機動戦士ガンダムOOSTRATOS 第一話 襲撃×カラノ×襲撃
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「はぁっ!!」

 

ガキィン!

 

抜けるような青空のもと、日本製第三世代IS 【白式】と中国製第三世代IS【甲龍】が縦横無尽に宙を踊りながらそれぞれの獲物で斬り合う。

日本製第三世代IS【白式】━━第一回モンド・グロッソ優勝者、織斑千冬の専用機体【暮桜】の単一使用【零落白夜】を受け継いだ最新型のISだ。

対する【甲龍】もまた最新鋭の第三世代型ISで、こちらは肩の横に浮いた棘付き装甲(スパイク・アーマー)が目立つ。

 

『よくかわすじゃない。衝撃砲《龍砲》は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに』

 

『ふっ、当たり前だよ。僕を誰だと思ってるのかな?』

 

甲龍の搭乗者、『凰 鈴音(ファン リンイン)』の軽い褒め言葉に対して白式の搭乗者『織斑秋斗』は息巻いた。

 

ここは日本にある軌道エレベーターからほど近い、IS学園に複数存在するアリーナの一つである第二アリーナの中だ。

IS学園とは、ISの操縦者育成を目的とした教育機関であり、その運営及び資金調達には原則として日本国が行う義務を負う━━

要約すれば『てめー、日本人が作ったISのせいで世界は混乱してるから責任もって人材管理と育成のための学園作れや。そこの技術よこせや。あ、運営資金は自分で出してね』ということである。ヤクザとしか思えないな某A国。

話を戻すがとにかく今、広々とした第二アリーナの中で、白式と甲龍のクラス対抗戦が行われているのだった。

宙を舞う白式に向けて甲龍の衝撃砲が襲い掛かる。白式はそれに対してまるで見切っているかのように難なくそれを回避する。

秋斗の乗る白式は衝撃砲の撃ち終えた一瞬の隙をついて間合いを一気に詰めようと機体の移動速度を加速させていく。それを見て咄嗟にガードするも僅かに押されてしまう。

その機動性や攻撃性能を見て、観客席を埋め尽くしていたIS学園の生徒や各企業の関係者達からは感嘆の声が漏れた。

その観客席の中に、二機の性能の全てを検分するかのように見つめている人物がいた。『ビリー・カタギリ』

。長身の体を白のスーツで固め、長い後ろ髪を後頭部でまとめている髪型が特徴的な男だ。紛争地域や災害の救助、貧困国への支援を目的としたソレスタルビーイング社と協力関係にある軍隊【ユニオン軍】モビルスーツ開発技術顧問でもある。本来ならば敵対関係にあるモビルスーツ側の人間がIS学園に来られたのはここを裏で仕切っている本当の学園長から特別に招待されたからだ。

 

(ふむ……なるほど)

 

カタギリは眼鏡フレームを指で押し上げてうなずいた。

 

「……インフィニット・ストラトス 白式。IS初の太陽エネルギー対応型か……」

 

太陽エネルギー対応型とは、軌道エレベーターからの電力供給で稼働することを前提に作られている。マイクロ波の形で直接エレベーターからエネルギーを受信し、理論上はエネルギー切れがない。

もっとも、今更そんなことをしたところで何も変わりはしないのだが……

 

「モビルスーツには程遠いが、兵器としてなら良いようだね。動きも悪くはない」

 

と納得するように見ていると、一人の男がカタギリの隣に腰を降ろした。

 

「今やISはモビルスーツの登場により、元より難航していたコア解析がさらに滞っている。せめて機体だけでもどうにかしたいのだろう」

 

カタギリが苦笑するようにその男に顔を向ける。

 

「おや、いいのかい?敵陣のエースがこんな場所にいて」

 

「もちろんよくはない」

 

男の名前は【グラハム・エーカー】。一見すると青年実業家を思わせる風貌をしている。くせっ毛の金髪に、しかしまだ少年のあどけなさが残る面立ち。いまはスーツを着こなしているが、正式にはユニオン直属米軍第一航空戦術飛行隊━━通称MSWADに所属、階級は中尉だ。

 

「しかしIS協会というのは剛毅だよ」

 

白式と甲龍に視線を戻して、カタギリが言った。丁度二機が距離をとったところだった。

 

「ほぅ、剛毅というほどの根拠は?」

 

「軌道エレベーター建設五周年記念式典に新型同士の戦闘、そしてあの織斑千冬の弟をこの時期に世間に知らしめるところがさ。負けが確定しているのにそれでも諦めない……って言えば響きは良いだろうけど実際は自分たちの方が優秀なんだって現実逃避しているだけなんだけどね」

 

そう、今やISはかつてのように最強のパワードスーツと呼ばれることはなくなり、『高コストの金食い虫』と呼ばれるほどにまで衰退していたのである。しかし、その現実を否定し、太陽エネルギーを独占しようとしているのを知り、ソレスタルビーイング社含む傘下一同は怒りを通り越して呆れの声さえ出していた。

 

「ところで君はあの白式を見てどう思う?」

 

「どうもこうも、太陽エネルギー対応型以外は従来の兵器レベルだよ。ま、所詮は最新とはいえISだからね」

 

事実、ISが公式、非公式での試合でモビルスーツに傷を負わせた例は一度もない。それは絶対防御を越えた防御力を誇るGNフィールドだったり元々の装甲に使われている鉱石がイオスたちの技術で産み出した特殊合金ばかりであったからだ。

 

「ん?」

 

先に気が付いたのはカタギリの方だった。ふと上空を見上げ、そのまま動きが止まった。第二アリーナから見て軌道エレベーターの方、南の方角だった。

 

「どうした?」

 

カタギリの視線に気付き、グラハムも追従して空を見上げる、

黒い点が降りてきていた。ここからだと軌道エレベーターに沿うようにして降りてきているよう見える。黒い点はゆっくりと、だが確実にこちらに向かってきているようだ。

 

 

 

 

「ガンダムエクシアインペリアル及びガンダムデュナメスヴァルキュリア、ミッション開始五分前を切りました」

 

静止衛星軌道上、発電衛星の影に隠れるようにしてソレスタルビーイング社製多目的輸送艦【プトレマイオス】が航行していた。

そのブリッジでは、四人のクルーが各々のシートに座ってキーボードを叩いている。オペレーターのクリスティナ・シエラが、先ほどの報告に続いて作戦状況推移を告げた。

 

「まもなく兎が動きます」

 

「うまくやれるのか、雪羅とロックオンは?」

 

狙撃手のラッセ・アイオンが、ちらりと隣に視線を向けた。プトレマイオスは戦闘艦ではないため武器は積んでいないのだが、場合によっては武装コンテナなどにより兵装が可能だ。ラッセはそういうときのため万が一に応じて乗艦している。

 

「やってくれなきゃ、折角のサプライズが無駄っすよ」

 

ラッセの視線を受け、操舵士のリヒテンダール・ツエーリが軽い調子で応える。

 

「無駄口を叩かないで、まだ作戦行動中よ」

 

ねえ?と同意を求めるように、クリスティナが同じオペレーターのフェルト・グレイスに顔を向けた。

だがカールでクールな彼女は、興味なさそうに一瞥しただけでまた自分の作業に戻った。

つれないの、とクリスティナがすねたように唇を尖らせる。

そこにこの艦の艦長を勤めるスメラギ・李・ノリエガかブリッジへと入ってきた。

 

「そんなに固くならないで、クリスティナ」

 

「でも、スメラギさん」

 

「彼ら新生ガンダムマイスターたちと、ガンダムたちの御披露目よ、ド派手にいきましょ」

 

スメラギは長い髪をかきあげながら、手にしていたボトルに口をつけた。

 

「あーっ、お酒飲んでる!」

 

クリスティナが目ざとく見つけた。

 

「マジですか!?」

 

とリヒテンダール。

 

「いいでしょ、私は作戦を考える係。あとのことは任せるから」

 

そう言って、スメラギはグビリとやった。

だがボトルから口を離したとき、スメラギの目には戦況を見定める者の厳しさが浮かんでいた。

 

私の予報が当たっていれば、きっと今頃は━━

 

 

 

 

上空三千メートルの空域の中、白と青を基調にした色彩を持つモビルスーツが軌道エレベーターに沿うようにして降りてきていた。その先には、IS学園の第二アリーナが見える。

 

「30482、エクシアインペリアル、目標地点を視認、【インペリアルシステム】異常なし、GN粒子の散布、目標到達と同時に終了させる」

 

まるで機械から出される音声のように感情の籠もっていないその声は、搭乗している少年をより機械じみた人間にしていた。

そうしているうちにも第二アリーナの姿が鮮明に映し出される。そこには二機の第三世代ISと黒い全身装甲の機体が映っていた。それはスメラギの予報が当たった証拠だった。

 

「目標対象確認。予定通り、ミッションを開始する」

 

その機体、ガンダムエクシアインペリアルは、背面にある機関部が唸りを上げ始めた。円錐の付け根部分から光の粒子が排出される。

 

 

 

 

「くっ……!」

 

目の前に立ちはだかる、謎のIS。ついさきほどグラハムたちが見たあの黒い点がここ、第二アリーナの遮断シールドを突き破って進入してきたのは異形であった。

それに向けて放たれる一撃必殺の攻撃。しかし、秋斗の斬撃はするりとかわされてしまう。これで合計四度目のチャンスを逃したことになる。

 

「秋斗っ、馬鹿!ちゃんと狙いなさいよ!」

 

「狙ってるよ!」

 

普通ならばかわせるはずのない速度と角度で攻撃している。だが、敵ISは全身に付けたスラスターの出力が尋常ではないのだ。零距離から離脱するのに一秒とかからない。しかも、どれほど鈴が注意を引いても秋斗の突撃には必ず反応して回避行動を優先する。

 

(参ったね……)

 

シールドエネルギー残量が60を切っていた。バリアー無効化攻撃を出せるのは、良くて後一回だろう。

 

「秋斗っ、離脱!」

 

「わかってるよ!」

 

敵ISから放たれるビーム砲撃をどうにか回避するが、それも何時まで避けきれるかと聞かれると答えるのに思わず戸惑ってしまう。

 

━━ステージ中央上空に熱源反応有り。ソレスタルビーイング所属のモビルスーツと断定。所属不明ISをロックしています。

 

そんなとき、白式のハイパーセンサーが緊急通告を行ってきた。

 

「なっ━━」

 

新手の、それも敵対関係に属しているモビルスーツがこちらにやってきていて、しかも敵ISをロックしている。秋斗、というかIS側からすれば有り得ない事だろう。

 

ズドオオオオオオオオオンッ!!

 

突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。鈴の衝撃砲でもなく、ましてやあの敵ISのビーム砲撃でもない。威力が桁違いだ。

ステージ中央からもくもくと煙が上がる。しばらくして煙が晴れるとそこにはふっくらとした人間に近い形状をしている。頭は丸く、額には鋭角なブーメラン形の飾り、黒で縁取られた二つの碧眼、口から顎にかけては赤い突起物がある。人間でいう鎖骨の辺りから飛び出している二本の黄色いアンテナ状の突起は胸部から両肩にかけては鮮明な青、両腕と腰から下の両脚は白で彩られている。右腕には盾と長い刀身のようなものが装備されていた。

その姿は、これまでに出たモビルスーツのどれにも当てはまらなかった。

 

「あれは……一体?」

 

どこの所属かも不明な全身装甲(フルスキン)のISに敵対関係にあるソレスタルビーイングのモビルスーツ。

この二機の襲撃が、秋斗の頭を混乱状態に陥らせていた。

 

『秋斗ぉっ!』

 

キーン……とハウリングが尾を引くその声は、箒のものだった。

中継室の方を見ると、審判とナレーターがのびていた。おそらくドアを開けたところにバシンと一撃を食らったみたいだ。当分目を覚まさないような倒れ方をしている。うわぁ……。姉さんに叱られても知らないよ僕?

 

『男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

 

大声。またキーンとハウリングが起こる。

 

「……あの女は馬鹿なのか?それとも自殺志願者か?」

 

通信を繋げてきたモビルスーツのパイロットが呟く。多分独り言のつもりだったんだろうけど通信が開いてしまっていたせいで僕にもその声が届いていた。

どこか冷めたその声に、僕は思わず同意してしまう。

 

「…………」

 

ってヤバい!今の館内放送、その発信者に敵ISが興味を持ったのか、僕たちからセンサーレンズをずらしてじっと箒を見ていた。

 

「どこを見ている」

 

ふいに、ひゅっ、という空気を切り裂く音が聞こえてきたと思うと次の瞬間、敵ISの顔面にピックのようなものが突き刺さっていた。

彼が何をしたのか?なんてことはない、ただの投擲だ。しかし、その投擲というものは銃器とは違って、自身の努力やセンスがものを言うのだ。とても生半可なパイロットに出来る芸当ではないのだ。つまり、このパイロットの実力は相当なものであるということを物語っていた。

 

「お前の相手は、俺だ」

 

冷たく言い放つソレスタルのパイロットに興味対象を変更したのか、敵ISはそちらにビーム砲撃を放つ。

だが━━

 

「遅い」

 

それはエクシアインペリアルが僅かにずれるだけであっさりと避けられてしまう。その動きを見た限り、機動能力の高さは容易に予想できていた。

頭部を攻撃してきた事で本格的にソレスタルのパイロットを敵として認知したのか、さらに攻撃が激しくなる。

 

「雪羅・F・セイエイ、ガンダムエクシアインペリアル。目標を駆逐する」

 

右腕に折り畳まれていた刀身、GNソード]が腕を延長するかのように真っ直ぐに伸びると、そのまま一気に敵ISへと肉迫すると左腕にむけて振り上げるように切り上げた。

それにより、敵ISの右手から先は本体から離れ、すぐ側にゴウンッ!と音をたてながら落ちていった。

 

「…………!」

 

敵ISはなりふり構わずエクシアインペリアルに突っ込む。

その敵ISに向けて、エクシアインペリアルは無造作にGNソード]を振り下ろす。

 

「━━━!」

 

一閃!敵ISの左腕が肩口から斬り取られた。

 

「なっ!?」

 

秋斗はそこで、信じられないものを見た。斬り取られた肩口、そこからは人の血と肉ではなくオイルと無数のコードが露出していた。そしてそこで秋斗は気付いた。あれに人は乗っていないということに

 

「━━━━!!」

 

続けて一閃!敵ISの右腕が落ちる。

 

「━━━━━!!!」

 

とどめに一閃!敵ISの頭部が宙を舞った。

 

「なんて奴なのよ……」

 

隣にいた鈴の呟きとほぼ同時に、両腕と頭部を失った敵ISは、バランスを崩して背中から地面に倒れた。

エクシアインペリアルには触れることさえできなかった。エクシアインペリアルはGNソード]を折り畳んで収納した。まるで一陣の風が舞ったように、一瞬のうちの出来事だった。

 

「ミッションコンプリート。あとは任せたぞ、ロックオン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エクシアインペリアル。ミッションコンプリート!ミッションコンプリート!』

 

IS学園から離れた無人島にある巨大な岩石の林立する広野の一角、モスグリーンと朱に白を基調としたモビルスーツが岩壁を背に寝転がるような格好で上空を見据えていた。長距離支援狙撃型モビルスーツ、ガンダムデュナメスヴァルキュリア。手には長距離射撃用GNスナイパーライフル改を握っている。

肩の上には専用のポッドに収まっている独立AI式球形小型汎用マシン【ハロ】が合成声をあげた。

デュナメスヴァルキュリアのパイロットはというと、頭部と胴体部分を解除しているためその素顔を拝むことができた。

パイロットは外見からして中学生くらいの少女だった。しかもその眼は右に銀、左に金のオッドアイ。極めつけに流れるように鮮やかな白い髪。

さらにその背中には本来人には生えるはずのない、蝶のような羽根。地球外生命体【イオス】それが彼女、ロックオン・ストラトスだった。

 

「流石は雪羅。ここから見えないのが果てしなく残念だけどやっぱり格好いいんだろうね!」

 

もしもこの無人島に彼女以外の人間がいて、彼女の満足げな笑みを見た者がいたとしたら、きっと皆口を揃えて天使が舞い降りた。と言うに違いないだろう。

 

『ロックオン。IS学園に向けて無人機が向かっているわ、予定通り撃破をお願いね』

 

突如デュナメスヴァルキュリアにプトレマイオスよりスメラギからの通信が入る。それを聞いた直後、ロックオンはそれまでの笑みをかき消すと頭部と胴体部分を展開し、全身装甲のモビルスーツとなった。

 

「了解。行こうハロ、ヴァルキュリアと三代目ロックオン・ストラトスの初陣だよ!」

 

レーダーに無人機が数機引っかかったのを確認するとデュナメスヴァルキュリアは額にあるV字形センサーが下にスライドしてガンカメラモード用のカメラアイが現れる。ロックオンはGNスナイパーライフル改を構えて無人機にポインタを合わせる。そしてポインタが重なった直後、ロックオンは躊躇せずトリガーを引いた。

GNスナイパーライフル改から発射された光線は、寸分の狂いもなく無人機の心臓部つまりはISの【コア】があるであろう場所を撃ち貫いた。コアを破壊された無人機はそのまま海に落下していく。

ロックオンは静かに微笑む。突然の長距離からの射撃に、動揺の色が現れた。だが、二撃、三撃!デュナメスヴァルキュリアのGNスナイパーライフル改から放たれる弾は、的確に無人機を一機、また一機と海に落下させていく。

 

「デュナメスヴァルキュリア、目標を狙い撃つよ!」

 

続けざまにトリガーを引いていく

 

「四つ!五つ!六つ!」

 

次々と無人機が落とされていく。ものの五分とかからぬうちに、IS学園へと向かっていた無人機は一機残らずガンダムデュナメスヴァルキュリアによって撃ち落とされた。

望遠スコープから無人機の姿がなくなったことを確認したロックオンは、スコープシステムから顔を離し、ふぅ……と息を吐いた。

 

「ミッション、コンプリートです」

 

デュナメスヴァルキュリアのV字形センサーが元の位置に戻り、ガチリとはまった。

 

 

 

 

「……なんだったんだ、一体」

 

エクシアインペリアルとかいう機体のパイロットが無人機を単体撃破した後、IS学園に向かっていた無人機が数機いたはずなんだけどその全てがどこからか狙撃されて落とされた。多分このエクシアインペリアルのパイロットの仲間何だろう。顔は見えないけど氷みたいに冷たかった雰囲気が今は喜んでいる様な気がするし

 

「……何がおかしいんだ?織斑秋斗」

 

通信を繋いだままだったのでエクシアインペリアルのパイロットから音声が飛ばされる。どうやら僕がエクシアインペリアルを見ていたから不思議がったんだろう。

 

「え?いや、なんかさっきと雰囲気が違ってたから……」

 

「……ロックオン・ストラトス」

 

「へ?」

 

それまで僕たちに背を向けていたエクシアインペリアル……長いからエクシアにしておこう。がふいに僕たちの方に振り返る。

 

「あの狙撃は俺の仲間の一人、ロックオン・ストラトスのデュナメスヴァルキュリアのものだ」

 

ロックオン・ストラトス……?名前からして男性かな?少なくとも女性につけるような名前じゃないのは確かだし……

 

「そして、俺の恋人でもある」

 

へぇ〜恋人かぁ……………………………………………………ゑ?

 

「え?ロックオンって女なの?!」

 

このパイロットは声からして男性だろう。そしてロックオンという人は恋人、とすれば残された答えはただ一つ、そのロックオンが女性ということになる。でも名前からしててっきり男だと思っちゃってたよ!

 

「確かに先代たちは男性だが、今のロックオンはれっきとした女だ」

 

僕はこの時、先代という言葉に引っかかった。そういえばソレスタルビーイングってテストパイロットとかは基本コードネームが与えられるとかそう言う話を前に弾から聞いたことがある。あの初めて見るモビルスーツの事も考えるときっと彼はテストパイロットたちなんだろう。

 

『動くな!ソレスタルビーイング!』

 

キーンとハウリングが尾を引くその声は、打鉄に乗った自分の姉にして世界最強のIS乗りである織斑千冬のものだった。

辺りを見渡せば量産型IS打鉄とラファール・リヴァイヴ・カスタムUがそれぞれの獲物を握り締めた状態でエクシアを包囲していた。

 

『貴様は完全に包囲した。孤島にいる貴様の仲間もな、おとなしく武器をパージして投降しろ!』

 

打鉄の近接ブレードの切っ先をエクシアに向けながら千冬は殺気立てる。

それもそのはず、元よりISとモビルスーツは互いに敵視しあっている関係にある。今ある紛争区域の殆どがISとモビルスーツによるものであるのがその証拠となるであろう。

 

「ちょっ、待ってよ姉さん!この人たちは確かにソレスタルビーイングだけど僕たちを助けてくれたんだよ!?いくら敵だからってこんなの……」

 

『黙っていろ織斑。大方こいつらは借りを作って自分たちにとって有利な状況を作ろうと目論んでいるに違いない』

 

駄目だ。まるで話に聞く耳すらもってはくれない……この様子だと他のみんなもそうなんだろうか?唯一頼みの綱になりそうな山田先生も管制室にいるため力になってはくれないだろう。となると後は同じ助けて貰った鈴と箒の二人だけなんだけど……どっちも姉さんに勝てるはずがないよね。

 

「全く、相変わらず暴力的なところは変わらんな織斑」

 

そんな時、第二アリーナの中に僕ら以外の男性の声が響く。声のした方に振り向いてみるとそこには青年実業家を思わせる風貌をした男性がいた。

 

「っ!グラハム・エーカー……」

 

一体この人は誰なんだ?反応からして姉さんの知り合いみたいだけど……

 

「おっと、ここ(日本)ではMr.ブシドーと呼んで貰おうかね」

 

Mr.ブシドー……?あれ、なんだか聞き覚えのあるような名前だな……

 

「ふん、誰がそんな名で呼ぶものか」

 

「そうか……個人的には気に入ってるんだがね」

 

残念そうに肩をすくめるグラハム……Mr.ブシドー。

この人、見た感じ外人にしか見えないけど……武術でも嗜んでるのかな?なんとなく剣道をやってた昔の姉さんみたいな雰囲気を纏ってるし

 

「ッンン!つかぬことを聞くが今日は君のクラスに転入生がくるんじゃないか?」

 

そうだったかな?━━あぁ、そうだったかな?

 

「貴様、何故それを知っている?」

 

尚も険しい顔つきの姉さん。対して涼しい顔を貫くMr.ブシドー……一刻も早くこの場から逃げ出したいと願う僕は決して可笑しくないはずだ。むしろ当然の反応だと言えるだろう。現に教師たちも逃げ腰になりかけてるし

 

「何故かって?それは勿論━━」

 

一度発する言葉を中断してからグラハムさんはふいにエクシアの方を見てから

 

「━━そこのパイロットと孤島のパイロットがその転入生だと知っているからさ」

 

とんでもない爆弾を投下した。

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機動戦士ガンダムOO インフィニット・ストラトス オリジナルヒロイン 織斑弟 千冬は小物 アンチ対象千冬、束、放棄(誤字なわけが無い) オリジナル機体 

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