キリトとデュオは別の街に行くため、列車に乗り込んだ。

２人は適当な席を見つけて、そこに座る。

キリトは窓の外を眺め、デュオは銃弾を詰めていると、ガラガラの車内に、カートを押した老婆が入ってきた。

老婆「車内販売はいかがですか〜？」

入ってきたのは、列車内で武具以外を売ってくれる、車内販売員である。

それを見たデュオは、銃を腰のホルスターに戻してキリトに訊く。

デュオ「俺、何か買ってくるけどキリトはどうする？」

キリト「じゃあ、食い物を頼む」

デュオ「了解」

デュオは席を離れると、車内販売員の老婆からハンバーガーを２つと、現実のものとよく似た新聞を買った。

デュオ「ほらよ」

デュオは買ってきたハンバーガーを１つキリトに手渡す。

キリト「サンキュー」

キリトはお礼を言ってそれを受け取ると、包み紙を開いてガツガツと頬張り始める。

デュオもそれに続いて、ハンバーガーを食べ始めた。

キリト「ところで、それなんだ？」

キリトはハンバーガーを頬張りながら、デュオの持つ丸められた紙を指差す。

デュオ「新聞だよ。少しでも情報収集しておきたいからな」

デュオは、新聞を片手で乱暴に広げ、それを読み始めた。

そして、ある記事に目を止める。

デュオはそれをなんとなく声に出して読んだ。

デュオ「?フォルス街の新たな歌姫?。歌姫とは、何かの宗教団体か？ご親切に写真まで・・・」

デュオはそこに記載されていた写真を見て固まった。

キリト「どうしたんだ？」

デュオ「アスナだ・・・」

キリト「なにっ・・・！？」

目を丸くするデュオから、キリトは乱暴に新聞を引っ手繰ると、その記事を凝視する。

記事の文章の右側に掲載された写真。

そこに写っていたのは、白い修道服のようなものに身を包んだアスナの姿だった。

頭にはフードの代わりに、ティアラを被っている。

驚愕のあまり硬直し、キリトは口をパクパクさせて呟く。

キリト「なんで、アスナが・・・？」

デュオ「さぁな。ただ、本人に直接聞いた方が早いんじゃないか？」

キリト「どういうことだ・・・？」

その時、キィィィ、という音を立てて列車がブレーキを掛ける。

デュオ「ちょうど今到着したのが、そのフォルス街だ。」

デュオがそう言った直後、列車が完全に停車した。

列車から降りると、今にも飛び出してしまいそうなキリトに、デュオが冷静に訊ねる。

デュオ「キリト、新聞に【フォルス大聖堂】って言うのがどこか記載してないか？」

キリトは、急いで先程見ていた記事を再確認。

そして、記事の一番下に駅から聖堂までの簡略地図を見つけた。

キリト「ここから北西に３ｋｍ行ったところだ！」

デュオ「よし、行くぞ」

新聞を投げ捨て、２人は走り出す。

入り組んだ街中を、２人は風のように走り抜ける。

駅から出て少し行くと、すぐにドーム型の大きな建造物が見えてきた。

デュオ「あれだな。」

キリト「・・・」

デュオの言葉にも答えず、キリトはただ猛然と走り続ける。

その時、突然２人の前に黒い穴が出現する。

そこから湧き出してきたのは、奇妙なモンスターだった。

四肢や頭など、基本的な形状は人間と同じだが、全身が継ぎ接ぎだらけの麻袋に包まれており、壊れかけのブリキ人形のようなカタカタとした動きが、その奇怪さを際立たせている。

右手を思わしき部分に接続されている所々に血や錆の付着した無骨な鉄の曲刀は、大きな刃毀れが目立っていて斬るというより叩き潰して断つというようになっている。

キリト「邪魔だ！！」

キリトは大群目掛けて突進していき、デュオもそれに続く。

奇怪人形たちは、突進してきた２人を見て、一斉に飛びかかってきた。

キリト「ぜあぁぁぁ・・・！！」

抜剣したキリトは、飛んでくる人形を次々と切り裂いて駆けていく。

後に続くデュオは、キリトが捌き切れない敵を銃で撃ち落とし、落ちてきた人形を斬る。

デュオ「ぜいっ！！はぁっ！せあぁぁぁ！！」

ＨＰを吹き飛ばされた人形は、水風船の弾けるが如くその身を破裂させる。

キリト「退けぇぇぇ・・・！！」

なおも行く手を阻もうとする人形に、キリトが怒りの声を上げて突っ込む。

建物の壁を走って駆け上がったキリトは、自分より下にいる敵を踏み台に敵陣を飛び越えていく。

デュオ「ぜりやぁぁぁ・・・！！」

キリトに踏み落とされた奇怪人形は、下を斬り抜けているデュオが一刀両断し、デュオの体術で叩き上げられた人形が再びキリトの足場となる。

こうして敵を殲滅した２人は、武器を背に戻しながら、大聖堂に向かって駆け抜けていった。