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IFEND4 もう少しだけ
とあるミッドの学園生徒視点。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
いつもはそこに通う小等部の学生たちが己の魔法の技術を研磨する場所である運動場。
そこにいつもなら先生方が危険な魔法をぶっ放さないように。死傷者が出ないように結界を張っているのだが、その結界が今にも壊れかけていた。
「遅いっ!遅い遅い遅い!遅すぎる!ハエが止まってしまうよ!」
「ぶぅわぁかああめっ!我がデバイスは毎秒三百六十発の魔法弾の発射を可能とするぅうああああっ!」
「これが私の((収束砲撃|メラゾーマ))だ!」
主に三人の生徒の所為で。
「お姉ちゃん達には力!執念!才能!速度!運!萌えにエロス!そして何より露出が少ない!!」
青白い魔力光を光らせながら運動場を縦横無尽に駆け巡る自・他ともに認めるリトルクイーン。
若干、脱ぎ癖のある彼女に同年代の少年たちはドキドキだ。思春期的に。
そして、今にも砕け散りそうな結界にドキドキだ。生存本能的に。
八神・S・ライ。
その容姿から第二の閃光。と、今、ミッドチルダで知らない物はいないと称された執務官の幼少時の姿にそっくりの少女。
「WRYYYYYYYYYY――――ッ!!そこまで吼えるなら避けきってみるがいい!三百六十度前後左右死角なしの半径300メートルを超えた弾幕結界を!」
黒に近い紫色の魔力弾を台風時の豪雨のように撒き散らせているヒューマノイド・タイフーン。
八神・S・ヤミ。
現在暴れまわっている三人の中では一番背が小さいものの、長女としての威厳を保つために吸血鬼でノリアキ君な口調になっている。
その小さな体をせわしなく動かしながら魔力弾を湯水のようにばら撒く姿から某部隊の隊長を思い浮かべた教員は数知れず。
「いいねぇっ、いいねぇっ、最高だねぇっ!収束っ!収束ぅう!魔力を収束ぅうううっ!!」
青と黒の魔力を帯びた攻撃をその場にとどまり、魔力で作りだし障壁の中で二人が結界内に充満させた魔力を一点に集めているデストロイ・キャノン。
八神・S・ヒカリ。
その無表情ながらにも姉と妹に触発されてテンションがハイになった彼女は、氷のように冷たそうな瞳の中に情熱の炎を宿らせていた。
同時にどこぞの学園都市最強の能力者じみたテンションも秘めていた。
そのドラゴンボールの元気玉を髣髴させるような収束されていく魔力の塊。
その光景を見た管理局のとある教導官に始動されたことのある教員は「管理局の白い悪魔」と呟いた。
「「「これが僕(我)(私)の全力全開!」」」
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッッッ!!!
そして、三姉妹の暴れに暴れまくった魔力はその争い現場となった学園の運動場に巨大なクレーターを作り上げるのだった。
高志視点。
ザック。ザック。ザック。
「…ああ、何か懐かしいな」
俺は三人娘が作り上げてしまった巨大なクレーターを埋め戻すためにガンレオンで修理した上下水道と地下配電線を修理し終えた後、その上から土をかぶせている。
なんか、懐かしい。
転生して間もなく、圧倒的に体力が無かった(幼少時、リニスから訓練を受けていたフェイトと比べて)俺は体力づくりの為に二時間かけて彫り続けた地面の穴を一時間かけて埋め戻すという達成感の無い訓練をよくしたものだ。
「僕のおかげで」
エッヘンと隣で土運びを手伝っているライが胸を張る。
その可愛らしい動作に俺はほっぺたを摘まみ上げることにした。
「ぴひゃあああ、いひゃいっ、いひゃい」
その動作に涙目になりながらも俺のつまみ上げるという動作を甘んじているライ。
本気でライのほっぺたをつまみ上げれば持つどころか千切れるだろうガンレオンの握力も二十年近くも使っていれば細かい動作も出来るようになった。
「反省しているか?」
「ひゃうっ、ひゃうっ」
涙目になりながらもまぶたをパチパチと開け閉めして反省しているライのほっぺたを介抱する。
うむっ。いつもながらモチモチなほっぺただった。
「ヤミー、土運びはこれで終わりかー?」
「うむっ。後は我が魔法で圧縮し、光が焼き固めれば万事解決だ!」
「お前等がハッスルしすぎて結界をぶち壊すほどの魔法をぶっ放さなければこんな事にならなかっただろう?…ヤミ。お前はお姉ちゃんなんだから」
「…むぐぅ」
「ま、お前だけが悪いわけじゃないけどな」
苦虫を噛み潰したような顔をしたヤミの頭をモフモフ撫でる。
そうする事でヤミの表情もだらしないくらいにほぐれた。が、む〜っ、と唸るライの視線を感じてヤミは慌てて俺の手をよける。
「僕も頑張ったから撫でてっ!」
「あのな、ライ。これは罰でやっている事なんだぞ?お前もテンション上げすぎずに特務六課の施設内で暴れればよかったんだぞ」
「にゅー」
「喧嘩両成敗。という言葉を知っているか、喧嘩したら。というか、これだけの災害を毎月三回も起こせば罰を受けない方がおかしいんだぞ?」
「にゃー」
「わかったか?」
「にょー」
にょー。じゃなくてだなライ。
だらしない顔をしてないで、ちゃんと人の話を…。
「あの、ライを叱っているんですか?甘やかしているんですか?どっちなんですか?」
ヒカリがライの頭を撫で続けている俺の右手を指さして尋ねる。
はっ。俺はいつの間にライの頭を撫でていたんだ?!
「『これは罰でやっているんだぞ?』の所からです」
「…ライにはいつも甘いな」
「…う。ま、まあそれはそうとして早く運動場を焼き固めようぜ」
無表情なヒカリとどこか面白くなさげなヤミが俺を攻めるような目で見ている。
そうそうにこの件は終わらせた方がいい。
そして、土を埋め直した俺とライはその場を離れると同時にヤミが圧縮の魔法をかけてヒカリが炎熱変換した魔力を放ち、運動場の修復を終えた。
そして、三人娘と一緒にそのまま帰ることにした。
その帰り道でライが俺の背中をよじ登って肩車をしてくる。ヤミは俺の右手を取って歩いていく。そして、ヒカリが左手をとろうとした。が、その手をいったん止める。そして、
「…あの。私も頑張ったので頭を撫でてください」
少し控えめに、それでも頭を撫でてとおねだりしてくるヒカリの頭を俺は苦笑しながら撫でる。
「お前ら元気なのはいいけど、あんまり暴れすぎないように。だけど遠慮のし過ぎは駄目だ。俺達は((親子|・・))なんだからな」
ライは…。
まあ、いいか。
遠慮しすぎて元気がなくなるよりはましだ。それよりもこうやって学校に呼び出さられるくらい元気ならそれでいい。
「うん♪」「うむっ」「…はい」
俺がそういうと、俺譲りの黒髪と母さん譲りの赤い瞳を持った娘達が俺に向かって笑顔を見せる。
そうしていると、優しい風が俺の頬を通り過ぎる。
まるで雨が上がった森林のようにどこか安心できる優しい匂い。
その香りがする方に顔を向けると夕日に反射する銀色の髪をなびかせていた。
「かあさん。ただいまーっ」
「母上。いま、帰りですか?あ、荷物なら我も持ちます」
「…お母さん。私も持ちます」
三人娘。とはいってもライは俺の肩から降りようとはせずに手を伸ばすだけだが、リインフォースから荷物を受け取ろうする姿勢は見れる。
だが、リインフォースの持つ荷物は二つ。ヤミとヒカリが片手に荷物を持つとヤミがリインフォースの手を。光が俺の手を握り、そして…。
「…こっちはお母さんの」
「そうだな。ここは母上の場所だ」
そう言って俺の右手とリインフォースの左手を握らせる。
その左手には銀色の指輪がはまっていた。
同様に俺の左手にも。
『聖王のゆりかご』に突入する際にアサキムを撃退した俺は、突入することが敵わぬままそのまま力尽きた様に気絶した。
その後にフェイトとヴィヴィオを助けるためにリインフォースとはやて達が『聖王のゆりかご』に突入。
『聖王のゆりかご』を内部から破壊したリインフォース達は直後に現れたジ・エーデルを撃退。
その後、スフィアの存在をくらませるために俺とリインフォース。リニスはミッドチルダから姿をくらませた。
そして、その『聖王のゆりかご』事件でスフィアのほとぼとりが冷めるまで俺達三人は管理外世界で過ごすうち…。
「お父さんの隣はお母さんだもんねー」
俺の黒髪とリインフォースの赤目のマテリアル似の三人の子どもが出来た。
その後、事件のほとぼとりが冷めたころを見計らってミッドチルダに戻ると、アリシアを始めとするテスタロッサの皆さんに…。
あががががが…。
思い出そうとしただけで、で、で、で、ででででででででででっっ!
ちなみに一時はライ・ヤミ・ヒカリの三人はフェイト(アリシア)・はやて・なのは。の、三人に似ていたため四人とも関係を持ったと噂されている。
なのはは既に旦那と養子のヴィヴィオがいるから割と早めにその誤解は解けたが、残りの三人がその誤解を増長させようと何かとライとヤミに構ってくる。
彼女達だけではなく、アリサやすずか。ティアナも同じくらい構ってくる。
…女運最悪の効果はまだ続いているようだ。
アリシアやフェイト。はやてのことが嫌いなわけじゃない。
むしろ好きな方に部類する。だからこそ彼女達の事は否定できない。拒むことも出来ない。だからと言ってリインフォース以外の女を抱けるかと聞かれれば無理だ。
リインフォースは『悲しみの乙女』だ。
俺が彼女達と関係を持ったと知れば少なからず『悲しむ』。そうなれば彼女の因子を強くしまう。
ようやく手に入れたリインフォースの幸せを壊したくはない。
自分が好きな女を。リインフォースも含めて幸せにしてやればいいじゃないか。
ハーレムを築けばいいじゃないか。
そう考えたこともある。だけど、そんな事よりも。俺は…。
「…ん?どうした?」
自分が見られていることに気がついたリインフォースは俺に言葉を投げかける。
赤い瞳に、流れるような銀の髪。
「あと、少しだけ…」
「?」
「…もう少しだけお前を独占したい。独占されたいな」
「っ?!と、突然何を言っているっ!?」
顔を赤くして慌てふためく自分の女房を見て笑う。
彼女も自分の主であるはやて。そして、戦友であるフェイトやアリシアの事を気にかけているのはわかる。
俺を独占。自分だけが俺の傍にいて良いのかと時折悩むことがある。
自分だけが幸せでいいのかと。
だけど、幸せは分け与える前に自分自身が幸せにならなければ与えることは出来ないのではないだろうか?
「…なあ、リインフォース」
「な、なんだっ」
俺は未だに顔を赤くしている彼女に最後の質問をする。
「お前は誰かに今の場所を。俺の隣に誰かを歩かせられるほど幸せか?」
俺の言葉を聞いて少し慌てていた様子を見せていたリインフォースも呼吸を整えて、俺の方を見るのが恥ずかしいのか明後日の方を見ながら、繋いでいる手にやや力をこめて握り返してくる。
「…私も」
そう呟いたリインフォースは夕日よりも赤く顔を染めていた。
俺はその反応が嬉しくて彼女とつないでいる手に少しだけ力を込めて握り返す。
それは彼女も同様にうれしかったようで、その口角は柔らかく笑っていた。
いつの間にかリインフォースは『悲しみの乙女』のスフィアの力を扱う事は出来なくなっていた。
何故なら、彼女が『悲しむ』という事が無かったから。
『祝福の風』のすぐ傍に『傷だらけの獅子』がいるから。
「…私も。もう少しだけ。…もう少しだけ我儘したい」
彼女は今、本当に幸せを感じているのだから。
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次は全員と結婚のハーレムEDなのに家族関係が(高志との時間を争って)殺意が(主に物理&魔法攻撃)で炸裂して高志が心労で胃を患う状況に陥る(女運最悪の影響で)とか読みたいですね。(竜牙) | ||
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