手で軽く打つ。

 

天和「よし!」

 

 天和は自分の部屋へと向かうのであった。

 

 

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 −あとがき−

 

雛里「あの...張三姉妹の皆さんにお願いが...」

 

天和「なになにー?」

 

風「ちょっと、興行のついでにその中で言って欲しいことがあるのですよ。

 

れっど「(コレコレ」

 

地和「なになに...かずとだいす...って何言わせんのよ!」

 

風「おっと、おっと間違えてしまいました。だめですよー。」

 

れっど「間違えちゃった、てへっ。(こっちこっち」

 

人和「...はぁ。(ヨミヨミ)なるほど、それくらいなら構いませんが...」

 

雛里・風「ありがとうございます(ありがとうなのですよ。)」

 

れっど「果たしてその内容は如何に!?軍師二人は後に膨大な額をふっかけられたのであった!」

 

一同「ないない。」

 

説明
恋姫†無双の二次創作、関羽千里行の第31話拠点の2つ目になります。 この作品は恋姫†無双の二次創作です。 設定としては無印の関羽ルートクリア後となっています。
深夜の更新失礼します。
拠点二人ずつすると...五週間。長い。
ということで三人詰めこんでしまいました。
それではよろしくお願いします。
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コメント
いたさん そうなんですよねぇ。私もどっちがいいのかいまだに分かりませぬ。信玄公がやったことなら支持したいけどうーん。 joinさん 私にもそう聞こえます(汗 ライブの煽りってめちゃくちゃあがりますよね。今後麗舞の下りはもっと細かく書く機会があると思いますのでその時までお待ちくだされ。(Red-x)
軍師たちの意見は両方とも正解のように聞こえる。あと天和たちが麗舞で言った内容がすごく気になるw(join)
今回も力作で、お疲れ様です。軍師達の話ですが、雛里の意見は武田信玄が実行していた方法だと思います。でも、風の意見も不定しきれないため、どちらが正解かなんて言えませんよね。(いた)
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