武器の御遣い 第弐章 |
ここは上田城の地下牢。ここには愛紗とその従妹、関索と関鳳が捕えられていた
愛紗「囚われて…もうどのくらいたったのだろうな。愛良(関索)、愛花(関鳳)」
愛良「………もう、2週間かと」
愛紗「あの日、突如現れた魔王遠呂智のために世界は歪み、国は滅んだ。世は魔王の恐怖に覆われ、仁は廃れ、桃香様も御主人様も死んだ…」
3人は2週間程前の事を思い出していた
突如大地が揺れ出し、視界が白く染め上げられ、気を失う直前に聞こえた
『 強 き 者 共 よ 我 に 挑 め 』
という声
そして突如現れて洛陽を包囲した200万は軽く超える軍勢。無論、自分達も抵抗はした。しかし、いくら三国選りすぐりの精強な兵だとしても200万対5万では話に成らない。次々と討ち取られ、将や君主達も散り散り。そして逃げている途中、罠に掛かって3人は捕えられ、牢で2人の主君が死んだと聞かされた
捕えられてから2週間程が経ち、もはや舌を噛もうかと思ったとき
??「大徳も御遣いも死なん」
愛紗・愛良・愛花「!?」
地下牢に声が響く。3人が顔を上げると其処に居たのは白っぽい茶髪の導師服の少年。大槌を持ち、甲冑を付けて桔梗に似た銀髪の女性。そして同じ蜀将の張嶷、真名を星彩
愛紗「貴女方は?それに、星彩も」
義弘「私は島津義弘。名は明かせんが、ある御仁の頼みで参った」
星彩「桃香様は…生きています」
愛紗「なに!?本当か!星彩!」
義弘「行方は知れんがね」
??「だが、お前の魂は輝きを取り戻したようだ。関雲長、関維之、関銀屏。大徳と御遣いのために再び立つか?」
遠呂智兵「侵入者だ!侵入者を討てえい!」
義弘「その前に、まずは」
星彩「追っ手を片付けましょう」
??「関雲長よ、この難局を乗り越え、大徳と御遣いの下へ急げ。城外の敵は精強、むやみに飛び出しては敵んだろう。まず西へ進み、上田城からの脱出を目指すのだ」
導師服の男はそう言って愛紗たちの獲物を渡すと迫りくる遠呂智兵達を蹴り倒して先に進んで行く
愛紗「あのお方、仙人のようだが…もしや音に聞く左慈殿か?」
愛紗は自身の予想を口に出す
そして、上田城に居た遠呂智兵を殲滅し、上田城から脱出する
左慈(?)「これより先、敵本隊がいるは修羅の庭。決して手を出さず、西よりの道へと進むがいい」
水鬼「ああ!貴様等!さては脱獄者だな!?覚悟しろ!」
上田城から出ると水鬼の部隊が居り、見つかってしまう
愛紗「このような所で止まっておれん!邪魔をするな!」
愛紗がそう言うや否や、愛紗、星彩、愛良、愛花、島津義弘、左慈の6人で近くに居た遠呂智兵を殲滅する
左慈(?)「オレは力を蓄えねばならない、これにて去る。機が来たればまた現れよう」
遠呂智兵を殲滅した後、左慈(?)はそう言って煙の様に消えた
義弘「さて、さっさと上田城から離れよう。直に私を遣わした人も来るでしょう」
星彩「そうね」
そう言うと全員が脱出するために移動を開始した
蛟「貴様等!貴様等もあの女と脱獄を測る気か!?」
愛紗「あの女?」
移動している最中に遭遇した蛟にそう言われ、問い返す愛紗。しかし
ザシュ!
蛟「グオオオ!」
肉を切り裂く音と共に甲高い声の断末魔を上げて倒れ伏す蛟
??「女では無い。立花だ」
そしてその後ろから現れたのは稲妻のような形をした太刀を持ち、紫の鎧甲冑を身に着けた女性だった
義弘「さてさて、妙な展開に成って来たものね」
そしてその人物を見ると驚いたような感心しているような声を上げる島津義弘
立花「島津か、貴様も遠呂智とやらの眷属に成り下がったか?」
義弘「フフ、遠呂智に付いたら博打にも成らないわ。ァ千代お嬢ちゃん」
ァ千代「んな!?そ、その呼び名はやめろと何度も!どうやら遠呂智を討つ前に貴様を討たねば成らんらしいな!」
義弘にからかわれた立花ァ千代は顔を真っ赤にして手に持っている剣を構える
愛紗「と、とにかく先を急ぎましょう」
そんなァ千代を愛紗、愛良、愛花の3人で宥める
ァ千代「むぅ、まあいい。立花も共に戦おう。それから、この先に張苞とか言う奴が囚われているらしい」
愛紗「なに!((鳳|ファン))が!?」
ァ千代「? よく分からんが、その人物だろう」
と、話して居ると、遠くの方から
??「ほらほらーー!!脱獄者様はこっちだぷーーーー!!!!!!」
と、大声が聞こえた
場所は変わって上田城近くの丘の上
此処には先日紫苑、愛莉、愛海を仲間に加えた織田軍が居た
孫市「信長、上田城が騒がしくなってきた。どうやら鬼の戦屋が上手くやったようだぜ」
信長「で、あるか。ふむ、では私が先陣を切って……」
孫市「ふ・ざ・け・る・な!!」
勝家「大殿!勝手に突撃などしないでくだされ!」
秀吉「信長様ー、流石にやめてくださいよー」
紫苑「信長さん、流石にそれは」
愛莉「信長公、やめて下され。御大将や総大将が突出するのは雪蓮様とご主人様と迦楼羅殿だけで良いです」
愛海「………総大将の単騎突撃はダメ」
信長「………分かった」
全員拒否された信長は少しだけ落ち込む
そしてそんな信長を尻目に孫一達は戦闘の準備に取り掛かる。そして、準備がもう直終ろうかと言う頃
??「ほらほらーー!!脱獄者様はこっちだぷーーーー!!!!!!」
という大声が響いた
愛莉「!? 今のは、鳳の声か!?」
孫市「吃驚したな。紫苑、知り合い?」
紫苑「ええ、鳳と言うのは真名で、名は張苞と言います。ご存じ有りませんか?」
孫市「張苞。秀吉、聞いた事ある?」
秀吉「んー?たしか張飛の子供だった筈だけどー」
紫苑「あら?矢張り貴女方の世界とは少なからず齟齬が有るみたいですね。此方では子供では無く従妹なんです」
秀吉「ほえー、紫苑達の世界は真名だのなんだのと色々とメンドクサイね〜」
と、呑気に話して居ると
織田兵士1「ほ、報告します!信長様が誰も連れずに突撃して行きました!」
6人「「「「「「 ま た か ?? 」」」」」」
兵士が駆けて来たと思ったら行き成りとんでもない事をのたまうので全員同じ事を同じ音量で叫んでしまった。まあ、上田城に来るまでに300単位の遠呂智軍と何度か交戦して、その全てで信長が単騎突撃して全て片付けてしまったのだから実力は疑ってはいないが、総大将が毎度毎度単騎突撃とはこれ如何に?と言った感じで毎度毎度紫苑始め臣下や身を寄せている将一同で説教しているのだが、当の信長は右から左に聞き流している為一向に改善しない
孫市「勝家!秀吉!お前等は騎兵を率いてカラスに続け!!愛莉!愛海!2人は騎兵を率いろ!!紫苑はオレと弓兵と雑賀衆を率いて後方支援だ!」
5人「「「「「ハッ!(りょーかい!)(分かりました)(分かった!)(……ん)」」」」」
何度も同じ事をしている為、無駄に良くなった連携で各自の役割を決め、軍を率いて信長を追いかけていった
場所は戻って上田城周辺
愛紗「星彩、今のは」
星彩「ええ。間違いなく姉上の声」
愛良「でも、何で鳳の声が?」
愛花「まあ、取敢えず行けば分かるでしょ」
義弘「ふむ、それもそうだな」
そう言って6人は声の聞こえた方に進んで行く。途中何度か遠呂智兵に遭遇したが、すべて蹴散らした
暫くすると100は軽く居る遠呂智兵相手に刃先が蛇のようにクネっている大蛇剣を手にして応戦している女性。そして、紫色の鎧に身を包み、明命が持っているような武器を使って戦う艶やかな長い髪をうなじ辺りで一つに纏めた女性を見つけた
星彩「姉上、無事ね」
まず星彩が近くの遠呂智兵を斬り倒して張苞こと鳳に接近し、安否を問いかける
鳳「あれ?何でこんな所居んの?左慈って奴の話だとそろそろ脱出するはずだったのに」
愛紗「それは此方の台詞だ!何故脱出したのならそのまま逃げん!?」
鳳「いやぁ、何となく私が囮に成って愛紗達を逃がさなきゃ!って思ったんだよね」
愛花「む、鳳の癖に生意気だぞ!こうしちゃる!」
そう言って鳳の両頬をムニムニし始める愛花
鳳「あ、あにをふる〜」
愛花「私達の心配なんてしなくても少なくとも3人居るの!だから心配なんてしなくても良いの!分かった!?」
鳳「わ、わふぁったふぁらふぇをなふぃふぇふれ〜」
愛花「何言ってるか分からないぞ〜」
そうして暫くムニムニする愛花
義弘「光秀譲、無事だな?」
光秀「義弘殿、何故ここに?」
義弘「ふ、((主|ぬし))の((主|あるじ))の頼みで上田城に囚われている者達を救いに来たのだ」
光秀「信長様の!?」
義弘「ああ。主は何故此処に?」
光秀「私は、信長様を探していてこの近くを通りかかり、囚われている人達がいると聞いたので」
義弘「成程。喜べ光秀譲。直に((主|ぬし))の((主|あるじ))も来るだろうて」
光秀「!? それは本当ですか!?義弘殿!!」
義弘「ああ。私がこの城に捕まっている者を助けて暴れたら軍を率いて来る「た、大変だーーーー!!反乱軍が攻めて来たぞーー!!」手筈に、ってもう来たらしいな」
光秀「! 信長様!」
近くに居たであろう遠呂智兵が叫んだ反乱軍が信長の率いる軍だと分かるや否や、駆けて行こうとする光秀。しかし
ガシィ!
光秀「グエッ!」
光秀の服の襟を掴む義弘
義弘「まあ待ちなさい、光秀譲。そんなに急かなくても信長公は直に合流するだろうて」
光秀「しかし!」
義弘「それよりも、周りの遠呂智兵を片付けぬか?信長公の悪癖、忘れた訳ではあるまい?」
光秀「(ポク、ポク、ポク、チーン)………そうですね!さっさと遠呂智兵共片付けねば!信長様がお怪我を負われては大変ですからね!」
義弘「やれ、扱いも簡単よな」
光秀「では敵の居る場所を教えてください!」
義弘「ふむ。では、あそこ等どうだ?」
義弘が指さした方を見ると遠呂智兵達が風で吹き飛ぶ木の葉の如く空を飛んでいた
鳳「あれ?あそこって左慈ってやつが向かった方向じゃん。あたし、左慈に助けられたし、救援行ってくる!」
愛紗「あ!おい鳳!ってもう行ってしまったか。仕方ない。我等も行こう」
愛紗の一言で先に行った鳳を追いかけて全員で遠呂智兵が吹き飛びまくっている場所に向かった
鳳「左慈〜無事か〜?」
左慈「む、張苞か。何故逃げなかった?」
鳳「いや〜、味方と合流したはいいケド話し込んじゃって。で、左慈が行った方で遠呂智兵達が吹き飛んでたから救援に来た」
左慈「救援か、ならば断るまい」
鳳「そうそう、人の好意は有り難く受け取る物だよ」
愛紗「鳳!喋っている暇が有るなら脱出するぞ!外には明智殿の主の率いる軍が居る!」
鳳「わかった!」
其処からは一方的であった。何せ此処に居るのは一騎当千の猛者が9人。対して遠呂智兵が100ばかり。どれだけ一方的か。それは何処ぞのリリ狩るでマジ狩るな世界の白い悪魔並の実力を持つ9人にフェレット擬き以下の実力しか持たないモブキャラが100人ちょっとで挑むような物だ。あっと言う間に遠呂智兵を殲滅し終えた9人は上田城を脱出して討伐軍を発見して討伐軍の陣地へと向かった
織田軍と合流して愛紗はじめ、愛良、愛花、星彩、鳳、ァ千代、左慈は唖然としていた。理由は簡単
光秀を筆頭に勝家、孫市、秀吉、紫苑、愛莉、愛海の6人が信長に説教をかましていたからだ。ァ千代と左慈は初見だとしても、愛紗達は別に主君を叱る部下の図を見た事が無いからと言う訳では無い。むしろ愛紗達は一刀や迦楼羅を叱る側だ。
では何故か。結論言えば紫苑と愛莉と愛海が混じって居る事に驚いているのだ四ツ子と従姉妹が再開したのだから涙の再会位あっても良いのでは?とは愛紗達の心理発言だ
義弘はケタケタ笑っているだけ。信長に至っては悟りを開いた感じで右から左に聞き流している状態。そんな状況の中思考停止していた集団の中で一番初めに回復した左慈の一言は
左慈「………なんだ、この混沌とした空間は」
どこぞのオバケ忍者が大好きな状況にただ現状をぽつりと呟く事しか出来なかった
愛紗「ご助力、感謝いたします。貴殿は私達を絶望の淵から救ってくれました」
漸く立ち直った愛紗が左慈に謝礼の言葉を述べる
左慈「……真の絶望は大徳と御遣いの喪失…違うか?劉玄徳と北郷一刀を出来る限り早く救い出したまえ」
愛紗「しかし、桃香様の行方も御主人様の行方も知れず、我らの力はあまりにも弱い…」
左慈「関雲長よ、同志を集めて力を蓄えるがいい。毀れた刃を研ぎ直し、大徳と御遣いの下へ行くがいい。俺は力の回復に専念ながら仲間とその様を遠くから見守るとしよう。…さらばだ」
そう言って左慈は城一つ位なら飛び越えれそうな程の大ジャンプをして何処へと去って行った
紫苑「改めまして、私は黄忠と申します」
愛紗「改めて、私は関羽、字は雲長と申します」
愛莉「私は関平、字は雲景と申します」
愛海「………関安国」
愛良「私は関索、字は維之です」
愛海「私は関銀屏です」
星彩「……私は張嶷」
鳳「張苞だよ〜」
信長「フフッ………織田信長だ」
勝家「柴田勝家だ」
秀吉「豊臣秀吉!お会いできて光栄です!!」
孫市「オレは雑賀孫市。よろしくな」
ァ千代「改めて、立花ァ千代だ」
義弘「私は島津義弘」
光秀「私は明智光秀と申します!」
全員初対面の者達と自己紹介を済ました後、集まってこれからの行動を思案する
信長「さて、今後はどのように行動するか……」
紫苑「あの、私に案が有ります」
紫苑が手を上げて発言する
信長「ふむ、何かあるか?」
紫苑「ハイ、軍を2つか3つに分け、各地で抵抗している反乱軍を吸収し、機を見て合流するのです」
信長「ふむ。で、問題は?」
紫苑「分ける軍の編成をどうするかです」
信長「で、あるか。ならば先程上田城より脱出して来た者達・我等で分けるか。その方が人数的にも丁度良い。光秀は私と共に来い」
光秀「御意に!」
紫苑「ふむ、その方が良いですね」
勝家「では決まりだな」
孫市「鬼の戦屋、雷神。死ぬなよ?」
ァ千代「ふん!誰に向かって行っている。立花は遠呂智には屈しない」
義弘「ふ、心配するな重秀譲。私等はそんじょ其処等の連中には負けはしない」
孫市「そうだな。って、オレは今は鈴木重秀じゃなくて雑賀孫市だ!」
義弘「おっと、そうだったな」
笑い出す一同。そして、軍を二分し、織田軍と関羽軍と成った反乱軍は各地の反乱軍を探して吸収するべく上田城を後にした
馬謖軍の動き
ここは桃花村。此処は現在董卓軍(馬謖軍ではなく、董卓軍の理由はまた別の話で)約一万人が拠点としているが、現在村に居る董卓軍は非戦闘員を含む僅か27人のみ。他の者達は各地に情報収集に飛んでいる。因みに、戦姫・霞・恋の3人の配下も隠密として活動できるように迦楼羅達で仕込んである為、情報収集に勤しんでいる
さて、何故迦楼羅以外の隠密(実力は軒並みAA以上)を総動員しているか。理由は真庭組(董卓軍の部隊の一つ)が
『孫呉が遠呂智軍と行動を共にしている』
という情報を持って来た為だ。当然、孫呉の王族を良く知る迦楼羅達や炎蓮達は不審に思った為、更に情報を集めると可也の将兵が人質に取られており、無理矢理従わされているらしい。他にも様々な軍や集団が人質の所為で無理矢理従わされているとか
その情報を仕入れてからの董卓軍の行動は早かった。まずは各地に散って情報収集をしていた配下の隠密達を呼び戻し、孫呉の現状を話してから現在確認できる城や砦を隅から隅まで調べるよう命令。結果迦楼羅達以外が居ない状況が出来上がった訳だ
炎蓮「にしても迦楼羅の部隊ってホント凄いわね」
茜雫「だな、1人1人が一騎当千のの実力を持ち、菖蒲達や恋達武将は一騎当万以上の実力を誇るからな。殆どが隠密だけど。あと、今は彼等は董卓軍だぞ」
炎蓮「おっと、そうだったわね」
と、炎蓮と茜雫が拠点としている長屋で水を飲みながら喋っていると
コンコン
と、戸が叩かれて床と戸の隙間から木の皮が入って来た。2人はそれを拾って書かれている内容を読むと急いで中庭に向かった
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第四話 上田城脱出戦 |
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