仮面ライダーオーズ×ポケットモンスター 氷の中で燃える炎・欠ける虹 8話 |
建物が凍りつき、周りが冷気に包まれる
少し遠くから見ていたタケシ達の所までもその冷気を感じた
特に冷気を苦手とするアイリスが
――だがそんなことを一切関係ないと言わんばかりの目でタケシ達は彼を凝視していた
「フゥ……ッ!フゥ…ッ!」
「サトシ……!?」
サトシが変身する仮面ライダーオーズ・プトティラコンボ
その雰囲気はいつものサトシを知るものには異様な光景だった
『この力は同類…!』
『同類にして………敵!』
「グルァッッ!!」
プテラノドンヤミー達はプトティラ目掛けて走る
恐らく攻撃する為だろう
だが、プトティラは背部のエクスターナルフィンを展開させ、その羽ばたいた風圧で二匹のプテラノドンヤミーを吹き飛ばす
プテラノドンヤミー達は形勢を立て直そうと飛行を始める
それに続いてプトティラも飛翔…同じ土俵で戦うつもりだ
プテラノドンヤミー達は戸惑いながらもプトティラに攻撃をしようとする
その攻撃を打ち返すようにテイルディバイダーを尻尾状に変化させ、プテラノドンヤミー達に強烈な一撃を叩き込んだ
『グァアアア!!』
『ぬぅ…う…!』
「ゥウウウウ……ッ!」
『スキャニングチャージ!』
プテラノドンヤミー二匹は勢いよく地面に叩きつけられ、すぐには立てないほどのダメージを負う
再び地面に降りたプトティラはすかさずスキャニングチャージ
目に写ったプテラノドンヤミー♀に目掛けてワインドスティンガーを突き刺す
『ぐ…うう…』
「フンッ!!」
『くっ…!』
ワインドスティンガーを突き刺されたプテラノドンヤミー♀は抗うが、そこにエクスターナルフィンによる強烈な冷気により全身を凍らされた
その時、プテラノドンヤミー♂は身の危険を感じ離脱
そんなことを気に止めず、プトティラはワインドスティンガーをもとに戻し、テイルディバイダーで凍ったプテラノドンヤミー♀を砕いた
【ブラスティングフリーザ】は無情にも凍ったプテラノドンヤミー♀を 砕き、一枚のセルメダルに還元する
「フーッ…!フーッ…!」
『!?』
だがそれで終わりではない
プトティラはプテラノドンヤミー♂に標的を変え、腕を地面に突き刺す
地面から紫の光が光り、引き抜いた時に手に持っていたのはティラノサウルスの頭を模した斧…メダガブリュー
先程出てきたセルメダルをメダガブリューに装填し、ティラノサウルスの頭部を押し倒し、エネルギーを圧縮させる
プトティラはメダガブリューをアックスモードからバズーカモードに変形させ、プテラノドンヤミー♂に銃口を向けた
『ガブッ!ゴックン!』
『プットティラ〜ノヒッサーツ♪』
『ぐぅ…!?ぁあああああああ!!』
プテラノドンヤミー♂は避けることに間に合わず【ストレインドゥーム】を食らい、プテラノドンヤミー♀と同じ末路を辿った
???
「すっご…!」
「スパイシーなテイストだね…」
遠くから見ていたマサトとデントは驚きの声を上げていた
その迫力は凄まじく背筋が凍るほど…
だが一方でリトは顔をしかめていた
「……………」
「サトシ…?もう終わったんだから、元に戻っ…」
「!?ヤバイ、メッタン!」
一番近くにいる人物…ハルカは未だに変身解除していないプトティラに疑問を持ち、話しかける
だがリトはハルカの台詞が言い終わる前にメッタンに声をかけた
「――ガァアアアアアッッ!!」
「メッタ!!」
「えっ!?キャア!?」
声をかけるのとほぼ同時にプトティラはハルカ目掛けて走り出した
だがメッタンはラスターカノンを撃つ反動を使い、ハルカのもとへたどり着き、ハルカをつかんでその場を離れた
ハルカは突然のことに驚き、目を瞑る
ガァンッ!という何かが割れた音を聞き、再び目を開けると――先程まで自分がいた地面にプトティラがメダガブリューで割っていた
「サトシッ!?」
「あんた、ハルカに何てこと…」
「――グルァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!」
プトティラのやったことにタケシは驚き、カスミは非難の言葉をあげようとする
しかし、その声を書き消すかのような咆哮を上げながらプトティラはテイルディバイダーを使い、近くの建物を壊し始めた
「まずい…暴走だ…!!」
「暴走!?」
「早く止めないと……アイツ自信も危ない…!」
リトがプトティラの危険を察し、自分達の危険を感じとる
その一方、ピカチュウは主人の突然の行動に戸惑い、その場でオロオロとしてた
そんなことも気にせず、リオウ、ライライ、メッタンはそれぞれ波導弾、はかいこうせん、ラスターカノンをプトティラ目掛けて放つ
それらは全て命中……だがプトティラは全くの無傷だ
プトティラの厚いアーマーにはダメージが通っていない
「グガァアアアアア!!」
「ガウッ!」
「ファウ!」
「メッ…!」
さっきの攻撃の仕返しか、プトティラはテイルディバイダーでリオウを鞭を打つように打ち付け、ライライに冷気を放ち、メッタンにワインドスティンガーをぶつける
リオウ達はたった一撃でダウン
目の前の敵に値する者が倒れたことにより、次はリト達の所へ歩みだす
だがそこに黄色い影がプトティラの前を阻む
――ピカチュウだ
「ピカピ!!」
「ピカチュウ!?」
「あ…危ないよぉ!」
「ピカッ!ピカピピカッチュウ!!」
「……ぐ、グルルル…」
ヒカリはピカチュウの登場に驚き、マサトは叫ぶ
そんなことは無視してピカチュウは必死にプトティラに呼び掛ける
プトティラは頭を押さえて苦しそうにしている
しかし、プトティラは苦しみを振り払うようにメダガブリューをうえにあげる
「ぐ、グウウウウウウ…!!」
「ピカピ!!」
「グルァアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
「ピカチュウーーーー!!」
アイリスの叫び声がこだまする中……メダガブリューは振りかぶられた
――ピカチュウは目を瞑り、当てられる覚悟を決める
だが、ピカチュウに痛みはなかった
いや、あるのは何か…鳥の羽のような感触が頬にあることだけ
「ピ…?」
ゆっくり、ゆっくりと目を開く
そこには…
「…!………ッ!!」
「グルァ…!」
右腕を、赤い鳥を連想させるものに変化させ、メダガブリューを掴んでいる――リトがいた
しかも彼の目は…赤、黄、緑、白、青の色に不規則に点滅している
「――はぁ!」
「グルル!?」
リトはプトティラのみぞおちに蹴りをいれ、距離をとる
そして後ろを振り返り、ミミを、コンを、リオウ達を……寂しそうな目で見て、視線を前に戻した
「…ぉおおおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッッッ!!!!」
少しずつ声を張り上げ、最終的に獣に近い声をあげるリト
そして、それと同時に体がメダルに還元され、その姿を異形に変えていった
右腕は先程と同じ赤い鳥の腕
左腕は虎やチーターのような鋭い爪が装備されている
下半身は虫に近い物となり、腰には青いタコを連想させるマントが
胸部には頑丈そうな灰色に近い白い皮膚に変わる
そして頭部は……一言で言えば醜い形状をしていた
右側はタカをモチーフにしたものだが、左半分はライオンのような牙を持ち、昆虫のような複眼とクワガタの角の左側が生えている
それだけではなく、額の部分にはサイのような角、後頭部にはシャチの尾ひれの部分があった
複数の動物が混ざりあった姿……グリードを凌ぐモチーフを所持している
その腰に巻き付けられているベルトは金色のメダル部分があることから、この怪人はグリードなのだろう
合成獣(キメラ)形怪人………キメラグリードはその姿を表した
「ピチュ…ピ……!?」
「きゅっ…!?」
「ガッ…!?」
「ファウ!?」
「メェ……」
「「「……………」」」
姿を変えたリトに驚くミミ達
タケシ達に至っては声もでないらしい
「――ガァアアアアアッ!!」
『はっ!まさかここでやるとはなぁ?』
『しょうがないだろ、俺変身できないし』
『ならば俺を出せばよかっただろうが!!』
『やったとしてもぼろ負けするよね、ウヴァ?』
『ん〜?ウヴァ、頭悪い〜〜?』
『頭が悪いのはもとからよ、ガメル。それより、今やることは…』
新たな敵に興奮し、雄叫びをあげるプトティラ
その間にキメラグリードは元のリトの声を含めて六人の声で話していた
最後の女性的な声が喋っている途中でプトティラは駆け出した
『サトシを…止める!!』
『グルァ!!』
プトティラはなんの迷いもなく、一直線にメダガブリューを振るう
だが、それは左腕の爪に軌道をずらされ、不発に終わる
それだけではなく、キメラグリードはその場にしゃがみこみ、両腕をゴリラのように変化させる
そして脚の跳躍力を使ったラビットパンチを炸裂させた
「グルァ……!?」
『まだまだぁ!!』
『次は動きを止めさせて貰うわ』
先程のラビットパンチはかなり効いたらしく、プトティラは思わずメダガブリューを手放す
キメラグリードはまだ追い討ちをかけるらしく、腰のマントを蛸足のように変化させてプトティラの左右の腕を拘束
プトティラは苦し紛れに口から冷気を吐き出すが、キメラグリードの背から出てきた、鮮やかな鳥の翼から出る火炎弾によって相殺
一気に近づいたキメラグリードはオーズドライバーに手をかけ、ベルトを元の形に戻した
「うっ……あ…」
「サトシッ!」
変身解除され、サトシはその場に倒れかけ、気を失う
だが、そこにキメラグリードが支え、サトシを持ち上げた
キメラグリードはタケシ達の元にゆっくり移動しながら、その姿をリトに戻す
「……サトシをポケモンセンターにつれってってくれ。あと、……ミミ達も頼む」
「あっ、お、おい!リト!?」
「どこへ行くつもり!?」
「どこでもない、ただの散歩だよ……サトシが目を覚ましたら全部話すから…それまで散歩してる」
リトはチラリ、とミミ達の方向を見ながらサトシをタケシに渡す
そしてそのまま、森の方へと去っていった
――――――。
※ここから翻訳です
『…………』
『マスター…』
『何なんだっただよ、あの姿…』
『びっくりだよね…流石に』
約一時間後、タケシは気を失ったままのサトシをポケモンセンターに連れ込んだ
サトシはかなり体力を消耗しているらしく、今日の夜までは安静にして寝ていることとなった
一方、リトの旅に同行していたポケモン達はポケモンセンターの外で集まっている
そして意気消沈…当然だろう、今まで旅をしてきた仲間が人間ではなかったのだから
――たった一匹…リオウを除いて
『よぉ、テメェ等…何考えてる?』
『リオウ…』
『決まってるだろ、アイツが…リトが化け物だったことをだよ』
『でもさ、冷静だよね。リオウ、君何か知ってたりする?』
『まあな。俺がマスターと出会った時、俺はマスターから異様な波導を感じた』
『波導…って生き物全てにあるって言う?』
『ああ、それで俺はマスターを化け物扱いして追い出そうとしたさ…けど、あの人はこう言ったんだ『化け物が誰かを守っちゃいけないのか?』ってさ』
『あっ…』
リオウの言葉に下を向いていたミミが反応する
シンオウ地方に行った時のリトの言葉だからだ
『聞かれた時は正直困ったぜ。それにこうも思った、『この人は種族も何もかも無視して助けたいんだってな』
『…………』
『俺はマスターが何者か何てどうでもいい!元々ポケモンとトレーナーは別々の種族だ。それと何も変わりあるめぇ…それに』
『それ…に…?』
『――マスターは俺達を守ろうとしてあんな姿になったんだ。それなのに俺等はどんな顔してた?たぶん…ひでぇ顔だったろうぜ』
夕陽が沈む中、リトは岩の上でそれを見ていた
何も考えず、ただひたすらにそれを見ていた
「(…どんな顔すればいいんだろ?)」
【はっ!自業自得だろうが。あの姿を突然見て驚かん奴がいるとでも思ったか?】
【だから早く言えとあれほど…】
【ウヴァ、君そんなこと一度も言ったことないよね?実は虫頭じゃなくて鳥頭だったりして】
【メズール〜、ウヴァ、虫なのに鳥なのか〜?】
【忘れっぽいて言う意味よ。でも虫頭なのも間違いじゃないわ】
【貴様等ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
リトは後でどんな顔で帰ればいいか迷う
そんな彼の思考を読み取り、体の中の五つの別人格が話し出す
【…でも本当によかったの?あの子達のこと…】
「(いいさ、今まで黙ってたことの代償だし…それに、この戦いが終われば、俺はどのみちこの世界から出なくちゃいけないし)」
女性の人格がリトによかったのか尋ねる
一方のリトは、自分の気持ちを隠すように理由を述べる
――その時、草むらからミミ達が飛び出てきた
『『マスター!』』
『『リトッ!』』
「!お前ら…」
身体中土埃を被っていたミミ達は息を切らしている…相当探したのだろう
リトは彼女等に近づこうとするが、一瞬立ち止まり背を向けた
「……何で…ここに?」
『一言言いたいことがあってな。特にこの二匹が』
ライライは指を二匹…ミミとコンを指す
『マスター…。私、大丈夫…だよ?マスターが何であれ、マスターにかわりないよ。優しくて、大好きなマスターだから……私、平気っ!』
「でも……嫌だろ?あんなに、醜くて…怖くて…近づきたくもないだろ?」
『そんなことないもん!!』
リトの自虐の言葉に間髪いれる者がいた――それは…意外にもコン
リトは今までの旅の中で一番の大声を上げたコンに驚いた
『怖いっていうのは嘘じゃないよ!でも、でも近づきたくないとは思わないよ!今まで優しくしてくれて、一緒にご飯食べて、一緒に旅したりとを嫌いに何てならないよ!』
「コン…」
『一番辛いの…りとなのに、一番怖かったのりとなのに……おれ…おれぇ…っ!』
『グス……ますたぁ…っ』
コンとミミの目から大粒の涙が溢れる
――いつ自分の正体が知られるか、そのあと自分は拒絶されるのではないか
不安だったのだろう、辛かったのだろう……そう思い、泣いてしまった
いつの間にかリトはミミとコンを抱きしめていた
『俺達が言いたいこと全部言われちました』
『俺達は意思を変えるつもりはない』
『ま、そゆこと〜』
「……ありがとう」
『ふぇぇぇん…!』
『ずっと一緒…いっしょぉ…!』
「俺を受け入れてくれて、想ってくれて……ありがとう…!」
何時かは去らなければ行けないこの世界
それはこのポケモン達との別れを意味する
それでも、今は…今だけは……この時間を大切にしたい
今だけは、使命を忘れて……リトは泣いた
ちょっと今回は多めでしたか?XXXです
いやぁ…やっちゃいました、オリジナルグリード
実際全然オリジナルじゃないんですけどね
でもオリジナルと言い張りたい←おい
さて、ここ見てくれてくださる読者様に報告です
前回のあとがきで報告した後半編なんですけど実際には中盤編ですごめんなさい
あともうひとつ、次回は設定集です
ではでは
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