真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三??†無双』其の四十二
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第二章  『三??†無双』 其の四十二

 

 

本城 後宮 麗羽居室             (時報:桂花三人目 妊娠十ヶ月)

【猪々子turn】

 

「猪々子、そこの机と椅子をこちらに運んでくださいます?」

「は〜い、麗羽さま♪」

 

 斗詩が妊娠したからあたいと麗羽さまと揚羽さまも、また後宮で暮らしてるんだけど。

 

「猪々子さん!なんですのこの掃除の仕方は!?ホコリが残ってますわよ!」

「はい、はーい!今拭きますってば!」

 

 斗詩がつわりで動けないから、あたい一人で麗羽さまと揚羽さまの相手をしなくちゃならないんだよなぁ。

 小姑の嫁いびりかっつうの!

 

「文醜さん、わたくしお昼を食べましたかしら?」

「・・・・・・・・・・・・麗羽さま・・・・・さっき食べたじゃないですか・・・・・」

 

 一気にボケた姑の域に達しちゃったか・・・・・・・昔から物忘れが激しいとは思ってたけど、麗羽さまついにここまで来ちゃったんですね・・・・。

 

「そうですわよねぇ・・・・・お腹が減っていませんもの。何かを口に運んだ記憶は有るのですけど何を食べたか思い出せなくて・・・」

「何言ってんですか。お昼は白蓮さまの作ってくれた・・・・・・・・・何だっけ?」

 

 あっれぇ〜?あたいも何食べたか思い出せないぞ?

 味は不味く無かったはずだよな・・・特別美味くも無かったような・・・・・。

 

「そんな訳で、美味しいお魚が食べたくなりましたわ。猪々子さんは今からお魚を獲ってきなさい。」

「はい、はい、は〜〜〜〜い!そんじゃ今から市に行って買ってきますよ。」

「お待ちなさい、猪々子さん!」

 

 あたいがお金をもらいに斗詩の部屋に行こうとしたら呼び止められた。

 今度は何だ?また暇つぶしのオモチャも買ってこいとでも言うのかな?

 

「わたくしは『獲ってきなさい』と申しましたのよ。」

「はあ!?今からですか!?」

「明日の朝食は久しぶりにわたくしが腕を振るって差し上げます。それにはより新鮮なお魚の方がよろしいでしょう?お魚はマスをお願いしますわね。」

「またそんな無茶ぶりを・・・」

 

「一刀さんたちにも手伝って下さる様にお願いしてありますから、早く行ってらっしゃい。」

「へ?アニキたちも?」

 

 

 

「という訳で、今からアニキたちと魚を獲りに行ってくる。」

 あたいは出発前に寝台で横になってる斗詩に教えにきた。

「もう、麗羽さまったら・・・」

 麗羽さまの気まぐれは今に始まった事じゃないけど、斗詩だって呆れるよなぁ。

「麗羽さまのワガママにも困ったもんだよ。アニキたちも断りきれなかったみたいだしな♪」

 あたいはもう慣れてるからいいけど。

 

「そうじゃないよ、文ちゃん。麗羽さまは文ちゃんに、ご主人さまたちと過ごすお休みをくれたんだよ。」

 

「は?」

 休み?だって麗羽さまは魚獲ってこいって・・・・・。

「麗羽さまってこういう所が不器用なんだから・・・・・とにかく、文ちゃんはご主人さまたちと遊んで来なよ♪時間はあんまり無いけど。」

「で、でも・・・斗詩をほったらかして行けないじゃんか・・・」

「半日くらいなら大丈夫だよ♪麗羽さまも文ちゃんにお休みをあげたいって思ってたんだから♪」

 麗羽さま・・・・・・だったら素直に休みくれりゃいいのに。

「魚は獲れなかったら市で買ってきていいよ。はい、お金♪」

「う、うん・・・・・」

 あたいは斗詩から受け取ったお金を握り締めたまま送り出された。

 

 う〜んと・・・・・まあ、気晴らしだと思って気楽に行ってくるか♪

 

 

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房都近郊 水練場

【緑一刀turn】

 今年の冬は例年より短く、もう春の足音が聞こえて来ていた。

 だけど雪解け水が流れ込むのはまだ先で、川の水量はかなり少ない。

 水温もやはり低いので魚の活性も悪い。

 

「アニキ、釣りじゃ魚獲るの無理じゃないか?」

 

 猪々子が早々にしびれを切らしてそんな事を言い出した。

 まだ釣り始めてから三十分も経って無いぞ。

「「「夕まずめになれば少しは期待出来ると思うんだけどなぁ・・・」」」

「おいおい!それじゃあ日が暮れてから戻る事になっちゃうじゃん!」

 それもそうだな。

 元々今日は猪々子の気晴らしが目的だ。それならさっさと切り上げて、街で魚買った後で飲み食いした方が良さそうだ。

「「「それじゃあ」」」

 

「それじゃあ、あたいが今から川に入って魚を獲ってくる!」

 

 何を言い出すんだ、猪々子は!?

「「「待て待て!こんな冷たい川に入るって、無茶だって!」」」

 立ち上がった猪々子は川に近付いて辺りを見回したり、川の中を覗き込んだりし始めた。

「大丈夫だって、別に全身入る訳じゃないし♪網を張って追い込めば結構いけそうじゃん♪」

 追い込み漁か。それなら魚は獲れそうだけど・・・。

「焚き火が有るから足先が濡れるくらいなら大丈夫だって、この辺なんて水の深さが全然無いってうわあああっ!」

 

「「「猪々子っ!!」」」

 

 猪々子の立っていた石がグラリと動いてバランスを崩した。

 

バッシャーーーーーーン!

 

 俺たちが駆け寄った時には、猪々子は既に川の中で水しぶきを上げた後、猪々子は全身ずぶ濡れになってしまっていた。

「ほ、ほら、こんなに浅いぜ♪」

「「「そんな事言ってる場合じゃ無いだろ!ほら、早く焚き火に当たって!」」」

 川の中で尻もちをついてる猪々子に手を伸ばすと、素直に手を取って立ち上がってくれた。

「こんな時期に川に入ったのって、成都の近くで緑のアニキに会った時以来だな♪」

「「「何を暢気な事言ってんだよっておい!いきなり服を脱ぐな!」」」

「え?だって絞らなきゃ早く乾かないじゃん。」

 いや、確かにその通りだし、濡れた服を着てたら風邪をひいちゃうだろうけど・・・。

 戸惑ってる俺たちを気にせず、猪々子は一枚一枚服を脱いで絞っていく。

 

 猪々子の濡れた髪と肌に付いた水滴が、傾いてきた陽の光と焚き火を反射して・・・こんな時だというのに俺たちは綺麗だと思ってしまった。

 

 

 そして・・・・・・・・スイマセン、我慢できませんでした。

 

 

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ひと月後

本城 医務室                 (時報:桂花三人目丹桂 生後一ヶ月)

【猪々子turn】

 

「そういう風に仕向けたのだから当然の結果ね。」

 

 華琳様は一体ナニ言ってんだ?

 華琳様だけじゃなく、桃香様と蓮華様まで一緒に居るんだけど?

「どういう意味ですの?華琳さんはわたくしの猪々子に何かなさったんですの!?」

「あの・・・麗羽さま。ひと月前の事を覚えて・・・・・・・無いですよねぇ・・・」

 斗詩まで溜息吐いて。

「ええと、あたいの妊娠はひと月前に麗羽さまが魚を獲りに行かせた時に・・・」

「ぶ、文ちゃん!詳しく説明しなくてもいいよっ!」

 別に斗詩が恥ずかしがる事ないじゃん。

「わたしは詳しく聞きたいかなぁ〜♪」

「桃香様!!」

「そうね、私も後学の為に聞いておきたいかも・・・」

「蓮華様まで何仰るんですか!?」

 この部屋ん中で斗詩一人だけがワタワタしてる。

「斗詩〜、女同士なんだから気にする事ないって♪」

 なんであたいの検診に、王様三人が来てるのか不思議だけどな。

「華佗さんが居るでしょ!」

 斗詩に指差された華佗が椅子に座って笑ってる。

「俺も別に気にしないが・・・」

 

「華佗さんは気にして下さいっ!!」

 

「落ち着けよ、斗詩。お腹の子に響くぞ。」

「なんか私一人だけ騒いでバカみたいだよぅ・・・」

「それよりもさぁ、あたいの診察になんで王様三人が来てくれたんだ?もしかしてあたいって・・・・・ほら、アニキたちが言ってた・・・ええと、『ひっぷ待遇』ってヤツ♪」

「そんな言葉だったかしら?」

「『匹夫待遇』だとこの場に合わないんじゃないかな?」

「何故だか『ひっぷ』という言葉が引っかかるわね・・・・・」

 なんで蓮華様はお尻押さえて気にしてんだ?

 

「あのね、文ちゃん。ひと月前のデートは麗羽さまが桃香様と華琳様と蓮華様に頼んで、お膳立てをしてもらったんだよ。」

 

「へ?そうだったの?」

「そんな事ありましたかしら?」

 麗羽さま自身覚えて無いみたいだけど。

「こうして懐妊できたのだから経緯はどうでもいいでしょ♪」

「ですけど華琳様。ここはお礼を申し上げる所ですし・・・」

 あたいは黙って斗詩の肩を叩いた。

「文ちゃん?」

 斗詩を下がらせて、大きく頭を下げる。

 

「麗羽さま!華琳様!桃香様!蓮華様!ありがとうございましたっ!!」

 

 あたいの為にここまでしてもらったんだから、ちゃんとお礼は言わないとな♪

「「「おめでとう、猪々子♪」」ちゃん♪」

「ええと・・・・・なんだかよく分かりませんけど、猪々子さんが一刀さんの赤ちゃんを身ごもったのは素晴らしい事ですわ。おめでとう、猪々子さん♪」

 あらたまるとなんか照れちゃうな♪

 

「おめでとう、猪々子♪」

 

 斗詩はめったにあたいの事、真名で呼ばないのに・・・こんな時にそんな笑顔で言うなんてズルいよ♪

 

 

 

「(午後に出発して戻って来たの、日が沈む前だったよね?)」

「(往復の移動時間を考えるとかなり短時間ね。)」

「(一体どういう法則で懐妊するのかしら?)」

 

 桃香様達はナニ話してるんだ?

 

 

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本城 皇帝執務室

【緑一刀turn】

 

ドンドン!

『アニキー!あたいにも赤ちゃんできたぞー!責任とれー!』

 

 扉を叩く音に続き、猪々子の元気な声が聞こえてきた。

 直ぐ様、扉を開けて猪々子を中に入れる。

 

「「「猪々子!俺たちが無責任な男みたいに言うの止めてくれ!!」」」

 

「いや〜、桂花が銀桂を妊娠した時にそんな事をグチってたの思い出してさぁ♪」

「「「嫌な事覚えてるな・・・・・あれの所為で妙な噂が立って苦労したんだぞ。」」」

「噂?・・・ああ、アニキたちの隠し子が実はあっちこっちにゴロゴロ居るんじゃないかってヤツな♪」

 普段ならいつもの桂花の悪態だとみんなも聞き流しただろうけど、あの時は朱里と雛里も立て続けに懐妊したからな。

 噂に変な信憑性が付いてしまった・・・・・。

「「「そんな噂が再燃されてはたまらん!」」」

「大丈夫だって、街の人達だって今はもうアニキたちの事を分かってるからそんな噂は立たないって♪」

 猪々子は麗羽のお使いでよく出かけて街の人達と話をしてくるらしいから、街の状況に結構詳しかったりする。

 それに猪々子のこの笑顔を見たらそんな噂が立っても笑って流せそうな気がしてくるな。

 俺は自然と猪々子の頭に手を置いて優しく撫でていた。

「な、なんだよ・・・子供あつかいすんなよ・・・」

 口ではそう言ってるけど跳ね除けようとしないし、顔を赤くした上目使いの表情は少し嬉しそうだ。

「はは♪猪々子の笑顔が妹に似てたもんだからツイな♪」

「「ああ、確かに似てるな。」」

「アニキって妹が居んの?」

 猪々子が意外そうな顔で見上げてきた。

「「「あれ?言って無かったっけ?二つ年下で、名前が二刃っていうんだけど・・・。」」」

 なんか思い出しちゃったな・・・・・元気でやってるかな、あいつ・・・・・。

「あたいってその妹に似てるのか?」

「「「そうだなぁ・・・・・威勢のいい所なんか結構似てるな。」」」

「ふ〜ん・・・・・その妹はアニキの事なんて呼んでたんだ?」

「「「え?・・・二刃は『兄さん』って呼んでたけど。」」」

 小さい頃は『おにいちゃん』だったけど、いつからだっけな。あいつが『兄さん』って呼ぶ様になったのは。

 

「なんならあたいが・・・その・・・『兄さん』って呼んでやろうか?」

 

 んん?なんかいつもの猪々子らしく無いな。

「「「猪々子、もしかして斗詩から話を聞いたのか?」」」

「え?あ・・・・・うん。むずかしい事は分かんなかったけど、アニキたちが大変なんだってのは理解した・・・」

 やっぱりな・・・それでこんな事を言ってくれた訳だ。

 

「「「猪々子は二刃の代わりなんかじゃ無いんだ。いつも通りでいてくれよ♪それに・・・」」」

 

 俺は猪々子を抱き締めた。

 

「二刃の代わりじゃこんな事出来ないからな。懐妊してくれて、ありがとう♪」

 

「あ、アニキ・・・こんなんじゃ、その・・・いつも通りにできないって・・・・・」

 その言葉通り、猪々子は真っ赤になって俺の腕の中で大人しくしている。

 

 普段が普段なだけにこんなカワイイ猪々子はスゴイ破壊力があるな♪

 

 

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翌日

後宮 猪々子居室

【猪々子turn】

 チックショー!昨日はアニキたちに飲まれて全然あたいらしく無かったぞ!

 寝て起きたらスゲェ恥ずかしくなってきた!

 

「今日はあたいらしく、アニキたちにたっぷりオゴらせてやるぜっ!!」

 

「もう・・・文ちゃんったら・・・・・」

 斗詩が呆れた顔してるけど気にしない。

「それより、本当にいつもの服でいいの?お化粧もしてないし・・・・・」

「いいんだよ!今日はあたいとアニキたちの勝負なんだ!絶対にまいったって言わせてやるぜ♪」

「どういう勝負だか分からないけど・・・・・(さっきから鏡を気にしてる時点で勝負は決まってるよね。あ♪赤ちゃんが出来た時からかな♪)」

 

「なんだよ斗詩?急にニヤニヤして。」

 

「ニヤニヤじゃなく、ニコニコって言ってよ!ほら、もう時間だよ。ご主人さまたちを参ったって言わせるんでしょ♪」

 どうしたんだ一体?まあ、斗詩の機嫌がいいなら気にすること無いか♪

 

「いよっしゃああああぁ!一丁行ってくるぜっ!!」

 

 

 

房都 繁華街

 

「アニキたち!今度はこの店の肉まんだ!」

「「「はいはい♪」」」

 

「次はこの屋台のラーメンな!」

「「「はいはい♪」」」

 

「今度はこの店の炒飯だ!」

「「「はいはい♪」」」

 

 うっひょ〜〜〜♪

 前からやってみたかった美味い店の一品ハシゴ♪

 いや、最高だね♪

 普段から蓄え続けた美食地図を今日は完全制覇してやるぜ♪

 

「「「いやあ、さすが猪々子だな。どの店も美味いぞ♪」」」

「そうだろう♪」

「「「鈴々や季依とは薦める物が若干違う所が面白い♪」」」

「にゃにい!?」

「「「鈴々はこの店だと餃子で、季衣は回鍋肉がオススメって言ってたな。」」」

「確かにこの店の餃子と回鍋肉も美味いけど、ここはやっぱり炒飯だっての!所詮ちびっ子には・・・・・まあ、あいつらも背が伸びて、鈴々はおっぱいがあたいよりでかくなったけど・・・・・舌はまだまだお子ちゃまって事だな♪」

 鈴々のヤツ、ホントおっぱいでかくなったよな・・・あたいは麗羽さまに乗せられて『ムネムネ〜』とか歌ったけど結局変わんなかったし・・・・・。

 

「猪々子、ほっぺたにご飯粒が付いてるぞ。」

 

「え?どこ・・・」

 緑のアニキはあたいが訊く前に、あたいの顔からそのご飯粒を取って食っちまった!

 

 な、なな、なんだ!?どうしてこんな事がこんなに恥ずかしいんだ!?

 

 いつもなら『あたいのメシを取った!』って気持ちになるハズなのに!!

「「「どうした?食べないのか?」」」

「く、食うよ!ま、まだまだこれからだかんなっ!!」

 なんだよ、もう!炒飯が妙に甘く感じるじゃんか!!

 

「そうだ、さっきこれを買ったんだけど・・・」

 

「なんだよ、その串?」

 紫のアニキは焼肉か揚げ物でも買い食いしたのか?それならあたいがいい店教えるのに。

「櫛?かんざしだぞ、これ。ちょっと着けてみないか♪」

 かんざし?あ、ホントだ。カワイイ飾り細工が付いてら・・・・・って、ええ!?

 

「ちょっと待てよ!そういうのは結った髪に留めるモンだろ!?あたいみたいにバッサバサの髪にどうやって留めんだよ!!」

 

「リボン・・・じゃない、髪帯の所に留められないかな?」

「だからいいってば!あたいみたいに外ハネする髪じゃ似合わないって!斗詩みたいにサラサラの髪になら似合いそうだけど。」

「猪々子にも似合うんだけどな・・・・・そうだ!今から髪を結ってもらいに行こう♪」

「「お♪いいなそれ。」」

 

 なんでそうなるんだよ!

 

「ちょっと待てよ!あたいはまだ食ってる最中なんだぞ!!」

「「「・・・・・もう食い終わってるけど。」」」

 へ!?そんなバカな・・・・・・・・・・ホントだ・・・皿が空になってる・・・・・。

「「「沙和がこの近くに評判の髪結いが有るって言ってたからそこに行こう♪」」」

 アニキたちに引っ張られて飯屋から連れ出された。

「まだ行きたい飯屋や屋台が・・・」

 

「「「髪を結った後でな♪まだまだ時間はたっぷり有るって♪」」」

 

 なんであたい・・・アニキたちの手を振りほどけないんだよ・・・・・。

 

 

 

「た・・・ただいま、斗詩ぃ・・・・・」

「おかえりなさい♪文ちゃ・・・・・・」

 

 グッタリ疲れたあたいは早く座りたいのに、斗詩が部屋の入口に立ったままで通してくれない。

 不思議に思って斗詩の顔を見ると目を見開いて、口もポカンと開けたままだ。

 

「あの・・・・・・文ちゃん・・・・・・だよね?」

 

「何言ってんだよ。あたいに決まってるだろ?」

「良かった・・・声は文ちゃんだ♪朝に出かけた時と、頭のてっぺんからつま先まで全然違うからビックリしたよ♪」

「こ、これはその・・・・・アニキたちがどうしてもって言うから・・・・・」

 結局、髪の毛だけじゃなく服に靴に、首飾り、指輪、耳飾り、おまけに化粧もする羽目になっちまった・・・・・。

 

「あら、猪々子。戻りましたのね。」

 

 あたい達の声が聞こえたらしく、麗羽さまが部屋から出て来た。

 そしてあたいを見たとたんに嬉しそうな顔になって、小走りでやってくる。

「流石は一刀さんたちですわ♪猪々子の良さを引き出す物をお選びになってますもの♪」

「そうですか?この服なんかカワイすぎて完全に負けてる気がするんですけど・・・・・」

 なんかヒラヒラしすぎて・・・こんなの他の連中に見られたら笑われちまうだろうな。

 

「ねえ、文ちゃん。鏡見た?」

 

「んにゃ、恥ずかしくて見れなかった・・・・・」

「それでは、ほら。姿見でしっかり見てご覧なさい♪」

 麗羽さまに連れられて鏡の前に立つと・・・・・・。

 

「なんだコレ!!誰だよこの美少女はっ!?」

 

「鏡に映ってるんだから、文ちゃんに決まってるじゃない♪」

 

 あたい・・・・・こんな姿でアニキたちと一緒にいたのか・・・・・・・。

 

「文醜さん。貴女だってもう、一刀さんたちのただの家臣ではございませんのよ。一刀さんたちに恥を掻かせない様に着飾り、装う事も大事な務めですわ♪」

 

 麗羽さまが後ろからあたいの肩を抱いて、鏡に語りかける様にそう言った。

 

 あたいがアニキたちにしてやれる事って、力仕事しか無いと思ってたけど・・・・・・。

 

 いや!ちょっと待て!!このまんまじゃあたいが負けっぱなしみたいじゃんか!!

 

「見ていて下さいよ、麗羽さま!次はアニキたちに『まいった』って言わせて見せますねっ!!」

「その意気ですわ!猪々子♪」

 

「あの、麗羽さま、文ちゃん・・・二人の会話が最後で噛み合わなかった気がするんですけど・・・・・」

「そんな事無いって。ねえ、麗羽さま。」

「その通りですわ。言わば以心伝心とでも言いましょうか。」

 

「そうですか?私は以前に麗羽さまが『西に向かう』って言われて、文ちゃんが『南ですね』って答えて、そのまま二人で北東に向かって歩き出した時とすごく被って見えるんですけど・・・・・・」

 

「その様な事ありましたかしら?」

「全然記憶に無いなぁ・・・・・」

 

 斗詩ってば、またため息吐いてるよ。

 

 でも、どうやったらアニキたちに『まいった』って言わせられるかなぁ?

 

 

 

四日後

本城 後宮談話室

 

 あたいに斗詩、麗羽さま、それに真桜、沙和、霞なんかと一緒にお茶を飲みながらのんびりしていた。

 そろそろ昼飯の準備でもしようかって所でバタバタと廊下を走る足音が聞こえてきた。

 

「何かあったんでしょうか?」

 

 斗詩が不安そうに呟いたすぐ後、開いた扉の前を桂花が走って通り過ぎた。

 扉を開く音が聞こえたと思ったら、また走る音が聞こえて、花瓶を担いだ桂花が今度は逆方向に走って行く。

 

「あいつら!今度こそ殴り殺してやるんだからっ!!」

 

 そんな叫び声を残して、後宮から出て行った・・・・・・。

 

「・・・・・桂花・・・・・・もしかして四人目なんか?」

 霞の言葉にあたいら全員がため息と同時に呟いた。

 

『参りました・・・・・』

 

 

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六年後

本城 後宮中庭                  (時報:桂花十人目 妊娠七ヶ月)

【緑一刀turn】

 俺は息抜きの散歩で後宮の中庭に来ていた。

 子供達があっちこっちに散らばって遊んでいる時は、俺たちも別行動を取って、出来るだけ子供達全員に顔を見せられる様にしている。

 後でどの子が何をしていたか情報を交換するので、そんな意味でも効率がいいのだ。

 という、言い訳を頭の中でしながら歩いていると、早速発見♪

 

「((連翹|れんぎょう))ってこんなのもうごかせないのか?」

「((虎々|ふーふー))みたいな馬鹿力と一緒にしないでよ!連翹は頭脳派なの!それに連翹の方がお姉ちゃんなんだから『連翹お姉ちゃん』って呼びなさいよ!」

「え〜?おたんじょうび三日しかちがわないじゃん。」

「もう!((升謌|しょうか))お姉ちゃん、虎々をどうにかしてよ!」

「え、えっと・・・そ、そうだねぇ・・・」

 

 ふむ、虎々と連翹と升謌か。

 斗詩の子の升謌と猪々子の子の虎々は一緒に暮らしてるから当然だが、ここに桂花の四女の連翹が加わるのは虎々が言った通り、誕生日が三日しか違わないからだ。

 イベント事は大抵一緒にするし、桂花と猪々子の仲がかなり良くなったというのも有るんだろう。

 桂花が連翹を懐妊したと判ったのは猪々子の後、確か五日くらいじゃなかったかな?

 妊娠中から猪々子は桂花に励まされてたみたいだし。

 連翹の方が先に生まれたのは、やはり四人目と云う事で慣れていたからだろう。

 

「どうした?升謌、連翹、虎々。」

 

「「「あ、??だ♪」」」

 

 姉妹喧嘩をしてても、俺たちが顔を出せばこうしてすぐに笑顔で寄って来てくれる。

 上の子達はこうはいかなくなってきたからなぁ。

 子供の細かい躾なんかは母親の教育方針を尊重しているのであまり口出ししない事にしているけど、??としては寂しいですよ。

 香斗だけはまだ甘えてくれるけど♪

 

「あのね、??!虎々ってば連翹にあの石を動かせって言うのよ。」

「石?」

 連翹が示した先には・・・・・・これは石と言うより岩だ!

 目の前の五歳児達の身長と高さが変わらん・・・・・。

 こんなのこの場所に有ったか?

「どうしたんだ、この岩?」

「虎々ちゃんが転がしてここまで持ってきちゃったの・・・」

 升謌が済まなそうに俯きながら教えてくれた。

 転がしてって・・・確かに角が無いけど、球体とはとてもじゃないが言えないぞ。

 さすが猪々子の子だけあって腕力が強いな・・・・・いや、それよりも!

「虎々、何でこんな物をここまで運んだんだ?」

 

「おもしろかったからー♪」

 

 ・・・・・・まあ、子供にとっては充分な理由だな。

 俺も小学生の頃に古タイヤを庭で転がして遊んだ記憶がある。

 あの時は調子に乗って転がしてたら、二刃を下敷きにして泣かせちゃったんだよな。

 二刃は泣きながら木刀振り回して追いかけて来たけど。

 お袋にも何で転がしたって怒られて、その時の俺も面白かったからと答えた気がする。

 

「そうか、面白いからか。それじゃあ連翹に動かせって言ったのは虎々が独り占めして悪いと思ったからか?」

 

「うん・・・・・」

 はは♪照れて上目使いをすると猪々子にそっくりだな♪

「も、もう!バカじゃないの!?連翹じゃこんなの動かせないし。虎々が楽しそうだから連翹は楽しかったんだからね!」

 こっちもこっちで母親譲りのひねくれた言い方だな。この歳で既にツンデレを体得している。

 升謌もホッとした様子で、胸をなで下ろしていた。

 これにて一件落着といった処か♪

「ところで虎々、この岩はどこから転がして来たんだ?」

 

「うんとね、むこうのおさかながいっぱいいるお池から。」

 

 魚がいっぱいいる池って、華琳の生簀だな。あんな所にこんな岩置いて・・・・・在った記憶が有るけど・・・・・あれって確か増水した時用の水門の重しだった筈・・・。

 そう簡単に開く物じゃないから早く戻せば問題無いな。

 

「虎々。直ぐにこの岩を元あった場所に戻すぞ!」

「え〜?もっとあそびたい〜。」

「華琳媽媽に怒られるぞ!」

 

「すぐにもどそう!」

 

 華琳の躾の厳しさは、子供達全員の恐怖の対象だ。

「升謌も手伝う!」

 大人しい性格の升謌だけど、やはりこちらも斗詩の子だけあって力が強い。

 これなら直ぐに元あった場所に戻せるだろう。

 さて、ここから生簀に行くには・・・。

 

「ぐえっ!!」

 

「「「あれ???がいなくなった。」」」

 

「下!岩の下!動かす時は前を見て声をかける事っ!!」

 まさか背後からいきなり岩の下敷きにされるとは思わなかった。

「「「??、だいじょうぶ?」」」

「この程度で怪我をするほど、??は弱くないぞ♪」

 子供達を安心させる為、努めて明るく言ってあげる。

 本当に怪我はしてない。だけどさすがに重くて、このままだと身が出そう・・・・・。

「でもできれば早くどけて欲しいかな。」

「うん!よいしょ!」

「虎々ダメー!そっちに転がしたら??の頭がつぶれちゃうよ!!」

 連翹、ありがとう・・・・・。

「じゃあこっちに・・・・・あれぇ?ひっかかって動かないよ?」

 なんですと!?

「「「媽媽たち呼んでくるから待ってて!」」」

「ああ、頼んだぞ。」

 子供達が走って行くのを地面に寝そべって見送った。

 しかし、岩を乗っけられて動けないなんて、俺は西遊記の孫悟空か?

 自慢の如意棒でも、さすがに岩は砕けないぞ!

 そもそもうつ伏せだから届かないし。

 馬鹿な事考えてないで、気を紛らせないと本当に苦しくなってきたな。

 乗っかってるのが岩じゃなくみんなだと思えば苦しく無くなるんじゃないかな?

 俺の背中にみんなが・・・・・・・おっと、鮮明に思い出したら如意棒が・・・。

 あ、背中の岩が少し動いて・・・・・・ちょ、ちょっと待て!なんか頭の方に動いてるぞっ!!

 そうか!如意棒でジャッキアップされて腰が浮いたから・・・・・。

 

「ぎゃああああああああああああああ!岩があああああああああああっ!!」

 

 

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おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の七

リクエスト:断金コンビ 6票

本城 孫呉館                  (時報:桂花七人目 妊娠一ヶ月)

【二刃turn】

 今日は冥琳さんに招待されて孫呉館に来ました。

 

「やっとゆっくり話が出来るわね。」

 

 忙しい冥琳さんがあたしの為に飲茶まで用意してくれるなんて、かなり恐縮しちゃう。

「きょ、今日はお招きいただき、あ、ありがとうございます!」

「そんなに緊張しないで♪」

 冥琳さんの口調がいつも宮廷とかで聞いてるのと違って、すごく優しい感じ。

 本当に美人だなぁ・・・こんな人が兄さんの奥さんの一人だなんて未だに信じられないよ。

 それにもう一人。

 

「そうそう♪私達は二刃のお姉ちゃんなんだから遠慮しないでね♪」

 

 雪蓮さんも一緒にテーブルを囲んでいた。

 雪蓮さんもすごい美人だし、二人共胸が大きくて・・・・・圧倒される・・・。

 それでもお二人があたしとの距離を縮めたいと思ってこの席を用意してくれたんだから、とにかくお話しなくちゃ!

 

「はい!それじゃあ、赤兄さんと出会った頃の話を教えて下さい!」

 

 共通の話題は兄さんの事。やっぱりここから話を広げて行かなきゃね。

 

 

 

「赤兄さん、そんな事しでかしたんですか!?恥ずかしいなぁ、もう!」

「今でも建業では語り草よ。シャオに追いかけられて街を三周したのは♪」

「しかも理由が大喬と小喬の屋敷を覗いていたからだからな♪」

 何やってんだか・・・・・。

「今ではその気持ちも解るからこうして笑って話せるのよ♪」

「それって、外史の話ですよね?」

 大喬さんと小喬さんからも話を聞いているから少しは想像がつく。

「ああ、一刀が前に体験した外史では私と雪蓮は大喬と小喬を嫁にしたらしいからな。」

「何でそんな事したのかしらね?私は冥琳が居れば他にお嫁さんなんか要らないのに。」

 雪蓮さんが本当に不思議そうにしてるけど・・・・・。

「あ、あの・・・この世界って同性同士の結婚って・・・」

「ん?ああ、そうか。確かにこの世界では特別禁忌という訳では無いな。我々の様な将だと、自分の伴侶として認められる男性に巡り合う事は滅多にないと言っていい。自分より頭が悪く、力も無い相手を好きにはなれんだろう?実際、私達以外にも華琳を初めかなりの者が同じ状態だった。」

「ええと・・・・・それだと兄さんたちも除外される様な気がするんですけど・・・」

「そうだな・・・順を追って説明しよう。いくら私と雪蓮が好き合っていても子供は出来ない。つまり、一族を存続する為には子種をどこからか調達するか、養子を取らねばならない訳だ。大抵はどちらも有力な家柄の男子が相手となる。言わば政略結婚だな。」

 なんか男女の立場が逆転してるなぁ。

「そんな所に一刀が現れた訳だ。菅輅の占いで天の御遣いというお墨付きを貰った男がな♪」

「私も本当言うと最初はそこにしか興味無かったのよね♪」

 兄さんって正に種馬扱いだったんだ・・・・・。

「私も初めの内は出来の悪い弟の様に思っていたんだがな。」

「それが、一刀と一緒に居ると楽しいって気が付いてね。それからさっき話したみたいに一刀が外史の記憶を取り戻したでしょ。そしたらもう、どんどん格好よくなってきちゃって♪」

「洛陽の一件が、やはり決定打だったな。本気で怒った一刀を見たのも初めてなら、その時出した命令にも感心させられた。あの時から私は一刀を男として見ていた気がする。」

「私は黄巾党討伐の頃からだもんね〜♪」

 雪蓮さんってこういう、妙に子供っぽい所があってカワイイって思っちゃうんだよね。

「だが、私の体はその頃から病に侵され始めていてな。華佗から長期療養が必要だと言われていた。」

「え!?」

 そうか!周瑜さんだから・・・・・正史の影響が出たんだ!

「孫呉の独立とか五胡の襲来とか立て続けで休む暇も無かったからね。一刀にはあの頃内緒にしてたけど、冥琳が病気で死ぬような事になったら私も後を追うつもりだった・・・・・そんな時にポロッと私が死んでも蓮華が居るって漏らしちゃった事があってね。」

「聞いてるこっちが恥ずかしくなるような事を言ってくれたな、一刀は♪」

「うん、あれにはグッと来ちゃったわよ♪『冥琳も雪蓮も絶対死なせやしない!』ですもんね♪」

 うわあ、兄さん言うなあ。

「その時に甘い言葉もいつかは聞かせてくれるって約束してくれたからね。こりゃあ絶対言わせなきゃって♪」

「ああ、あの時だったな。二人で一刀の子を産もうと誓ったのは♪」

 兄さんがこの二人にそこまで思わせるなんて・・・。

「二刃、私達は一刀の力でも、知恵でも、天の御遣いでもない、その魂に惚れ込んでしまっている。」

「そんな私達を貴女のお義姉さんとして認めてくれるかな?」

「はい!むしろあたしにはもったいないくらいです!」

 兄さんのそんな格好良い所、あたしも見てみたかったな♪

 

「そう言えば昔、一刀に英雄としての素質はあると話した事が有ったな。」

 

「英雄としての素質?」

「英雄とは『雄』として『英』でている者の事だと言ったのよ♪」

 

「雄として・・・・・・・・・・・・!!」

 

「そういう意味では華佗殿は英雄としてはまだ完成されて無いな。」

「そんな訳でここは二刃ちゃんに頑張って貰いたいのよねぇ♪」

「そ、そそそ、それは・・・・・」

「話は聞いてるわよ。二刃が華佗の事好きだって♪」

「二刃が華佗殿を好きになってくれたのは、正に天の采配だと思ったよ。これで((漸|ようや))く大恩に報いられる。この周公謹の全智謀を賭けて、華佗殿を二刃に振り向かせてやろう♪」

 

 うっわああ〜〜〜〜!なんか大事になって来ちゃったよぅ!

 まるで蚊を一匹殺すのに、大砲を持ち出すみたいな?

 そう言えば兄さんたちが『メガ周瑜砲』とかって言ってた様な・・・・・。

 か、火計は使わないよね?

 

「相手はあの華佗だからねぇ。冥琳の策でもどこまで通用するか・・・・・」

 

 えええーーーーーっ!!

 華佗さんはそこまで難攻不落の要塞!?

 

「でも大丈夫♪お義姉さんが絶対確実な最後の手段を教えて、あ・げ・る♪」

 あ、雪蓮さんが何を言うか想像がついた・・・・・・。

 

「寝込みを襲ってヤっちゃえば」

「却下ですっ!!」

 

 冥琳さんの立ててくれる策に期待しよう・・・・・。

 

 

-8ページ-

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の六

リクエスト:華琳の両親に会いに行く「聖刀、爺ちゃん婆ちゃんと初対面」 5票

北郷聖刀 真名:輝琳  六歳

 

豫州 許都 

【聖刀turn】

 母上が治める魏。

 晋の北東部に位置して国土面積は実は一番小さい。

 でも、人口と州の数は一番多く、洛陽のある司州。中原で陳留のある?州、豫州、徐州。河北の并州、冀州、青州。更に宛のある荊州の北部と長安のある雍州の東部がその領土となっている。

 一番北東にある幽州は晋の直轄地となっているのでそこは領土に含まれないけど、代官を出しているのが魏なので、ほとんど魏の領土の様になっている。

 ぼくは、その魏の都である許都に初めてやって来た。

 魏王の子供なのにその都に来るのが始めてなんて、魏の人達に変に思われてないかな?

 眞琳お姉ちゃんも許都に初めて来たのは六歳の時だって言ってたから大丈夫だよね。

 今日までぼくは荊州から出た事が無かった。

 荊州には魏、呉、蜀の領土があって、房都はその全てに隣接している。

 だから、ぼくを含め、房都に住んでいる人達は、大抵三国全てに行った事が有ると言えた。

 でもぼくは、今回初めて魏にやって来たと実感している。

 それは今日初めて、お祖父さまとお祖母さまにお会いできるというのも有ったからかも知れない。

 お祖父さまのお名前は((曹嵩|そうすう))、お祖母さまの名前は((曹静|そうせい))。

 写真で見たお祖父さまはとても怖そうで、お祖母さまも母上みたいに厳しそうでした。

 許都を治めるお仕事が忙しいのと、ご高齢な為に許都を離れる事が出来ないと母上が言ってた。

 ぼくも幼いからという理由で荊州から外に出してもらえなかった。

 璃々媽媽は四歳の時に漢中から房都(当時は房凌)、それから成都、そして六歳でまた房都に来たって教えてくれた。

 璃々媽媽は敵から逃げるためと、成都に向かう紫苑媽媽と離れる訳にはいかなかったからだけど、今は治安もその頃より良いんだから、もっと早く許都に行かせてくれてもって思っていた。

 でも今回の旅でぼくと眞琳お姉ちゃんがそんなに旅に出られない理由がやっと判った。

 

 随行する軍隊が五万人も居るんだもん。

 

 旅の途中を襲われる危険性を考えてなんだろうけど、これじゃあどこかに戦争しに行くみたいだよ・・・・・。

 今回の旅の間、ぼくは常に帯剣する様に父上に言われた。

 母上からも『((影|えい))』の所持を許された。

 『影』は母上の鎌『絶』をぼく用に改良した武器だ。作ったのは当然、真桜媽媽。

 どんなに兵と将で周りを固めても、暗殺者が現れれば身を守るのは自分自身だと母上に念を押された。

 

 ぼくが考えていた旅のイメージとは大きくて掛け離れたものになっちゃったなぁ。

 星媽媽と華佗先生が昔一人で大陸中を旅して回った話をよく聞かせてくれる。

 ぼくはその話が大好きで、いつかぼくも一人で旅をしたいと憧れていた。

 そう、いつか必ず・・・・・。

 

「聖刀ちゃん。お祖父さまとお祖母さまがいらっしゃるわよ。」

 

 眞琳お姉ちゃんの声で我に返ったぼくは部屋の奥の出入り口に意識を集中した。

 

「おお〜〜〜〜♪聖刀ちゃん♪ようやく会えたのう♪儂が((老?|ラオイエ))じゃぞ〜〜〜〜♪」

 

 え?お、お祖父さま?

 部屋に入ってきたお祖父さまは、顔面が雪崩を起こしたみたい喜び、走ってぼくの所にやって来て抱きついた。

 写真で見せてもらっていたお祖父さまのイメージとかなり違うんだけど・・・・・。

 

「眞琳ちゃんもまた大きく・・・・・なったかのう?」

 

「お祖父さま・・・・・一年前より一応・・・((二分|にぶ))(4.6_)・・・伸びました・・・」

 お姉ちゃんが引きつってる・・・・・。

「胸の方は相変わらずぶっ!」

 

「あなた、孫娘に何を言ってるんですか!?」

 お祖母さまだ!

 手に持った棍でお祖父さまを殴った様に見えたけど・・・。

 

「はじめまして、輝琳ちゃん♪((姥姥|ラオラオ))ですよ。でも、出来れば真名の((蝶琳|ちょうりん))と呼んでね♪」

 

「はい、蝶琳お祖母さま♪」

 お祖母さまの笑顔は母上とお姉ちゃんにそっくりだった。

「お祖母さま、ご無沙汰しております。」

 お姉ちゃんが挨拶をすると、お祖母さまが目を細めて微笑まれた。

「また一段と綺麗になりましたね♪昔の華琳より美人ではないかしら♪」

「そ、そんな・・・ありがとうございます♪」

 お姉ちゃんは顔を赤くして照れている。

 

「お久しぶりです。父上、母上。」

 母上が挨拶をするとお祖父さまとお祖母さまの表情が引き締まった。

「やっと輝琳ちゃんに会わせてくれましたね、華琳。」

「このまま聖刀ちゃんに会えずに死んだら化けて出る処じゃぞ、華琳タン。」

 華琳タン?

 あ・・・母上のこめかみに青筋が・・・・・。

「父上・・・理由は手紙にて何度もお伝えしていると思いますが?」

「だって華琳タン手紙に嘘ばっかり書くんだもん。そんなんだから((阿瞞|あまん))とか言われるんじゃぞ。」

 

「そのあだ名を付けたのは父上でしょうがっ!それに華琳タン言うなっ!!」

 

「落ち着けって、華琳。どうも、ご無沙汰しております。曹嵩さん、曹静さん。」

 父上が母上をなだめて、冷や汗を流しながら挨拶をしていた。

「相変わらず他人行儀ですねぇ・・・せめてお義母さんと呼んでくれませんか?」

「そうじゃぞ、婿殿。華琳タンが夫と認めた男なんじゃから・・・・・」

 母上の怒氣にお祖父さまが口を閉ざしてしまった。

「え、ええと・・・・・そう云えば、徐州牧の陶謙さんと何やら揉めていると聞きましたけど・・・・・」

 

「儂、あいつ嫌い。」

 

 お祖父さまがそっぽ向いて口を尖らせていた。

「父上・・・何が有ったか説明を求めているのですけど?」

 母上が今にもお祖父さまを殴りそうだよ・・・・・。

「だってあいつ、儂が眞琳ちゃんと聖刀ちゃんの話をしだすと途端にウザそうな顔するし、蝶琳に色目使うし・・・・・いつかシメてやる!」

「あなたが何度も何度も同じ自慢話をするから陶謙殿が嫌がるんです!その度に私に愚痴を仰って行かれるんですよ!」

「お願いしますから、陶謙さんと仲良くして下さいよ、お義父さん。」

「う〜む、婿殿にそう言われては仕方がない。次会う時は気を付けよう。」

 大丈夫かな?なんか責任の一端がぼくにも有るみたいだし、気になるなぁ。

 

「所で婿殿。例の『学校』じゃが、生徒は集まっておるのかな?」

 

「ええ、現在各地に留学を募っています。ただ、人質を要求していると勘違いされる事が多くて・・・」

 父上が苦笑いしてる・・・・・そんな風に勘違いしちゃう人も居るんだ・・・そういえばこの間の仮面の女の子。あの子もそんな勘違いが原因で工事の邪魔をして来たのか。

「初めての試みじゃから理解されるまでは時間が掛かるじゃろ。しかし生徒が婿殿の娘ばかりでは今までと変わりが無い。そこでじゃ!」

 お祖父さまには何かアイディアがお有りみたいだな。

「許都の各私塾に話をして優秀な者を留学させるよう話しておいた。今の所、返事が来たのは一人だけじゃが、かなり優秀な娘じゃった。あの娘が留学するとなれば他の私塾も負けられんと名乗りを上げてくるじゃろう♪」

「そんなに優秀な子がいましたか!ありがとうございます、お義父さん。」

 

「因みにその子の名は荀攸と云ってな。例の荀ケの遠縁に当たる子じゃ。」

 

 桂花媽媽の親戚って事は、ぼくとも親戚になるんだよね?

「じゅ、荀攸!?こんな頃になって・・・・・」

「ん?そんなに驚いたか?荀家は知恵者が多いので有名じゃぞ。」

「父上、一刀は桂花の縁者と聞いて驚いているだけです。お気になさらず。」

 母上が父上のお尻をつねってる。

 父上は荀攸って子の事を何か知ってるのかな?

 

「今日は城に呼べなんだが、近い内に房都へ送らせよう。中々に可愛らしい子じゃったから、聖刀ちゃんの嫁候補にも良いと思うておるんじゃ♪」

 

「え!?そんな」

「聖刀ちゃんにはまだ早すぎますっ!!」

 

 ぼくが言いかけたらお姉ちゃんが大声で言ってくれた。

 お姉ちゃん・・・目が怖いよ・・・・・。

 お祖父さまもたじろいでるし。

 

 でも、桂花媽媽の遠縁か・・・お祖父さまの言い方だとぼくに歳が近そうだ。

 ぼくの事は抜きにしても、お姉ちゃん達や妹達と仲良くなってくれるといいなぁ。

 

 

-9ページ-

 

 

おまけ参

リクエスト:インテリのお嫁さんげっと大作戦 5票

本城 蜀館 中庭                (時報:桂花 十人目 妊娠二ヶ月)

【インテリturn】

 私は今、警備の為に城内を見て回っています。

 やはり今日はいつもより少し静かですね。

 緑北郷様が董卓様方と涼州に行かれていますので、お子様方も少ない為でしょう。

 いつもならこの中庭で呂刃さまと陳守さまと陳修さまがお遊びになっていらっしゃるのに・・・・・おや?あの腰掛けに置いてあるのは何だろう?

 私は不審に思い腰掛けに置かれている物を手に取ってみました。

「笛?一体何故こんな所に・・・そういえば諸葛瞻さまと?宏さまが諸葛亮さまと?統さまから笛を習っておいででしたね。そのどなたかの物という可能性が高そうです。ここはひとつお届け致しましょう・・・・・・ちょっと吹いてみようかな。」

 

「こらああああーーーーっ!私の笛を何処に持って行く気だっ!?」

 

「うわああああっ!スイマセン!まだ吹いてませんのでお許しをっ!!」

 

「ん?その声は((寇封|こうほう))じゃないか?」

 私はその名で呼ばれるのが久しぶりなので、一瞬誰の事か分かりませんでした。

「そう言うあなたは・・・孟達さんじゃないですか!お久しぶりです!相変わらず背が小さく胸も平らで可愛らしいですね♪」

 

「大きなお世話だっ!!」

 

「おや?褒めているのに怒るだなんて・・・成程、照れているんですね♪」

チャキ!

「お前、陛下の親衛隊に出世したからって調子に乗ってんじゃねえぞ。」

「は、はい・・・・・お願いですから剣を喉に当てるのは止めて下さい・・・」

 おかしいですね?陛下から女性を褒める時は難しく考えず、良いところを感じたまま素直に口にするよう教えて頂いたのですが・・・。

「所で孟達さんはいつこちらへ?」

「あ?十日前だよ。ようやく私も成都からこっちに呼ばれてな♪これで私も出世の道が拓けたぜ♪」

「出世がしたいんですか?」

「そりゃそうだろ。普通は出世したいって・・・・・そういやお前・・・まだ本当の名前を隠してるみたいだな。」

 孟達さんには話してしまった事がありましたね。

「その事はくれぐれも内緒にして下さい。私は陛下から頂いた『インテリ』という名が気に入っているのです。そしてこの現状にもね。私は今以上の物を望んでいません。」

「そうか・・・お前がそう言うなら私は黙っておく。でも私は上を目指すからな。今回の辞令には諸葛亮様と?統様、それに荀ケ様の名が推薦者として書かれていた♪これはもう出世間違い無しだろ♪」

 何と!貧乳党のご党首さまからお声が掛かるとは♪

「おめでとうございます♪孟達さんならいつか見出されると思ってましたよ♪」

「そ、そうか?へへ、ありがとな♪今度酒でも呑みに行こうぜ。ただし、お前の奢りでな♪」

「ええ、よろしいですよ♪今度と言わず、今日でもいかがですか?」

「え?いいのか?軽口のつもりだったんだけど・・・・・」

「旧友との再会です。ささやかながら歓迎会と致しましょう♪」

「あ、ありがとう・・・・・」

 赤くなっちゃって、孟達さんも相変わらず可愛いですねぇ♪

「それでは夕刻にお迎えに参りますから、お部屋で待っていて下さい。」

 私は一礼して見回りに戻る事にしました。

「お、おい!私の部屋の場所分かるのか?」

「警備の者に聞きますから大丈夫ですよ。」

 そろそろ学園の幼年部が終わる頃ですから見守りに行かなくては!

 

 あ、孟達さんの笛を持ってきてしまいました。

 後でお返しすればいいですよね。

 

 

 

本城 皇帝執務室

【赤一刀turn】

 

「「インテリが女の子と話してた!?」」

 

 俺たちにその報告を持ってきたのは紫苑だった。

「はい、しかもその相手が先日成都から移動になった孟達ちゃんなんです。」

「「孟達!?」」

 孟達が蜀に居たのか。緑は何も言って無かったけど・・・。

「赤と紫のご主人さまは孟達ちゃんをご存知なのですか?」

「「いや、正史の方のね。こっちの孟達ちゃんは見た事ないな。どんな子なの?」」

「成程、そうでしたか。そうですね・・・・・インテリさん好みの女の子・・・と言えば分かって頂けますか?」

 ロリっ子か。でも、インテリのヤツもそんな親しい女の子が居るなんて全然言って無かったぞ。

「「孟達ちゃんって何時から蜀に居るの?」」

「わたくしと一緒ですよ。この房陵に逃げ込み集まった兵卒の一人でした。そういえばインテリさんもそうでしたわね。」

「「その頃からの知り合いって事なのかな?」」

 緑も孟達ちゃんが将じゃなく兵卒だったから出会わなかったって所だな。

「たぶんそうだと思います。先程インテリさんも旧友と言っていましたし。」

「「紫苑、そんな盗み聞きなんてはしたないぞ。」」

「あら、たまたま三階の廊下を歩いていたら会話が聞こえてしまっただけですわ♪」

 ・・・・・・・・・・三階・・・・。

「孟達ちゃんの事はわたくしよりも呼び寄せた本人に聞いた方が詳しいと思いますよ。」

「「呼び寄せた本人?」」

「あの・・・・・」

「私達です・・・・・」

 それは今まで黙って机に向かって聞いていた朱里と雛里だった。

「「朱里と雛里に認められたんだ。何か手柄を立てたの?」」

「いえ、特別な事は有りませんが・・・武勇と智謀を兼ね備えたいい子ですので・・・」

「以前からこちらに呼ぼうとしてたんですけど・・・・・」

 なんで俺たちを見て言い淀むんだ・・・・・。

 

「一度目は音々さんがこちらにいらした頃に・・・・・」

 

「ああ、それで・・・」

 紫苑がどう納得したのかは確認しないぞ。

 

「二度目は菅輅さんの時です。」

 

「孟達ちゃん、ついてないわねぇ・・・・・」

 つまり、全て俺たちの所為って事ですね!

 

「孟達ちゃんに旦那さんか、せめて恋人が居れば一緒に呼べたんですけど・・・」

「ということは、孟達ちゃんは独り身なのね♪」

 これで紫苑は孟達ちゃんをインテリの嫁候補にロックオンしたな・・・・・でもそんな個人情報を入手してるって事は・・・。

「「それって、身辺調査をしたって事?」」

「それは当然ですよ!これでも蜀はやり方が甘いって、華琳さんと蓮華さんと愛紗さんから桃香さまが責められているんですよ!ご主人さまたちだって男性が新たに城内に配属されたら、調査を徹底的にさせるじゃないですか!」

 朱里が腰に手を当てて怒り出しちゃった・・・だって貧乳党員がこれ以上城内に増えたら娘たちが心配で俺たち寝れないんだもん。

 

「あの・・・それで、孟達ちゃんの身辺調査の報告にインテリさんに関する物が最近になって入ってきまして・・・」

 雛里が申し訳なさそうに付け加えた。

「あら♪もしかして手紙のやり取りでもしていたのかしら♪」

 紫苑はホント、そういう話しが好きだな。

「それは無いんですが、インテリさんが成都にいる頃は孟達ちゃんの所へ頻繁に会いに行っていた・・・というか、孟達ちゃんの近くにインテリさんが居るのが確認されています。」

 普通だと気のある人間の行動に見えるが、インテリの場合は単なる巡回コースの一部だったんじゃないのか?

「そこでインテリさんの身辺を再調査してみたら、ちょっと驚く事実が判明しまして・・・」

 あいつがロリコンなのは城内の誰もが知ってる事だ。今更驚く様な事じゃ無いから別の事か?

 

「インテリさんのお名前は寇封さんとおっしゃるんですが、実はその前は『((劉封|りゅうほう))』さんというお名前でした。」

 

 インテリってそんな名前だったな。何かの理由で改姓したのか?

 だけど『りゅうほう』だと高祖劉邦と被るから、北郷親衛隊のみんなが知ってたらからかわれて・・・・・・・・劉封?

「雛里ちゃん、それは偽名ということかしら。」

 紫苑の表情が険しくなった。

「いえ!長沙の寇氏と劉氏、双方の血を持つ人ですから偽名では無いんです。血筋的にはその・・・・・桃香さまと同じ立場になりますので・・・」

「あら、それじゃあ蜀に要らぬ揉め事を起こさない為に寇氏を名乗っているのね♪なんて気の回る男の子なのかしら♪」

 紫苑・・・あいつも流石に『男の子』って歳じゃないぞ。

 しかし、劉封に孟達か・・・・・正史じゃ関羽に援軍を送らなかった事で関羽を死なせたって責められるんだよな。

 う〜ん・・・劉封にはもうひとつ気になる事が有った様な・・・・・・・あ!思い出したっ!!

 

「(なあ、紫!劉封って劉備の養子になるんだよな!?)」

「(赤も思い出したか!)」

 

 正史じゃ劉禅が生まれる前に子供が居ないからって理由で。そして三国志演義じゃ劉禅が生まれた後にもかかわらず養子にしている。

 もし、それがこの外史に影響を及ぼしたら・・・・・・・。

 

 香斗の婿養子にインテリ!?

 

「「そんな事させるかあああああああああああああああああっ!!」」

 

「「「ご、ご主人さまっ!?」」」

「「あ、ごめん。嫌な想像が暴走した・・・・・とにかく、孟達ちゃんにはインテリと結婚して貰おう!!」」

「まあ♪ご主人さまも乗り気になって下さいましたね♪」

「「あの・・・・・孟達ちゃんの気持ちを確認してからの方が・・・・・」」

 朱里と雛里が心配そうにしてるが、俺たちも香斗を守る大義名分が有る!!

 しかも。

「大丈夫よ、朱里ちゃん、雛里ちゃん。孟達ちゃんの様子だと満更でもなかったわ。それに孟達ちゃんはインテリさんの『劉封』という名前を知っているみたいよ。そんな話もしてたもの。秘密を共有した男女は親密になるのよ♪」

 こんな感じで紫苑が全面協力してくれるからな。

「それでは桃香さまと華琳さんと蓮華さんに許可を頂きに参りましょう♪こんな時に月ちゃんが居ないなんて!ここはもう、全軍協力して一気に攻めましょう♪」

 ちょっと暴走気味だけど・・・・・。

 

「時間が有りませんわ!夕刻に二人がお酒を呑みに行く約束をしてました!それまでに作戦を練って実行しなくては!」

 

「「そこまで聞いてたの?・・・それはともかく、派手に動くと二人に気付かれちゃうんじゃないか?」」

「大丈夫ですよ。孟達ちゃんはまだ相国執務室まで来られる権限が有りませんし、インテリさんは今頃幼年部の子達を見守りに行ってますから♪」

 

 ・・・・・・本当に早く何とかしよう・・・・・・。

 

 

 

房都 繁華街 酒家

【インテリturn】

 私と孟達さんは差し向かいで呑み始めたのですが・・・。

 

「らいらいおまえはらぁ・・・しゅっせよくっちゅうもんがたりん!」

 

 困りましたね・・・孟達さんが既に出来上がってしまってますよ・・・。

「そのくせにあっっっというまにほんごうしゃまのしんえいたいになりやあって!」

 いつも頼むのよりいいお酒だからでしょうか?

 呑みやすいのに酒精が強い気がします。

 

「いいてんのかこらああああああっ!!」

 

「は、はい!き、聞いてます!北郷様の親衛隊になれた時は嬉しかったですよ。」

 その直後に地獄に落とされましたけど・・・・・もう二度と貂蝉様と卑弥呼様の特訓は受けたくありませんね・・・・・。

「ほれ!つげ!」

 孟達さんが盃を突き出しましたが、私は別の杯を差し出しました。

「孟達さん、こちらをお飲みになった方がよろしいですよ。」

「ん?ちがうさけか?どれどれ・・・んぐ、んぐ、んぐ・・・・・これみずじゃねえかっ!!」

「飲み干してから言うんですね・・・・・」

「(せっかくおまえからもらったのにもったいないじゃん・・・・・・・)」

「は?何ですか?」

「せっかくのよいがさめちまっれいっられろ!」

「全然さめてませんよ・・・・・むしろ呂律も回らなくなってきたじゃないですか。お酒はもうこの辺で・・・」

 

「おまえもあらひをころもあつかいひゅるろにゃ!」

 

 子供扱い・・・・・私としては子供の方が・・・。

 

「「そうらよそうらよ!みんなああらいをはんにんまえあつかいするんらあぁ。」

「な、泣かないで下さい。孟達さんはとても可愛いですよ!」

「うるひゃー!おまえらんかしぇーとにいらときからおんなのけつおいかけまわひてたくしぇにいい!」

 私はそこまでお尻に執着してませんでしたけど。むしろそれは尻好き君の担当ですし。

「ろうせあらひはおしりもちいさいろ!ちくひょー!」

「私としてはその方が良いんですが・・・」

「ん?」

「はい?」

 

「ぎゃはははははははははははははははっ♪」

 

 今度は突然笑い出しましたよ・・・・・。

「そうかそうか♪よし!のめ!」

「い、いえ、私はもう・・・」

 私まで酔いつぶれたらお店に迷惑が掛かりますし。

「なにぃ!なんれあらひがしゅっせしたいかっしらないくしぇに!のめっ!!」

「出世がしたい特別な理由が有るんですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・おしえにゃい。」

 

 これはもう、まともな会話は諦めた方が良いですね。

 

 

 

向かいの飯屋二階

【紫一刀turn】

 俺と赤、そして北郷親衛隊の追っかけ、兄者と弟者、尻好きの六人でインテリと孟達ちゃんの様子を窓から覗いていた。

 

「信じられないっス・・・・・インテリが女の子とお酒を呑んでるっスよ・・・・・」

 

 追っかけの呟きはこの場にいる全員の気持ちを代弁していた。

 孟達ちゃんが結構可愛い子だから余計にだ。

「画ヅラはスゴイ犯罪臭がするな・・・・・」

「「尻好き、それは言いっこ無しだ。」」

 きっと俺たちも昔は鈴々とかと呑んでた時、同じ事を言われてたんだろうな・・・。

「なんだかいい雰囲気だぞ、兄者・・・」

「インテリのヤツを殴りたくなってきたな、弟者!」

「「耐えろ!お前らも自分の娘の安全を考えたら、ここで何とかしておきたいだろ!!」」

 この北郷親衛隊の子供達も全員女の子なのだ。

 これまでのインテリの行動を一番良く知っているだけに、その危機感は俺たち同様に違いない。

「孟達ちゃんがどんな子なのかもっと情報が欲しかったっスね。」

「董の兄ぃが居てくれたら教えて貰えたかも知れないんだが・・・」

 尻好きが言う通りだ。兄ぃは蜀に居た頃からインテリと仲が良かったらしいからな。

「「緑と一緒に涼州に行ってるんだ。居ないものはしょうがないだろ。ここは俺たちだけで何とかするんだ。」」

「北郷様、そうは言っても俺らはこうして覗いてるだけで何もしてないっスよ。」

「「いや、良いんだ。俺達は言わば切り札だ。」」

「「「「切り札?」」」」

「「そうだ。インテリと孟達ちゃんの仲が険悪になったら全員で飛び出して・・・」」

「「「「全員で飛び出して?」」」」

 

「「インテリを押さえ付け、孟達ちゃんに土下座してインテリの彼女になって貰う!」」

 

「「「「はあ・・・・・」」」」

 いや、実際それぐらいしかやる事無いんだよね。

 実は現在あの酒家の周りは警備隊が固めて一般客が入れない様にしてある。

 店の中に居る客は、インテリと孟達ちゃん以外は全て思春と明命の部下の隠密部隊の変装した工作員達。

 酒家のオヤジさんとおかみさんにも事情を説明し、お金を渡して手伝って貰っている。

 因みにその交渉は紫苑、桔梗、祭さんがしたのでどんな細かい指示が出されたのかまではこちらに伝わっていない。

 

「北郷様!孟達ちゃんが酔いつぶれたっス!!」

 

「「なにっ!?」」

 一体どんな指示出したんだ、あの三人は!?

「「なあ・・・・・みんなはインテリが孟達ちゃんをお持ち帰りすると思うか?」」

「「「「絶対に無いでしょうね。」」」」

 だよな・・・インテリの事だから城までは連れて行くだろうが、そのままメイド隊に介抱を任せるに違いない。

 

 

 

再び酒家内

【エクストラturn】

 卓に頬を着けて寝息を立ててしまっている孟達を前に、インテリは腕を組んで考え込んでいた。

 その周りでは町人に扮した隠密部隊の男女数名が、気付かれない様に酒や料理を口に運ぶ振りをして様子を伺っている。

 彼ら、彼女らの任務はこの後インテリが孟達を何処に連れて行くか確認し、思春と明命に報告する事である。

 城に連れ帰るのなら、城内の班に引き継ぐだけだ。

 

「(・・・よし、ここはやはり・・・)」

 

 インテリの微かな呟きも隠密工作員は聞き逃さない。

 遂に意を決して目標が行動に出ると確信し、班長が全員に目配せを行った。

 インテリが椅子から立ち上がり、孟達の横に・・・・・行くのかと思ったら店の奥に向かった。

 

「おかみさん。申し訳ありませんが、連れの女の子を奥で寝かせてあげてくれませんか?私は城に行ってメイド隊の人を呼んで来ますので。」

 

 なんと、インテリの取った行動は一刀たちの予想の更に上だった。

「え!?・・・・・あたしゃ構わないけど・・・あんたがお城に連れて行ったらどうだい?」

 事情を説明され、協力を頼まれているおかみさんは、インテリの誘導を試みた。

 そうでは無くとも、孟達の様子を見ていたおかみさんはその気持ちに気が付いていたので、ここでインテリの言う通りにしてしまっては孟達があまりにも哀れに思え口にしたのだ。

 

「いえ、私が彼女をおぶって帰ったら、あらぬ噂が立って迷惑を掛けてしまいます。ここはやはり」

 

 いきなりインテリの言葉が途切れ、その場に崩れ落ちる。

 その背後に立っていたのは、手刀を構えた思春だった。

「こいつといい、あいつらといい、何故自分の事となるとトコトン鈍いのだ?」

「・・・はあ!たまげたね・・・さすが思春ちゃんだよ。鮮やかなモンだねぇ。」

 驚きはしたが、やはりおかみさんもこの都の住人である。

 この手の騒動にも慣れっこだ。

「驚かせて申し訳ありません・・・・・こいつの行動に我慢が出来ませんでした・・・」

 思春は頭を下げるが、おかみさんは苦笑いをし、その次に床へ顔面を押し付ける様にノビているインテリを睨んだ。

「あたしだって怒鳴り声が喉まで出かかってたさ!紳士を通り越して、ただのアホだよ、こいつは!!」

 それからおかみさんと思春は笑って固い握手を交わした。

 

「この二人を城へ運ぶぞ!予定が少々狂ったが、作戦を続行せよ!」

 

 思春の命令に隠密工作員達が動き出した。

「どうするんだい、この二人?」

「そうですね・・・・・明日には婚約をさせる事になるでしょう。」

 おかみさんと思春の会話に、女性の工作員達は孟達に対し心の中で祝福を贈り、男の工作員達とオヤジさんはインテリを取り囲んで合掌する。

「(すまねぇなぁ、インテリの旦那・・・母ちゃんには逆らえねえんだよ・・・)」

 オヤジさんの心からの言葉に、男達は共感の涙を流しながらインテリを運び出す作業を開始した。

 

 

 

本城

【赤一刀turn】

 インテリが席を立ち、店の奥の陰に入って見えなくなった。

 隠密工作員が動き出して、孟達ちゃんを連れ出した。

 その直後にインテリが荷物の様に担がれて運ばれ、思春と一緒に城に向かって走って行ってしまった。

 俺達は呆然とその様子を眺めていたが、我に返り慌ててその後を追った!

 足の速さで思春の鍛えた隠密部隊に追いつける筈も無く、俺達六人が城に戻った時には思春が涼しい顔で俺達を出迎えた。

 

「「ど・・・・どうなった・・・・?」」

 

 息を切らしながら何とかそれだけを問い掛けると、思春は満足気に微笑んでこう言った。

 

「二人の服を脱がせ、インテリの部屋の寝台に放り込んでおいた。明日の朝まで二人共目を覚まさないだろうが、仕上げに部屋が騒がしくなった所で紫苑達が踏み込む手筈になっている。」

 

 ((美人局|つつもたせ))かよっ!!

 

 さすがにインテリが可哀想になってきた・・・・・。

 しかし、思春からインテリが酒家で取った行動を聞いて、俺たちは止むを得まいと納得した。

 

 ((斯|か))くして、翌日の午後にはインテリと孟達ちゃんの婚約が、三王の御前にて正式に決められた。

 緑と月達が帰って来たら、俺たち三人が承認を与えて即挙式と云う恐ろしいスピードのスケジュールも組まれている。

 俺と紫はみんなの隙を見てインテリに問い掛けた。

 

「「俺たちが言うのもなんだが、こんな形で嫁さんが決まっていいのか?」」

 

 するとインテリは笑って答えてくれた。

「私なんかの為にここまでして下さったのですから、感謝こそすれ文句などございません。孟達さんの気持ちに気付けなかった私にも責任が有ります。まさか、孟達さんみたいに可愛い方が私なんかを恋愛対象として見て下さるとは思ってもみませんでしたから。」

 そんな風に思ってくれるなら俺たちの罪悪感も少しは薄れる。

 

「ですが、孟達さんの所に婿養子という形で結婚にならなくてホッとしました♪危うく私の名前が『孟封』になる所でしたよ。」

 

 ・・・・・確かに自分の本名が『モーホー』になるなんて嫌すぎるよな・・・・・。

 

 

 

-10ページ-

 

 

あとがき

 

 

今回もゲストキャラがたくさんでした♪

 

では本編の猪々子回から。

今回猪々子を可愛く演出したかったので

斗詩回の時には通常運転になるよう気をつけていました。

照れたり恥ずかしがる猪々子ってアンソロジーコミックでも

描かれる先生方がいらっしゃいます。

どの作品も先生の愛が感じられ萌えまくりですよ!

今回はそんな先生方の絵を頭で反芻しながら書いてました♪

 

また中の人の話になるのですが

雷起のの中ではCVの神崎ちろさんと言えば

猪々子とToheat2の小牧郁乃が代名詞の様になってまして

キャラのイメージが両極端な所がツボにはまってます♪

 

 

『北郷二刃奮闘記』

相変わらず冥琳が語り出すと止まりません♪

そして雪蓮は相変わらずフリーダム♪

そろそろ二刃に華佗へのアタックをさせたいと思うのですが

お義姉さん達との会話が楽しくて、つい書きそびれてしまいます(苦笑)

 

 

『聖刀くんの日常』

曹嵩じいさんは書き始めるまで

聖刀のイメージ通り『怖い人』だったんですけどねぇ・・・・・。

登場シーンでやりすぎてファンキーなセクハラジジイになっちゃいましたw

月の父親が真面目な人だから「こんなのでもいいか」と開き直ると

いやあ、勝手に暴れまわってくれたので楽しかったですw

 

ここに来て荀攸の名前を出すのもどうかと思ったのですが

穏と亞莎の立場が正史とは入れ替わってるからと

自分を納得させましたw

出来ればその内にゲストキャラとして登場させたいですw

 

 

おまけ参

この話を書くに当たって

『親衛隊の名前をだせそう。マイナーながらも名の有る武将とか』

という旨のアイディアを頂きました。

そこでインテリを誰にしようかと探して、決めたのが『劉封』です。

ネタとしてもイジリ甲斐が有りそうでしたしw

そしてお相手は『孟達』

正史ではあまり仲が良くないと書かれていますが

孟達が魏に寝返った後、劉封へ魏に来るよう手紙を送っています。

これって見方によってはツンデレじゃね?

と感じたので孟達ちゃんの性格が決まりましたw

冒頭でインテリが笛を持って行っちゃうのは

孟達の軍楽隊を劉封が没収する事件が記録に残っているらしいので

その代わりに入れました。

インテリが笛をその後どうしたかは想像してお楽しみ下さいwww

 

 

《次回のお話》

 

☆音々   63票

 

という事で、次回は音々さんに決定しました。

 

【北郷二刃奮闘記】

桃園三姉妹 8票

【聖刀くんの日常】

三熟女  6票

【おまけ参】

里帰り&お墓参り[孫呉組(1)] 10票

※『里帰り』は累計得票数なので一回置きにやりたいと思います。

以上も次回にお送り致します。

 

 

《現在の得票数》

 

【前期】

稟    58票

季衣   56票

穏    53票

 

【後期】

桂花A  32票

思春A  30票

紫苑A  26票

鈴々A  25票

翠A   21票

璃々A  19票

小蓮A  17票

ニャン蛮A16票

菅輅   16票

音々音A 15票

雪蓮A  12票

華琳B  10票

冥琳A  6票

愛紗A  6票

風A   5票

月A   3票

秋蘭A  3票

凪A   1票

星A   1票

詠A   1票

沙和A  1票

※Aは二回目を表します。

 

【北郷二刃奮闘記】

八百一   5票

夏侯姉妹  4票

ニャン蛮族 4票

二刃と華佗を結婚させ隊 4票

真桜(カラクリ話) 3票

炙叉    2票

 

【聖刀くんの日常】

華琳   5票

三羽烏  4票

ニャン蛮族 3票

桂花   2票

璃々   2票

眞琳   1票

緑、紫、赤と個別にキャッチボール 1票

 

【おまけ参】

向日葵・疾・白煌・雰で親子騎乗訓練 6票

冥琳親子で親子将棋(親子鍛錬 文官編) 3票

里帰り&お墓参り[西涼組(1)、曹魏組、幽州組、成都組、袁家組] 10票

 

リクエスト参戦順番→ 穏 稟 季衣 冥琳A 思春A 紫苑A 鈴々A 桂花A 風A 雪蓮A 凪A 音々 小蓮A 翠A ニャン蛮族A 音々音A 月A 星A 璃々A 菅輅 華琳B 詠A 愛紗A 沙和A 秋蘭A

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→ 桃園三姉妹 夏侯姉妹 ニャン蛮族 八百一 月&その他の「二刃と華佗を結婚させ隊」 真桜(カラクリ話) 炙叉

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→ 華琳 三羽烏 三熟女  桂花 ニャン蛮族 璃々 眞琳 緑、紫、赤と個別にキャッチボール

 

おまけ参リクエスト参戦順番→ 「向日葵・疾・白煌・雰で親子騎乗訓練」 「里帰り&お墓参り(涼州組、孫呉組、それ以外も)」  冥琳親子で親子将棋(親子鍛錬 文官編)

 

過去にメインになったキャラ

【魏】華琳 風 桂花 凪 数え役満☆シスターズ 秋蘭 流琉 春蘭 霞 沙和 真桜

【呉】雪蓮 冥琳 祭 思春 美羽 蓮華 七乃 小蓮 亞莎 明命 大喬小喬

【蜀】桃香 鈴々 愛紗 恋 紫苑 翠 蒲公英 麗羽 桔梗 白蓮 月 朱里 雛里 詠 焔耶 ニャン蛮族 音々音 星 華雄 璃々 斗詩 猪々子

 

子供達一覧

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀ツ(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 ?仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 ?信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽?(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八?(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀?(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 ?宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂j(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄の長女 華剛(かごう) ?莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀?(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真?(ましん)

48)桂花の四女 荀(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文?(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50、51)

稟の長女    56票

穏の長女    52票

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

※50、51の順番は今後のリクエスト次第です

A)桂花の八女 荀靖(じゅんせい)茉莉花(まりふぁ)五歳

B)桂花の九女 荀Z(じゅんとう)寿丹(じゅたん)四歳

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう)秦翹(しんぎょう)三歳

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく)金鐘(きんしょう)二歳

E)桂花の十二女 荀?(じゅんふ)橄欖(かんらん)一歳

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

メインヒロインのお話を二刃降臨までの前期とそれ以降の後期に分けました。

前期全員を終了後、後期を始めます。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

 

 

 

 

説明

得票数60の猪々子のお話です。
おまけ壱で『北郷二刃奮闘記』其の七 リクエスト:断金コンビ 6票
おまけ弐で『聖刀くんの日常』其の六 リクエスト:華琳の両親に会いに行く「聖刀、爺ちゃん婆ちゃんと初対面」 6票
おまけ参でリクエスト:インテリのお嫁さんげっと大作戦 6票
となります。

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。
1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。
メインヒロインのお話を二刃降臨までの前期とそれ以降の後期に分けました。
前期全員を終了後、後期を始めます。
2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集してます。
例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。
3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集してます。
例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。
4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。
シチュエーションのリクエストも大歓迎です。
以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、
よろしくお願いいたします。
今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。
誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw



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コメント
終の竜様  【1】・【2】・【3】は前回と同じ、【4】里帰り&お墓参り・騎乗訓練、親子鍛錬(冥琳)に、それぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)(雷起)
終の竜様  普段が男の子の様な猪々子ですから、ギャップ萌の潜在能力がかなり高いですよね♪ インテリがあそこまでハイスペックになったから、劉封にする事ができましたwwインテリが劉氏なのに兵卒だったのは、代々のロリコンで没落したとかwww(雷起)
メガネオオカミ様  【1】季依、管路、思春A 【2】八百一 【3】三羽烏 【4】将棋 それぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)(雷起)
メガネオオカミ様  猪々子は普段からミニスカ、吊りストッキングに絶対領域装備ですから抵抗は無いはず!挿絵の追加機能が有ったら絵師様方にお願いしたい所ですよorz インテリの場合、華佗と違って好きになってくれる相手がまず見つからなかったですからねwww(雷起)
咲実様  インテリはロリコンの希望の星・・・・・に、なれるのか・・・これからもインテリを応援してあげて下さい。聖刀視点の華琳と桂花に、それぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)(雷起)
殴って退場様  孟達も三国志演義では悪役扱いなので、恋姫風に月や焔耶の様にしてあげたいですね♪【1】稟、紫苑A、翠A、璃々A、雪蓮A、愛紗A、秋蘭A【2】夏侯姉妹、結婚させ隊【3】璃々【4】親子騎乗訓練に、それぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)(雷起)
殴って退場様  一迅社のアンソロ十四巻で相沢良彦先生の描かれた猪々子が可愛いですよ♪こちらは三国志風でしたので洋服系のも見たいですね♪冥琳の策。無印風だけは避けようと思いますw 華琳と曹嵩さん、きっとそうだと思いますww そして、このままだと貧乳党次期書記長は眞琳?(雷起)
牛乳魔人様  大丈夫、インテリに待っているのは尻に敷かれた未来だけでしょうwww【1】菅輅・華琳A・桃香A・蓮華A【2】結婚させ隊【3】新リク「聖刀と『正義の解放団』」【4】新リク「一刀さんの一日執事」にそれぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)蓮華にしてあげたアレの全員バージョンですね♪(雷起)
アルや様  華琳のイタズラ心は曹嵩さん譲りだと思いますw曹嵩さんは夏侯家からの養子、つまり春蘭の伯父ですから・・・・・それに、嫁と娘からのプレッシャーにストレスも溜まって壊れたのかも知れませんしw(雷起)
神木ヒカリ様  名も無き変態の代表の一人だったのに、大出世してしまいましたねw いつものと、二刃視点はニャン蛮族・聖刀の日常もニャン蛮族にそれぞれ1票頂きました….〆(・ω・。)(雷起)
着飾った猪々子や恥ずかしがっている猪々子はかなりツボでしたw インテリまさかの劉封!ホント高スペックなのにロリコンでダメにしてますねww 結局結婚までしちゃいましたけどwww リクは【1】・【2】・【3】が前回と同じ、【4】里帰り&お墓参り・騎乗訓練、親子鍛錬(冥琳)でお願いします。(終の竜)
着飾った猪々子……すごく見てみたいです!w それにしてもインテリを結婚させるのにここまで大がかりな仕掛けが必要だったとは…………ある意味、華佗以上の強敵でしたね!www リクは【1】季依、管路、思春A 【2】八百一 【3】三羽烏 【4】将棋 で!(メガネオオカミ)
インテリ頑張れ…と言うわけでいつも通りの聖刀視点の華琳と桂花でお願いします。(咲実)
長くなるので続きで、インテリの話はもう笑うしかない、また孟達との共演を希望でww。リクは【1】稟、紫苑A、翠A、璃々A、雪蓮A、愛紗A、秋蘭A【2】夏侯姉妹、結婚させ隊【3】璃々【4】親子騎乗訓練でよろしくお願いします。(殴って退場)
今回は見所たっぷりの回でした。猪々子の着飾った姿というのは一度絵にして見てみたいと思ってしまったw。二刃と華佗の恋愛に冥琳の策がどのように発動されるか楽しみでww。初対面、曹嵩さんがああいう性格だから華琳の反面教師になってしまったのか。そして眞琳、まだ背や胸も成長するさ…多分。(殴って退場)
なんだよ・・・インテリ、リア充だったのかよ・・・インテリはハジけて混ざれ。リクは【1】菅輅・華琳A・桃香A・蓮華A【2】結婚させ隊【3】新リク「聖刀と『正義の解放団』」【4】新リク「一刀さんの一日執事」とかどうでしょうか?(牛乳魔人)
曹嵩さん、本当に華淋の父親か?(アルヤ)
インテリが劉封だったなんて!?とりあえず,インテリおめでとう。 リクはいつものと・二刃視点はニャン蛮族・聖刀の日常もニャン蛮族でお願いします。(神木ヒカリ)
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