英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 722 |
〜エルム湖〜
「………………………」
ロイドがリィンに近づくとリィンは外を見つめて考え込んでいた。
「リィン、どうしたんだ?」
「ロイドか。いや……こないだエリゼと会ってからずっと思っていたんだけどさ……エリゼ、随分成長したなと思ってさ。」
「まあ、戦闘能力も凄かったけど何よりあのリフィア殿下の専属侍女を立派に務めていたものな。……もしかして兄として寂しいのか?」
リィンの話を聞いたロイドは頷いた後尋ね
「……まあな。メンフィルに留学してからもずっと俺に実の兄同然に懐いてくれていたあのエリゼが今では立派に自分の”道”を見つけて、進んでいるなと思ってさ……兄としてちょっと不甲斐ないなと思ってて……」
「そうか……俺は弟としての立場だから、兄としての立場はあまりわからないけど……エリゼさんは今でもリィンの事を兄として慕っていると思うけどな。」
「何でわかるんだ?」
ロイドの言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情で尋ね
「エリゼさんのリィンに対する普段の態度とか、リィンを見ている目とか見ていたら何となくわかるよ。」
「……弟という立場だからこそ、わかる……か。………ちなみに言っておくがエリゼはやらないからな?」
ロイドの話を聞いたリィンは口元に笑みを浮かべた後真剣な表情でロイドを見つめて言い
「ええっ!?何でそういう話になるんだよ!?というか俺にはエリィがいるし!」
リィンの言葉を聞いたロイドは驚いた後疲れた表情で言い
「いや、だって…………リウイ陛下からいただいた支援課のメンバーの資料でお前の女性関係を見たら、兄としてさすがに警戒するぞ?」
「い、一体どんな事が書かれてあったんだ?」
「あー……それは秘密だ。一応極秘の情報だし、さすがに本人を目の前に言う度胸は俺にはない。」
「(い、一体どんなことが書かれてあるのか、気になる……!)……そ、それより女性関係で気になったけど、リィンは恋人とか作る気はないのか?今までの行動を見る限り、あまり女性に興味がなさそうだし。」
リィンの話を聞いたロイドは疲れた表情をした後気を取り直して尋ねた。
「失礼な。これでも人並みに恋人は欲しいとは思っているぞ?まさかとは思うけどランディや局長を比較対象にしてないよな?」
「た、確かに。あの2人が異常すぎるって事をすっかり忘れていた。」
「まあ、あれ程自分の欲望をさらけ出す人達は中々いないだろうな。……それにもしかしたら、父さん達が見合い相手を用意するかもしれないしな。恋人を本当に作っていいものか実際迷っている立場なんだ、俺は。」
「あ、そうか……リィンは貴族の息子だもんな。政略結婚とかあってもおかしくないか………あれ?じゃあ、もしかしたらエリゼさんもそうなるんじゃないのか?」
リィンの話を聞いたロイドはある事に気付いて尋ね
「……まあ、な。それに今のエリゼはリフィア殿下の専属侍女という立場だからな。メンフィルだけじゃなく、他国の貴族が申し込んできてもおかしくないさ。………俺は養子の立場の上長男だから別にいいけど、せめてエリゼには自分が選んだ相手と結婚して幸せになって欲しいんだよな……」
尋ねられたリィンは複雑そうな表情で答えた後疲れた表情で言った。
「ハハ……そんなに大事なんだったらいっそリィンがエリゼさんと結婚したらどうなんだい?」
「なに馬鹿な事を言ってるんだよ……義理とはいえ俺とエリゼは兄妹の間柄だぞ?……第一、ロイド。お前だって他人事(ひとごと)じゃないだろうが。」
ロイドの言葉を聞いたリィンは溜息を吐いた後呆れた表情でロイドを見つめて言い
「へ??」
リィンの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をした。
「エリィは名家であるマクダエル家のお嬢様の上、姉はイリーナ皇妃だぞ?俺の予想では既にマクダエル家にエリィに見合いの申し込みが山ほど来ていると思うが。」
「うっ……!い、言われてみれば確かに………」
そしてリィンの説明を聞いたロイドは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ま、人の恋路の心配をするぐらいだったら、まず自分の心配をする事だな。」
「仰る通りです………」
口元に笑みを浮かべて言ったリィンの言葉に疲れた表情で頷いた。その後ロイドはリィンから離れ、船内の席に座って外を見つめているランディに近づいた。
「―――よう、ロイド。しっかし、マリアベルお嬢さんもずいぶん太っ腹だよなぁ。ミシュラムのリゾートホテルにテーマパークも遊びたい放題。どんな大盤振る舞いだっつーの。」
「……そうだな。………………………」
口元に笑みを浮かべて言ったランディの言葉にロイドは頷いた後複雑そうな表情でランディを見つめ
「ハハ………――――なあ、ロイド。カン違いさせてるみたいだからひとつ言っとくぜ。」
「え………」
「叔父貴達がルファディエル姐さんの策によって国際犯罪組織扱いされ、社会的にも抹殺された事………別に恨んじゃいねーよ。身内があんな事になって、俺がショックを受けてると思ってんだろ?」
「そ、それは……」
真剣な表情で尋ねてきたランディにロイドは言い辛そうな表情になって、口ごもった。
「実際、猟兵なんざ金を払えばどんな非道な事もする上、欲望のままに戦い続ける犯罪者も同然の存在………特に悪名高き”赤い星座”はそれこそさまざまな犯罪を犯してきたさ。殺人なんざ日常茶飯事だし、中には強姦をした外道共だっている。」
「………………………」
静かな表情になった後目を細めて言ったランディの話を聞いたロイドは真剣な表情をし
「……ま、そういう訳だから今回の件は叔父貴達……いや、”赤い星座”にとってはいい薬さ。………まあ、叔父貴達を知っている立場としたら、自治州から追い出すだけなんて”生温い”と思ったけどな。叔父貴達の事だから、いずれ”報復”しに来るだろうからな。どうせなら殺しておいて欲しかったと思う所がやっぱり俺は骨の髄まで猟兵だって、改めて自分で思ったぜ。ハハ………まったく、クールで伊達男の俺様がなんつー無様な―――」
ランディはロイドの答えた後寂しげ笑みを浮かべ、そして疲れた表情で何かを言いかけた。すると
「………でもさ。ちょっと嬉しいかな。」
「え……」
ロイドが意外な事を言い、ロイドの言葉を聞いたランディは呆けた表情でロイドを見つめた。
「何て言うか、ランディっていつも大人で余裕があるからこちらが頼ってばかりじゃないか?でも、そうやって自分がさらけ出してくれると仲間としては少し嬉しいんだ。たぶん俺だけじゃなく……他のみんなも同じだと思う。」
「…………………………」
「それに……骨の髄まで猟兵だなんてただの思い込みじゃないのか?少なくとも俺は、ランディがミラのために戦争を請け負うのが好きなタイプには思えない。お調子者で、夜遊びが好きで少し好戦的で熱くなりがちだけどちゃんと引き際もわきまえてる……そして、いつも年下の俺達をフォローしてくれる兄貴分……それが、俺の知っているランディ・オルランドって男だ。」
呆けているランディにロイドは答えた後笑顔になった。
「…………………………」
「だから少しくらいカッコ悪い所を見えたからって気にする必要はないさ。むしろその方が俺やエリィたちだって―――」
そしてロイドが話を続けようとしたその時
「――わかった、皆まで言うな。どうやらお前のポテンシャルをまだ甘く見てたみてぇだ……どんだけだよ、この天然タラシは!?」
(あっはははははっ!ここまでの男、さすがのあたいでも今まで見た事がないねぇ!)
ランディが話を制して溜息を吐いた後、悔しそうな表情でロイドを睨み、エルンストは陽気に笑っていた。
「て、天然タラシ?よくわからないけどそこまで逆ギレされること言ったか?」
「あーもう、鬱ってるのが馬鹿馬鹿しくなってきたぜ……こうなりゃとことん、ミシュラムを満喫してやる!テーマパークで遊びまくって夜は姉ちゃんをナンパするぞ!お前も付き合え、この弟野郎!お嬢が許さなくても、問答無用だ!」
「りょ、了解ッス。(よくわからないけど……元気だしてくれたのかな?)」
自分の言葉に笑った後自分を見つめて言ったランディの言葉にロイドは苦笑しながら頷き、そしてランディから離れた……………
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第722話 | ||
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コメント | ||
Kyogo2012様 まあ、零や碧の絆システムは引き継がれているっぽいですから、関係を持ちそうですね。下手したらロイドより多いかも(汗)仲間の数も多いですし。 THIS様 メインヒロインの一人はアリサとしてもう一人は一体??エリゼでしょうか。 本郷 刃様 下手したらSクラフト放たれるぞ……(ガタブル)(sorano) ランディ、無理にロイドを連れて行ったらエリィのO☆HA☆NA☆SHIが炸裂してしまうぞ!(本郷 刃) ロイドの人たらし・・・凄すぎる。リィンは実際どうなるのか本当に楽しみすぎます。実際メインヒロインぽいのが二人いますけど?(THIS) くかかかか。って笑ってそうなのが一人思い浮かぶが・・・・キノセイデショウカ?リィンも閃の軌跡では、色々と関係持ちそうだなと思うわけです。私の勘違いでしょうか?(Kyogo2012) |
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