太守一刀と猫耳軍師 第39話 |
愛紗の事もどうにか丸くおさまり、増えた仕事を片付けるべく政務にあけくれる。
そうして政務にせいをだすなかとんでもない噂が耳に入ってきた。
魏の兵を中心に広まった噂なのだが、
曰く……
俺は愛紗を一騎打ちで倒せる程の実力を隠し持っているらしい。
鉄扇をもたせれば天下無双。息の一つも切らさぬまま、無傷で愛紗を打ち倒した。
その真の実力は呂布をも凌ぐのではないか。
というのだ。
いやまぁ確かにあの時の状況をはたから見れば、一騎打ちで愛紗を倒したように見えるかもしれないけどさ……。
これ、このまま噂がひとり歩きしたらどうなるんだろう。
頭を抱えてため息をつく。
ちなみに、件の愛紗達は、兵達と共に黄巾党の残党や盗賊狩り、
街の治安維持等の実務にせいをだしていて城にはあまり居ない。
小さな功績の積み重ねでも名前を戻すことはできる、とは言ってあるので頑張っているのだろう。
盗賊や黄巾党の残党のリーダー格を捕まえて功績を上げてるって話しだし。
俺はといえば、政務を頑張る片手間に、今も一応忍者隊を使って于吉の行方を捜索中。
いまだに目立った情報は得られていない。
「このまま情報を得られないままなのかなぁ」
誰かを人質に取るとか、そそのかすとか、とにかくろくなことをしないのでさっさと尻尾を掴みたいものだが。
人質になる危険性がある、ということで、紫苑の娘の璃々には、常に忍者隊を4〜5人張り付かせている。
紫苑が傍に居れば問題ないだろうが念のためだ。
あと、華?の事だが、俺は華?を許した。
とは言えまぁ、罰則なし、ってわけにはいかないので領地を没収って形にはなったけど。
今は華琳の傍でその補佐をしているらしい。
華琳からの評判は上々、俺が知る限りだと、傍に居たのは夏侯惇と秋蘭、季衣ぐらいだし、政に強い人間が欲しかったのだろう。
一応、頑張れば領地は返すつもりでいる。
「……疲れた」
魏領と呉領を曹操と孫権に任せたとはいえ、仕事の量は相変わらずだ。
休憩を入れようと体を伸ばしていた所に調度良く月がやってくる。いつものメイド服姿で。
「あの、そろそろ3時になりますのでお茶をお持ちしました」
日時計は作ってみるとみんな結構便利に活用している。
待ち合わせで待ちぼうけすることも少なくなったし。
街にも作ったところ、評判は結構いい。あと朝の6時と正午と夕方6時に鐘を鳴らす事にしている。
「居るかしら?」
続いてドアを開けて入ってきたのは華琳。……時計を作った弊害?として、人が来る時間がダブることが多くなった。
華琳は例の騒動のあと、しばらくこちらに居る、といって現在城に滞在中。ちらほら俺の部屋に遊びに来るようになっている。
あと4人会議に顔を出すようになった。
「あなたは確か、諸葛均だったかしら?」
「はい……、よろしくお願いします」
ぺこりと、軽く華琳にお辞儀する。すっかり慣れた手つきで、俺と華琳と自分の分のお茶を準備し始めて……。
そういえば、華琳はまだ月の正体を知らなかったっけ。
「三国を平定したことだし、そろそろ話してもいいかな」
「なにかしら?」
「諸葛均は朱里の身内の名前をかしてもらってるだけでさ、ほんとの名前は違うんだよ」
「……あなたのことだし、どこかの重要人物か何かなんでしょうけど、誰の名前が飛び出してくるのかしら?」
「董卓だよ。あと司馬叔達はその軍師の賈?文和」
しばしの沈黙。かちゃかちゃと、月がお茶を準備する音だけが部屋に響く。
「なんですってえ!?」
絶叫するような華琳の声に驚いたのか、月がびくりと肩を震わせる。
「全く、どれだけ危ない橋を渡れば気が済むのかしら、あなたは……。しかし、あなたがあの董卓、ね」
「お茶です」
3人分のお茶を入れて椅子に座る。華琳もそれにならうように座って。
「でも、噂とは全く違うわね。随分おとなしそうな子だし」
「月は両親を人質に取られちゃっててさ、宦官達の傀儡にされちゃってたらしいんだ。
で、それを助けて傍に置いてる形になるかな」
「ということは、ここには董卓軍の主要人物が軒並み揃ってる事になるのね。
董卓軍をまるごと吸収してたなんて、強いわけだわ……。
でも董卓がこんなに可愛い子だったなんて」
そういえば、華琳はそっちの気があったんだっけ……。すっかり忘れてた
「なんか、守ってあげたくならない?」
月の髪にふれて軽く撫でる。
「へぅ……」
両手で頬を抑えて、赤くなるのが何とも可愛らしい。
「……否定はしないわ。それにしても変わった服をきてるのね」
「あー、これはメイド服っていって、俺のいたとこの侍女の着る服だけど。華琳も着る?」
「侍女の服でしょう? 私を侍女にでもしたいのかしら」
「いや、着たら可愛いかなーと」
「きっと、可愛いと思います……。私も今はご主人様の侍女では無いですけど、この服は気に入ってますし……。
私の服なら寸法も近いとおもいますけど……」
じーっと華琳に視線を向ける月と俺。華琳は何だか居心地悪そうだ。
「……、そんなに私がその服を着た所を見たいわけ?」
「みたい」
「見てみたいです」
またしばしの沈黙。
それから華琳はため息をついて、仕方ないわね、なんて言いながら月につれられて服を着替えに行った。
実際珍しい服だから着てみたかったのかもしれない。可愛い服を着てみたいとかこういう所は女の子なんだなぁ。
しばしたって華琳が部屋に戻ってくると、サイズはだいたいあってるみたいだけど若干胸がキツそう。
華琳のメイド姿って貴重だな。華琳にはパンストは黒のが似合った気がする。詠は……服をかしてくれないだろうな。
そして華琳のエモノが鎌だったのを思い出して連鎖的に某死霊メイドを思い出したり。
「可愛いなぁ……」
「綺麗だと思います……」
何だか恥ずかしそうな表情に微笑ましくなったり。
「確かに良い服だけど、侍女の衣装っていうのが気に食わないわ」
「可愛いからって趣味で着る人も居たけどね。月もそうみたいだし」
「わざわざ侍女の服を?」
などと話しているとトントンとドアがノックされる音。
「開いてるよ」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
華琳の制止の声も虚しくドアが開かれて、そこには桂花と紫青の姿。
「何やってるのよ一刀……」
「華琳さん、その姿は一体……」
「不覚だわ。よりによって侍女の服を着ている所を見られるなんて……」
「一刀はこういう服を着てる方が好みなの?」
「い、いや、別にそういうわけじゃないけどさ。話しの流れで華琳も着てみないかって話しになって」
「……桂花さんと紫青さんも着てみますか? すとっきんぐはまだ新品がありますし」
そういえばパンストはすぐ伝線して使い物にならなくなったりするからって多めに支給してたんだっけ。
華琳がパンスト履いてたのはそれでか。流石に他人の使用済みは使わないだろうと思ってたんだ。
月も貸さないだろうし……。
「そうね、それがいいわ」
「そうだなぁ、2人がこの服着てるのも見てみたいかも」
月の振りに華琳が乗る。当然俺も乗っかった。
「いいですよ」
即答でOKしてくれる紫青。
「……、どうしても見たい?」
と、華琳の方には見向きもせずに俺を見て言う桂花。
「見たい」
当然のように即答すると、仕方ないわね……なんていいながら、月につれられて着替えにいった。
桂花と華琳ってなんか微妙に似てるきがする。部屋に残されたのは俺と華琳。
「あの2人が侍女服ね」
「華琳、顔が緩んでるぞ。華琳はどっちが似合うと思う?」
「そうね、この服なら紫青かしら? 白黒の衣装なら黒髪が似合うんじゃないかしらね。
それに紫青の方が従順だし」
「その服着るならご主人様とか呼んでみてほしいもんだなぁ」
「……、呼んでほしい?」
「うん」
「一回だけならいいわよ」
随分考えてから、1回だけなら、というので折角なので言ってもらう事に。
「ご主人様ぁ」
上目遣いに見上げながら甘えた声で言われてすごくドキっとした。
何か普段とのギャップが凄くて悶える。
で、華琳がそういったのと、ドアが開いて3人が戻ってきたのは同時。
おそらく華琳の「ご主人様ぁ」はバッチリ聞かれた事だろう。
「……死ぬわ」
「ま、まて! 早まるな!」
「今は違うとはいえ過去には王だった者がこんな所を皆に見られたらもう生きて行けないわ! 止めないで!」
「曹操さんは名目上はご主人様の配下ですから問題は無いんじゃないでしょうか……?」
「この変態」
「華琳さん結構ノリがいいんですね。誰もこんなこと他の人には言いませんから大丈夫ですよ」
と、三者三様の意見。桂花の変態、は俺に向けられたものなのか、それとも華琳に対してなのか……。
「で、2人も月の服をかりてきたのか」
見る限り、詠の服じゃなくて月の服のデザインだし。
洗い替え、雨の日が続く事とかも考慮に入れて4着用意したはずだから全部出払ってる事になるのか。
まず紫青に視線を向けてみる。やっぱり華琳の言う通り、黒髪ってメイド服に似合うきがする。
名家の出だからなのか、びしっと決まって様になってるきがする。
欲を言えば、もう少し丈の長いロングスカートの方が似合いそう。
次に桂花に視線を向ける。
桂花は詠の服と同じような短いスカートのが似合うかもしれない。
何ていうんだっけ、あの頭の白いの。あれに猫耳をつけたい。
あと桂花のスカート姿ってすごい貴重な気がする。
というか桂花は何かさっきからチラチラと紫青の方を見てるな。視線の先は……胸?
そういえば桂花より紫青のが胸とかあったんだっけ。着替える時に見て負けたと思ったんだろうか。
「何で華琳さんが一刀様のことをご主人様と……?」
「いや、折角メイド服着てるんだから1回ぐらい呼んでみて欲しいって俺が振ったんだ……」
「あなた達も言ってあげたら喜ぶんじゃないかしら?」
華琳は、これは桂花と紫青を巻き添えにする気だな。
「紫青は、以前は一刀様のことをご主人様とお呼びしてましたから別に構いませんよ? ですよね、ご主人様」
紫青があっさりとそう言ったものだから、4人の視線は自然と桂花へ。
「わ、私も言わないとだめなの!?」
「そういえば、ご主人様って呼び方もそうだけど、桂花から敬称つけて呼ばれた覚えがないなぁ」
「い、一回だけなら」
既に恥ずかしそうな顔をしながら渋々OKする桂花。
何を思ったのか俺の傍にきて、服の袖を引っ張って
「ご主人様……」
と、顔を真っ赤にしながら耳元でぼそっと。なんかその様子が妙に可愛い。
さっきの華琳もそうだけど2人きりだったら襲ってるかも。
「北郷、誰か私に一晩貸しなさい。可愛がるから」
「ダメだよ!?」
「冗談よ」
って言いながら、なんか残念そうな顔。これ冗談じゃなかっただろ、絶対。
「華琳さんは、紫青達を可愛がるよりもご主人様にかわいがってもらうほうが嬉しいんじゃないですか?」
紫青が命知らずだ……。そう言われた華琳は微妙に頬が赤かったりするし。マジで?
結局このあと夕食の前まで5人で話しをして、メイド姿の桂花や紫青にお茶を入れてもらったりしつつ過ごした。
たまにはこういうのも悪くないなぁ……。
今度華琳や桂花、紫青用のメイド服を注文しよう、なんてひそかに考える俺だった。
あとがき
どうも黒天です。
今回は何事もなかったかのように拠点な感じです。
桂花、華琳、紫青にメイド服を着せてご主人様と呼ばせてみました。
挿絵が無いのが残念です。
皆さんはこの3人なら誰が好みでしょう?
それと、前回、前々回の閲覧制限は解除しました。
さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
また次回にお会いしましょう。
説明 | ||
今回は拠点な感じ。 華琳達にメイド服を着せてみました。 |
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コメント | ||
ごっつぁんでした、我が生涯に一片の悔いなし!(はこざき(仮)) そうか、ここがアヴァロン(妖精郷)だったのか。(天意無法の歌武鬼者 鬼龍院獣侍郎) >>レヴィアタンさん 桂花のメイド服姿、見てみたいですよねw(黒天) >>牛乳魔人さん 公式で書かれてたんですね。探してみたけど見つかりませんでした……(黒天) >>たっつーさん 次回の話しにはわわは出てきますよー。詠も近いうちに出る予定。(黒天) >>風見海斗さん ポルナレフw もっと悶えてくださいw(黒天) >>Alice.Magicさん すっかり、この作品では愛紗さんはそういう立ち位置になっちゃいましたねぇ……(黒天) >>nakuさん そのネタいただきました(ぁ そのうちそんなネタで一つ書くかも(黒天) >>h:oさん 華?は呉に娘を嫁にだし、任せてしまっているので、送金はしてないのです。なので送った金というのは存在しないのですよ。(黒天) >>みなさん みんなの団結力にびっくり。一刀は本当にもがれてしまうのだろうか……(黒天) 華琳のメイド服なら無印時代に公式で描かれてるね(牛乳魔人) ↓↓ドアの影に隠れて、呼ばれるのを待っているんでしょう。侍女服着て……。(いた) あ、ありのままに今起こったことを話すぜ・・。女王様気取りだった華琳が、ツンデレと化していた。萌えだとか、可愛いだとかそんなモンじゃ断じてねぇ・・。もっと艶かしい天使の片鱗を味わったぜ・・・。(風見海斗) 華琳ちゃんマジヒロインww そして愛紗さんスルー 事件なんて無かったんや・・・(Alice.Magic) さすがメインヒロイン(一火) やっちまいましたなぁ・・・(遠い目)(M.N.F.) 早くもフェードアウトの関羽さん、泳げ鯛焼○君、腐れ北郷君、モゲロ一刀君、掘られろ太守君。(禁玉⇒金球) モゲロ!!というか誰か挿絵書いて〜〜(act) 一刀うらやましすぎる!!もげろw(nao) うあー ここまで読んでから、ん?って思ったこと。華?の娘のために作った(亡くなったと知るまでに送った)金どこに消えたの?もし書かれてたらごめんなさい(h:o) もげろー!(伯楽) 誰か挿絵をプリーズ(血涙(kuon) もげてしまえ!(血涙)(南無さん) もげろ!(Jack Tlam) もげろ!(飛鳥) 華琳の「ご主人様ぁ」を想像したら鼻から赤色の愛が・・・w桂花のメイド姿もぜひ見たい!(レヴィアタン) 「わ、私と言わないとだめなの!?」⇒私も もげろ!(黄金拍車) |
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