英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 765 |
〜歓楽街・カジノハウス『バルカ』〜
「これは皆さん。……もしやランディの件でいらっしゃったんですか?」
自分に近づいてきたロイド達を見たカジノのオーナーは真剣な表情で尋ねた。
「はい……やはり彼はこちらに?」
「ええ、夜中の3時くらいに店にフラリと現れまして……しばらくここで飲んでから帰って行きましたが……」
「……どうやら真っ先にこちらを訪れたみたいですね。」
「それで、その後どこかに行くとか言ってなかったかい?」
「……やはり支援課には戻らなかったみたいですね。いえ、どこに行くとは特に言っていませんでした。ただ、どうも飲んでいる最中、いつも以上に減らず口が多くて……おまけに帰り際、ある物を私から引き取って行ったんです。」
ワジに尋ねられたオーナーは重々しい様子を纏って答えた。
「ある物……ですか?」
「ええ……随分重いトランクで中身は私も存じません。2年前、ランディがこの街に来たばかりの時に預かったんです。『俺が死んだらジャンク屋あたりにバラして売り払ってくれ』と言って。」
「そんな……」
「ランディ先輩……」
「……らしく無さすぎです。」
「…………………」
オーナーの説明を聞いたエリィは表情を青褪めさせ、ノエルとティオは心配そうな表情をし、ロイドは黙り込んだ。
「……ヤツの経歴については私もある程度は存じています。ですが、過去にどんな事があったのかまでは知りません。それを知ってヤツの力になれるのは恐らく、皆さんだけでしょう。」
「オーナー……」
「……はい。そうありたいと思います。」
その後ロイド達はラギール商会の店舗を尋ねたが、店舗の扉に”臨時休業”の札がかけられていた。
〜ラギール商会〜
「あれ………休みになっている………」
「確か今日は定休日じゃないですよね?」
「今のこの状況で”臨時休業”ですか………」
「”何か”がありそうなのはプンプンするねぇ。」
「昨日の通報の話ではメンフィル兵達に各地を監視させていたというし……ランディに関しての情報もあると思うのだけど………」
”臨時休業”の札を見たロイドは驚き、ノエルは戸惑い、ティオは真剣な表情をし、ワジは口元に笑みを浮かべて呟き、エリィは目を伏せて言った。そしてロイドは扉に近づいてノックをし
「―――お休みの所、すみません!クロスベル警察、特務支援課の者です!少し相談したい事があって来ました!どなたかいらっしゃいませんか!?」
大声で店舗を見つめて叫んだ。すると数分後扉が開いてエリザベッタが姿を現した。
「本日は……臨時休業となっておりますが………何の御用…………でしょうか………?」
「……昨夜から今朝にかけて、ランディはここを訪ねてきませんでしたか?」
エリザベッタの言葉を聞いたロイドは真剣な表情でエリザベッタに尋ね
「…………………いつ……とはランディ様に決して誰にも教えないで欲しいと頼まれている為………申せませんが………ランディ様が……ご来店なさったことは事実です……………」
「その……少し事情があってランディの行方を追っているんです。何とか何時ごろこちらにいらっしゃったのか教えていただけませんか?」
エリザベッタの答えを聞いたエリィは真剣な表情で尋ねたが
「………………………」
エリザベッタは黙り込み
「どうやらダメみたいですね。」
「”どんな客”でも明かして欲しくない事は守るみたいだねぇ?」
エリザベッタの様子を見たティオは溜息を吐き、ワジは口元に笑みを浮かべて言った。
「――――わかりました。本来でしたらチキさんにも昨日の通報の件なども含めて色々と尋ねたい事があるのですが……今のそちらの状況を考えると会わせていただけないのでしょう?」
「…………………………」
ロイドに尋ねられたエリザベッタは何も答えず黙り込み
「何も答えない……という事は当たりなんでしょうね……」
エリザベッタの様子を見たノエルは複雑そうな表情で言った。
「……でしたらせめてランディがここで一体何を買ったのかや、滞在時間を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「…………………火薬式の弾丸や……さまざまな魔術効果が籠められた弾丸…………さらにさまざまな魔術効果が籠められた特殊な炸裂弾を……在庫にある分……全て購入して……いかれました………滞在時間は……およそ……20分ほどです……………」
「え……肝心の重火器は購入していかなかったんですか?」
エリザベッタの説明を聞いたノエルは不思議そうな表情をして尋ね
「はい……………それと……ロイド様………後でチキ様からご連絡があると思いますので……………できれば……チキ様のご連絡に応じてくださいませんか…………?支援課の方々も一緒で構いませんので……………」
尋ねられたエリザベッタは頷いた後ロイドに視線を向けて尋ね
「………………今は優先すべきことがあるため、難しいですが………ランディの事で何か知っているのでしたら。」
尋ねられたロイドは真剣な表情で答えた。
「………それでしたら………大丈夫……かと……」
「え………」
そしてエリザベッタの答えを聞いたエリィが呆けたその時、エリザベッタは店の中に入って扉を閉め、さらに鍵も閉めた。
「あ………」
「あの言い方は絶対知っている言い方でしたね。」
「やれやれ……彼の行方と交換に一体何を僕達に聞きたいんだろうねぇ?」
エリザベッタの行動にノエルは呆け、ティオはジト目で言い、ワジは口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ
「……………今は考えても仕方ない。チキさんから連絡があるまでランディの情報を集めよう。」
見つめられたロイドは考え込んだ後静かな口調で提案した後旧市街に向かい、旧市街に向かう途中、ロイド達はオルキスタワーの様子を確かめる為にオルキスタワー周辺に向かい、そこに装甲車両の側にいるミレイユを見つけて近づいた。
〜オルキスタワー周辺〜
「ミレイユ三尉……街に来てたんですね。」
「山道の警戒についたと聞きましたが……」
「ええ、ついさっきね。山道の方はルイーネ一佐達が警戒しているから大丈夫だしね。まだこちらで会議を続けている司令と副司令をお待ちしているの。」
ロイドとティオの言葉にミレイユは真剣な表情で答え
「課長や局長達も昨夜から参加していた会議ね……」
「ギュランドロス司令達が残っているということは……やっぱり対策も難航しているんでしょう。でもギュランドロス司令……というより今のベルガード門の警備隊員なら赤い星座を殲滅できるような気がするのですが…………」
エリィは真剣な表情で呟き、ティオは尋ねた。
「…………司令はトンネルに仕掛けられていると思われる導力地雷(オーバルマイン)を駆除後、慎重かつ電撃的な強襲で一気に赤い星座を殲滅、マインツを解放する事を提案しているんだけど……副司令や市長達が反対らしくてね……中々決まらないようね。……それよりあなたたち。今朝、その課長さんから問い合わせがあった件だけど……ランディが行方をくらませたんですって?」
「……はい。おそらく……マインツ山道に向かっている状況だと思われます。」
「……そう………………………」
ロイドの話を聞いたミレイユは心配をそうな表情で黙り込んだ。
「……大丈夫かい?」
「……ええ、私は平気よ。それよりも……ランディが姿を消したのは、あいつの過去が関係している……そうなんでしょう?」
「そ、それは……」
「……くやしいけど、私はランディの過去はエルンストからあいつが元”赤い星座”の団長の息子で猟兵だった事くらいしか知らされてなく、詳しい事情は知らないわ。今まで実戦訓練でライフルを使えなかった理由も私にはわからない。だけど……今回のこれが、皆に多大な心配をかける本当に馬鹿な行為なのはわかる。」
「ミレイユ三尉……」
「……確かに、バカを超えた大馬鹿です。」
「……警備隊も甚大な被害を受けたわ。多分司令の事だから、強引にでも意見を押し通させて、本格的な殲滅並びに救援部隊を編制することになると思う。私達はそれまで動く事はできないし……ランディ一人のために出動を早めるわけにもいかない。だから皆さん……あの馬鹿のこと、どうかお願いね。」
「……任せてください。ランディは俺達が、必ず……!」
ミレイユの言葉にロイドは力強く頷き
「それともしあの馬鹿が私が猟兵達の殺人に関わった事を気に病んでいたら言っておいて。――――これが私が選んだ道。貴方が気に病む必要はないって。」
「ミレイユ三尉……………」
「…………………」
優しげな微笑みを浮かべて言ったミレイユの言葉を聞いたエリィは複雑そうな表情をし、ノエルは複雑そうな表情で黙り込み
「……必ず伝えておきます。」
ティオは静かな表情で言った。その後旧市街に向かって到着したロイド達はジャンク屋を訪ねた……………
説明 | ||
第765話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 ですよね〜。一体どれだけの人達に迷惑をかけていることやら…… THIS様 ミレイユはかなり好きなキャラなので好待遇にしていますww(なんせ、貴重なツンデレですしww)(sorano) ミレイユ。この時点でもうランディの過去に触れているよ。もしかしてミレイユの想い成就か?だとしたら結構いい想いをしているキャラになりますね。(THIS) ランディ、帰ってきた暁には迷惑をかけてしまった人たちから1発ずつ殴られるようにw(本郷 刃) |
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