魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第33話「保護、機動六課より」
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「あれ?」

 

最初に出て来たのは、そんな言葉だった

 

だってそうだ。なぜならその子の格好が、女の子にしては あまりにも不釣り合いだったからである

 

うさぎのぬいぐるみを抱いているのはまだいい、入院患者 が着ているような服、怯えているような表情、まるで何か から逃げてきたような、そんな感じである

 

たとえまだ子どもだとしても、もうすこしオシャレはする のでは?

 

「ここの患者さんかな?こんにちは」

 

「ひっ・・・!」

 

・・・

 

『ご主人様、今の反応から察するにあまり印象は良くはな いかと』

 

・・・言わなくてもわかってますよ

 

結構ショックだなぁ・・・いやホント

 

「あー・・・何か探し物かな?」

 

「・・・ママ」

 

「へ?」

 

今にも泣き出しそうな顔で、うつむきながら女の子はそう 答えた

 

ぬいぐるみをぎゅっと握り締め、口元を堅く結んでいる

 

正直に言って、どうしたらいいかわからなかった

 

「ママ・・・いないの」

 

「ママ・・・か」

 

「どこ・・・?ママはどこ?」

 

「あ・・・」

 

女の子は勇気を振り絞り、一歩一歩こちらに近いてきた

 

「ねぇ・・・ママは?」

 

「と、とりあえず落ち着こうか?ね?」

 

手を前に出して女の子を止めようとするも、一向に止まる 気配は無く、それどころか俺の手を掴もうと手を伸ばして きてるではないか

 

「ほら、俺は何もしない。何もしないよ。だから・・・そ のまま止まって・・・ね?」

 

「ママ・・・ママ」

 

『ご主人様、命令を聞かないのであれば私が直々にもごご っ!』

 

「いいからあんたは黙っててくれって・・・!ぐはぁっ! ?」

 

デバイスの口(?)を押さえるのに必死で、後ろにあるベ ンチに気がつかなかった俺は、体を一回転させて反対側に 豪快にひっくり返ってしまった

 

「・・・いたい」

 

『もふひぃんふぁふぁ、ふぁいふぉうふぇもふぁいまふふ ぁ?(ご主人様、大丈夫でございますか?)』

 

ひっくり返って仰向けになっている俺の下から、もごもご 言う声が聞こえる

 

いつの間にか下敷きにしてしまったようだ

 

「ダンテくん?何やってるの?お昼寝にしては随分と豪快 だね」

 

ふと上に目をやると、おそらく仕事で来たのであろうなの はさんが、盛大にひっくり返っている俺を見下ろしていた

 

「あ、どうも。・・・ご無沙汰しております」

 

「その様子じゃ、わりと元気そうだね。良かった良かった 」

 

「いや・・・それがですね、今大変なことになってまして ・・・」

 

倒れたまま、顔だけベンチのほうに向けると、なのはさん も目を向けた

 

そこには、なのはさんの登場でますます怯えてしまった女 の子が、そっとこちらの様子をうかがっていた

 

「あちゃー、ダンテくんでもダメだったかぁ」

 

『ですから私がむぐぐぅ』

 

「あ、あの子ってなんなんですか?お知り合いで?」

 

「うーん・・・知り合いというか・・・」

 

下から這い出してきたデバイスを押さえつけ、俺は黙って なのはさんの話を聞く

 

実はあの子は、昨日の事件の際に助け出したのだという

 

ケースが鎖で足に繋がれ、服もボロボロの状態で一人歩い ていたの発見した直後、すぐに気を失ったためビックリし たのだとか

 

その状態から、どこかから逃げてきたのでは?

 

という意見もあるらしい

 

「ダンテくんなら、仲良くなってるかな?と思ったんだけ ど・・・」

 

「まぁ・・・見ての通りですね」

 

女の子は今も、こちらの様子を陰から見守っている

 

「どうしたの?何か探し物かな?」

 

なのはさんが、そんな女の子にゆっくりと近付いていく

 

「大丈夫だよ。何もしないから」

 

そう語りかけながら、女の子との距離を少しずつ縮めてい くなのはさん

 

するとなんと、女の子のほうからも恐る恐るではあるが近 付いてきているではないか

 

「・・・ママ」

 

「うん?」

 

「ママ・・・いないの」

 

「・・・そっか、ママを捜してるんだね」

 

なのはさんが、優しく話し掛けていたその時だった

 

「危険です!下がってください!」

 

どこからともなく現れたシスターシャッハさんが、なのは さんと女の子の間に割り込んだ

 

その手に持っている、武器であろう二対のトンファの先は 女の子の方に向いている

 

「大丈夫ですよ」

 

「し、しかし・・・!」

 

「大丈夫ですから」

 

そんな状況にも動じず、なのはさんはいつもの笑顔をシス ターシャッハさんに向け、武器を下ろさせた

 

『ご主人様も』

 

「ああ」

 

俺も腰の銃に伸ばしていた手をゆっくりと下ろした

 

シスターシャッハさんはまだ警戒している様子だったが、 小さな女の子相手にそこまで警戒する必要もないだろう

 

俺も警戒を解き、なのはさんと女の子のやりとりに目を戻 した

 

「ごめんね、ビックリしたよね」

 

なのはさんが女の子に近づくが、女の子はまた警戒の色を 見せる

 

ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、こちらの様子をうかがっ ていた

 

「私は高町なのは、お名前言えるかな?」

 

女の子の目線までなのはさんがしゃがみこんで話し掛ける と、女の子はそっとなのはさんに近付いていく

 

やはりこういうのは、女の子同士のほうが分かり合える何 かがあるのだろうか?

 

「・・・ヴィヴィオ」

 

「ヴィヴィオ・・・ヴィヴィオか、いい名前だね。それじ ゃあ私・・・なのはさんも一緒にヴィヴィオのお母さんを さがしてあげる」

 

「・・・ほんと?」

 

「うん。だから、一緒に行こう?ね?」

 

「・・・うん」

 

女の子は、差し出された手をそっと握りしめ、なのはさん と一緒に歩き始めた

 

ぬいぐるみを片手で抱きしめ、端から見るとそれは、まる で親子のようにも見えた

 

「・・・」

 

『どうかなさいましたか?ご主人様』

 

「いや・・・」

 

何だかそれを見ていると、故郷が懐かしく感じる

 

妹も、よくあんな風に母さんに連れられて歩いていた

 

『シャモニー様も言っておりました』

 

「ん?」

 

『ご主人様は素晴らしいお仲間を見つけられたと』

 

「・・・どうかな」

 

「ダンテくーん。行くよー」

 

見透かされたようで、ちょっと恥ずかしかった

 

〜聖王病院、病室〜

 

「短い間でしたが、お世話になりました」

 

「今後とも、お体には気をつけてくださいね」

 

シスターシャッハさんに見送られ、俺は荷物を持って病室 を出た

 

廊下に出ると、なのはさんがヴィヴィオちゃんと手を繋い で、シグナムさんが腕を組んで立っていた

 

なのはさんが俺のことを話しておいてくれたのだろうか、 若干だけどヴィヴィオちゃんが警戒を解いてくれたような ・・・気がする

 

ーーーーーーーーーー

 

「そろそろ・・・聞かせてもらえないかな?機動六課を設 立した本当の理由」

 

真剣な眼差しで、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは 八神はやてにそう問い掛けた

 

はやては、少し目を閉じた後、持っていたカップをテーブ ルに置き、フェイトと同じように真剣な表情になり答える

 

「それは、カリムのところで話そか。そろそろやと思うと たしな」

 

「そっか・・・じゃあ、なのはにも」

 

そう言って、フェイトはなのはと通信しようとコンソール を開いた瞬間だった

 

『うぇぇぇーん!!』

 

突然響いた女の子の泣き声に、フェイトとはやては思わず 顔を見合わせた

 

「な、なのは?」

 

『あ、フェイトちゃん。はやてちゃんも。あの〜、いきな りで悪いんだけど・・・助けてくれないかな?にゃはは・ ・・』

 

そこに映っていたのは、なのはが保護した女の子に泣きつ かれている姿と、それを見ておどおどと困った顔をしてい るフォワード陣と、なぜだか落ち込んでいるダンテの姿が あった

 

ーーーーーーーーーー

 

「なるほどなぁ、さすがのエースオブエースでも勝てない 相手がいるっちゅうわけやな」

 

「う〜、納得してないで助けて〜」

 

「すみません・・・、私たちにはどうすることも・・・」

 

「ええんやええんや、こればっかりは訓練のメニューにす るわけにもいかんからなぁ」

 

「うわぁぁーん!」

 

はやてさんたちが帰ってきてからもヴィヴィオちゃんは泣 き止む様子はなく、俺は何もできないままただ立ちすくん でいた

 

一つ変わったことと言えば

 

『ヴィヴィオ様。落ち着いてくださいまむむぅ、そんなに 押し付けらむぐぅ』

 

ヴィヴィオちゃんは俺のデバイスを気に入ったのか、手に ぎゅっと握り締め、なのはさんに抱きついている

 

「あはは、ダンテくんよりもデバイスの方が気に入ったみ たいやな」

 

「それを言わないでくださいよ。ショックなんですから」

 

「じゃあ・・・私がいってくるね」

 

フェイトさんはそう言うと、ヴィヴィオちゃんが抱いてい たうさぎのぬいぐるみを持って二人に近づいた

 

「こんにちは、これ何かわかるかな?」

 

「うさぎさん・・・」

 

「正解。私、なのはさんのお友達のフェイトっていいます 」

 

「・・・ふぇいとさん」

 

「うん。なのはさんね・・・お仕事でちょっとだけ行かな くちゃいけないの。でもヴィヴィオに止められて行けない 〜って困っちゃってる。ヴィヴィオは、なのはさんが困っ ちゃうようなこと・・・したい?」

 

「・・・ううん」

 

「ちょっとで戻ってくるから。その間、うさぎさんとお留 守番しててくれるかな?うさぎさんもヴィヴィオと遊びた いって」

 

「・・・ほんと?」

 

「うん。本当。それに・・・あのお兄ちゃんも遊んでくれ るって」

 

「・・・はい?」

 

さすがフェイトさん、そのすべてを包み込んでくれるよう な優しさは子どもにもちゃんと通じるんだなぁ・・・と感 心しているまさにその時だった

 

「ほんと・・・?」

 

なんと、あれだけ行くな行くなとなのはさんに抱きついて いたヴィヴィオちゃんが、俺の方に近づいてきているでは ないか!

 

「う・・・うん、ほんとほんと。なのはさんが帰ってくる まで、俺と一緒に留守番してようか」

 

「うん」

 

「あ、あはは。これでひとまず一件落着かな?」

 

「さすがはフェイトちゃんや。ほな、そろそろいこか?」

 

「ええ。ダンテくん、悪いんだけどヴィヴィオのことお願 いね?」

 

「あ、はい。了解っす」

 

ーーーーーーーーーー

 

〜機動六課、一時的な俺の部屋っぽいところ〜

 

あの騒動のあと、はやてさんはなのはさんとフェイトさん を連れて、聖王協会なるところへと行ってしまった

 

『まちたまえバイパー!あそこに行くのは危険だ!』

 

はやてさんが言うには、そこに信頼できる友人がおり、そ の人も交えて会議をするらしい

 

『離シテクレマインズ!アノドラゴンノ下ニ落トシタ携帯 ニハ、モバマス(モバイルマイスター)ノセーブデータガ ッ!』

 

というわけで、現在俺の仮の部屋にてヴィヴィオちゃんを 預かっている

 

『何を言っているんだいバイパー!ここを生き抜くのと、 ドラゴンに踏み潰され俺たちの旅が終わること、どちらが 大事なんだ!?いくら君が特殊な体を持っているからと言 って危険すぎる!』

 

フォワードの皆はデスクワークのため、いつも場所にこも ってしまった

 

『マインズ・・・ワカッテクレ、アレニハオレノ魂ガ宿ッ テイルンダ。見捨テルワケニハイカナイ。彼女タチガ俺ノ 助ケヲ待ッテイルノサ!』

 

現在この部屋には、俺とヴィヴィオちゃん

 

『くっ・・・許してくれバイパー。これもお前のため、お 前を待っているお姫様の為だ!』

 

『ナ、何ヲスルマインズ!コノママデハ彼女タ・・・アア !ヨセドラ・・・アアァァァァ!!』

 

そして、今よくわからないお話をしている俺のデバイスが いる

 

「あははは!」

 

『以上!最高の旅人野郎マインズと、同じく最高の相棒バ イパーのトラベルラジオでした!続きはまた来週!』

 

 

あ、ラジオだったのね

 

 

「おもしろーい!」

 

『喜んでいただけて何よりです』

 

デバイスをかなり気に入ったようで、今も興奮しながら話 を聞いていた

 

一方俺はというと、ヴィヴィオちゃんが俺のことを嫌って いるわけではないのは知ってはいるけど、さっきあれだけ 恐がられたのが結構こたえており、なかなか一歩踏み込め ず壁に寄りかかって話を聞いていた

 

「はーい!ダンがここにいると聞いて!」

 

「わ!びっくりした!」

 

そんな時、扉がいきなり開いて、変なMOディスク的なの を持ったシャムが入ってきた

 

「なしたの」

 

「ふっふっふ・・・よくぞ聞いてくれました」

 

「ねぇダンテさん。このひとだれ?」

 

「うーん・・・友達かな?」

 

「ついに・・・完成したんですよ・・・」

 

するとシャムは、持っていたMOディスク的なものを俺た ちの目の前に突きつけた

 

「残留データから、その作品そのものを復元する技術が! 」

 

「ねぇねぇ、このおねえさんだれ?」

 

「知り合い・・・かな?」

 

つまり、シャムの話をまとめると

 

俺が使っていた多機能音楽プレーヤーに入っていた音楽デ ータを調べてみたところ何かの残留データが残っており、 シャム曰わく『我が技術部の歪みねぇ技術力』によりいろ いろ復元できたらしい

 

俺の世界のゲームやアニメや映画などなど、その音楽が使 われていたありとあらゆるものを

 

「よっぽど暇なんだね」

 

「まぁ、一応いろいろ入れておいたから、ヴィヴィオちゃ んと遊んでみてよ」

 

そう言って俺にディスクを手渡した

 

「・・・ありがとね。シャム」

 

「いいのいいの。それじゃね」

 

そうして、笑顔で手を振りながら部屋を去っていった

 

もしかして、シャムなりのフォローだったのかもしれない

 

俺が緊張していたから・・・?

 

「ねぇねぇダンテさん。あのおねえさんだれ?」

 

「命の恩人・・・かな?」

 

『ご主人様、それを貸していただけませんか?』

 

ふと後ろからそんな声が聞こえてきたので、言われた通り に声の主にわたす

 

『これは私のスペックからしてもプレイ可能です』

 

「そんなこと出来んの!?」

 

『はい。シャモニー様が開発したRB26コアプロセッサは 伊達ではありませんよ?』

 

「な、なんかよくわからないけど・・・ヴィヴィオちゃん 。ゲームする?」

 

「する!」

 

さて、これが仲良くなるきっかけになれればなぁ

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コメント
ダンテとヴィヴィオか・・・(カイ)
さて、ここからどうなってくのか。パパになるのか、それとも他人か。そしてなにより聖王と戦うのか…………(ohatiyo)
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