第五章 それぞれの想い
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「な…何で?」

 

「あなた方がここに?」

 

ミノルとアキラは2人を見て驚きを隠せなかった。

 

「その前に、あなた方に会わせたい人が玉座に座っています」

 

「会わせたい人?」

 

二人が見たのは、玉座の椅子に座っている少女がいた。

 

その少女はまるで冷たく、悲しい目をしていた。

 

「は…はじめまして…私は董卓と申します…」

 

「「えっ!?」」

 

董卓の名を聞いた二人は驚いた。

 

「董卓ってあの!!」

 

「悪逆非道と呼ば…」

 

「違う!!」

 

アキラの喋っている途中に、董卓と名乗る少女の隣にいた眼鏡をかけた少女がアキラに怒鳴った。

 

「月はそんな事する訳がない!ふざけた事を言わないで!!」

 

そう言って少女はアキラの前に立ち、彼の胸倉を掴んだ。

 

「詠ちゃん!止めて」

 

玉座から立ち上がって董卓が叫ぶ。

 

「でも!」

 

詠という少女は必死な顔で振り向く。

 

「嬢ちゃん!落ち着いて!!」

 

ミノルはそう言って詠を止めた。

 

「俺の弟が無礼な事を言って申し訳がない」

 

そう言ってミノルは彼女に頭を下げた。

 

「兄さん…」

 

頭を上げ、ミノルは眼鏡をかけている少女を見た。

 

「ついでと言って悪いが、君の名は?」

 

「ボクは賈駆(かく)」

 

「うちの名は張遼!董卓軍の客将や」

 

「華雄だ…」

 

「‥‥‥呂布…セキトの事ありがとう」

 

玉座の間にいた女性陣がそれぞれ自己紹介をした。

 

「アンタ達は?」

 

二人にそう言って腕を組む賈駆。

 

「僕はアキラ」

 

「俺はミノル、アキラの兄だ」

 

二人は軽く自己紹介をした。するとコーウェイとシーナが二人の前に立った。

 

「皆さん、ミノル様が『紅き戦人』で、」

 

「アキラ様が『蒼き戦人』でございます」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

玉座の人間全員が驚いた。しかし、何故かミノルとアキラも驚いている。

 

「えっ?何その『紅き戦人』って?」

 

「自分も『蒼き戦人』って意味が全く…」

 

紅き戦人と蒼き戦人という言葉に見覚えが全く無い2人

 

「おや、知らないのですか?」

 

「もう大陸中に轟いている名でございますから」

 

シーナの言葉にポカーンとする二人。

 

「天の遣いではなく別の名で轟いているとは…」

 

「予想外だった…」

 

そう言って頭を抱える2人に賈駆がある質問が飛び出した。

 

「質問なんだけど…言い伝えだと2人の剣から炎やら稲妻が出るって言うけど、本当に出せるの?」

 

「ああ…でも今は封印してるから…」

 

「つまりいざ戦う時にその封印を解く訳ね」

 

「わかりやすく言えばそうです」

 

ミノルとアキラは賈駆の質問に簡潔に説明した。

 

ミノルとアキラ、そして董卓達の自己紹介はこうして終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜客室〜

 

辺りは少し日が沈み、暗くなったとき…そこには夕飯を済ましたミノルとアキラ、コーウェンとシーナがイスに座っていた。

 

ミノルとアキラは今までの事を二人に話した。

 

「我々は…シーナと一緒に倉庫の整理をしていて」

 

「いきなり目の前が真っ白になって、気がついたら玉座に…」

 

「「・・・・・・」」

 

二人はコーウェンとシーナの話を聞いているが何故か二人はイライラしていた。

 

「なあ…聞いていいですか?」

 

眉をぴくぴくしながら手を上げるアキラ。

 

「何でしょう?」

 

何か不自然なことでも言ったかなと思ったコーウェンが返事をする。

 

「多分…兄さんと同じ事だと思うけど?」

 

そう言ってゆっくりと視線をミノルに向けるアキラ。

 

「ああ…一つ言っていいか?」

 

「はい?」

 

シーナは相変わらず笑顔で返事をする。そして、ミノルとアキラは二人に指を指した。

 

「「何で二人は若返ってんの!!??」」

 

普段見ているコーウェンとシーナが若返っている事をビシッと指摘するミノルとアキラにポカーンとするコーウェンとシーナ。

 

「俺が知っているコーウェイは白いひげを生やした、頑固ジジイだったのに…」

 

ミノルは魔界での彼の容姿やら性格をぶちまけた。

 

「シーナさんはそのコーウェイさんの奥さんで、苦労人だったのに…」

 

アキラはミノルとは少し控えめで言い、その二人の言葉に苦笑いするコーウェイとシーナ。

 

「自分…頑固でしたかな?」

 

苦笑いしながら頭を掻くコーウェンにうんうんと頷くシーナ。

 

「ええ…頑固の塊でした…でもそれも含めて私はあなたを愛しています」

 

とても甘く、大人の愛を感じるような台詞を言うシーナにコーウェンはシーナを見る。

 

「シーナ…君は本当に綺麗だ」

 

「あなた…」

 

顔を紅くしながらお互い手を繋ぎ、顔を近付けマウスTOマウス、口付け、キスをするこの夫婦。

 

「あんた等…」

 

「王の私達の前で、堂々とキスしないで下さい」

 

そんなメロメロオーラを出している二人に、半分キレ気味で言うミノルとアキラ。

 

「「すみません…」」

 

さすがに自重し、深々と謝罪するコーウェンとシーナであった。

 

 

 

 

「では…本題に入ろう」

 

ミノルの一言で辺りは一変、静かな感じになった。

 

「今、董卓殿は悪政で民を苦しめる暴君として世間に広まっているらしいのですが」

 

「えっ!洛陽ではあんなに平和なのに?」

 

コーウェンの言葉に驚くミノル。それもそのはず自分達がいるここ洛陽は活気があって悪政の『あ』の字

がつかないほどの平和だったからだ。

 

「そう偽の噂だからです。そしてその暴君を倒さんとする連合軍が結成されたのこと」

 

「まあ俺達が知っている三国志と展開が同じだが…事情が180度違うな」

 

ミノルは少し重い顔をしながら立ち上がる。

 

「虎牢関の戦い…総大将袁紹を筆頭に結成された連合軍、確か劉備・曹操・孫策もその連合軍に参加している…」

 

「嘘の話だけで集まるとは…苦々しいモノですね」

 

アキラの言葉にコーウェンが苦い顔をして言う。

 

「でも酷い話ですね…彼女が董卓だからといって討ち入ってくるなんて…民のことも考えている優しい女の子なのに…」

 

シーナの一言に一同は黙り込む。するとその中の一人が挙手をした。

 

「僕の提案だけど…」

 

挙手をしたのは真剣な顔をしているアキラだった。

 

「何だ?」

 

ミノルはアキラの真剣な態度に応えるかのようにミノルも真剣な顔をする。

 

「僕達四人、董卓軍に入るっていうのは?」

 

「「「えっ???」」」

 

アキラの言葉に驚く三人。

 

「彼女は悪くないし噂だけで、しかも嘘だらけの噂のために彼女が死んでハッピーエンドってのは間違ってる…それに…」

 

そう言いながら顔を下に俯くアキラ。

 

「それに?」

 

コーウェンが返すと、アキラが少し恥ずかしそうな様子で口を開く。

 

「それに…あんな悲しい目をした彼女を…魔王として、騎士団長としてではなく…一人の男としてほっとけないし…」

 

アキラは赤い顔をしながら言った。

 

『あ〜あいつ…董卓ちゃんの事…』

 

アキラの心中を察したミノルがアキラの肩をたたく。

 

「俺も賛成だ」

 

「兄さん!!」

 

ミノルの同意に少し驚くアキラ。

 

「確かに…目の前にあんな弱々しい彼女を見捨てるわけには行かないし、それに…弟の決意と覚悟、兄として応援しないとな?」

 

「兄さん…」

 

ミノルの言葉に安心した顔になるアキラ。

 

「それじゃあ私たちも…」

 

「参加しますか」

 

コーウェンとシーナもアキラの提案に賛同した。

 

「ありがとう…」

 

こうして四人は董卓軍に入る事になった。

 

 

 

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ミノル達一同は話を終え、辺りは暗く、月の光で少し明るかった。アキラは今、屋敷の廊下を歩いていた。

 

すると…

 

「「あっ…」」

 

アキラの前に董卓とバッタリ会った。

 

「どうも…」

 

「こちらこそ…」

 

2人は落ち着いた様子で挨拶を交わす。

 

「あの…どちらに?」

 

「いえ…ただここを歩いていただけなので…董卓殿は何用で?」

 

「私は…自分の部屋に…」

 

董卓の言葉に『今だ』と思ったアキラ。

 

「自分は御暇なので、一緒に歩いてお部屋までお話でもよろしいですか?」

 

少し覚悟を決めた感じで董卓に言うアキラ。

 

「ええ…いいですよ」

 

『よし!やったぞ僕』

 

笑顔で返事をする董卓にアキラの心中は活気になりつつあった。

 

 

そして2人は並んで屋敷の廊下を歩いていた。

 

「詠ちゃんから聞きました…その…我が軍に入るって」

 

「はい…話し合って決めました」

 

真剣な顔で話すアキラ、すると少し暗い顔をした董卓が立ち止まる。

 

「すみません…迷惑ですよね…」

 

「そんな事はありません!」

 

董卓の弱気の発言に強く反発するアキラ。

 

「目の前の困っている人を助ける、たとえ暴君と呼ばれた少女を庇って何言われようと関係ない」

 

そう言って真剣な眼差しで月を見るアキラ。

 

「僕はあなたを守るためなら蒼き戦人という正義の味方の看板いや、自分の全て捨てる覚悟がある、だから…もう悲しまないで下さい」

 

「アキラさん、ありがとう…ございます」

 

目に涙を溜めながら董卓が言うと、アキラがそっと彼女に持っていた手拭いを出した。

 

「だから…そんな悲しい目をしないでください、貴方は決して悪くないのだから」

 

「はい…」

 

董卓は涙を拭いて2人は再び歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて…と、部屋に戻って作戦考えないと」

 

賈駆は廊下で考え事をしながら部屋に戻ろうとした時だった。

 

「よっ!」

 

「あんたは確か…紅き戦人」

 

「それは止めてくれ、俺にはミノルという名前がある」

 

賈駆がミノルに言った紅き戦人にミノルがつっこむ。

 

「それで…何の用?」

 

「いや…偶然会ったから挨拶しただけだ」

 

「あっそ…」

 

そう言って賈駆がミノルを避けて通る。

 

「おいおい…何か悪い事したか?」

 

苦笑いしながら賈駆の横で歩きながら話すミノル。

 

「別に何でも…」

 

無愛想に話しがら賈駆が歩いていると、足をつまずきそうになった。

 

「あぶない!」

 

そう言ってミノルが彼女の手を掴むが、つられてミノルもつまずいて2人共々倒れてしまった。

 

「「!?」」

 

ミノルは地面を両手でついて倒れるのを防いだが、倒れた賈駆とミノルの顔がかなり近かった。

 

傍から見ればミノルが賈駆を押し倒しているように見える。

 

「だ…大丈夫か?」

 

恐る恐るミノルが聞くと、賈駆がぶるぶると震えだし、そして…

 

「嫌ぁーーーーーーー!!!」

 

「バキュ!?」

 

頬を真っ赤にしながらミノルの顔に右ストレートを決めミノルが少し体が起き、その隙に賈駆がミノルから距離をとった。

 

「ななな何強姦しようとしてるのよこの変態!」

 

「誤解だ!落ち着けって!!」

 

殴られた箇所に手を当てながら賈駆を説得するもかなり混乱しているため、全く聞いていない。

 

『意外と可愛いんだな(笑)』

 

でもミノルは心中こう思っていた。

 

 

 

 

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数分後…何とか落ち着きを取り戻した賈駆だったが、ミノルと離れて歩いていた。

 

「なあ…ゴメンってば〜」

 

「うるさいな…来ないでよ!ド○○ポ野郎」

 

「コラ!女の子がそんなこと言っちゃいけません!!」

 

賈駆の暴言にミノルがお父さん口調でつっこむ。

 

「まったく…本当にアンタみたいな変態男が紅き戦人なのか信じられなくなったよ」

 

「酷いな…」

 

「でも月(ゆえ)のために戦ってくれるのは嬉しいけど…」

 

「月?」

 

賈駆の発した月という名前に疑問に思ったミノルが口にした。

 

「真名(まな)だよ…董卓の」

 

「真名?」

 

「自分が認める親しい人物に教える名前の事だよ」

 

「ああ…そういえばお前の真名は確か…」

 

「言わんでいい!!」

 

「ウボッ!?」

 

ミノルが言いかけたその瞬間、賈駆の回し蹴りがミノルの腹に直撃した。

 

「うぐぐ…暴力は無いんじゃないのか?」

 

「うるさい!」

 

そう言って再び歩き出す賈駆とその後を腹をおさえながらついて行くミノル。

 

「まあ話は戻すけど…本当にいいの?」

 

「何が?」

 

「あんた達がこの軍に入っても何の得に…」

 

賈駆が言っている途中にミノルが賈駆を追い抜いて立ち止まった。

 

「別に俺達は得とか考えてねえよ。困っている人を助ける、たとえそれが悪徳非道と汚名をつけられた彼女は困っている少女…まあ人を助けるのに理由はいらないがな」

 

ミノルがそう言って賈駆の方を見る。

 

「だから…信じてくれ、俺達を」

 

少し穏やかな顔で話すミノルに賈駆はミノルの横に並んだ。だが距離は近かった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「あっ…」」」」

 

董卓と賈駆の部屋の前で4人が立ち止まった。そう2人の部屋は隣同士だった。

 

「よ〜アキラ、お邪魔だったかな?」

 

口元をニヤニヤさせながらミノルが言うとアキラと董卓は顔を少し赤らめた。そしてミノルの横にいた賈駆それを見て瞬時にミノルの足を踏んだ。

 

「痛っ!ちょ!!何で!?」

 

「何ニヤニヤしながら変な事言ってんのよ!ド変態!!」

 

「おちょくっただけだ、本気にするなって」

 

「本気になるよ!変態の顔したあんたは特にね!」

 

「変態という言葉から離れろや!」

 

ミノルと賈駆の口論を見て董卓とアキラがクスクスと笑った。

 

「仲いいね…」

 

「本当ですね…」

 

「「どこが!!」」

 

アキラと董卓の言葉にミノルと賈駆さ同時に反論した。

 

 

 

部屋の前でミノルとアキラと別れた2人はそれぞれの部屋に入った。

 

「シ水関が突破されたとなると、もうすぐ…」

 

賈駆は自分の部屋で次の戦いの策を考えていた。

 

『コンコン』

 

すると部屋のドアをノックする音が聞こえた。

 

「はい…誰?」

 

彼女がドアを開けるとそこには寝巻き姿の董卓が立っていた。

 

「月!?どうしたの」

 

「少し眠れなくて…いいかな?」

 

「うん…いいけど」

 

そう言って董卓を部屋に入れお茶を淹れる賈駆。

 

「どうしたのこんな夜に」

 

お茶を董卓の前に置いて賈駆も席につく。

 

「うん…その…」

 

顔を少し赤らめ、もじもじを指を動かす董卓。

 

「アキラさんの事なんだけど…」

 

「アキラ?ああ…あの男(バカ)の弟?」

 

そう言って茶を飲む賈駆。

 

「そいつがどうしたの」

 

「うん…その…さっき廊下で会って、色々話してね…あの人真剣な顔で言ったの、私を守るためなら、自分の全て捨てる覚悟があるって…」

 

そう言ってさらに顔を赤らめる董卓に賈駆がある事に気づき、口を開いた。

 

「月、もしかしてそのアキラって奴のこと好きになった?」

 

「・・・・」

 

無言で首を縦に振って、黙り込む董卓はごまかすような態度で賈駆にある事を聞いてみた。

 

「そういえば…詠ちゃんはアキラさんのお兄さんの事どう思ってるの?」

 

「はぁ!まさか月、ボクがあいつの事気になってると思ってるの?」

 

驚いた様子で返す賈駆に董卓は少し驚いた。

 

「え?さっきはあんなに仲良く口喧嘩したのに?」

 

「ボクはミノルと仲良くなったつもりは微塵も…」

 

賈駆の言葉に董卓がクスッと笑った。

 

「私はミノルさんって一言も言ってないけど?」

 

「///!!」

 

董卓のはったりに賈駆が顔を真っ赤にして驚いた。

 

「やっぱり好きなんだ?」

 

「・・・」

 

董卓に事実を突かれて手をモジモジしながら無言になる賈駆。

 

「ごめんね…それじゃあ私寝るね」

 

「えっ!あ、うん」

 

驚いた様子で賈駆が返事し、董卓は部屋を出た。

 

「ボクが…アイツの事…」

 

そう言いながら自分の胸に手を当て目を瞑る賈駆は一瞬笑顔のミノルが脳裏に映った。

 

『!?』

 

すると、自分の胸の鼓動がどんどん高鳴っているのに気がついた賈駆は顔を赤らめたのだった。

 

説明
イナイレGOギャラクシーの九坂と森村のカップリングに超ド級にハマってます!

だって試合中に告白って…アニメで久しぶりに男気があるキャラを見た。

すみません関係ない話をして…それではどうぞ〜
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