特務戦隊 Lパワード! 最終話 大団円 |
(惑星イネット・王宮 最終階層)
クトゥルフ「くくく…、エル用の特別スーツに、ミキのスキルとボディ、存分に試させて貰う!」
カチャ!
クトゥルフは、Lパワード4人が集まっている方へライフルを構え、スコープをのぞき込みながら叫んだ!
クトゥルフ「『波動弾』!!!」
バシュ!!!!
クトゥルフの構えたライフルの銃口から、“真っ黒の弾丸”が発射された!
海斗「アイスウォール!!」
海斗は、自分のマフラーから4人の手前に“冷凍光線”を発射し、ちょうど4人の手前の空気中の水分を瞬間凍結させ、強固な氷の壁を作った!
漆黒の弾丸は氷の壁に衝突して爆散し、ミキのスキルとして弾丸に封じていた“超高パルスウェーブ”が弾け飛んだ!
ペキペキペキペキ・・・・・パキッ
“超高パルスウェーブ”の波動エネルギーは、瞬時に作った氷の壁に全て吸収され、4人は無事、攻撃から逃れる事ができた。
クトゥルフ「ふんっ、正真正銘、『本気』なわけだな」
海斗「当然だ! みんな! 守りは任せろ! 今度はこちらから行くぞ!」
ルカ「顔は殴らない! ボディにキツイの一発入れるわ!」
ルカは矩形波のようにジグザグに高速移動して、クトゥルフに急速接近していった!
クトゥルフ「炸裂弾!」
バシュ!
クトゥルフはルカの移動軌跡から、炸裂弾の小片が当たるであろうエリアの中央に向かって、炸裂弾を発射した! 弾はルカの手前で爆散し、高熱の小片が飛び散った!
リリィ「ヴァルマンウェ!」
ビュ!
リリィが手袋をはめた左手から放った高エネルギーで高速回転している“竜巻”は、小片がルカに当たる前に、横に吹き飛ばしたのだった!
クトゥルフ「おかしい・・・」
ルカ「ミキごめん! ボディがお留守よ!」
ドムッ!
ルカは思いっきりクトゥルフの腹部に、重いボディブローを入れたのだった。ファイナルウェポンレベルでの、この一発。さすがのクトゥルフも、“くの字”のように体を曲げて吹っ飛んだのだった。
クトゥルフ「ぬぅ・・・」
バチバチ・・・
ミキとしてのボディへの直撃だったので、接触箇所が微量破損し、ショートしていたが、スーツの修復機能が働き、すぐに修復された。
ルカ「自動修復機能・・・。全損する威力の一撃でないと、破壊はムリか・・・」
クトゥルフは頭を垂れて、なにやらブツブツうなっていた。
クトゥルフ「おかしい・・・この中では少なくても最強の能力を持っている。間違いない。しかし、なんだ、この体たらく・・・。間違いなく“個体”として最強・・・『個体』・・・・・・そうか、“個体”としてなのか。ミキめ・・・」
ミク「何、ブツブツ言っているミクか!」
クトゥルフ「・・・ミキの口車に乗せられたとはな・・・だが、それならば“戦闘スタイル”を変えればいいか」
ルカ「何をブツブツと!」
クトゥルフ「お前ら、我をも謀った(たばかった)“ミキ”という大きな存在を失った事、これから深く後悔させてやる!」
海斗「なんだ!? いきなり!?」
クトゥルフ「ミキがこのボディを交換させた理由は、“このボディはこの中で個体として最強”、だ。だが、それは単一の個体として。先ほどのお前らのように、『連携』して攻撃防御をして来た場合にも、必ず勝つとは言ってなかった。ミキが我を謀った作戦はこれだったのだよ。このままではお前ら4人の連携攻撃で、おそらく我は撃破されてしまうかもしれない・・・」
ルカ「ミキ・・・ありがとう・・・これで勝てるよ・・・」
クトゥルフ「だがっ! それは我の攻撃方法を変えれば、簡単に解決すること! 要するに連携させなければいいのだよ!!!!」
ダッ!!!
クトゥルフ「乱射!!」
ガガガガガガガガ!!!!
クトゥルフはエリアの所構わず、ライフルを“ガトリング”のように変えて、乱射してきた! Lパワードの4人には全く当たらないのだが、辺りの壁や置物が破壊され、壁が崩れ、バトルエリアは、廃墟のようになってしまった。
ヒュ〜
そしておかしな現象は続いたのだった。なんと、クトゥルフがいなくなっているのだった!
海斗「くっ! やつめ! 乱射の埃に乗じて・・・天井裏か? 物陰か? どこに逃げた!」
ピーーー、バシュ!
リリィ「! 海斗! 危ない!」
ガッ! シュッ!
リリィは高速移動で海斗を突き飛ばした。なんと、海斗は“狙撃”のターゲットにされていたのだ! リリィの右腕から赤い液体が流れていた。代わりに撃たれてしまったのだ。
海斗「!!! リリィ!」
リリィ「ぐっ・・・だ、大丈夫・・・ミク、ヒーリングをお願い!」
ミク「わかったミク!」
ピーーー
ルカ「!! だめ! ミク!」
ガッ! バシュ!
今度はルカがミクを突き飛ばした! 今度はなんとか弾丸を回避できたので、ルカは無事だった。
ミク「あ、ありがとうミク・・・」
海斗「奴め・・・『狙撃』に徹することにしたのか!」
ルカ「しかも、仲間に向かおうとするのをターゲットにして、連携攻撃させないつもりだわ!」
ピーーー
ルカ「! リリィ! 逃げて!」
バシュ! ダンッ!
リリィ「グゥゥゥ!!!」
リリィは今度は左手を撃たれてしまった! 一番弱っているターゲットから、先に倒す、『狩猟』のオキテに従った、合理的な作戦だった。
ルカ「海斗! とにかくミクとリリィを一緒にして、厚い氷の壁を作って置いて!」
海斗「わ、わかった!」
ビューーーーー! ガン!
ミクとリリィを何とか一緒にしてから、海斗はマフラーからブリザードを吹きだし、先ほどと同じように周りを厚い氷の壁で覆い、ミクとリリィをとりあえず狙撃されないようにした。
リリィ「うぅぅ・・・・」
ミク「動かないミク! 今、治療するミク!」
ルカ「・・・しかし・・・これで・・・」
海斗「奴の作戦通り、“回復役のミク”、“高速防御役のリリィ”と俺達が、離れてしまったな。ますます連携できない上に、近接攻撃のルカでは、隠れている奴を攻撃できない・・・か」
ルカ「ミキの作戦がばれちゃった今、倒すためには、私たちの“更に一歩進んだ策”を生み出さないと、勝てない・・・か」
海斗「そして、次に狙ってくるのは、防御が鬱陶しい“俺”だろうな」
ルカ「どうする?」
海斗「・・・俺を狙ってくる・・・か・・・よし、少々危険だが、手はある。ルカ、冷え込むから、気合い入れてくれ!」
ルカ「!?」
ピーーー
海斗「よし、マーカーを発射したか。ならば! 『アイス・コンディション』!」
ビューーーー!!!!
海斗は何を思ったのか、このエリア全体を急速冷凍し、白い“冷気”をまんべんなく散らし、クトゥルフだけでなく、自分たちの視界すら、おぼつかない状態にしてしまった!
バシュ!
海斗「ヌゥ!!!」
海斗は何を思ったのか、あっさりと左腕を撃たれてしまった! しかし、それだけが“観測された情報”ではなかった! エリア全体にまき散らされた“白い冷気”の中を弾丸が通過したため、“弾丸の軌跡”が、エリアの空中にはっきりと残されていたのだ!
海斗「ルカ! “あの弾丸の軌跡”の根本に奴がいる! ラストチャンスだ!」
ルカ「了解!!!!」
ルカは超高速で、一直線に“残された軌跡”をたどっていき、“ガレキの影”に隠れていたクトゥルフを発見した。
クトゥルフ「くっ お前ら二人の連携を残したのが・・・失策だった・・・」
ルカ「ミキ、ごめん。完全破壊させてもらうわ」
ルカは渾身の力を込め、全エネルギーを集中させて、クトゥルフの“心臓部”に、鋭い手刀を繰り出した。
ズガン!!!!!
クトゥルフ「グホォ!」
ルカの手刀はクトゥルフの心臓部を貫いた。クトゥルフはオイルを吐き出し、その場に倒れてしまった。
クトゥルフのボディの別スピーカー「・・・システム・・・ダウン・・・」
シューーーーーーン・・・
クトゥルフは完全に沈黙してしまった。ボディの完全破壊があった場合、クトゥルフ本体がボディを変える事は出来ないようだ。
ルカは泣いていた。
ルカ「ミキ・・・ごめん・・・完全破壊しか・・・方法が無かったの・・・」
しかし、クトゥルフは“何もせずに死んでいった”わけではなかった。
クトゥルフのボディの別スピーカー「エマージェンシー! 自爆システム起動! これより5分後に自爆を決行します。すぐに待避して下さい! エマージェンシー!・・・」
海斗は先ほど、リリィとミクに張ってあった壁を破壊して助け出し、3人はルカの横にたたずんでいたのだった。
海斗「ルカ・・・本当のお別れだ。何かあったらすぐにやってくれ」
ルカ「ううん、いいの、もう。すぐに逃げよう」
ガゴン! バゴン!!!!!!
4人「!?」
突然に壁が崩れ、開いた大きな穴の向こうには、見慣れた大きめの戦艦のサイドハッチが浮いていた。
スピーカーの声「は〜い! メイコよ! タイミングドンピシャだったわね!」
ルカ「メイコさん!」
メイコの声「Lフォートレス到着よ! 事情は知っているわ。リンレンは回収したから、早く乗って!」
クトゥルフのボディの別スピーカー「残り3分」
海斗「急ごう!」
ルカ「うん!」
(Lフォートレス・コントロールルーム)
こうしてLパワードの4人は、すぐに横付けされてあったLフォートレスに乗り込み、コントロールルームに移動したのだった。そこにはリンもいて、その横に気絶したレンが寝かされていた。
メイコ「はい、お疲れ」
ネル「お疲れさま! とにかく急速離脱するから、席に座ってよ!」
全員が席に座り、しっかりとシートベルトをしめた。
メイコ「OK! エンジン全開! 急速離脱!」
ネル「急速離脱!!!」
ギューーーーーーーーーーーン!!!!!!
Lフォートレスはバーニアを全開にして、惑星イネットから急速離脱していったのだった。急速離脱する直前、あの部屋から激しい爆音がし、王宮が崩れ去ったのを、ルカはモニター越しに確認していたのだった。
ルカ「ミキ・・・さよなら・・・」
(惑星イネット周囲の宇宙空間・Lフォートレス船内)
スピーカーからアルの声が聞こえてきた。
アル「惑星イネットの核を核爆発させる装置のカウントダウンを始める。始めたらすぐに全船団は、チキュウへのワープ行動に入る。了解か?」
メイコ「オーケーよ」
ネル「僕が送って置いたデータが、ワープルートだよ」
アル「ああ、了解している。では、カウントダウン始める」
スピーカー「カチッ!・・・・イネット爆破、カウントダウン10・・・」
メイコ「Lフォートレス、ワープ、開始!」
アル「イネット船団、ワープ開始!」
ギューーーーーーーン!!!!!
Lフォートレスと、イネット人の生き残りを乗せた船団は、イネットからワープし、地球を目指していったのだった。
スピーカー「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0」
アル「さらば、イネット・・・」
スピーカー「爆破します」
・
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(数時間後、地球、Lパワード基地)
地球政府側に前もって連絡をした上で、Lフォートレスとイネットの船団は、Lパワードの基地周辺に無事着陸し、イネットの人たちは基地の設備を利用して貰う事にして、別の住める星が決まるまで、地球での生活をして貰うことになった。幸い、イネットと地球の生活スタイルは非常に似ていたので、思いの外すんなりと、イネットの人たちは生活にとけ込んでいった。
そんな生活が始まった、地球到着の日、こんな会話が交わされていたのだった。
リン「Lパワードの皆さん、そして、地球の皆さん、本当に感謝してます」
レン「有り難うございます」
学歩「面目ない。出来るだけ早く、移住できる星を見つけますので、それまで宜しくお願いします」
めぐみ「宜しくお願いします」
メイコ「そんな固くならないでね。一緒に戦った仲だし、ようやく落ち着いたわけだし。あ、レン君だけど、あなたの“パーソナル情報”だけは、“エル”としてだけど、こっちで登録されているから、貴方の前の記憶“エル”として、コレまで通り、Lパワードの一員として、そして、喫茶店“LEO”の店長として、続けて貰うわ」
レン「その記憶の部分がほとんど抜け落ちてしまっているので、どうなるかわかりませんが、おっしゃるとおり“エル”として、ここで活躍させて頂きます」
ルカ「“エル”の復活ね」
リン「私も地球人のスタイルに変身して、出来る限りお手伝いさせて頂きます」
学歩「私とめぐみも、喫茶店の手伝いだけでなく、この基地のメンテナンスなどに、協力させて頂きます」
めぐみ「頑張ります!」
アル「私とトニオと他のイネット人は、惑星スキャンに人力を尽くさせていただきます」
メイコ「うん、それがいいと思います。“出来る人が、その人が出来る事に全力を尽くす”、これが基本ですからね」
ネル「僕もそう思うよ。学歩さんとめぐみさんの技術には、実は期待しているんだよね」
ハク「私も心強いです。」
テト「ヾ(*´∀`)ノ」
メイコ「じゃあ、これからは“新生・Lパワード”として、そして、“新生・喫茶店LEO”として、みんなで頑張っていきましょう!」
全員「ラジャー!」
ルカ「あ・・・あの・・・一致団結した所、申し訳有りませんが、犠牲になってしまった“ミキ”の事なんですが・・・、やっぱり“再生”できないのでしょうか?」
メイコ「気持ちはよくわかるんだけど、申し訳ないけど、ミキさんの“生体パーツ”は、ミキの元の人間“古河ミキ”の生体パーツを使っていたのよ。そのパーツは、もう残ってない・・・、つまり、ミキの再生は、もう出来ないのよ。だから・・・」
メイコは意気消沈しているルカに、メンテナンス用のドライバーを一本、そっと手渡した。
ルカ「これは・・・?」
メイコ「あの子が愛用していた、自分のメンテナンスに使っていたドライバーよ。ミキの亡骸は何もないけど、それを、基地の墓地に埋めて、十字架の墓を建てて上げて」
ルカはちょっと涙ぐんでいたが、ドライバーを握りしめて、基地の裏手にある墓地に向かって走っていった。
学歩「ルカさん、」
メイコ「学歩、ここはルカ一人にさせてあげて」
学歩「・・・はい」
(基地裏の墓地)
ソコは海がよく見える丘で、心地よい海風が入ってきていた。もう、夕日が射し込む時間だった。ルカは資材置き場から白い中型の十字架を抱えてきて、一番海がよく見える場所を少し盛り土して、その十字架をさし、その手前に、形見のドライバーをそっと置いた。
ルカ「・・・ミキ、あなたのお願い通り、クトゥルフを倒したわ。イネットの人たちを地球で受け入れて、みんなこれからの生活を頑張ろうって、志気が上がっているわ」
ルカ「・・・本当に有り難う、あの時、あなたが自らを捨ててまで、策を講じてくれたおかげで、みんな、頑張っていける・・・そう思う」
ルカ「ミキ・・・貴方のことはずっと忘れない、Lパワードの本当の勇者として、語り継いで行くわ」
ルカ「だから、もう大丈夫、ここでゆっくりと休んで、私たちを見守ってね」
(ありがとう、みんな、頑張ってね)
ルカ「え・・・、ミキの声?・・・、ううん、ミキは正真正銘、もういない。でも、幻でも嬉しいな。じゃあね」
クルッ
ルカは振り向き、みんなの所に戻っていった。
ミキの墓は、ずっとずっと、みんなを見守るように、丘の上にたっていた、そう記録に残されていったのだった。
(了)
CAST
ルカ:巡音ルカ
エル=レン:鏡音レン
侵略されたミキ=クトゥルフ:miki
リリィ:Lily
ミク:初音ミク
海斗:KAITO
メイコ:MEIKO
ミキ:miki
リン:鏡音リン
学歩:神威がくぽ
めぐみ:GUMI
アル:Big・AL
トニオ:Tonio
その他:エキストラの皆さん
説明 | ||
☆今日は夕飯の焼きサンマが焼けるまでに時間がかかるので、pixivにアップした原稿を直してアップしました。 ☆ちょっと事情で、更新が遅れることがあります。すみませんです。 ○ボーカロイド小説シリーズ第12作目の” 特務戦隊 Lパワード!“シリーズの第9話です。 ○今回は戦隊モノです。 ○ギャグあり、涙あり、ワクワクありの、戦隊モノの王道をボカロ達に演じて貰いました。 ○まぁ、今回もカイトにーさんは、ギャグ要因で不憫な役なんですけどね・・・。 ○Lパワードの“L”が何を意味するのか? お楽しみに。 ☆最後の戦い&脱出です。ミキさん… ☆これまで、お付き合いいただき、まことに有り難うございました! |
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