一刀の晋王転生録 第六章五話 |
姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:ケ 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第五話
「ケイ州の悲劇」
関羽達が出撃準備を追え、予定された時間まで待機していた時、それは起こった。
「た、大変でございます! そ、孫権軍がケイ州の我等の領土を制圧しているとの事!」
「なっ! 何だと!?」
関羽と鳳統は急いで事実関係を調べる。その結果、それが事実どころか自分達の居る樊以外は既に孫権軍に制圧されていた。
「な、何故今まで報告が無かったのだ!?」
制圧された領土の広さを考えると、明らかに攻撃を受けた後も報告がされていない。故に関羽の疑問は尤もなものである。
「ま、まさか……しょんな……」
鳳統はある仮説が思い浮かんだ。それは領土を守っていた者達は抵抗もせず、自ら差し出したのではと……その意味は一つしか無
かった。
(あの人達も……私達が気付かなかった国内の反乱因子だった)
そう、鳳統の仮説は当たっていた。差し出した彼等は蜀に対して不信感を持ち、孫権軍が攻めてきた時に、それを理由に抵抗もせず
あっさりと投降したのだ。故に伝令を送るといった事はしない。故に蜀に忠誠心を持つ者が守る領土が攻められるまで、一切の報告が
無かったのだ。
そしてこれが呂蒙と陸遜の策だった。二人は周泰や甘寧が率いる強力な隠密部隊の調べの元、ケイ州西を守るほとんどの者達が蜀に
対して不信感を募らせていることを暴く。そして彼等に対して圧倒的な兵数を見せながら攻めた。
二人の予想どうり伝令を出すことも無く、呆気なく投降。これをほとんどの領土で繰り返したのだ。
「雛里! 桃香様に今回の作戦は失敗だと伝えるぞ! いくらなんでも洛陽に向かっている間に成都を制圧されたなどあってはなら
ん!」
「っ!……仕方ありません……」
鳳統は心底悔しそうに同意する。確かにそのとうりなのだ。
彼女の同意を得た関羽は早速手紙をしたためる。内容は”孫権軍がケイ州に侵攻、晋との戦を止めてでも、急いでケイ州に援軍を求
める”と書く。
「よし! 桃香様の援軍が来るまで何としても持たせるのだ!」
関羽、鳳統は城に立てこもり篭城戦を開始した。
だが、どれだけ持ちこたえても劉備達が来ることは無かった。
(ぐっ……伝令は桃香様の所まで行けなかったのか……)
そうであろうと予想した関羽は最早これ以上待っても無意味と判断した。
「雛里……」
「分かっています。ここは強引に成都まで突破しましょう。その後どうするかは孫権軍の動向しだいという事で」
「うむ!」
二人は孫権軍を掻い潜り、成都に帰還しようとする。
(なっ!?)
しかし孫権軍はそれを読んでいたとばかりに素早く反応し、二人の軍を取り囲んだ。
「此処までです! 大人しくしなさい!」
呂蒙がそう言いながら二人の前に現れる。
「断る! 何故同盟を破った! 不義者が!」
「先にそのような行動を取ったのは貴方達です! 領土通過の拒否の事、もうお忘れですか!」
「くっ……」
関羽俯き、何も言い出せなくなる。
「大人しくしないと言うのであれば仕方ありませんね。関羽! 鳳統! ここで何としても討ちます」
呂蒙の指示の下、孫権軍は一気に攻撃を仕掛ける。
関羽は一騎当千の猛将。簡単に討たれることは無く、次々と孫権軍を斬り伏せて行く。
「う……あ……」
「雛里ぃ!」
しかし、鳳統は知将。このような状態になってしまっては知力は役に立てず、武力を持たない彼女は程なくして討たれてしまった。
「後は貴方だけです! 関羽!」
「呂蒙! 貴様を打って、何としてもこの事を桃香様に伝える!」
関羽は呂蒙に一直線に向かった。
「くっ!」
関羽相手では呂蒙は苦戦を強いられていく。
(やはり、彼女は危険過ぎます。このまま逃がしてはならない! たとえ刺し違えてでも!)
呂蒙は関羽を討つため命を捨てた。
「う……が!……」
呂蒙の身体は関羽の放つ刃に貫かれる。
「な!……うぐ……」
だが、それでも呂蒙は少しも攻撃を緩めず、短剣にて関羽の急所を突いた。
(や、やりました……穏様……後は頼みます)
自分に課した使命をやり終えた呂蒙は満足感を得て、この世を去る。
(どう、して……こうなって……しまった)
関羽は身体が崩れ落ちながらその理由を考えた。
そもそものこの戦の原因はなんだったか、それはやはりあの時、彼女達の要求を断ったのがそうであろう。そして呂蒙はこれを不義
者のする事だと言った。
(あ……)
関羽は不義を嫌っている。なのに何故そう言われてしまったのか、その答えは一つだけだった。
(間違っていた……やはり我等は間違っていた……道を間違えたのだ……)
だからこそ、主を欺くことになるまでに発展したのだと彼女は思った。
そこで、かつて一刀に言われた事を思い出す。何も考えずにただ突っ込んでいく……考え方一つで道を間違える事もある。
自分達は劉備に天下を取らせることだけで何も考えず、その結果、道を間違えた。まさしく彼の忠告どうりだった。
(朱里……気付いてくれ……このままでは……国が滅ぶ……気付いて……)
今の彼女に出来ることは、願い、祈る事だけだった。
呂蒙とは逆に、関羽は無念を抱き、この世を去った。
ケイ州の全てを領地にする事に成功した孫権軍は、尤も大きい領土を持つ国を持つ実績を持つ者をして王を名乗った。その名は呉王。
それが蜀領内に伝わったことで、留守を預かる厳顔がケイ州が奪われ、関羽と鳳統が討ち死にしたことを知る事になった。
すぐに晋と戦っている劉備に知らせるよう伝令を向かわせる。関羽と鳳統の死を知った劉備は激しく動揺した。
「う、嘘……嘘だよ!」
正常な思考を失った彼女は、勝利が約束された状況であるにも関わらず、事実関係を確認するために総撤退を指示する。
最初は抗議しようとした諸葛亮だったが、関羽と友である鳳統の死を聞かされ、すぐに劉備に賛同し、撤退を兵達に指示した。
帰還した劉備に待っていたのは、関羽と鳳統の死が事実である事だった。
「あ、ああああぁぁぁぁ!」
劉備の絶叫が城中に響いた。
説明 | ||
ケイ州で準備を終え、時が来るまで待機していた関羽達。だが、そこに孫権軍の牙が迫っていた。 | ||
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コメント | ||
この蜀は他のSSのなかの暴走蜀軍でも 結構ひどい方になるな、、、 仲間意識するない気するぞ、、? 張飛は食べ過ぎが仇になって死ぬのかな?(qisheng) 関羽と鳳統の最期については哀れ、としか言いようがないです…。劉備が不義を働かなければこのような事にはならなかったのに。ですが、呂蒙だけは救いがある様な最後でしたね…。(ふかやん) コメントありがとうございます。気になっている方々、申し訳ございませんが次は魏軍がどうなったかになります。もう少しお待ちを。(k3) 今の蜀に不信感を持つ反乱分子は思ったよりも多いようですね。朱里が気付いてない反乱分子がまだ潜んでいるのでしょう。ということは、やはり張飛も史実通りに・・・。(flamme) 朱里、愛沙が死んでも動揺しないのに雛里が死ぬと動揺するのか。仲間意識が低いな(ohatiyo) あーこれは劉備自ら呉に攻め入る流れですわ。 蜀の終わりの始まり・・・かな?(M.N.F.) 因果は巡る。巡り続ける。以前に行った不義が巡って荊州を失い、義将関羽が鳳雛を伴い無念のままに散った。そして今度は皇帝を僭称した不忠の報いが、忠を抱く義妹へと巡り来るであろう。自身については兵を捨て駒とした不仁の報いであろうか?(h995) |
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