【意味がわかると怖い話】元旦は命日
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 いや、今年の年末は帰省しないよ。

 帰りたいけど、帰れないんだ。そんな気分になれないし、向こうもまだ許してくれてないだろうし。そりゃ、俺だけが悪いんじゃないけどさ……。

 ああ、去年は帰省したよ。大晦日に車で。

 途中でディスカウントストアに寄って、ケースで外国産の瓶ビール買ったんだ。1ダースもあると、小瓶でも結構重いのな。車まで店員に運んでもらったよ。昔はそのくらい普通に運べたのに、体力落ちたよな。

 実家帰ったら、姉夫婦はもう来てた。姉も義兄も酒飲みだから、ビール見て喜んでさ。姉貴が一人でケース運ぶの見て、義兄と苦笑いしたっけ。

 俺の持ってったビールは冷えてないから、冷やしといて明日飲もうって話になってね。とりあえずケースの半分、冷蔵庫に入れた。なんでも真似したがる甥っ子が、両手で瓶抱えて手伝ってくれようとしてさ。それ見た親父とお袋が、でれでれの顔してた。

 元旦は朝から酒飲んで、みんないい感じで酔っぱらってた。

 酒が足りなくなったから、冷蔵庫開けて、冷やしといたビールを全部出した。俺が栓抜きで栓開けるの見て、また甥っ子が真似したがってさ。まだ言葉もろくにしゃべれないのに、賢い子だったよ。

 みんないい加減酔ってて、グラス出すのも面倒になってさ。みんな瓶からラッパ飲みになってさ。

 ――ああ、駄目だ。やっぱ思い出すときついわ。

 今度の元旦は一周忌になるんだよな。手を合わせに行きたいけど、未だに姉貴、俺の顔見ると発狂するんだよな……。

 

説明
俺が年末に帰省できない理由は……。さらっと短い小ネタです。
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ミステリー 短編 意味がわかると怖い話 

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