第二十七話

　　　「��水関の攻防　痛恨の誤算」

　��水関に到着した荀�ｹは陣を整え早速袁紹を挑発、反応を待つ。

　少しすると、袁紹隊は彼女の思惑どうり打って出る。

「季衣、しばらく任せたわよ！」

「うん！　分かった！」

「念の為に言うけど、馬超が現れても我慢しなさい」

　許緒もまた親友の典韋を敵に殺された経緯を持っていた。だが、夏候惇と違って、時間が幾分か多く経っている事、そして典韋の仇

を討つというより、彼女の分まで曹操を守るという信念で動いていた。その為、荀�ｹは夏候惇より許緒を選んだ。

「分かってる！　だから此処は任せて！」

「ええ、期待しているわ！」

　荀�ｹは期待どうりの返事を貰ったことで行動を開始する。

　彼女の策とは、まず袁紹隊に打って出させる。そして袁紹隊を許緒隊が囲んで矢などで迎撃。袁紹隊が危機に陥れば、��水関に残っ

た者達は流石に彼女達を救いに出てくるだろう。その隙に��水関を奪取。最後は奪った��水関から、許緒隊との挟み撃ちの形で袁紹隊

を壊滅させるというもの。

　許緒は計画どうり、袁紹隊を囲んだ。そして彼女達を攻撃。

（さぁ、どうするの？　馬超？）

　そして予想より遅くはあったが、荀�ｹの狙いどうり馬超隊は袁紹隊の救出に向かう。

（今よ！）

　そして、荀�ｹは��水関に突入した。

　だが、そこで奇妙な光景を目にする。

（守備兵が居ない？）

　荀�ｹは少し悩むが、ある可能性に気付くと納得する。

（成程、袁紹隊が囲まれた時に此方の意図に気付いたのね。確かにその時点で気付いても遅い、後は袁紹隊を救いに言って��水関を捨

てるか、袁紹隊を見捨てて、��水関を守るかしかない……馬超の性格を考えれば前者を選ぶでしょう。そして��水関を捨てるとなれば

守備兵を置かず、全ての兵を袁紹隊を救い、虎牢関に退くことに使った、て訳ね）

　荀�ｹは敵の判断に関心しながらも、��水関の制圧作業に写る。

　その最中だった。異変が起こったのは。

「え？」

　異常な熱気を感じ、その方向に振り向く。そして驚愕する。何と、��水関が激しく燃え上がったのだ。

「う、嘘でしょ……」

　急いで兵達に鎮火の指示を出す。

「だ、駄目だ！？　うわ！」

「あ、あぢぃ！」

　しかし、それでも炎は消えない。

「そ、そんな……か、華琳様……申し訳、ございません……」

　そして程なくして、荀�ｹも業火と化した炎によって焼きつくされた。