月と偽物と宅配便
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私は月が嫌いだ

 

 

 

 

 

 

ころころと形を変えて、時には消え、時には丸く、時には半分になる…そんな月が嫌いだ

 

 

 

 

 

 

私は月が嫌いだ

 

 

 

 

 

 

――大事なあの人を奪った……あの月が…

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北郷一刀

 

 

天の御使いであり、私の……何でしょうね?

下僕といえばいいのかしら?

それとも種馬?

節操なし?

 

……まぁ、私にとって重要な存在であったことは確か

そして恨む相手

私を覇者にして……そのあと消えてしまった

彼は私に恨まれるのは嬉しいと言っていた

…じゃあ他は?

 

彼の愛した者は?

妹分は?

部下は?

 

たぶん私と同じことを言うでしょうね

 

でも私はそれでも良かった……良かった…のよね…

 

後悔は……していない…

 

 

 

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「か……さ…ま…、華琳様!」

 

「ん……、桂花?ああ、寝てしまってたのね」

 

誰かに揺すられ、眠たそうな瞳をこする華琳

目に写ったのは…愛する者の一人、桂花

どうやら政務をしている最中に寝てしまったらしい

 

「最近お疲れのご様子でしたからね。三国同盟の一周年記念のあのぱーてぃーからご熱心に取り組んでいますよ」

 

「そうね、でもこれは約束なのよ。一刀との…ね」

 

「……北郷との約束はともかく、お体を休ませてください。無茶をすると体をお壊しになってしまいます」

 

「ふふ…分かっているわ」

 

一刀の名前が出てきた途端、一瞬嫌な…いや、これはわざとだろう

わざと顔をしかめているのだ

――思えば約一年前、一刀がいなくなってからは酷かった

ある者は部屋で泣きじゃくり

ある者は部屋にこもり

ある者は飲酒が酷くなり

ある者は仕事に集中出来なくなった

 

桂花の場合は一番最後。

誤字脱字が目立っていた

…華琳もそのぐらいの時もあったものだ

 

「失礼しますー」

 

「風?のっくをしなさいよ!」

 

「…何か用かしら?」

 

部屋に入ってきたのは風

頭の宝慧もいつも通りに…?

 

「いやですねー。ちょっとお話があるのですよー」

 

「私にかしら?」

 

「はいー。ちょっと話しづらいので場所を変えたいのですがー」

 

「いいでしょう。桂花、少し外の空気を吸ってきます」

 

「あ、分かりました…」

 

そう言って華琳と風は部屋を出た

桂花は終わっている資料を片付けるように椅子に座る

 

「はぁ……風はなに考えてんのよ、全く。こんなに忙しいのもあいつのせいよ!そう…いつもへらへらしてて…不細工で…ケダモノで………ああ、もうっ!!」

 

桂花は自分の感情に従い、机をバンッと叩く

その顔は何故か少し…朱色に染まっていた

 

「早く戻りなさいよ!あんた用の落とし穴作ってるんだから……ば一刀…」

 

最後の所はよく聞こえなかったが、桂花は頬を膨らませる

それと同時に、ドアからノックが聞こえた

 

「ひゃぁああ!?」

 

「失礼しますー……どうしました、桂花ちゃん?」

 

開かれた扉に立っていたのは…先程華琳と一緒に部屋を出た風だった

その顔はさっきと変わらない

 

「なっなななななあな何でもないわよ!ていうか風、あんた華琳様と一緒に部屋を出たはずじゃあ…」

 

「あー…そうなんですかー…実はですねー、さっき廊下で変な人を見つけましてー、その人が風の格好になって足はやに去っていったのですー」

 

「……………………………はぁ?」

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「どこまで連れていくのかしら?」

 

「もう少し先ですー」

 

華琳ともう一人の風は庭の奥に進んでいた

いい加減についてほしいと思っている所に、華琳が質問をする

 

「…ねぇ、目的の場所はどこ?」

 

「それはついてからのお楽しみですねー」

 

「そう…そんな場所になぜ私を連れて行こうとするのかしら?」

 

「それもついてからのお楽しみですねー」

 

「じゃあ……あなたは一体誰?」

 

「………………」

 

急に風の歩みが止まった

そして、振り返らずに聞き返した

 

「…何を言ってるのですかー?」

 

「あなたは部屋に入った時から、私と桂花の真名を呼ばなかった」

 

「!」

 

「それに、宝慧が左右対象じゃない」

 

「いやーこれは気分ですー」

「…それに、風は…いえ、私の部下は私をこんな所に来させはしない。ここは……一刀が消えた場所だから」

 

そう…ここは一刀がこの世界から消えた場所

華琳が月を嫌いになった場所だ

普通部下ならこんな場所には来させないだろう

 

「…七回目だな…」

 

「何がかしら?」

 

「お前がその台詞を言った回数だよ、曹操」

 

「……あら、私はそんなに言った覚えはないのだけど?」

 

風…いや、目の前の人物は先程とは違う声で、違う口調で話す

どうやら隠すのを止めたらしい

 

「あんたであって、あんたじゃないんだよ」

 

「訳がわからないわね。それよりも……答えよ!この曹孟徳になにようで近づいた!?返答次第では…斬る」

 

華琳も強めの口調で目の前の人物を脅す

その際、どこから取り出したのかわからない大鎌…絶を向けて

だが、人物は眉毛一つ動かさないで感心していた

 

「これも七回目だな。まあ、ようって言うのは…」

 

「華琳様〜〜〜〜〜!!!!」

 

人物が何かを言おうと口を開くが、途中でそれは途切れる

城の方から春蘭、秋蘭…いや、全ての軍師や武官がやって来た

 

「貴様ぁぁぁ……華琳様に何をしようとした!!?」

 

「落ち着け、姉者。……と言っても私も怒りがこみ上げてきているのだがな…!」

 

「春蘭、秋蘭!」

 

「おっ…これは意外だ。今までよりも少し早い」

 

武官は武器を構え、人物を威嚇する

だが、当の人物はどうとでもなるような表情をしていた

 

「あなたは何者ですか…?風と同じ姿をして…」

 

「もしかして風のお姉さんだったりしますー?」

 

「風様!今はふざけている場合では…」

 

「そうなの!目の前の偽物やろーをどうやってぎっちょん、ぎっちょんにしてやるかの問題なの!」

 

「いや…それとちゃうんやないか…?」

 

「まあ、ええわ……おい!おどれはなにもんや!妖術使いかなんかかぁ!?」

 

「んー…妖術使いってよりも…魔法使いかな?」

 

そう言って人物は指輪を取りだし、右指に嵌める

そして、どこにあったのか腰にある赤い手形の部分にかざした

 

〈ミラー!ナウ!〉

 

「こーんな感じの…ね?」

 

「「「!?」」」

 

「う、嘘!?」

 

「か、華琳様が二人!?」

 

かざした指輪を今度は華琳に向けると、なんと目の前に鏡のついた魔方陣が出現

鏡は華琳を写し出し、魔方陣を通り抜けた人物は今度は華琳の姿になった

 

「おのれ!風ならまだしも華琳様になるとは許せん!!正体を見せろ!!」

 

「はいはい、言われなくてもやりますよっと…」

 

〈ドライバーオン!ナウ!〉

 

人物は先程とは違う指輪をはめ、かざす

すると腰にベルトのようなものが現れた

そして人物は荒削りの指輪を右手に嵌める

 

〈シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!〉

 

「変身…!」

 

〈チェンジ!ナウ!〉

 

左手をかざし、人物の目の前に魔方陣が現れ、それを通り抜ける

――そこにはもう、別の姿の人物がいた

白いローブに身を包み、荒削りの仮面をした存在

 

白い魔法使いがそこにいた

 

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「やはり妖術使いか!かかれぇぇ!」

 

『はいはい、相手をしてやんよ』

〈デュープ!ナウ!〉

『俺と』

 

〈デュープ!ナウ!〉

 

『俺と』

 

〈デュープ!ナウ!〉

 

『俺が、ね?』

 

白い魔法使いはデュープを使い、その数を四人に増やす

そして増やされた三人が武官に立ち向かっていった

 

『さてと……用件忘れる所だった。曹操』

 

「…何かしら?」

 

 

 

『北郷一刀を取り戻したくないか?』

 

 

「!?」

 

華琳は思わず後ずさった

無理もない……得たいの知れない人物から北郷一刀の名前を出されるのだから

「…どういう意味かしら?」

 

『そのままの意味。取り戻したくないか?』

 

睨みながら白い魔法使いに質問し返す華琳

その心境はいかなるものか…

 

「…………………」

 

『もしかして迷ってる?こんな得たいの知れない奴の言葉だから?』

 

「迷ってなんか…」

 

『いないって?嘘だね。ビシッと決めるはずだぞ、曹操は。……じゃあ質問を変えよう。人間としての、王ではない一人の女の子としては北郷一刀を取り戻したくない?』

 

一瞬華琳の眉毛が動く

まるで待っていましたと言わんばかりの動き方だ

もしも白い魔法使いに口があったらニヤリと笑っているだろう

 

『あれれ?もしかして……期待した』

 

「…うるさいわね……」

 

『じゃあどうなんだよ。はいか、いいえか?』

「………………」

 

また沈黙……だがこの沈黙は何かを考えている沈黙だ

白い魔法使いもそれを感じて黙っている

 

「…仮に私が取り戻したいと言ったらどうするの?」

 

『ここに北郷一刀を呼び戻す』

 

「あなたにそれが…」

 

『できるさ。怪しさ全開のお兄さんにまかせなさい』

 

「……はぁ……はい、よ」

 

『ん?何だって?』

 

「…私は一刀を取り戻したい…そう言ってるの」

 

『ははははは!これも七回目だ!』

 

〈フォン!ナウ!〉

 

はい、と答えた華琳に高笑いしながら白い魔法使いは指輪をかざす

掌にある小型の魔方陣を耳があると思わしき場所に近づけ、話始めた

 

『あー、モシモシ司馬懿ぃー?そっちどう?』

 

『こっちはバッチリやってるわよ。縛り上げて特定の場所にやったわ』

 

『ほいほーい。んじゃあ、そろそろやるからじゃあねー」

 

『ええ、また』

 

プー、プーと言った音が鳴り、白い魔法使いは指輪を嵌め変える

 

『んじゃあ、白魔宅急便でーす』

 

〈サモン!ナウ!〉

 

「!これは…!?」

 

白い魔法使いの声と同時に指輪をかざす

すると白い魔法使いと華琳の間に魔方陣が現れ、そこからまばゆい光が溢れだした

 

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「……ん…?」

 

「……えっ…?」

 

光が収まり、声がする

それはとても懐かしい……とても恋しかった声

 

「華琳…?」

 

「…一…!」

 

『任務かんりょー…ってことで撤収な』

 

〈テレポート!ナウ!〉

 

白い魔法使いは成功したのを確認し、その場から消える

武官の相手をしていた白い魔法使いたちもだ

 

「…えっと……久し……ぶり…?」

 

「……まったく…久しぶりに会ったと思ったら随分と抜けたことを言うのね」

 

「いや、だって…さっき変な人が俺を縛ってリュックに荷物入れて…」

 

「どうでもいいわよそんなの」

 

「あっそ……で、恨んでた?」

 

「恨んでた」

 

「後悔は?」

 

「してた」

 

「華琳…」

 

「何?」

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「…馬鹿っ……お帰りなさい!」

 

そうして華琳は一刀の胸に飛び込む

それとほぼ同時に周りの桂花達もやってくる

 

 

今夜は満月らしいが……そんなに嫌いにはならなそうだ

 

 

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『ふぃー…っとあと何回だっけ、司馬懿?』

 

「三十四よ」

 

『うわー…まだそんなにかぁ…』

 

「しょうがないじゃない。それが私達の存在理由よ」

 

『休みぐらい欲しいんだけどさー』

 

「はいはい………ほら、次着くわよ」

 

『ほーい。んじゃあよろしくな』

 

「ええ、さっさと済ませるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも……XXXです

実は今風邪をひいてまして……後半部分纏まってないです

この小説の感想もなんですが、他の作品のコメントもどうぞ打ってください、お願いします

 

でわでわ

説明
正直言ってお遊びと思われるかもしれません…
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コメント
nakuさん 恐らく口調と性格と某紳士さん達の支持では?あとおもらs(ドスッ(XXX)
nakuさん ……ハチミツ…?(XXX)
『桃香』・・・・・か。(劉邦柾棟)
nakuさん 何か…………すんまそん…天然100%娘(XXX)
nakuさん 職務放棄…………だと?結構いそうなんで最初は戦闘狂で(XXX)
nakuさん えーーっとぉ………おーほっほっほ?後蓮華はメガ周瑜砲?(XXX)
nakuさん こェェェェェェェェェ!!!?てか、レンヴァザン、ナズェサイゴニイルンディス!?(XXX)
nakuさん 霞ェ……まあ確かに絶望しそうですけどね(XXX)
ファイズさん 前回のもしネネのあとがきに書いた通りオリジナルのものです。ただセンスが…(XXX)
nakuさん そっちじゃないっすよ!?…内心思ったけど(XXX)
ほとんど聞いたことない指輪もあるけどそれはオリジナル?(ファイズ)
ゴーレムさん カンロザン、ナニイテンダアンタイッタイ!?(XXX)
管路「・・・・・・・いい子と考えた♪」ニヤリ(ゴーレム参式)
劉邦さん ありがとうございます。ほんと批判されるんじゃないかってびくびくしてたんですよ(XXX)
良いですね〜。 こういうの大好きです。(劉邦柾棟)
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