第十七話

　　　「五丈原の激闘」

　五丈原での戦いは、激しい死闘と化していた。

「今です！　伏兵を！」

「はっ！」

　諸葛亮はかつてないほど集中していた。ありとあらゆる罠を張り巡らせ、晋軍を撃破していく。

「司馬師様！　後方から此方に向かって敵の奇襲が！」

「！　董卓軍をそちらに向かわせるように」

「はっ！」

「申し上げます！　我が隊が守備していた拠点に火が！」

「澪羅と綺羅を救援に向かわせる」

「承知しました！」

　そんな彼女の猛攻を瑠理は必死に対応する。

（今の諸葛亮は凄まじい……そして火計のしやすい風向きが続いているなど天が味方をしている……これでは迂闊には攻められない）

　開戦してから、天候や地形の状況不利などが続いており、中々瑠理は攻めに転じるが出来ていなかった。

（このままじゃあ、じり貧……）

　そうは分かっていても、やはり状況的に攻めに転じることは難しい。

　結局瑠理はこの日も守りに徹することしか出来なかった。

　その日の夜。

　瑠理の所に澪羅、綺羅、闇那が集まっていた。

「姉御！　まだ攻める事は出来ないのか！？　流石にこうも守ってばかりじゃ士気が落ちちまうぜ！」

「そうです。このままだと此方が全滅もありえます」

　澪羅と綺羅は焦りを隠さずに瑠理に申し立てている。

「確かにこのままでは十分な時間を稼ぐことすら難しいかもしれません……何かしら手を打たなければ」

　闇那が懇願するように瑠理に問う。

「気持ちは分かるけど……せめて天候や地形が良くならないとどうにも難しい……何とか耐えてほしい」

「しかし！」

「ですが！」

「このままでは！」

　三人は再び抗議を始めようとしたが、瑠理の宣言により止まる。

「耐えなければならない！　こうしている間も一刀は命がけで策を成功させようとしているから！」

　これには三人も考えを改めた。

「そ、そうだな……アタシ等がへばってる場合じゃないな」

「……どうかしてたわ」

「申し訳ございません」

「分かってくれれば良い。最悪一刀達の策が成功するまでに耐えてくれれば良い。何としても今は耐える事」

「御意！」