私はゆっくりと目を開けた……

驚きと疑問で動けなかった

何故なら……

私達は無傷だったからだ……

　　　終節　?この国を消す!!?

冥琳「い、生きている!?」

秋蘭「今何があったのだ!?」

何故私達は無傷だったのか？

奴の『爆源花』を喰らって？

そんな事、ありえん……

では何故だ？

卑弥呼「どうやら皆無事のようじゃぞ、貂蝉よ」

貂蝉「それはよかったわん」

愛紗「!!もしや貂蝉殿、あなたが!?」

貂蝉「間に合ってよかったわん」

響窃「おのれ貂蝉、『散気掌』か…」

鈴々「にゃ?？散気掌って何なのだ？？」

凪「確か攻撃型の気を拡散させる技です

実際に見たのは初めてですが」

貂蝉「成功してよかったわん」

沙和「もしかして……成功出来ない時もあるんですか？」

卑弥呼「もっと修行をすればどうにかなるかの

それよりも響窃、お主『空立』を習得していたのか……」

響窃はいつの間にか空を飛んでいた

それもかなりの高さを

響窃「今後の戦いに必要不可欠だからな……」

霞「もう次から次へと……

何やねん！『空立』って！予め説明しといてや！」

貂蝉「これは字の通りなんだけど張遼ちゃん…

ようは空中に立つことができるよぅ」

白蓮「まさか奴が空を飛ぶ秘密は気を使っていたとは」

卑弥呼「基本的に奴の行動や攻撃は気が絡んでいる

忘れてはならぬぞ」

響窃「覚える必要などないぞ………

今度こそ貴様等を奈落の底に落としてやるからな……」

ｷﾞｭｫｫ！

美羽「ま、まずいのではな、ないか!?

あ、あれはげ、幻龍破というわ、技ではないのか!?」

貂蝉「確かにまずいわん……

私は先程の散気掌で殆どの気を使ってしまったしぃ……」

卑弥呼「儂もあ奴に気を奪われてしまったからのう……」

愛紗「!!な、ならば……」

響窃「そう……結局は無駄な足掻きだったのだ……

貴様等に北郷は………救えぬのだ」

翠「く、くそ!!!!」

響窃「安心しろ、北郷も直に同じ地獄に送ってやるからな

離ればなれなどにはならんようにはしておいてやろう………」

愛紗「我々はまだ、死ぬわけにはいかぬのだ！！」

響窃「残念だが貴様等はここで幕引きだ

そろそろ退場してもら……うっ！？」

冥琳「むっ？」

響窃「ぐぅっ！くっ！」

秋蘭「なんだ！？響窃が苦しみ出したぞ！？」

響窃「ぐっ！？がはっ！？」

華琳「何が起きているの……？」

響窃「ぐあァァァ!!?」

愛紗「!!?」

卑弥呼「むっ！？」

華佗「こ、これは！？」

凪「隊長の気!!?」

ご主人様の瞳には濁りはなくなり

あの禍々しい気が消え去り

暖かな気が溢れ出していた

一刀「はぁ……はぁ……はぁ……

好き放題………やられている程……

俺は……弱く…ない………ぞ……」

愛紗「ご主人様!!」

華琳「一刀！！」

蓮華「一刀！！」

全員がご主人様の元に駆けつけようとしたその時

一刀「来るなっ!!!」

雪蓮「っ!?」

冥琳「北…郷……？」

ご主人様は精一杯我々に叫んだ

拒否の言葉と共に……

一刀「俺の……精神は…長くない…

今の…状態が途切れたら……響窃に……殺されて……しまう………」

華佗「………奇跡という度を超えている」

卑弥呼「だが確かに今の状態は首の皮一枚程、いや、それ以下しか繋がっていない」

貂蝉「かなり危険な状態ねぃ」

一刀「はぁ…はぁ……情けないが…皆と話せるのは……これが……最後だと…思う………」

焔耶「何を言っているのだ！お館！」

一刀「ごめんな……焔耶……」

雪蓮「一刀………」

思春「北郷……」

一刀「はぁ……俺の……願いを…

一つだけ………聞いてくれるか…？」

冥琳「………言ってくれ、北郷」

一刀「自分的にも…皆にしても……情けない…話になるが………」

蓮華「一刀……」

一刀「俺の………『身体』を……

響窃から………取り返してくれ……」

桃香「っ!!」

一刀「頼んでも……いいかな……？」

華琳「何を言っているの？一刀……」

雪蓮「そんな事………」

春蘭「取り返すに決まっておるだろう!!!」

祭「儂等に任せておけ!!」

一刀「はは………安心したよ…」

華佗「御遣い殿……」

一刀「華佗……貂蝉………卑弥呼…

皆に……協力……して欲しい……」

華佗「分かったぞ！」

貂蝉「任せてちょうどぅあ?い」

卑弥呼「勿論じゃ、ご主人様よ」

一刀「ぐっ！？……そろそろ……まずい…な……」

愛紗「ご主人様!!」

華琳「一刀!!」

一刀「み……ん…な………」

ご主人様は弱々しく

だがそれに負けず我々に右手の拳を突き立て

暖かで満面の笑みでこう仰った……

一刀「…………頼んだぜ…………」

桃香「ご主人様!!」

桔梗「お館様!!」

明命「一刀様!!」

我々は涙を流しながらただただ

ご主人様の名を叫んでいた

卑弥呼「むっ！？」

貂蝉「どうやら、もう叫んでも意味は無さそうよう」

愛紗「っ!!」

響窃「むぅ……くっ！」

ご主人様のお身体からまたあの禍々しい気が溢れ出し、瞳が濁り始めた

響窃「くっ……」

冥琳「響窃……!!」

響窃「無駄な時を過ごした……」

愛紗「無駄ではないぞ、響窃よ……」

響窃「何処が無駄か説明……む？」

響窃は我々を見回して……ニヤッと笑った

響窃「何という…良い目をしているな

そうか……それが貴様等の『覚悟』か………」

響窃「ふむ、良いだろう……」

愛紗「むっ？」

響窃「貴様等大陸の者達に時間をやろう」

流琉「…………時間？」

響窃「弱りきった貴様等を消すのは簡単だかその覚悟の目が気に入った

このまま消すのは面白くないうえ勿体ないからな」

紫苑「っ！つまり………」

秋蘭「我々に修行の時間を？」

響窃「その通りだ」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

春蘭「あ、あれは！？」

愛紗「響窃が闇に覆われていく！」

卑弥呼「なんと………『闇行』(おんこう)まで………」

響窃「さらばだ

次に会うときは……今よりも強くなっていることを願っているぞ

…………もし、貴様等が負ければこの国が消えることとなる………

………忘れるなよ……」

響窃は完全に闇に消えていった……

華琳「………」

雪蓮「………」

我々は無言のまま立っていたが

この空気を壊したのは

凪「卑弥呼様、貂蝉様………」

凪だった

その瞳は清らかで澄んでいた

貂蝉「何かしらん？楽進ちゃん」

凪「私に………気の使い方を……

教えて下さい」

春蘭「『私達』の間違いだ、凪」

卑弥呼「夏侯惇……」

秋蘭「貂蝉殿、卑弥呼殿我々に気の使い方を教えてはくれないだろうか？」

卑弥呼「……拒否する理由がない」

貂蝉「私もお師匠様と同じよぅ」

沙和「っ!!な、なら！」

卑弥呼「むしろ我々からお願いしたいところだ」

貂蝉「あなた達を巻き込んでしまったからねぃ

本当に申し訳ないわぁ」

朱里「気にしないで下さい

私達はご主人様を取り戻したいだけなので」

愛紗「今日からできるか？

奴がいつ来るか分からんからな」

卑弥呼「あぁ勿論だ」

貂蝉「だけどその前に二つ程いいかしらん？」

華琳「何かしら？」

貂蝉「一つ目は皆の真名をいいかしらん」

冥琳「そうだな

修行をするのに信頼が必要だしな」

我々は貂蝉殿と卑弥呼殿に真名を託した

桃香「あともう一つって何ですか？」

卑弥呼「ふむ、それはだな……

奴の………『魔人』・響窃についてだ……」

？？F「おい、今の気はなんだ！？」

？？G「今それを探っていますよ」

？？F「全く、だからここは嫌いなんだ！」

？？G「ふふ、ほら〃〃、そんな顔をしているとそんな顔になってしまいますよ」

？？F「ふん！」

？？G「またふくれてしまった

そんなに『あの人方』に呼ばれてきたのが嫌だったのですか？」

？？F「当たり前だ！いつからあいつ等はあんなに偉くなったんだ！？」

？？G「まぁまぁ、落ち着いて」

？？F「全くブツブツ………」

？？G「(しかし、珍しいですね『私達』を呼ぶなんて

よほどのことがあったのでしょうか？

私達はただ……

壊すだけですよ…………？)」

　　　第一章‘滅びゆく路’　　

　　　　　　　　　……終……