一刀の晋王転生録 第六章十話 |
姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:ケ 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第十話
「命の火計」
舞台は開戦直後にさかのぼる。
その時の呉軍は、お世辞にも士気が高いとはいえなかった。それも当然ではある。なにせ兵数は圧倒的に不利で、その上、陸遜の指
示は時が来るまで耐えろというものだったからだ。
しかし、彼女には勝利の確信があった。諸葛亮が居ない事や蜀軍の陣容。そこから導き出された策には絶対の自信があった。
ただ一つだけ危惧している事もある。それが将兵達の蜀軍への投降。
自信があるとは言え、彼等が次々と投降してしまえば関係無い。敗北が決定する。
そしてついにその時が訪れた。一つの部隊が蜀軍に投降したのだ。
しかしその時、予想もしなかった事が起きた。
「何!? 穏、それは本当か?」
「は、はい、確かです。どうやら劉備は投降した者達を皆殺しにしたと」
「なんと恐ろしい事を」
そう、呉軍への怒りと憎しみ動いている劉備にとって、投降した呉軍も滅ぼす対象だったのだ。投降した者達は有無を言わさず即刻
死刑にした。
この行動は、劉備にとって様々な意味での失態と言えた。
まずはこれで世間において、劉備自身の大徳が大幅に失われたという事。
「ですが、そのおかげで唯一危惧していた、呉の将兵達は投降する事は無くなりました。これで後は時が来るのを待つだけです」
そして戦略的な意味ではこれだ。おかげで陸遜にとって、呉軍にとって後顧の憂いが絶ったのだ。生き残りたいから投降したのに殺
されるとなってはその気が完全に失われる。さらに言えばこの戦から逃げ出そうにも、後は魏への亡命。だが長い間敵同士だった魏が
とてもでは無いが自分達を受け入れるとは思えない。つまり完全に逃げ場を失った事で、生き残るにはもう蜀軍に勝つしかないと開き
直るのだ。劉備は彼等を死刑にするにしても、せめて呉が何を企んでいるいるかを聞き出すべきだった。だが彼女はそれすらしなかっ
た。それほどまでに冷静さを失っている。
「そうか……では引き続き頼む。孫呉を勝利に導いてくれ」
「はい、了解です」
そして趙雲が成都から出た時までそれは続き、ついにその時が訪れる。
「! この風向き……ついに来ました! 思春さん、お願いします!」
「うむ、任せろ!」
甘寧は、陸遜に指定された場所に急いで向かう。
(そこに火を放てば、蜀軍は一網打尽という訳だな。なんとしても成功させる!)
目的地についた甘寧の部隊は藁などの良く燃える物を敷いて行く。その時、彼女の部隊が大量の矢を食らう。
「何!?」
甘寧が矢が放たれた方向を見ると、そこには黄忠と厳顔の部隊が居た。
彼女達が甘寧の動きに気付いたのは偶然だった。甘寧隊の動きから何をしようとしていたか理解し急いで来たのだ。そして辿り着い
た時にはすでに準備を始めていた。二人はすぐに矢での殲滅を指示したのだった。
甘寧隊は二人の部隊の矢により確実に討たれていく。だが、彼女は引かない。
(ここで引けば呉の敗北が決まる! なんとしても火計を成功させる!)
何と、彼女は矢を身体に受けながらも火計の準備を続ける。彼女の部下も蜀に目に物を見せようと彼女に続く。
「! 撃って! 急いで全ての兵を討つのよ!」
「何としても火計を防ぐのじゃ!」
黄忠、厳顔は慌てて矢を放ち続ける。だが、それでも甘寧達は止まらない。
「食らえぇ! これが……我等の最後の攻撃だぁー!」
生き残った甘寧とその部下達は一斉にその場で火を付けた。
火は一気に炎となり、蜀の陣営を燃やし尽くした。
当然、着火点にいた甘寧達は火に焼かれ全員が死亡。そして黄忠と厳顔もまた、急激な勢いの炎から逃げる事は叶わず、甘寧に道ず
れにされた形で死亡してしまった。
こうして蜀軍は壊滅的な被害を受けた。趙雲が夷陵の地に辿り着いたのはこの直後の事であった。
説明 | ||
趙雲が目にしたものは燃え盛る蜀に陣だった。一体どうしてそうなったのか、それには呉軍のある将が命を掛けた行動があった。 | ||
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コメント | ||
感情は判断を誤らせる罠、ということですね…王の愛は真に民のためにあるべきなのに、この劉備は…(Jack Tlam) コメントありがとうございます。連鎖はまだまだ続きます。最終的には……(k3) まさか厳顔まで………………………(ohatiyo) この外史は恋姫補正が消失して正史や演義とリンクしている一方、晋に味方した将のみ恋姫補正が付くという法則がありそうですね。本来ならまもなく病死する翠も、晋に付いている上に文鴦の役目を与えられているので死ぬことはないでしょうし。(h995) 死んだ英雄は…云々が御座いますが蜀の二老将軍と甘寧将軍とその恐らく名もなき配下、乱暴な言い方ですがどちらに”価値”があるのかは明白ですね(禁玉⇒金球) 三国の武将がガンガン死んでくぜ!どうなるか先がきになります!(nao) 璃々ちゃんに恨まれるぞ・・・(アーマイル) 勝利の策を成功させて散った甘寧と、火計も憎悪に狂った主君も止められずに散った黄忠と厳顔とでは、その心境は大分違うでしょうね。そして趙雲が、劉備が呉への憎悪から投降兵を皆殺しにしたと知ったら、どう思うのでしょうか・・・。(flamme) こ、これは・・・!「レッドクリフ」の再現ですか!?それにしても・・・璃々ちゃんは親なき子になっちゃいましたね…。これからどうなるのか不安です…。(ふかやん) |
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