英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 753
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〜ノックスの樹海・奥〜

 

「す、凄い……!あたし達の攻撃は殆んど効かなかったのに……」

ヴァルドの様子を見たノエルは驚き

「ハア、ハア…………まさか”人間”を相手に……しかもケイオスハートを装備した状態でこの技を使う事になるとは思いませんでした……」

「つーか、マジでティオすけもエステルちゃんみたいに人間離れしてきたな……さっき変わった髪や瞳を見た瞬間、マジでヨアヒムやあの秘書野郎のように”魔人化”したのかと思ってビビっちまったぞ……」

Sクラフトを放ち終え、瞳や髪の色が元に戻ったティオは疲労の為か地面に膝をついて息を切らせて呟き、ランディは疲れた表情で呟き

「……色々な意味であの人達と一緒にしないでください………」

ランディの言葉を聞いたティオは疲れた表情で溜息を吐いた。

「ティオちゃん、大丈夫?」

「はい………膨大な魔力を一気に使った衝動と慣れない事をしてしまった衝動が来ているだけです……初めて使ってわかりましたが……この技はあまり乱発できませんね……」

心配した様子で見つめるエリィにティオは顔色を悪そうにしながら答え

「さすがに今のは効いたようだね……」

人間に戻ったヴァルドの様子を見たワジは目を細めて呟いた。

「畜生……”チカラ”を手に入れたこの俺がこんなにもあっさりと……それもあんなガキにまでやられるだと……?ハハハハハハッ!!面白くなってきたじゃねぇか!まさかテメェがそれほどまでの”力”を隠していたとはな、プラトー!!」

一方ヴァルドは悔しそうな様子で呟いて起き上がった後大声で笑いながら魔人化し、そしてティオに視線を向け

「……どうやら今のでワジと同じくらいの好敵手として見られるようになったみたいだぞ?」

「そんな目で見られるなんて、御免被ります………!」

ヴァルドの言葉からある事を察したリィンに言われたティオは疲れた表情で答えながらヴァルドを睨んだ。

「…………………」

一方ワジは黙り込んでいた。

「……クク……どうしたワジ……?いつもみたいに小奇麗なツラでスカした事を言ってみろよ……?そうじゃなくちゃ面白くならねぇだろうが……?」

ワジの様子に気付いたヴァルドは不気味な笑みを浮かべながら言った。

「――――ヴァルド。一体どこで”グノーシス”を手に入れた?」

「そ、そういえば……!」

「ヨアヒム先生が製造したものは調査用のサンプルを除いて全て廃棄されたはず……」

「という事は”誰か”がヨアヒムのように”グノーシス”を製造しているようね……」

「てめぇ……どこから手に入れやがった!?」

ワジの質問を聞いたロイドとエリィはある事に気付き、ルファディエルは目を細め、ランディはヴァルドを睨んで言った。

 

「クク……さてなぁ。それに、カン違いするな。この”チカラ”は何もクスリだけのモンじゃねえ……クスリはあくまできっかけ――――コイツはオレ自身から生み出された混じりけのない”チカラ”だ。ヨアヒムってのが手に入れた紛いモンの”チカラ”と違ってなぁ。」

「……確かに……ヨアヒム先生の時とは違って暴走はしていないようです。」

「きっかけはどうあれ使いこなせてるってわけか……」

ヴァルドの話を聞いたティオは真剣な表情でヴァルドを見つめながら呟き、ワジは重々しい様子を纏って言った。

「――――ヴァルド。”グノーシス”に手を出したからには”殺される覚悟”はできているのでしょうね?今ここで魔人化を解いて投降するなら、命は助けてあげるわ。」

その時ルファディエルは杖を構えてヴァルドを睨んで呟き

「ほう……?」

ルファディエルの言葉を聞いたヴァルドは興味深そうな様子でルファディエルを見つめ

「ル、ルファ姉!?」

「まさか殺害するつもりなのですか!?」

ルファディエルの言葉を聞いたロイドは驚き、ノエルは信じられない表情で尋ねた。

「―――忘れたのかしら?ヨアヒムやアーネストのように”魔人化”をすると知っていながら”自分の意志”で”グノーシス”を服用した者はゼムリア大陸史上最悪の国際犯罪組織である”D∴G教団”関係者として認め、その者の殺害許可は全国家から降りている事を。」

「へえ?じゃあそいつは殺っちまってもいいのかい。」

「そ、それは……………」

「で、でも……ヴァルドはヨアヒムの時とは違って暴走はしていないし、セティ達がいれば、解毒薬も作れるからまだ助かるはず……!」

ルファディエルの話を聞いたエルンストは凶悪な笑みを浮かべ、エリィは複雑そうな表情をし、ロイドはルファディエルを複雑そうな表情をして見つめた後真剣な表情で見つめていった。

「………………………おい、ヴァルド。悪い事は言わねえ。ルファディエル姐さんの言う通りとっとと魔人化を解いて投降しろ。でないと――――マジでテメェを殺すぞ?」

その時ランディは目を細めてヴァルドを睨んだ後凶悪な笑みを浮かべて呟き

「ランディッ!」

「せ、先輩までどうしてそんな事を……!」

ランディの言葉を聞いたロイドは声を上げ、ノエルは信じられない表情でランディを見つめた。

「お前達にもわかっているはずだ。今のコイツはあのヨアヒムの野郎と変わらねぇぐらい相当危険なヤツって事を!もしコイツがクロスベル市で暴れてみたら、どれだけの被害が出るかわかりきっているだろう?既にコイツのせいで何人もの重傷者が出ているんだぜ?」

「それは………」

「確実に甚大な被害や犠牲者が出るだろうな………」

しかしランディの言葉を聞いたエリィは不安そうな表情をし、リィンは重々しい様子を纏って呟き

「―――殺す事に躊躇いのある者達は下がっていろ。足手纏いだ。」

「うむ。それにティオ達が手を汚す必要はない。」

「ま、お前達にはまだ早いから下がってな、ロイド。」

そしてメヒーシャ、ラグタス、ギレゼルはそれぞれ武器を構えてロイド達に忠告し

「久シブリの殺しだゼッ!!」

ラテンニールは意気揚々と武器を構え

「………………………」

「ま、待って、メヒーシャ……!」

「くっ……!みんな、早まるんじゃない!」

メヒーシャ達の行動を見たワジは重々しい様子を纏って黙り込み、エリィは慌て、ロイドは唇を噛みしめた後叫び

「ククク……面白くなってきたじゃねぇか……!」

ヴァルドは不気味な笑みを浮かべていた。

 

「な、なんだ!?」

「ば、化物……!?」

するとその時ミレイユが警備隊員を引き連れてロイド達に近づいてきた。

「ミレイユ……!」

「ミレイユ三尉……!」

「よかった……!復旧が終わったんですね?」

「え、ええ、それで急いで駆け付けたんだけど……な、なんなのその化物……!?」

エリィの言葉に答えたミレイユは厳しい表情でヴァルドを見つめた。

「クク……今日はここでお開きか。特務支援課……それからワジ。次会った時はプラトー達のようにもう少しくらいはオレを愉しませろや……?あの旧市街でやったチェイスバトルくらいにはなァ?」

「くっ……」

「てめぇ……」

ヴァルドの言葉を聞いたロイドは唇を噛みしめ、ランディは目を細め

「私までルファディエルさん達とひとくくりにしないで下さい……!迷惑です……!」

「ヴァルド……!」

ティオとワジは真剣な表情で言った。

「に、逃がすもんですかッ!総員、戦闘準備ッ!火炎放射器及びミサイルポッドの使用も許可する!エルミナ大尉の教えを今こそ見せてあげなさい!」

その時ミレイユは号令をかけ

「イエス・マム!」

号令に頷いた警備隊員はミレイユと共に散開してヴァルドを包囲してさまざまな武器やアーツでヴァルドを攻撃し続けたが

「カカ……ぬるいんだよオオオオオッ!」

ヴァルドは一切傷つかず、棍棒を横に振って衝撃波を発生させ

「きゃああっ!?」

「うわあああっ!?」

衝撃波はミレイユたちを吹き飛ばし、ロイド達をも襲ったが

「―――結界よ、我等を守れ!」

ルファディエルがドーム型の結界を展開して衝撃波からロイド達を守った。そしてヴァルドは跳躍してその場から去って行った。

 

その後、ロイド達はセティ達にも事情を説明して合流し、ミレイユの部隊と協力しながら広大な樹海を捜索したが……結局、魔人化したヴァルドの姿を発見することはできなかった。そして夜も更けていったん捜索が打ち切られた後……ロイド達は深夜近くに支援課に戻り、キーアが用意していた鍋をつつく気力もなく泥のように眠りにつくのだった………

 

 

 

 

説明
第753話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 まあ、これがファルコムとエウシュリーの違いですね THIS様 多分、軌跡シリーズではトップ3に入るチートでしょうねww 勿論トップはエステル(sorano)
 ティオ・・ついに人外の仲間入りですか・・。ああ・・・碧の軌跡キャラの中で断トツのチート化になっているよWW(THIS)
ふむ、やはりこういった面ではロイドやエリィは甘いですね・・・理解しろとは言えませんが、殺しも1つのあり方ということを認識しておくことが今後の課題ですかね(本郷 刃)
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