魔法少女リリカルなのはSTRATOS 第三話 作者は言った「今回はかなり雑である」と |
「……ぅう……此処は?」
目を覚ますと、俺は何故かベッドの上で寝ていて、目の前には知らない天井が映っていた。もしやこれは……
「転生フラグか?」
ってそんなわけないか、というのは口にした俺自身よくわかっていた。
しばらくして俺は目覚める前の最後の記憶を探る。確か俺はあの変な海上施設でゲームやアニメのモンスターや機械に襲われて……んで、試しに能力をいくつか使って最後にアレぶっ放して……多分気絶したんだな。
「ん……」
窓の外では早く入れろとばかりに朝日が差している。同じく目覚めを促すかのようにスズメが鳴いていた。
(もうすこし……あともうすこしだけ……)
このまどろみ延長は至福の時である。おそらくこの緩やかな時間を愉しまない人間はいないだろう。うん、間違いない。
ふに。
(……?)
ふにふに。
はて、この感触は一体なんなんだ?こんなにすべすべで柔らかい物体、布団の中にあるものなのか?)
此処に来てまだ日の浅い俺にはわからんがもしかするとこの世界にはこんなすべすべで柔らかい物体がベッドにあるのは普通のことなのかもしれない。しかし、今は未知への探求よりもまどろみタイム、この心地よさを放棄するなんて出来るはずが無かった。
(あー、幸せだ……)
ふにふにゅっ。
「ん…………」
━━待てい。今、確かに俺のものではない声が聞こえてきたぞ。そして多分、それは男の声でもない(というか男の声だったら怖いな)。
確認の為におそるおそる布団をめくる。と、そこには━━
「お、女の子?」
栗色の長いストレートヘアわ両側に垂らした今の自分と同い年くらいの女の子がいた。同じベッドに、小学生くらいの年頃とはいえ一緒に寝ている(ただしそこに俺の意思は含まれていない)。なに?この中高生だったらエロゲシーンにまっしぐらな展開は?
「ん……おふぁよ〜」
俺の声で起きたのか、はたまた偶々か、とにかく俺の隣で寝ていた女の子は目をこすりながら挨拶をする。オノレ、ワガマドロミタイムヲ!!
「ええと……おはよう。突然だけど君は?」
よく考えるとここって神様が用意してくれた俺の家だよな?なのになんであんな迎撃システムとかいう派手な歓迎をされた上に目を覚ましたら女の子と同じベッドで一緒に寝ちゃってるのさ?神様そんなに俺を困らせたいの?もしそうなら鬼だな神様。
「そぉいえばぁ……まだ、じこしょーかいしてなかったねぇ〜」
寝ぼけている為なのか、かなり間延びした口調で女の子は静かにベッドの上で女の子座りをする。かなりどうでもいいことだけどこの女の子座りというのは総じてあひる座りと読んでいるらしい。ちなみに他の呼び方としてはぺたんこ座りやおばあちゃん座りなんかが例に挙げられる。
「わたしの名前はぁ……四宮優樹菜ぁ……きみとおなじぃ……てんせーしゃだよぉ〜」
「……へ?」
女の子、四宮優樹菜が放ったその一言に俺は一瞬フリーズしてしまった。彼女は今自分と同じと言った。【しかもてんせーしゃ】と名乗ったてんせーしゃ。つまり転生者
「そ、それじゃあ君も俺と同じ━━」
「すぅ……すぅ」
「って二度寝かい!!」
四宮が起きたのは、それから二十分くらい後だった。
◇
「まったく、だから製造もほどほどにしておけと言っというのに……」
「あはは♪ごめんねディアーちん」
「ええい、その名で呼ぶでないっ!!」
白い髪の少女、ディアーチェ・K・クローディアはディアーちんと呼ばれたことにご立腹なようだ。
さて、どうもみなさん、織斑一夏です。転生者です。バグ特典保持者です。そんな俺は今自分の住まう家に住まう女の子たちから朝食を頂きました。感想 すごくおいしかった。
「それで、本当に君も転生者なのか?」
「そうだよ、織斑一夏くん」
あっさりと肯定する四宮。ん?ところでどうして俺の名前を?まだ自己紹介はしてないはずだが……
「どうして自分の名前を?って顔してるね。いいよ、教えてあげる」
そう言って四宮は座っていたソファーから立ち上がると俺の座っているソファーに移る。なんで隣に移動したのかなんてこの際どうでもよかった。
「織斑一夏。IS世界最強搭乗者、織斑千冬の唯一の弟にして世界初のIS男子搭乗者。その容姿と性格で強制入学させられたIS学園では幾多の専用機持ちや天災などの乙女らにフラグを建ててきたことからS級フラグ建築士の称号を授与される(ただし本人の知らぬ間に)ギャグはナンセンス、恋愛にだけ鈍い、おまけに勤勉でありながら参考書を古い電話帳と間違えて捨てるなど、稀に何処か抜けている面が見られる」
ぐぅの音もでねぇぜ、とはまさにこの事だろうか?それにしても聞けば聞くほどどうして彼女がこんなにも俺のことを知っているのか疑問に思ってしまう。だけど、そんな疑問も次の一言でどこかに吹っ飛んだ。
「決め付けに自ら訓練をしようともせずに真っ先に幼馴染みにすがりついたり、VTシステム暴走事件では無謀にも織斑千冬の過去のデータに戦いを挑み、臨海学校の福音戦では重大な違反行為、その上自らの立場も理解しない。総合的に言わせてもらえば『弱いくせに出しゃばるな』だね」
刹那、俺は自分でも気付かないうちに自身の背後に心臓圧縮(ZIP)の魔力を具現化した巨大な手を出現させていた。
「やれやれ、事実を指摘されたら逆ギレ……とても一物語の主人公を勤めている人物とは思えないね」
しかし具現化された心臓圧縮(ZIP)を見ても尚、涼しい顔をする四宮に俺は自分の意思でさらに手を巨大にする。
「……俺が弱いって、どういうことだよ」
四宮の心臓を圧縮してしまいそうなのをどうにか抑えながら俺は静かに問い掛けた。
「そのままの意味だよ織斑一夏くん。君は【弱い】。どのバトル作品の主人公核を勤める誰よりも、それどころか日常ものの主人公にすらバトルはともかくして人としては間違い無く勝てない」
バッサリと斬り捨てる四宮に一夏はふいに前世での出来事を思い浮かべる。
記憶の中の最も深いところから転生する直前の日まで、
「……確かに、俺は弱かった……いや、いまも弱いのか」
具体的にどこがどうしてなのかはわからない。けれど過去の出来事を思い出して、自分は強いと思えるような場面は何一つ無いように見えたのも事実だ。
「そう、君は弱い。どうしてだと思う?」
「…………」
心臓圧縮(ZIP)の具現化を解くと、一夏は黙って次の言葉を待つ。
「セシリア・オルコットとの決闘、君は真っ先に幼馴染みである篠ノ之箒に助けを願ったね?」
「……あぁ」
確かに頼んだ。ISを教えて欲しいと、だが結果は剣道に全て時間をとられてしまったのだが……
「まずそこだ。あの時、君はISなんて何一つ理解できないでいた。向こうが無理矢理やらせたとはいえ、知識を学ぶ方法はいくらでもあったの、なのに君はそれすらせずに呑気に剣道を続けた。もしもセシリアが慢心していなければこの時点で君はあの時以上に惨めな敗北をしていただろうね」
確かにその通りだ。あの時は一次移行が完了したからどうにか追い詰められたけどもっとしっかり勉強していれば少なくとももう少しはまともな試合が出来ていたかもしれない。
「他にもVTシステム暴走事件での勇気と無謀を履き違えた愚かな行動、福音戦での違反行為。他にも挙げればきりがないくらい私の知る限り君は周囲からアンチされ続けてきた」
VTシステムっていうのが何のことなのかは一瞬わからなかったが、とりあえず納得はできた。自分が弱い理由、どうして強くなれなかったのかということも……
「はは、なんだよそれ……」
思い返してみても出てくるのは口先だけで大した行動も起こさなかった自分だけ。
守るだなんて言っておきながら、結局何の手も打たずに何事もなく平和に暮らそうとしていた。そんな事、出来るはずがないというのに……
「てんで駄目だな、俺は……」
四宮があそこまで罵倒したのは有る意味当然のことだな。人間、他人に言われて初めて気付く事もあるっていうけど俺の場合は多すぎるな。
「そうだね。君はとことん駄目だ」
此処まで来てさらにそれを言うのか……
「けど君はまだやり直せるでしょ?」
やり直せる?
「昔、前世の私のお父さんが言ってたんだ。『自分は弱い、愚かだと気付いた人間は、誰よりも強くなる』って」
その言葉は、今の俺の心の内に強く響いた。
自分の立場も理解しないで、自ら率先して訓練に励もうともせず、口先だけで何もしないで……みっともないとしか言いようがないな、と自虐の笑みを浮かべる。
「と、いうわけでっ!」
「はい?」
それまでのシリアスな空気をぶち壊すかのように(というかもうぶち壊れているのだが……)優樹菜はビシィッ!と某穴掘り少年のポーズを決める。
「今から転生者先輩であるこの私が、君を肉体的にも精神的にも鍛えます!」
「へ?」
「といっても教えるのは能力の使い方と体力づくり程度だけどね」
「いや、その……」
「それからは迎撃システム以上の捕獲レベルを保持する猛獣たちと毎日戦闘かな?やっぱり強くなるための近道と言えば実戦だからね」
「…………」
は、話についていけない……
「てなわけで」
そう思っていたのも束の間、優樹菜はポケットから小さなリングを取り出してそれを一夏の真上に放り投げた。
そして優樹菜がパチンッ!と指で音を鳴らすと、それは一夏を囲むくらい大きな『枠』となり、一夏はそれに対して為すすべもなく輪っかを潜る。そうして一夏が潜り抜けた直後、気付けば自分は見知らぬ場所へととばされていた。
◇
第0管理外世界【グルメピア】第一ビオトープ
「ここは……?」
「ここは私の特典の一つである別荘。第0管理外世界【グルメピア】にあるビオトープ内で最高クラスの捕獲レベルを秘めた猛獣たちだらけの庭、第一ビオトープだよ」
第一ビオトープ……どうりで見覚えのある風景だったよ。まんまト○コじゃんかよ
「なぁ四宮、俺はここでなにをすればいいんだ?」
「その前にその四宮っていうのはやめてもらってもいいかな?これから一緒に住むわけなんだし」
そういえばその辺の話をまだしてなかったねと言って四宮……ではなく優樹菜←本人からの志願曰く、あの家は元々自分とディアーチェたちのものだったのだらしい。それで俺というもう一人の転生者の存在で同じ転生者同士仲良くさせようと言うつもりで優樹菜を転生させた女神がそうしたらしい。
「……それで優樹菜、ここで何をするんだ?」
「なにって……修業?」
「なぜに疑問系?」
まさか考え無しに行動していたのか?
「や、別に考え無しに転移させた訳じゃないんだよ?ただ私が直接手解きするわけでもない上にどう強くなるのかも君次第なこれを修業って言えるのかな?なんて思ったから」
……やっぱり何も教えてはくれないか、せめて能力の有効的な使い方ぐらい教えてくれてもいいのに……
「捨てるは【甘え】、拾うは【強さ】。今の君に不要な【甘え】は捨てて、今大事な【強さ】を得なさい」
甘えを捨てて強さを拾え、か……言ってくれるぜ。
「けど、燃えてきた」
なんて言葉にすればいいのかわからないけど、こういう自分に不利な展開を待ち望んでいた……ような気がした。今までは誰かに手伝って貰って一緒に切り開いてきた道のり、今度は俺一人で、誰の手も借りないで切り開く。それが今の俺をずっと強くしてくれると思えた。
「それじゃあ晩御飯出来たら迎えにくるから、それまで精々くたばらないようにしててね一夏くん」
小悪魔のような笑みを浮かべた優樹菜はそう言って空間を繋いでいた枠を消し去る。これであと数時間は向こうに帰れなくなったな……
「よし、まずは周囲の探索から始めるか」
こういうの見知らぬ土地ではまず地形を知ることが大事だって昔悪友の一人である御手洗数馬も言ってたしな。そういうわけで早速俺は未知の世界で人生初の(前世含む)探検を開始した。
しかし、この修業?が、そしてここに住まう猛獣たちが千冬姉の数百倍恐ろしいということに……この時の俺にはまだ知る由も無かった。
◇
千冬ってトリコたちに勝てるのかな?
優樹菜「無理ね」
ばっさり切り捨てるね……
優樹菜「だってあの人にデスフォールの突破なんて出来ると思う?」
……無理っすね。
優樹菜「でしょう?」
でもグルメ細胞があれば……
優樹菜「それを言ったらみんながそうでしょうが」
女に口では勝てない……って蚊。
優樹菜「世間一般ではそう言うけど勝てる男もいると思うよ?」
突然ですが最近ガンダムネタがたくさん出てきて困ってます。
優樹菜「本当に突然だね。この前TINAMIに投稿した二作の他にまだあるの?」
うん、一夏が刹那・F・セイエイと名乗ってエクシア、ヴァーチェ、キュリオス、デュナメスを持ってIS学園で無双する話とかデュナメスが専用機の優樹菜を原作IS(ただし知識無し)に一夏の婚約者として送ったり
優樹菜「後者をぜひ書いて下さいっ!!」
君はどんだけ一夏LOVEなのさ!?今回あんだけ精神的にボコッた癖に!
優樹菜「うぅ……私だって本当はあんな事言いたく無かったんだよ……でも、一夏くんに強くなって貰うには甘えを捨てさせないとまた原作みたいになっちゃうと思ったから……」
愛の鞭とアメってやつか
優樹菜「折角力があるんだからちゃんとそれがどれだけ恐ろしいのかを理解して、それを使いこなせるようにしないと前世の時みたいに駄目駄目になっちゃうし、特に一夏くんの場合、イズルが無能だったせいで『織斑一夏について語るスレ』じゃ殆どアンチされてばかりだったし」
明久より下なのは自分にもわかるけどのび太以下はどう考えても有り得ないですがね
優樹菜「あんなヘタレ眼鏡に一夏くんが負けるはずがないっ!!」
明久に負けてるのは別にいいんだ……
優樹菜「彼もちゃんと勉強すれば赤毛ゴリラに馬鹿呼ばわりされることもなくなるんだけどね〜」
ごもっともです。
優樹菜「さて、そろそろ終わりにしよっか?」
ですね〜。
優樹菜「それでは次回も!」
よろしく〜
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