涼宮ハルヒの恋姫6
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ある日のこと………

 

 

関羽「なぁ、星…まださっきのことを怒っているのか?」

 

星「…別に怒ってなどいない。ひどく不機嫌なだけだ。」

 

声をかける関羽さんにもそっけなく返事を返す星。やれやれだ。

 

関羽「お、お主が厠に行ってる間にメンマを食べたことは謝る!この通りだ!」

 

星「…………」

 

 

謝罪をしても、依然として星は反応しない。

 

関羽「い、いやぁ…食べずに残っていたから嫌いなのではと思って、つい…な?」

 

鈴々「うんうん!」

 

やや言い訳同然に関羽さんが相の手を入れるも、星の反応は変わらず…更にこんなことを呟いた。

 

星「そうではない……大好物だからこそ、最後に食べようと思って大事に取っておいたのだ…」

 

それほどまでにメンマが好きなのか……

 

 

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第六話『張飛、孔明と張り合うのこと』

 

 

それは数時間前に遡る。立ち寄った村の料理屋で、俺達がラーメンを食べていた時のことだった。

 

鈴々「(スープ飲み終え)っはーっ!! おいしかったのだー!」

 

関羽「(同じく飲み終え)っはーっ!ごちそうさまー!」

 

この店のラーメンはおいしかったため、スープもあっという間に飲み干すことができる。ちなみに俺は食べ終わっている。すると鈴々が、

 

鈴々「あれ?星の奴、メンマ残してるのだ。」

 

関羽「ここのメンマはおいしいと評判なのに、もったいないな…」

 

そう、少し前に「厠へ行く」と言って席を立った星のどんぶりの底に、何故かメンマだけが残されていたのだ。おそらく「メンマが嫌いなんだ」とここで勘違いしたことが、まずかったのだろう…

 

 

鈴々「だったら鈴々が食べるのだ♪!(ヒョイ)」

 

関羽「じゃあ私も♪(ヒョイ)」

 

キョン「っておい。」

 

 

俺は止めようとしたが、遅かった……

 

 

関羽・鈴々「「はっー!! おいしかった!! 」」

 

そのまま姉妹が、残っていたメンマを食べてしまったのだ。……もう知らん。

 

で、星が厠から戻ってくる。

 

 

星「あ゛ぁーーーーっ!!!!!???」

 

 

星の反応は異常だった。止めておけばよかった……

 

 

キョン「俺は食ってないからな。」

 

ここだけは言っておく。

 

星「………キッ!! 」

 

関羽・鈴々「「!! 」」

 

この時になって、関羽さんと鈴々は星がメンマ大好きだということに気づく。

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

星「……メンマ……」

 

 

それ故に、さっきから星は怒っている。あの時は本当に止めておけばよかった。

 

 

関羽(鈴々、お前が食い意地はるからだぞ!)

 

鈴々(愛紗だって食べてたのだ!)

 

関羽「だからあれは……」

 

関羽さんと鈴々も小声で責任の押し付け合いをするが、先ほどからずっと自分たちを睨んでいる星にビビってしまう。

 

関羽「そ、そうだ!次の村でまたラーメンを食べよう!私のメンマをあげるから!」

 

鈴々「そ、そうなのだ!鈴々の分も食べていいのだ!」

 

星「…人とメンマは一期一会…どうやったところで、もうあの時のメンマは戻ってこない…」

 

 

いつまでも過去(ただしメンマである)にこだわり続ける星に、姉妹もため息をつくしかなかった。本当に……(略)

 

 

 

 

先へ進んでいくうちに、分かれ道に差し掛かった。

 

関羽「分かれ道かぁ…どっちへ行ったものかな〜?」

 

ややとぼけたように星に声をかけるものの…答えることなく。

 

鈴々「こんな時は鈴々におまかせなのだ!」

 

と、鈴々が前に出て蛇矛を地面に軽く立てる。そして手を離して強く念じると………蛇矛は右の道に倒れた。

 

鈴々「こっちなのだ!」

 

関羽「はいはい。ではあちらへ行ってみるか…」

 

そう言いながら星の顔を見る関羽さんだったが……全く態度を変える気配がない。

 

先へ進んでいく間も、星はずっと「メンマ…」と呟いていた。再びため息をつく姉妹……ふと、だんだん辺りが白くなってきた。

 

キョン「…霧が出てきた。」

 

鈴々「ホントなのだ。どんどん濃くなってきたのだ…」

 

関羽「うーむ、これでは“キリ”がない…なんちゃってー☆」

 

さりげなくダジャレを言って気を引こうとした関羽さんだったが…未だに星の反応は変わらず、自分が恥ずかしい思いをしただけになってしまい顔が赤くなるのだった。とにかく先へ進んでいくが……進むたびに、霧がどんどん深くなっていく。

 

関羽「まずいな…これだと道を外れてもわからんぞ…鈴々。離れるなよ。」

 

キョン「ここら辺はよく霧が出るのかね。」

 

どんどん先へ進む鈴々を一旦止める関羽さん……と。

 

鈴々「…星はどうしたのだ?」

 

関羽「えっ!?」

 

鈴々の言葉に関羽さんが振り向くと…先ほどまで後ろを歩いていた星がいない!

 

愛紗「星、いるのか?どこだ?どこにいるんだ?星、いつまでも怒っていないで返事をしてくれ!! 」

 

まさかと思い関羽さんが何回も声をかけるが……返事がない。

 

関羽「しまった…星とはぐれたか!」

 

鈴々「早く探すのだ!」

 

キョン「そうだな。」

 

慌てて来た道を戻り、星を探す俺達。

 

関羽「おーーい!星ーー!」

 

鈴々「どこにいるのだーー!?」

 

キョン「星ーーーーーー!! 」

 

関羽「聞こえてるのなら返事をしてくれー!星、どこに……(ズルッ)きゃあっ!!?」

 

と、突然関羽さんの悲鳴が聞こえた!

 

鈴々・キョン

「「愛紗(関羽さん)!?」」

 

関羽「…!二人とも気をつけろ、崖になっている…!」

 

足元を慎重に見ながら、鈴々と俺は関羽さんの元へ駆け寄った。

 

キョン「大丈夫ですか!?」

 

関羽「大丈…うっ!」

 

キョン「どうしたんです!?」

 

関羽さん「くっ…どうやら足をくじいたようだ…」

 

鈴々「えぇ!?…ど、どうしよう……」

 

キョン「とにかくこの霧じゃどうにもなりゃしない。下手に動かずじっとしていた方が良さそうだな…」

 

この濃い霧じゃ捜すのは困難なため待機するしかなかった。

 

 

 

その頃、星は…

 

 

 

 

星「…メンマ……………ん…あれ?」

 

 

ずっとメンマのことばかり考えていたのと、ずっと首を絞められ続けていたためか…俺達とはぐれたのに気付くのはかなり後になったそうだ。

 

 

 

……やがて、それまで森を覆っていた霧が晴れてきた。

 

 

キョン「だいぶ霧が晴れてきた…」

 

鈴々「…あ!あそこに家があるのだ!」

 

そう叫んだ鈴々が指差した先には、確かに大きめの屋敷があった。

 

関羽「助かった…あそこで少し休ませてもらおう。」

 

鈴々「鈴々がおぶっていくのだ!」

 

青龍偃月刀と邪矛を俺に預け、鈴々が関羽さんをおぶって屋敷へと向かう。

 

関羽「すまない…」

 

鈴々「水臭いことは言いっこなしなのだ!それに、ぷにぷにのおっぱいが当たって気持ちいいのだ!」

 

関羽「のわああ;!?///」

 

鈴々「わあああ!! 暴れちゃダメなのだ〜!! 」

 

何あられのない発言を言ってんだよ。

 

 

 

 

やがて、屋敷の門前へとたどり着く。

 

ドンドンッ

 

キョン「御免下さーい。」

 

鈴々「お兄ちゃんなんで扉を叩くのだ?」

 

キョン「ん?ノックを知らないのか?いきなり入るのは駄目だからだ。」

 

鈴々「成る程?。」

 

 

しばらくして、

 

???「はーい!」

 

。そして扉を開けて現れたのは……黄色い短髪の少女。少女は怪我をした関羽さんを見るなり慌てて、屋敷の中で書物を読んでいた女性の下へ駆け込んだ。

 

???「はわわわ〜!! 大変です先生〜!! 水鏡先生〜!! 」

 

???「どうしたのですか?そんなに慌てて…」

 

???「旅の方が来られたんですが、ひどい怪我をしていて…」

 

???「え?それは大変!」

 

数分後、屋敷の中へ招かれた俺達。関羽さんの足の具合を見ながら、俺達から詳しい事情を聞いていたため理解している。

 

???「そうですか…それは災難でしたわね。このあたりは急に濃い霧が出ることがよくあって…」

 

関羽「うっ…………」

 

そう言いながら、女性は患部に軟膏のように練り合わせた薬草を塗る。薬草が浸みたのか、関羽さんが一瞬顔をしかめた。

 

???「これでよし、と。足が治るまでしばらくここでゆっくりしていくといいわ。そのうちはぐれた仲間も見つかるでしょう。」

 

関羽「かたじけない…」

 

礼を言う関羽さんに対し、女性が名乗る。

 

水鏡「わたくしは司馬徽、水鏡ともうしております。」

 

そして水鏡さんに促され、先ほどの少女も名乗った。

 

諸葛亮「私は諸葛亮、字は孔明と言います。」

 

キョン「!! 」

 

諸葛孔明、水鏡……

 

水鏡さんは諸葛亮の先生であり色んな策略などを教えた人物。そして諸葛亮孔明。劉備の仲間であり、伏龍と呼ばれた天才軍師。そんな大物がこんな小さい子とは………

 

水鏡「朱里、包帯を巻いてあげて。」

 

諸葛亮「はい、先生。」

 

水鏡に薬草のすり鉢を渡した後、諸葛亮が、関羽さんの患部に包帯を巻いていく。

 

関羽「世話をかけるな…」

 

諸葛亮「いえ………ふーっ、出来たぁ!」

 

しばらくして諸葛亮が包帯を巻き終えると、水鏡さんがその巻き具合を見て感心している。

 

水鏡「あら、ずいぶん上手く巻けたわね。」

 

諸葛亮「はい!先生みたいに上手になりたくて、いっぱい練習しましたから!」

 

水鏡「まぁ、よく出来ました。」

 

ナデナデ

 

諸葛亮「えへへ///」

 

水鏡さんに頭をなでられる諸葛亮。可愛いなぁ?…俺の横で鈴々はじっと諸葛亮を見ていた…

 

 

 

 

 

それから数分後…関羽さんは患部を空中に固定された状態で横になっていた。

 

関羽「水鏡殿、を手当してくださったのはありがたいのですがこれはちょっと…」

 

水鏡「何言ってるのですか。骨が折れてなかったのが幸運なくらいだったんですよ?動かさないようにしないと…」

 

関羽「し、しかしこれでは厠にも…///」

 

鈴々「大丈夫なのだ!おしっこに行きたくなったら鈴々が厠までおぶって行ってあげるのだ!」

 

自信満々に答える鈴々…だが。

 

諸葛亮「いえいえ、そんなことをしなくても…ちゃんとこれがありますから。」

 

関羽「えぇ!?」

 

そう言って孔明ちゃんが自信満々に取り出したのは…いわゆる「おまる」である。

 

諸葛亮「もよおしたくなった時は、いつでも声をかけてくださいね」

 

関羽「い、いや…それはちょっと…///」

 

照れくさそうに返事を返す関羽さん…その一方で、鈴々は孔明をちょっとばかり睨んでいた。…聞いちゃいけないことを聞いちゃったような気がする。

 

 

 

 

 

その日の夕食時。テーブルの上にはたくさんの料理が並んであった。

 

関羽「おおー!これはうまそうだ!」

 

水鏡「今日の夕食は朱里が作ったんです。」

 

キョン「へぇ…諸葛亮は料理も出来るのか……」

 

諸葛亮「お口に会うといいのですが…///」

 

水鏡「さぁ、ではいただきましょう」

 

全員「「「「「いただきます(なのだ)。」」」」」

 

早速俺達がおかずを一口食べてみると……

 

関羽「うまーい!」

 

鈴々「おいしーのだー!」

 

キョン「うん、なかなかの出来。」

 

諸葛亮「よかった?…」

 

かなりの大好評のようで、諸葛亮も安心したそうだ。

 

関羽「そのお年でこれだけの料理が出来るとは…お見事ですな。それに引き換え、鈴々は食べることばかりで…」

 

ジト目でにらむ関羽さんに対し、大量におかずをほおばってた鈴々が反論する。

 

鈴々「り、鈴々だって料理くらい出来るのだ!」

 

関羽「ほーう?じゃあどんな料理が出来るんだ?」

 

鈴々「う…お、おにぎりとか…お結びとか……」

 

キョン「……くくっ」

 

関羽・水鏡・諸葛亮

「ふふふ…」

 

鈴々「なんで皆笑うのだ!!?」

 

鈴々。おにぎりとお結びは一緒だぞ。しかもレベルが低めのものばかりすぎる。クスクスと笑う一同に、鈴々は顔が赤くなりながらおかずをほおばるのだった。

 

 

 

 

 

 

すっかり辺りが暗くなった時分。

 

 

夕飯を食べ終えた関羽さんは部屋に戻り、寝台に横になりながら窓から星空を見ていた

 

関羽「星の奴。無事であればいいのだが」

キョン「……………」

 

布団に横になりながら、俺と関羽さんは星との身を案じていると、

鈴々「ふぁー……久しぶりのお風呂気持ちよかったのだ〜。」

 

なんと風呂上がりの鈴々が下着姿で関羽さんの部屋に入り、タオルで頭を拭いているではないか

 

関羽「コラ! そんな格好でウロウロするな。風邪をひくぞ!」

キョン「そうだぞ、鈴々、まだ髪が濡れているじゃないか。」

鈴々「にゃぁ。お兄ちゃんくすぐったいのだ〜」

俺は鈴々の少し濡れた髪を拭く。他の人から見ると兄妹に見えるだろう。すると再び扉が開き諸葛亮がお湯の入った桶を持って入ってきた。足が動かせないから、風呂にも入れない関羽さんの体を拭くためのものである。

諸葛亮「関羽さん。お体をお拭きしますね」

関羽「あっ。ああ、孔明殿、頼む。」

キョン「じゃ、俺は風呂に入ります。」

関羽「わかりました。」

鈴々「ありがとうなのだ。お兄ちゃん。」

キョン「諸葛亮。風呂を借りるね」

諸葛亮「はい。ごゆっくりどうぞ。」

鈴々の頭を拭いた俺は部屋を後にする。

関羽「何から何まで世話になって済まない。」

諸葛亮「いいえ、困った時はお互い様ですから。さっ、服を脱いで下さい。」

関羽「あっ! だが、その前に」

諸葛亮「?」

関羽「だから、その。いわゆる一つの生理現象というか、何というか……」

諸葛亮「あぁ! これですね。」

関羽「お、お気遣いはありがたいがそれはちょっと……」

諸葛亮「あっ! もしかして大きい方ですか?」

関羽「い、いや///そうじゃなくて///……鈴々!」

鈴々「合点承知なのだ♪」

 

関羽「頼むぞ」

鈴々「おまかせなのだ♪」

諸葛亮「……あの。それでしたら…」

関羽・鈴々「「えっ?」」

 

 

 

 

 

 

 

関羽「ほう! これは!」

諸葛亮「私が造ったんです。足を怪我した人でも移動できるようにって」

関羽「これは便利だな♪ あははっ」

鈴々「……………………」

 

翌日

 

諸葛亮「子曰く、学びて時に之を習う、また説ばしからずや……

 

どうやら勉強をしているらしい。

 

諸葛亮「朋有り遠方より来る、また楽しからずや」

関羽「水鏡殿。孔明殿はいい子ですね。素直で賢くて学問が好きでそれにちゃんとお手伝いもするし」

水鏡「鈴々ちゃんだっていい子じゃありませんか」

関羽「いや、鈴々は全然」

水鏡「元気があって、明るくて私は大好き。それに関羽さんとスミスさんのお子さん……」

 

関羽「へ!? 子供!!?」

水鏡「えっ?違うですか?」

関羽「ち、違います!鈴々は私と高杉殿の間に生まれた子ではなく!姉妹の契りを!義理の!何故、そういう勘違いを!私はまだ一度も子を宿す行為は一度も!」

水鏡「わ、分かりました。分かりましたから落ち着いて下さい」

顔を赤くし、慌てる関羽を何とか水鏡は落ち着かせた。すると水鏡が諸葛亮の過去を語り始めたらしい。

水鏡「あの子は幼い頃に両親を亡くし、姉妹揃って親戚をたらい回しされている内に姉や妹と別れ別れにその後しばらく私の師匠に当たる人の所に居たのですが、結局私が預かることになったんです。」

関羽「そ、そうだったんですか」

関羽さんは諸葛亮の辛い過去を知り、庭に居る彼女に視線を向ける。

水鏡「関羽さんが仰って下さったようにあの子は本当にいい子。聞き分けが良くて私の所へ来てからもワガママなど一言も言ったことがなくて、私にはそれが辛い境遇を過ごす内に知らずに身についてしまった悲しい性だと思えるのです。」

関羽「水鏡殿……」

 

 

 

俺は諸葛亮の音読を聞いていた。彼女の声はなかなか綺麗な声のため彼女のことを見とれていた。

その夜

関羽は体を拭きに来た諸葛亮と会話していた。

関羽「ほう。水鏡殿の作る薬はそんなに良く効くのか」

諸葛亮「はい。ですから時々、麓の村の方に頼まれて作ったお薬を届けたりもしているんですよ。私。先生みたいに皆の役にたつ人間になりたいです。でも、そのためにはもっと色んなことを学ばないと、と思ってて…」

関羽「そうか。孔明殿は本当に偉いな。」

諸葛亮「はぅ…」

関羽「あっ、すまん。時々、水鏡殿がしていたものだからつい」

諸葛亮「いいえ。私なでなでされるのが好きですから」

 

 

……とそんな二人の楽しい会話を扉の隙間から鈴々がこっそり覗いていたような……

 

 

 

 

 

屋敷に来てから三日くらい経つだろう。しかし関羽さんの足の腫れは、未だに引く様子が見えない

水鏡「辛抱してから三日。余り腫れがひいていないわ」

水鏡さんの言うように関羽さんの怪我は一向に治ることがなかった。

 

水鏡「こんな時、サロンパ草があればいいんだけど…」

 

サロンパ草?サロンパスの親戚か何かか?

 

鈴々「サロンパ草って何なのだ?」

水鏡「こうした腫れにとてもよく効く薬草なの。白い小さな花を咲かせ、その葉をすりつぶして使うんのよ」

諸葛亮「あっ、先生。サロンパ草なら、わたしが採って行きます」

 

と、ここでが諸葛亮が申し出てきた。

水鏡「えっ。でもサロンパ草が生えているのは随分、山の奥の上の方よ。」

諸葛亮「大丈夫です。何度か先生と行った所だから場所は覚えていますし。」

水鏡「そうね………私が一緒に行けるといいのだけど。今日は頼まれていたお薬を麓の村まで届けなくてはいけないし。」

諸葛亮「…………」

諸葛亮は期待を込めた目で水鏡を見る。この子もしっかりしているのを感心しちまうなぁ……

水鏡「それじゃあお願いしようかしら?」

諸葛亮「はい!」

水鏡の言葉に元気良く返事をして、部屋を出て行った。

数分後、諸葛亮は出かける準備を整えた。愛用のポシェットを肩にかけ、帽子の位置もちゃんと正して……可愛いな…

 

諸葛亮「それじゃあ、行って来ます。」

水鏡「転ばないように気をつけて行くんですよ。」

諸葛亮「はぁーい。」

 

諸葛亮は元気良く返事をしてから、サロンパ草を採りに行くため山の方へ歩いていった。水鏡は心配そうに諸葛亮の後ろ姿を見つめていた

キョン「あの子なら大丈夫ですよ。」

 

水鏡「だといいけど……」

諸葛亮「子曰く、学びて時に之を習う、また説ばしからずや……」

鈴々「……あいつにだけ良い格好はさせないのだ。こうやって、後を着いていって……あいつが摘んだ薬草を横取りぃ……じゃなくて!薬草の生えている所まで行ったら、鈴々が先に摘んで一足先に持って帰るのだ。それで、愛紗やお兄ちゃんに………」

 

 

 

鈴々『じゃあ〜ん! サロンパ草なのだ♪』

関羽『ほう! 偉いぞ、鈴々♪ さすが私の妹だ♪』

キョン『ほう、さすがは鈴々だ♪』

鈴々『えへへ♪』

諸葛亮『うぅ〜〜』

 

 

 

 

鈴々「えへへ♪」

諸葛亮「はぅっ!?」

<ドサッ>

鈴々「あ!?」

 

前を歩いていた諸葛亮が転んだのを見て、鈴々はばれないように口を隠して笑いを堪えるような…

 

鈴々「何も無いところで転ぶなんて、とんだドジッ娘なのだ。足も遅いし、これならあいつの後で薬草を摘んでも楽勝で先回りできるのだ(にやり)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいぶ進んだと言えよう。

諸葛亮「はわぁ!?」

 

 

 

鈴々「何グズグズしているのだ?……ははーん あいつきっと高いところが苦手なのだ。だから、怖くてつり橋が渡れないのだ。」

怖がる諸葛亮をニヤニヤ笑いながら見る鈴々。何がしたいんだろうなぁ……

諸葛亮「先生と来たときは、いつも手を引いて渡ってもらってたんだけど。関羽さんの為だものがんばらなくちゃ!」

勇気を振り絞って諸葛亮はつり橋の綱を握り一歩一歩慎重に渡って行く。橋の真ん中に差し掛かると、板が砕けて穴が空いていた。

諸葛亮「怖くない……怖くない……えいぃ!」

 

勇気を出して穴が空いている所を跳ぶ。そしてまたゆっくりと橋を渡り出す。

 

鈴々「はぁ……つり橋渡るのに何時までかかっているのだ……」

 

 

 

 

 

 

 

諸葛亮「ふぅ、着いた。」

諸葛亮が着いた場所は崖の下の辺りだった。この近くにサロンパ草が生えているのか、辺りを見回している。

諸葛亮「確かこの辺に生えてる筈なんだけど………あっ!あった!………でも…」

 

サロンパ草を見つけたが、それが生えているの場所が崖の真ん中に生えているため、登って採るのには危険である。

 

鈴々「高いところが苦手なあいつが、あんな所まで登れっこ無いのだ。………あっ」

 

諸葛亮「んしょ」

 

しかし予想を超えて………突然、諸葛亮が崖を登り始めた。危なっかしい足取りでゆっくり登っていく大丈夫だったのだろうか……

鈴々「ふん、どうせ怖くなって途中で諦めるに決まっているのだ。」

 

すると

 

鈴々「あっ!危ないのだ!」

途中でバランスを崩し落ちそうになるが岩にしがみついて難を逃れる。思わず鈴々も声をあげるが、それでも上へ上へと登っていくまた登っていく……

鈴々「な、何でなのだ?何であいつあんなに頑張るのだ?高いとこ怖いくせに、どうしてあんなに必死になって………」

鈴々はまったく分からなくなり複雑な気持ちになってたらしい…

諸葛亮「もう少し……あと、少しで………」

鈴々が考え込んでいる内に気づいたら、諸葛亮は手を伸ばせばサロンパ草が届きそうな所まで来ていたため、必死に手を伸ばす諸葛亮。

 

諸葛亮「あっ」

 

草に少し触れる事が出来た諸葛亮だが、その瞬間、

 

<ガシャアァァァン>

 

諸葛亮「はわぁ!!?」

 

鈴々「あっ!?」

 

諸葛亮「ああぁぁぁぁぁ!?」

 

諸葛亮の足元の崖の一部が崩れた!

 

諸葛亮「ひゃぁぁぁぁ………………はわぁ?」

…どうやら地面との激突はまぬがれたようだ。なにせ下には……

鈴々「うぐぅ・・・」

諸葛亮「張飛さんっ!?」

尾行されていたことに気づかなかった諸葛亮は鈴々がいることに驚く。そして鈴々は安全な所に諸葛亮を降ろし、彼女が落としたポーチを拾い渡す。

鈴々「んっ」

諸葛亮「どうしてここに?」

鈴々「ど、どうしてって……た、たまたま通りかかったのだ、たまたま!」

 

諸葛亮の質問に無理な誤魔化しをする。

 

諸葛亮「こんな山の中を?……あっ!もしかして私の後を…」

 

鈴々「そ、そんな事より、サロンパ草を摘むのだ!」

 

諸葛亮「えっ? は、はい。」

諸葛亮の言葉を遮って、鈴々はサロンパ草が生えている所までに登っていく。

鈴々「はっ………よっと………………うりゃ」

諸葛亮「やったぁ!」

見事サロンパ草を摘んだ鈴々。諸葛亮は喜び声を上げる

鈴々「ほらなのだ。」

諸葛亮「えっ?でも、これは張飛さんが……」

鈴々「見つけたのはお前なのだ。鈴々は手伝っただけなのだから、お前が愛紗に渡すのだ。」

鈴々の行動の驚く諸葛亮に照れくさいのか顔を背けながら喋る。そんな鈴々を見て微笑んで諸葛亮はサロンパ草を受け取った。

鈴々「ほら。早く帰るのだ」

諸葛亮「はい」

時刻は既に夕方。諸葛亮は帰り道を歩いていた。鈴々は諸葛亮の少し前を歩いている。すると、例のつり橋に着いて諸葛亮が足を止めてしまった。既につり橋を渡っている鈴々は気づいて戻ってくる。そんな鈴々に嬉しそうに笑みをする諸葛亮

鈴々「ほら。一緒に渡ってやるから、さっさと来るのだ。」

 

そう言って、鈴々は諸葛亮の腕を掴んで引っ張って行く。そんな不器用な優しさに微笑む諸葛亮とムスッと膨れる鈴々がいた。穴が開いているのを一緒に飛び越える、そして無事に橋を渡りきったらしい。

 

帰る道中、諸葛亮が

諸葛亮「張飛さんって優しいんですね。」

鈴々「な、何を言っているのだ!?」

諸葛亮の言葉に反論した……照れんなよ。

鈴々「あっ」

手を繋いでいるのに気づき放して歩きだす。

鈴々「お、お前がグズグズしているから、仕方なく・・・だから鈴々は優しく何か無いのだ」

諸葛亮「…あの張飛さん!張飛さんのこと鈴々ちゃんって呼んでいいですか?」

鈴々「なっ!?」

いきなりの事で驚き諸葛亮の方へ振り向くと笑顔で自分を見ている。それを見てまた歩きだした。

鈴々「お前がそうしたいなら、別に構わないのだ!けど、鈴々はお前の事を真名でなんか呼んでやらないのだ!それでも良いなら、勝手にすれば良いのだ!」

諸葛亮「はい、鈴々ちゃん」

 

諸葛亮は笑顔で答え、左手を握り二人仲良く帰って行ったとの話。

 

ドドドドドドドドドド!!!!

 

キョン「うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!!!! 」

諸葛亮「はわわっ!! 」

 

鈴々「にゃにゃっ!?」

 

俺は何をしてるのかというと、門前の階段で上り下りをしていた。体力使うんだよねぇ……

 

鈴々「お兄ちゃんは何をやってるのだ?」

 

キョン「階段で走っていたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

水鏡「お帰りなさい」

家に帰ってきた二人を出迎えたのは、水鏡さんだった。

水鏡「まあ、随分汚しちゃったのね。」

そう言うも水鏡さんの表情は微笑んでいる。優しいんだな。そして諸葛亮はサロンパ草を前に出す。

諸葛亮「先生、これ」

水鏡「まあ、偉いわ。一人でちゃんと採って来れたのね」

諸葛亮「いいえ。一人じゃなくて……私と鈴々ちゃんの二人で摘んで来たんです。」

二人「「えっ?」」

諸葛亮が鈴々の真名を呼んでいるのに一瞬驚いたがそんな二人に水鏡さんは微笑んだ。……やれやれだ。

 

 

 

 

その夜。皆が寝静まった中、諸葛亮の部屋では水鏡さんが一人どこか悲しそうな表情で諸葛亮の寝顔を見つめていたそうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーんーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーきーんーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーキョンーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………誰だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こーー人がーの団ーよ。ーんでー言うーー聞くかーーんーー言っちゃーーーい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かで聞いた声だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何だっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の朝。関羽さんの部屋では怪我の具合を見るため水鏡さんがいた。そこには俺も同伴している。

水鏡「まあ、すっかり腫れがひいているわ。」

諸葛亮達が採って来たサロンパ草で作った薬が効き、関羽さんの足の包帯を取ってみると……腫れは跡かたもなく消えていた。

キョン(すごいなー)

水鏡「サロンパ草が良く効いたようね」

関羽「それでは、」

水鏡「もう歩いても大丈夫。」

キョン「よかったですね。」

関羽「はい。」

関羽さんはとても喜んでいる

関羽「水鏡殿にはすっかり世話になってしまって、何とお礼すればいいのか。」

水鏡「困った時はお互い様、お礼なんて別に…」

関羽「それでは私の気がすみません。何か私に出来ることがあれば、言っていただけませんか?」

水鏡さんは道具を片付けていた手を止めて言う。

水鏡「それでは、一つお願いがあるのですか。」

関羽「はい」

水鏡「ご迷惑かと思いますが、朱里を一緒に旅に連れて行って欲しいのです。」

関羽「え、孔明殿を旅に?」

キョン(なんと。)

思いも知れない頼み事に俺と関羽さんは驚いて聞き返した

水鏡「はい。あの子は以前から旅に出て世の中を見て回りたいって言って。私も若い頃は、あちこち旅をして見聞を広め、多くの物を得ました。ですから、あの子にも同じ様にやらせてあげたいと思っていたのですが。最近は物騒ですし。幾ら確りしているといっても、あの年で一人旅というのも……それで、もし宜しければ、あの子を旅のお仲間に加えて頂きたいたいのですが……」

関羽「そうですか……しかし、水鏡殿はそれで宜しいのですか?」

キョン「そうですよ。」

水鏡「そうですね。確かにあの子が居なくなくるとここは寂しくなります。でも、旅に出たいと言うのはあの子が私に言った、たった一つのおねだり。その気持ち叶えてやりたいと思います。」

キョン・関羽

「「……………」」

水鏡の決意を聞き、

関羽「……分かりました。この関羽、責任を持って諸葛孔明殿をお預かりします。」

真剣な表情になって申し出を受けた。

水鏡「お願いします。」

そして、諸葛亮を加えた俺達は水鏡さんの家を出て次の町を目指し歩いている。

諸葛亮「水鏡先生ー!お元気でぇー!」

諸葛亮は振り返り、水鏡の屋敷に向かって手を振る。

鈴々「こっからじゃ聞こえないのだ。」

諸葛亮「けど、もう当分の間お会いできなくなるし」

鈴々「なら旅に出なければ良いのだ」

 

諸葛亮「(先生。今まで本当にありがとうございました。)……私」

 

諸葛亮は先に歩く俺達を追い抜き、

 

諸葛亮「頑張りまぁす!」

 

ジャンプしながら、元気な声を上げた。こうして、俺達は新たな仲間『諸葛亮』を加えて旅を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、さっきの夢は何だったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ハルヒ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-3ページ-

 

 

あとがき

 

 

 

どうもお久しぶりです。

 

ガリ眼鏡です。

 

 

星「そして、趙子龍こと星です。」

 

今回は貴方の出番が少なかったですね。

 

星「まぁこれはアニメ版を元に作られているのですから仕方あるない。」

 

 

……そうだったね。

 

 

星「処でジョン殿はどうしたのです?」

 

彼は今アテレコをしています。

 

星「ふむっ成る程。だから居ないのですか。」

 

そういうことです。

 

星「さて、次回はどんな話なのですかな?」

 

次回もアニメ版を元にしてるからそのままさ。

 

星「では次回、涼宮ハルヒの恋姫。第七話『張飛、関羽と仲たがいするのこと』」

 

次回もお楽しみに?♪

 

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食事中に厠だなんてお下品ですわよオーッホッホッホ(禁玉⇒金球)
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