英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 外伝〜不審商人の調査〜中篇(後半)
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〜アルモリカ村〜

 

ロイド達がデリックを見つけると、デリックはミンネスと会話をしていた。

「しまった……もう取引きを終えたのか……!?」

それを見たロイドは表情を厳しくし

「……ロイド。私は万が一逃亡された際の予防として、空で待ち構えているわ。状況がわかるようにエニグマのスピーカーをONにしておいて。」

その時ルファディエルがロイドの側に現れて言い

「え?あ、ああ。わかった。」

ルファディエルの言葉を聞いたロイドは戸惑った後頷き、そしてエニグマのスピーカーをONにし、ロイドの行動を見たルファディエルは自分のエニグマでロイドのエニグマとの通信を始めた後翼で空へと舞い上がった。するとその時デリックとミンネスが歩いて出入口に向かおうとした所をロイド達が道を塞いだ。

「おや、あなた方は……」

「特務支援課の……」

ロイド達を見たミンネスとデリックは不思議そうな表情をした。

「デリックさん、ミンネスさん……本日はどういった取引きをしたか、お聞かせ願えますか?」

「ふう、また親父の差し金か……」

ロイドの話を聞いたデリックは溜息を吐き

「ふふ、いいではありませんかデリックさん。もはや我々の計画は始動したのですから……」

ミンネスは口元に笑みを浮かべて言った。

「それは……どういう意味ですか?」

「―――実は先程、デリックさんと最後の取引きを行いましてね。村の皆様からお借りした土地を使い、レンゲ畑の拡大に着手することが決定いたしました。そして、レンゲ畑そのものの管理は我が『クインシー社』にて引き受けることになりました。」

「なっ……!」

「……今の話だと、村の農場のほとんどを譲り渡すという話だけど……デリックさんは、本当にいいのかな?」

エリィの疑問に答えたミンネスの話を聞いたロイドは驚き、ワジはデリックを見つめて尋ねた。

「……どういう意味だ?あくまで、管理をお任せするだけだが。」

「ええ、もちろんですとも。蜂蜜の収穫を我が社で行うことでより効率的に製菓事業を運営していけるようになるのです。その為には一旦、我が社に権利を移したほうが色々と効率がいいのですよ。」

(チッ……口の上手い野郎だぜ。)

(………カプア家もミンネスのような口の上手さに騙されてしまったんだろうな……)

(計画はほぼ最終段階に来ているようですね。だとすると、あとは……)

ミンネスの話を聞いたランディは舌打ちをし、リィンは真剣な表情でミンネスを見つめ、ティオは考え込んでいた。

「ふふ、それではデリックさん。私はこの契約書を本社に届けて参ります。明日にもいい連絡を差し上げる事ができると思いますので、楽しみにお待ちしていてください。」

「ええ、お待ちしています。」

(ロ、ロイドさん……!)

二人の会話を聞いていたノエルは仲間達と共に驚いた後真剣な表情でロイドに視線を向け

「(ああ……ここで逃がすわけにはいかない!)―――ミンネスさん、その前に……いくつか尋ねたいことがあります。」

視線を向けられたロイドは頷いた後ミンネスを見つめて言った。

「ほう……?尋ねたいこととは一体なんですかな?」

「ええ、それは……あなたにかかっているある疑惑についてです。そう……詐欺を働いているという疑惑のね。」

「なっ……!?い、いい加減にしてくれ!ミンネスさんに失礼だろう!」

「ふふ……まあまあ。落ち着いてくださいデリックさん。」

「ミンネスさん……?」

「確か、特務支援課と言いましたかな?一体なぜ、私を詐欺師と疑っているのか……もちろん、説明することが可能なのでしょうな?」

「……もちろんです。」

「面白い……ではお話をさせて頂くとしましょう。だがその前に……私がエレボニア人だということをお忘れなきよう。もし私が詐欺師とする明確な根拠がない場合……たとえ警察官といえど、出るところに出させて頂きますからご了承のほどを。」

「……いいでしょう。」

ミンネスの言葉にロイドは頷き

「ロイド……!」

ロイドの答えを聞いたエリィは真剣な表情でロイドを見つめ

(大丈夫だ……捜査で得た情報から、ミンネスが詐欺を働いていることは明白……疑惑を突き付けてミンネスの正体を暴き、デリックさんの目を覚ますんだ!)

見つめられたロイドはミンネスを睨みながら小声で言った。

 

「ふふ、よろしい……それほどの覚悟がおありなら、何なりとお答えしましょう。……では、まずはどんな話をしていただけるのですか?」

「―――まずは、あなたのクロスベルでの行動……その矛盾点についてお聞きしたいと思います。」

「矛盾、だって?」

ロイドの言葉を聞いたデリックは眉を顰め

「……私はクロスベルに来てからずっとデリックさんと今回の計画を進めてきました。アルモリカ村に我が『クインシー社』の子会社を発足する……『アルモリカ・ハニーカンパニー』計画。村の質のいい蜂蜜を使った製菓事業、我が社の培ったノウハウを生かせば必ずや実を結ぶでしょう。すでに市に正式に認可され、今まさに始動しようとしているこの事業の……一体どこに矛盾があるとおっしゃるのですか?」

ミンネスは答えた後尋ねた。

「いいえ、あなたが今話した『計画』の話……俺達が持っている情報とは明確に矛盾する点があります。そう、その矛盾点とは……俺達がIBCで得た情報と照らし合わせると一つの矛盾点が見えてきます。あなたの言う『計画』………実はそれは、まったくもって進行していないはずなんです。」

「……!」

ロイドの話を聞いたミンネスは目を見開き

「IBC……?ど、どういうことなんだ?」

デリックは戸惑っていた。

「考えてみてください。『クインシー社』が先程の計画を進めるつもりなら……子会社の設立や工場の建造などには、IBCの融資が必要になります。」

「……ええ、もちろんですとも。そのために市に会社の発足を届け出、きちんとした法人向けの口座を用意して……」

ロイドの説明を聞いたミンネスは答えかけたが

「―――用意しした”だけ”。そうではないですか?」

「!……………」

ロイドの質問を聞いて黙り込んだ。

「『ハニーカンパニー』の口座には、開設に必要な最低限のミラしか入ってなかったようです。詳しい金額はわかりませんが、入金されていたのは数万ミラ程度……果たして、そのようなミラで工場の建設などが可能なのでしょうか……?」

「……IBCの口座に調査の手を入れているとはね……」

ロイドの推理を聞いたミンネスは呟き

「ミ、ミンネスさん……まさか……!?」

デリックは信じられない表情でミンネスを見つめた。

「ああ、誤解しないでください。別に彼らの言い分を認めたわけではありませんよ。ただ、あまりにも不躾だと思ってしまっただけです。」

「で、でも……実際、口座にミラはほとんど入ってないんですよ!?」

「なに、会社の役員として少々慎重に動かざるを得なかったというだけですよ。何しろ由緒正しい『クインシー社』の名で融資を受けるわけですから……無論、本社の許可が下り次第IBCには融資の相談に行こうと思っていましたがね。」

「ほっ……で、ですよね……」

ノエルの質問に答えたミンネスの話を聞いたデリックは安堵の溜息を吐き

(……上手くかわされましたね。)

(……さすがは詐欺師か。このぐらいは予想済みって事か。)

ティオとリィンは静かな表情で呟き

(いや……ミンネスも内心かなりあせっているはずだ。ここは畳みかけるように証拠を突きつける……!)

ロイドは静かな表情で答えた後ミンネスを睨みつけた。

 

「……その顔は、まだ何か聞きたいことがおありのようですね。」

「ええ、もちろんです。なにせ、ミンネスさんの疑惑はそれだけではないのですから。」

「この期に及んでまだ……!」

ミンネスの言葉に答えたロイドをデリックは怒りの表情で睨み

「いえいえ、いいのですよ。その方がデリックさんにとっても安心できるでしょうしね。」

ミンネスはデリックを宥めていた。

「……聞きたいのは……ミンネスさんのプロフィールについてです。ミンネスさん、あなたは『クインシー社』の役員を名乗ってらっしゃいますが……それは確かなことでしょうか?」

「待て……どういうことなんだ?ミンネスさんは『クインシー社』の人間じゃないというのか?」

「ええ、俺達はそう睨んでいます。」

「クク……ハハハ!何をおっしゃるかと思えば……何なら、名刺や社員証でもお見せいたしましょうか?」

ロイドの言葉を聞いたミンネスは笑った後勝ち誇った笑みでロイドを見つめて尋ねた。

「……そんなものは知識があればいくらでも偽造できるかと。」

俺達は、その物証を覆す証拠を調べてきました。それは……ほかでもない、クインシー社のパンフレットです。」

「クインシー社のパンフレット……」

「お嬢の部屋にあったやつか……」

「確か、捜査手帳に要点をメモしていたのよね。」

「本社から取り寄せられたものなので、書かれている情報の信頼性は保証されていると言えます。そしてその資料に書かれていたこと……それが、ミンネスさんの昨日の話を明らかに矛盾しているんです。」

「わ、私の話ですと……?」

ロイドの話を聞いたミンネスは戸惑った。

「昨日のミンネスさんの話が”役員”の肩書きと矛盾している点、それは……――――ミンネスさん。昨日、あなたはこう言いました。”役員の立場にはいるが実は甘い物は苦手だ”……この言葉に間違いはありませんか?」

そしてロイドの質問を聞いたその場にいた全員は黙り込んだ後眉を顰めた。

「ロ、ロイド……?えっと、よく意味が……」

エリィは戸惑った様子でロイドを見つめ

「……確かに、私は甘い物が苦手です。フフ、しかしそれが一体どうしたというのですか?”甘い物が苦手な人間が製菓会社の役員なわけがない”……とでも言うつもりですかな?」

ミンネスは答えた後口元に笑みを浮かべて尋ねた。

「その通りです。」

「な、なんて言いがかりだ……!あんた、警察として恥ずかしくは―――」

ロイドの答えを聞いたデリックは怒りの表情でロイドを睨んで何かを言いかけたが

「―――クインシー社のパンフレットには、こう書かれていました。『クインシー社では、役員自らが開発中の商品を試食し、販売していいかは厳正に審査する』………かいつまんで言えば、そういう内容です。」

「それが一体どういう…………………あっ!?」

ロイドの説明を聞いて呆けた後ある事に気付いて大声を上げ

「…………………!!」

ミンネスは表情を歪めた。

 

「……クインシー社という会社が『甘い物が苦手』なミンネスさんを、役員にするのは不自然だ。……違いますか?」

「……そっ、それは……単なる記憶違いで……」

ロイドに尋ねられたミンネスは焦りの様子を見せながら答えかけたが

「それは通用しません。……あなたはついさっき”甘い物は苦手”だとハッキリ認めたはずだ。」

「ぐうっ……!」

ロイドの言葉を聞いて唸った。

「だとしたらあなたはなぜ『クインシー社』の役員だと偽ったのか?それは――――あなたが詐欺を行うために、デリックさんを信用させるため。今までの証拠からして、そうとしか考えられません。」

「アルモリカの蜂蜜を使った製菓事業……それを信用させるためには『クインシー社』という名前は好都合だったというわけね。」

「ミ、ミンネスさん……一体これは、どういうことですか!?あなたはやはり……俺を騙していたのか!?」

「……ク……クク……デリックさん、あなたこそ彼らに騙されてはいけない……」

信じられない表情で自分を見つめるデリックにミンネスは表情を歪めながから笑って言った。

「あ、あんだと?」

一方ミンネスの言葉を聞いたランディは目を丸くした。

「ふふ……だってそうでしょう?私がアルモリカ村に来たのは、『ハニーカンパニー』の計画を持ち掛ける為……もし、百歩譲ってそれ以外の目的があり、デリックさんを騙したというなら……一体、何が目的だったというのです!?それが証明できないあなた方に、私を詐欺師呼ばわりする資格はないはずだ!」

「目的の証明ですか……確かにそれがありましたね。」

自分達を睨んで怒鳴ったミンネスの言葉を聞いたティオは呟き

「あなたの目的……一つだけ、心当たりがあります。」

「なっ……なんですと……!?」

ロイドの答えを聞いたミンネスは信じられない表情で声を上げ

(ロイド、大丈夫なの……!?)

(ぜ、全然心当たりがありませんけど……)

エリィは心配そうな表情でロイドを見つめ、ノエルは疲れた表情をし

(いや……確かにあるんだ。ここに来る直前、”あの人”が探してくれた”あの証言”……そう、ミンネスの目的を明かす最後の手掛かりが……!)

ロイドは小声で答えた。

「何をブツブツ言っているのです!……さあ、証明してみなさい!」

一方ミンネスは怒りの表情でロイドを睨んで声を上げたが

「あなたがこの村で詐欺を行った真の理由。それは……あなたの真の目的、それは……このアルモリカ村の所有する”土地”そのものだったんです。」

「……な……あ……!!」

ロイドの答えを聞き、信じられない表情になった。

「ハロルドさんという貿易商の方が、あなたについて聞き込みをしてくれました。ミンネスさん、あなたは……クロスベル入りした直後から、各地の地価を調べていたようですね?『クインシー社』の役員が新事業を持ち掛けるためにそんな事をする必要はありません。だったら、何故か……?考えられる可能性は一つ。あなたがこの土地の横取りを狙っていたからだ。」

「まさにカプア家を騙した同じ手口か……」

「ほ、本当なんですか……!?な、なんだか突拍子のない発想のような。」

ロイドの話を聞いたリィンは厳しい表情をし、ノエルは戸惑いながらロイドを見つめた。

「いいや、そうでもないさ。見てのとおり、アルモリカ村は豊かな自然に囲まれ、ロケーションは抜群だ。たとえば、高級別荘地を管理する第三者に売り渡すとしたら……どれくらいの値がつくと思う?」

「それこそ……数千万ミラかけてでも落札したい人はいそうね。村の人達が同意するとは全く思えないけど……」

「ああ、だからこそこれだけの手間をかけて詐欺をはたらいたんだろう。もし土地自体が目的と仮定すれば……彼の行動にも説明がつく。広大なレンゲ畑を含めたたくさんの農場、そして私有地の権利書を手に入れ……本社に帰るとの名目でクロスベルから姿を消してしまう。そして、用意していた販売ルートに土地の権利書を売りさばき、多額のミラを得る……それこそが、ミンネスさん……あなたの真の目的だったんです。」

「……う……ぐぐ……」

ロイドの説明を聞いたミンネスは唸り

「ミンネスさん……そ、そんな…………」

デリックは信じられない表情でミンネスを見つめた。するとその時

「―――ロイドさん!」

「ボクも来たよ!」

聞き覚えのある男性と娘の声が聞こえ

「この声は……」

声を聞いたロイド達が振り向いたその時村長とイアンの助手である子供とハロルド、そしてジョゼットがロイド達に近づいてきた………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き 閃の軌跡をやって感じましたけど、今までの軌跡シリーズより歯ごたえありすぎ!って感じました(汗)まず序章のボスの時点で強すぎですもん(大汗)しかもアーツは今までと違って、組み合わせで覚えるタイプじゃないですし(泣)ただ、クラフトがかなり高性能化されていたのは嬉しい誤算ですねww後はボスの曲とかかっこよくていいですね!……まあ、聞いていたらなんとなくですがイースシリーズの曲に似ていたような気がするのですが気のせいですかね??………………感想お待ちしております。

説明
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 ホント色んな意味で大変ですよ、閃の軌跡は……(sorano)
閃の軌跡は大変そうですね〜、自分はまだ持ってないですから分かりませんが・・・頑張ってください!(本郷 刃)
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