Other side  超次元の外れ者
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「遭遇=小さな狩人」

 

…今日は四国合同による重大かつ大規模な作戦の決行日だ。

インターセンター壊滅作戦…内容はいたってシンプル、「リンク・ワーカーを粛清せよ」この一言だけだ。

…奴はギョウカイ墓場があった所に、いつの間にか、ひっそりと建てられた人工島らしい。

【インターセンター・中央街】…今まで四国が潰してきた街とは比べ物にならない位に大きいらしい。

それはつまり、数多くの罠が張られている可能性があるという事だ。

…正直、俺のような加護すら受けてない一般兵が生き残れるかどうかも分からないが、死ぬ気はない。

契約出来た同僚は、契約精鋭兵として別の部隊にいる。元々俺よりも優秀で、しかも契約も出来たんだし当然の結果だろう。

ここだけの話、俺は同僚が一緒にいないと大体迷子になる位には方向音痴だ。

まあ、つまりその…何が言いたいかって言うと……迷った、逸れた、しかも今…

 

モンスター

「ギャオオオオオオ!!!」

 

近くに大型がいるっぽい……しかもあの声の荒さ…交戦中なのだろうか?

となると、危険種狩りが近くにいるって事になるのだろうか…危険種狩りとは、主に危険種を狩る事を専門としている者たちの事だ。

勘弁してくれよ…俺、危険種とかは専門外なんだよ…とにかくそんな所に出くわさず、目的地に行かなくては……

俺は取り敢えず、山を登る事にした。先ずは進まないと始まらないからだ。

そして…見事にバッタリ出くわした。

 

モンスター

「ガァァッ!!!」

 

少年

「まだ倒れないか…」

 

…信じられない光景を見た。小学生くらいの男の子が、大人と比べても遥かに大きな竜を相手にしている……

しかも驚くことに…

 

ブォンッ!! ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!

 

あの巨体からの大振りに怯えることなく落ち着いてかわしている。それだけでも凄いのに、さらにその攻撃の隙を突いて連続で切っている。

しかも見る限りだとあの少年、両手に一本ずつ持ってるナイフだけで戦っているようだ。

他に使いそうな様子もない…あの少年、恐らくは無契約の兵の中でも上位に食い込む腕前だ。

ただあのナイフ…どこかで見たことあるような……いや、間違いなく見たことある!!

あれはリンク・ワーカーが愛用してると言われるナイフだ。

…まさかあの少年、インターセンター所属か?けれど何であんな小さな子供が…

まさか国で教えられたように兵士養成の為の洗脳をされてるのか?

動きの所々が動画で見たワーカーっぽいし…けど動きが素人臭い上に危なっかしい…

 

モンスター

「グルルルルルァァァァァァッ!!」

 

ブオンッ!!

 

少年

「っ……!」

 

今のように、あとほんの少し反応が遅かったらまともに喰らって終わってた。

もし洗脳ならば、そんなギリギリな事は起きない、まともに喰らうか華麗にかわすかのどっちかだからだ。

プログラムに沿ってない、良く言えば柔軟、悪く言えば行き当たりばったりなその動き、それこそが証拠だ。

あの少年が何を思って狩るのかは分からないが…恐らくあそこまで強くなるのに、かなり努力をしたのだろう…

 

少年

「セアッ!!」

 

ズバァッ!

 

モンスター

「キャオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

そして今、少年はモンスターの翼を両断した。切断された翼は、そのまま地面に落ちていく。

 

「ほ…本当にやりやがった……」

 

信じられなかった…女神さまでもないのに、あの小さな体で、何倍もの大きさのモンスターを追い詰めるなんて…

その光景に思わず俺は見入ってしまった。その時……

 

ブォッ!!

 

「うおっ!…ってあ!!」

 

切断された翼が、地面に落ちた時に起きた風により、軍用の帽子が飛んで行ってしまった。

そのまま紛失するとどやされるので、慌てて走って落ちた帽子を拾った。だが、それがいけなかった。

安心した後、俺は再度岩陰に隠れた。だがもう遅かった……

 

モンスター

「グルルルルルルルルルル………」

 

「………はっ!」

 

気付かれた…!!しかも何か俺を狙ってる!!

 

ゴォォォォォォッ………

 

口から何かエネルギー体が集まってる…まさかアレを俺に!?

 

ザッ!

 

「なっ!?」

そんな時、少年が俺の前に立ち、目の前の地面に何か杭らしきものを突き刺し、何かの陣を張った。

 

少年

「間に合えっ…!!」

 

少年が陣に手を向けて、何か呪文らしき言葉を唱えていたと思ったら……

 

ズオオオオオオオオッ!!

 

少年の目の前の地面が盛り上がり、大きな壁となっていく。丁度良く壁が出来上がって少しした時…

 

ブォアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

壁の先では、少年が作った(と思われる)壁では遮ぎきれないほどに大きく、熱く、まばゆい光が放たれたようだ。

少年もその壁も、だんだんとその光によって出来た影に、その姿は黒く染まっていく。

その時俺は迫り来る光を眺めた。

 

「……………(あ…もう助からねぇな…俺……)

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

光が、その元となる炎が、死が来た。

少年もその前に張られた壁も、光に覆われて視えなくなっていた。影すら見えない位の光が漏れていた。

その時、俺の目の前に今までの思い出が、記憶の中に刻まれている映像が、走馬灯らしき物が流れてきて、俺はそのまま意識を失った。

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コメント
コメント、ありがとうございます。実はこれ、『少年』視点版もあります。分かりづらいかもしれませんが…(ヒノ)
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