英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 762
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赤い星座によるマインツ襲撃が起こったその夜、オルキスタワーには警備隊や警察の上層部達がディーター市長とマクダエル議長と共に会議を始めた。

 

〜夜・オルキスタワー〜

 

「何たることか………まさかここまで大それた事を一猟兵団が引き起こすとは。」

マクダエル議長は重々しい様子を纏って呟き

「……背後に何者かがいるのは間違いないでしょう。それも通商会議の時と同じく……」

ディーター市長は真剣な表情で言った。

「エレボニア帝国政府……いや、あえて特定するなら『帝国軍情報局』ですか。」

「その可能性は高いと言わざるを得ませんね……このクロスベルでも情報局の将校が『赤い星座』と頻繁に連絡を取り合っていました。」

セルゲイの推測にダドリーは頷き

「まさか奴等にそんな事をする余裕があったとはな……」

「それもここまで大胆な事をするとは……」

ヴァイスとアルは厳しい表情で言った。

「こ、こうなってしまってはエレボニア帝国政府に泣きついてみるしかないんじゃないでしょうか!?もしくは共和国政府やメンフィル帝国政府に頼んで味方になってもらうとか……!」

するとその時警察の副局長であるピエールは提案したが

「いや、既に昼間の時点でエレボニア帝国政府には問い合わせている。返事は当然ながら……『身に覚えがない』だったがね。……そしてこれは私の責任だが独立提言以来、共和国政府やメンフィル帝国政府にも協力を頼める状況ではなくてね。」

「加えて通商会議の件で大反撃した俺達がいるのだから、エレボニアとカルバードに対しては無理な提案だろ。」

「そうですね。きっと相手は『あれほどの事をした上、独立提言するなんて何様のつもりだ』と思っているでしょうね。」

「そ、そんな……い、いえ!決して市長や局長達の責任ではっ!」

ディーター市長とヴァイス、アルの説明を聞いて絶望した表情をした後、すぐに慌てて言い

「そ、そうだ!マクダエル議長!”聖皇妃”――――イリーナ皇妃になんとかメンフィル軍をクロスベルに援軍として来ていただくよう、頼んでみては!?”教団”の事件の時もリウイ陛下達が直々に戦ってくれたのですから、議長が頼めば援軍要請にも応えてくれるのでは!?」

そしてある事を思いついて提案した。

「……………………………」

「……今この状況でメンフィル軍がクロスベルに駐留すれば、市民のディーター市長の独立提言に対する関心度が一気に下がるぞ?」

ピエールの提案を聞いたマクダエル議長は重々しい様子を纏って黙り込み、ヴァイスはピエールに視線を向けて忠告し

「そ、それは……!も、申し訳ありません、市長!!」

「いや、気にしないでくれ。恐らくマクダエル議長とイリーナ皇妃の関係を覚えている大半の市民達の誰もが思っている事だろう。」

ヴァイスの忠告を聞いたピエールは表情を青褪めさせた後ディーター市長に頭を下げ、頭を下げられたディーター市長は静かな口調で答えた。

 

「いずれにしても……このままでは、自治州政府としても正式な抗議声明を出すしかないだろう。しかし……何はともあれマインツの住民の安否が気になる。」

「……民間の飛行艇に依頼して何とか上空から確認はできました。現時点では、略奪などの行為が行われている気配はなさそうです。」

マクダエル議長の言葉を聞いたソーニャは真剣な表情で答えた。

「ですが、マインツの住民が、人質である状況は変わりません。食料の備蓄も心配ですし、グズグズはしてられませんね。」

「無論だ、すぐに対策を打とう。……警備隊の被害はどの程度のものだったかね?」

そしてダグラスの言葉に頷いたディーター市長は厳しい表情でソーニャ達を見つめて尋ねた。

「……人的、物的被害共に甚大と言わざるを得ません。先程、援軍としてギュランドロス司令とエルミナ大尉も到着し、さらに”六銃士”がそれぞれ鍛え上げたベルガード門の警備隊員のおよそ半分の戦力とタングラム門の予備戦力全てが到着し、山道のトンネル付近に展開している状況です。」

「そうか………」

ソーニャの報告を聞いたディーター市長は重々しい様子を纏って頷き

「”六銃士”達のおかげで比較的強くなったベルガード門の精鋭達なら連中とも互角以上に戦えるかと。……実際、援軍のパティルナ中尉達が到着してからは何人もの猟兵達や連中が操る魔獣達を殲滅し、戦線を圧し戻せたそうです。」

「そうか………”教団”の事件の時といい、通商会議の事件の時といい、クロスベルはヴァイスハイト局長やアル警視共々”六銃士”には本当にお世話になっているな…………」

ダグラスの報告を聞いたマクダエル議長は頷いた後真剣な表情でヴァイスとアルに視線を向け

「……ありがたきお言葉。いざとなれば私やアルも出陣するつもりですのでご安心を。」

「――――ダドリー。既に理解していると思いますが彼らはゼムリア大陸の”害”といってもおかしくない殲滅対象。もはや”逮捕”等甘すぎる処罰を実行しないようにお願いします。……そうしなければ甚大な被害や犠牲を受けるのはこちらなのですから。」

視線を向けられたヴァイスは真剣な表情で答え、アルはダドリーに視線を向け

「…………………了解しました。全局員に通達をしておきます……………………」

アルに視線を向けられたダドリーは複雑そうな表情で黙り込んだ後答えた。

「――――相手は戦闘のプロだがあくまでミラで雇われている集団だ。交渉次第では、これ以上の惨事や戦闘を食い止められる可能性もあるだろう。警察の諸君には、市民の不安を抑えてもらうと同時にそのあたりの可能性も探って欲しい。」

するとその時ディーター市長が真剣な表情で提案し

「了解しました!」

「た、直ちに!」

「私やアルを含め、捜査資格を持つ刑事達には最優先で探らせて頂きます。」

「後は猟兵達によるクロスベル市を含めた他地方の襲撃も警戒させておきます。」

ディーター市長の提案にダドリー達は答え

「ギルドとも連絡を取って手を尽くしてみますか……」

セルゲイは重々しい様子を纏って呟いた……………………

 

 

 

説明
第762話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 まあ、基本敵は生かす主義のファルコムと敵は殺すが基本のエウシュリーじゃ、価値観がねぇ(sorano)
そうそう、戦争屋である猟兵相手に逮捕とか生ぬるいんですよ・・・戦争を知る者でなければその甘さは捨てられないでしょうね(本郷 刃)
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