超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編
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「うぅ……もう…無理ィぃ…」

 

「体が、うんともすんとも、言わないわ……」

 

「づがれだでず〜〜…」

 

上からネプテューヌ、アイエフ、コンパが机にへばり付いてた。

俺も椅子に全ての体重を掛けて呆然と天井を見るぐらいしか体力がない。

 

空からの鍛錬は、単純明白にひたすら模擬戦だった。

形式は、空対俺達で空は攻撃しないと言う条件で一時間ひたすらバトルすることだった。

最初言い渡された時は明らかに舐められていると俺達は、絶対に一時間以内に倒してやると全力で空を倒そうと結束して向かった。

 

『見事に当らなかったね』

 

「まるで雲と戦っているみたいだったわ……」

 

とにかく当たらない。

ネプテューヌ(変身時)の斬撃は紙一重で躱し、アイエフ自慢の速さを生かした連続攻撃も空には欠伸しながら躱され、その横でコンパが援護射撃するが空は、そこにコンパを見ずに全弾躱して見せた。

俺も((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))で斬撃と二つの魔銃を扱いながら徹底的に攻撃を仕掛けるが、永久追尾弾のアフーム=ザーは当る直前に弾丸を手で捕まえて潰したり、イォマグヌットは威力が高く弾速が遅いから地面に着地する寸前を狙ったが、逆に一瞬魔力で壁を作り爆風を利用して距離を離されたりしていた。

 

「正に有名な赤い彗星の如く当たらなければどうということはない!をそのまま、見せられたよ……」

 

結局の所、最初の一時間で傷一つも与えれなかった。

どう見ても死角から攻撃にまるで見えている様に回避する空にどうしてそんなことを出来るかと質問してみるとーーー

 

「風を切る音で大体把握できる。とか、絶対にアイツは異常だわ……しかもあの顔…!」

 

アイエフが机に顔を突っ込んだ状態で強く拳を握る。

空はそのことを言っていた時まるで『出来て当たり前でしょ?』的な自慢顔より、ムカつく表情をしていた。(あれは無意識だと思うが)

とにかく与えられた20分の休憩時間の間に色々と作戦を練って実行するが、これまた欠伸しながら全て回避された。

 

肉体的な疲労より、精神的な疲労が多く出る。

こちらとて、それなりに修羅場を潜ってきた経験者だ。なのに、目の前の人物には今までの努力を嘲笑うかの如く全て打破されたんだ。あちらは攻撃を禁じているにも関わらず。

 

最終的には、本人も修業とか言い出して目を瞑った状態になった。屈辱だったが、これなら絶対に倒してやると挑んだ三回目の後、俺達は疲労困憊で地面に倒れていた。そこで空は、咎めることもなくまるで教科書を読んで聞かせるように俺達のコンビネーションの欠点を容赦なく浴びせてくるので、俺はともかくネプテューヌ達が本気で心が折れかけていた。

 

俺達の弱点として。

 

 

『突っ込み過ぎ、せっかくの魔銃の性能も生かし切れていない。後仲間と呼吸を合わせろ。溢れ出ている主人公みたいに俺が守ってやる!とか自己心を入れ過ぎだバカ』←俺に対して

 

『紅夜の突撃と合わせろ。君は紅夜と違って火力に劣るけど刀として利点として素早い攻撃が出来る。状況に応じて相手が固い相手なら紅夜の一撃に頼り、相手が素早い相手ならアイエフと共に突っ込んで動きを牽制して…って、聞いてる!?』←ネプテューヌに対して(処理限界を超えたのか途中から煙が頭から出ていた)

 

『せっかく銃内臓のカタールと持ち前の素早さがあるんだから寧ろお前が突っ込め、そして攪乱してネプテューヌか紅夜の攻撃を繋げやすくしろ。このメンバー内で一番色々と小さいんだから懐に潜りやすいでしょ?』←アイエフに対して

 

『鈍足。そんなバカデカい注射器持っているから仕方がない……なんて言うかと思ったか?とにかく常に動き回れ、このメンバーの中じゃ一番紙装甲で的がデカいのに、そのままだと突撃組が安心して突撃できないぞ。一番の火力を誇る紅夜が後ろを気にしていたら反撃のチャンスを見逃すことになる』←コンパに対して

 

 

という感じで、容赦ない言葉を連発してきた。

これも失敗しても怒らず、咎めず言ってくるので、徐々に焦りと自身にプレッシャーが伸し掛かってくる。

午後一時間の戦闘を五セットしたが、空に与えれたのはネプテューヌの斬撃がほんの少し届いてコートを少しだけ切った程度だった。本人は目を瞑っていた状態で空は悔しがっていたが、俺達には達成感なんてものはなく、ここまでやってこれだけという改めて空の反則的な強さに驚かせた。

 

「バカって言われた……ずっとバカって言われた……」

 

罵倒する気はなく空は自然体にまるで挨拶でもするようにバカとネプテューヌに連発していた。最終的にはバカテューヌと呼んでいた。

 

「色々と、小さくて、悪かったわね……!」

 

怒りのオーラが烈火のように燃え上がらせるアイエフ。

そういえば小さいと言うとき、空の視点は主に顔じゃなくて胸の方に下がっていたような……。

 

「うぅ、ひぐっ……」

 

『多分、一番辛辣だったのって巨乳っ娘だったよね……』

 

力無く全員が頷く。

今までの戦いで分かる様に確かにコンパは足が遅いし、なにより戦闘慣れをしていない。

故に空は一番コンパに対して厳しかった。

 

 

『ほら、足の軸をしっかりして相手に狙いを付ける』

 

『それ突き刺すにも使えるけど、筋力が足りなさすぎるね。』

 

『ぽよーんぽよーんと刎ねているけど、それと同じくらいに足を大きく動かせ〜。そんなんじゃいつまでたっても紅夜の足手まといだぞ〜』

 

 

たまにセクハラと思える言葉を吐くが、絶対に一線を超えないように絶妙なタイミングで途中休憩を入れたりしていた。あいつは三人の限界をある程度は把握していたように。

 

「闘気とか、本当にアニメやゲームの世界だけかと思ったよ……」

 

「……睨んだだけでモンスターを追っ払っていたわよね…」

 

街はずれなので当然モンスターが現れる。

それを空はニッコリと笑って『棺桶かゴミ箱かどっちがいい?』と言った瞬間、地面に積もっていた雪が重力を無視して舞い上がり、風が空を纏ってオーラ的な物を醸し出していた。それを見たモンスターは悲鳴を上げながら去っていた。その判断は正しい、近くにいた俺達も思わず逃げ出したくなったほどだ。

 

「……そういえば、モンスターってどこから現れるんだろうな…」

 

思わず出た疑問が口から出た。

 

「モンスター……確かにどこから現れるのかしらね。突然現れて倒したら消える……そんな奴らね」

 

「うーん、これもあれも魔王とかが、みんなを苦しめるために放っているんじゃない?」

 

苦しめるためにモンスターを放つか……そんな悪としか言えない魔王という存在がこの世界にいるのか?

どこから現れて、どこに消えるのか、よくよく思えば俺達はそんな身近にある恐怖を女神という希望が壁となっているおかげで深く考えた事も無かった。

 

「ひぐっ……あの、可笑しなところがあると思うです」

 

泣き止み体を起こしたコンパが袖で顔を拭いて、疑問に思ったことを口に出す。

 

「プラネテューヌはモンスターさんが大量発生って言われているですが、そんなに数はいても弱いモンスターだけでした。むしろ、ラステイションやリーンボックスのほうが手強いモンスターさんが一杯いたような気がするです……」

 

「……確かにね。思い返してみれば、プラネテューヌは確かに数はいてもそれほど強いモンスターはいなかったわ」

 

「コンパの言うとおり、ラステイションやリーンボックスの方がモンスターが手強かったね……ルウィーには来たばかりだけど、なんだか森の中がピリピリしていたし……」

 

アイエフと迷子を捜しに行った時、狼型のモンスターに襲われたが目が血走ってかなり凶暴だった。

少数の群れだったので、それほど危なくはなかったが、もしあの中に統括者がいたりしたら、かなり不味かったかもしれない。

 

「あー、もういや!お腹減ったし、疲れたし、新しい仲間はスパルタだし今日は厄日だよ!!」

 

考えることすら疲れたのか、ギャーとネプテューヌは天井に向けて叫んだ。

それにコンパもアイエフも俺もこれまでにない疲労感に寝ようかなと思った時、いい匂いと共に扉が開いた。

 

「晩飯作って来たよ」

 

ワゴンに乗せられた皿を机に次々に置いていく。

食欲を刺激する匂いがするスープや光って見える新鮮さが輝いている炒め物等々。

見れば見る程、まるで王様にでもなったような高級感あふれる料理の数々を見た瞬間、空を除いて一気に俺達の腹の虫が鳴った。

 

「クスクス……どうぞ、いっぱいあるよ」

 

「「「「い、いただきます!!」」」」

 

笑われたのが激しく恥ずかしく、俺達はそれを誤魔化すように料理を食べ始めた。

これまた物凄く美味しい。単純にいい食材を使っているだけではなく、焼き加減は抜群だ。

味付けは、ネプテューヌ達を気にしているのか薄味で、肉類は少なく魚類と野菜類が主だ。

それをガツガツ食べているネプテューヌや息を吹きかけているコンパ達を空は微笑ましそうに見ながらコップに水を注いで、ネプテューヌ達に渡していく。

 

「……お前は食べないのか?」

 

「今日は食べる気分じゃないんだよ」

 

そう言って、水の入ったコップを啜る空。

 

「無理なダイエットは体によくないですよ?おじいちゃんが言っていたです。ダイエットに一番いいのは運動って」

 

「いや……ねぇ。僕にとって食事は娯楽的な物、ぶっちゃけ僕の性に食欲なんてものはない」

 

その発言に伸ばしていた箸が止まった。

食事に集中しているネプテューヌ以外は空に顔が向く。

 

「君達には不思議なことかもしれないけど、僕はそもそも人間じゃない。破壊神っていう神性の存在だ。人間とは違うところ一つや二つ合っても可笑しくないでしょ?」

 

「異世界の神様は…そうなのね」

 

「……なんだが、勿体ないです」

 

「確かに人間の満腹感って奴は僕にとって未知の領域だね。……ま、気にしないでデザートは勿論プリンだからね」

 

そう言って、空は笑うようにウィンクする。

コンパとアイエフと顔を合わせて、何だか複雑な気分になるが、夜天 空がそういう存在だと言うことで無理やり納得をして俺達は空が作ってくれた晩飯を腹いっぱい味わった。

 

 

因みにデザートのプリンも絶品だった。

 

 

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その9
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