リリカル東方恋姫 第五話 『危険がなくなっても対策なしに使ってはいけない』
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はやての部屋

 

 

現在の時刻、午前五時過ぎ。

窓から朝日が差し込み、一刀は目を覚ます。

 

「んっ、うーーん。よくねたー・・・・って、あれ? 動けない??」

 

なにかが体に巻きついて動けない。

原因は横にいる少女であった。

 

「スー、スー」

 

まだ眠っているはやてが一刀の体抱きついてガッチリホールドしていた。

 

「あらあら、一刀たらもうはやてを女にしt――」

「別荘で新しいデバイス作ろうかなー(棒)」

「まじですいません! 私、まだ活躍していないのにこのまま出番がなく終わりたくないんです! 私を捨てないでください!・・・;;」

「なら机の上に散らかってるモノをさっさと片付けろ」

「hai! ほらチャチャゼロも手伝って」

「ヘイヘイ」

「まったく」

 

真紅とチャチャゼロは机に散らばっている空の酒ビンなどを片付ける(十字架のネックレスである真紅は念力らしきもの使って片付けた)。

その間、一刀ははやてに気づかれないよう彼女のホールドから抜け出す。

 

「まったく、未成年のはやてが隣にいるのに良く飲めるよなー・・・・、ときに真紅。お前口がないのにどうやって飲んだんだ?」

「それは聞いてはいけないお約束よ?」

「ソウソウ」

「……ツッコまないぞ」

 

一刀たちは別荘の準備をするため、はやがおきない様、一階のリビングへ向かう。

 

 

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リビング

 

 

リビングには四次元棺が壁にもたれて置かれていた。

 

「ねぇ、一刀。別荘てどんなものなの? 管路からある程度聞いているけど・・・・?」

「ん〜、簡単に言えば特殊な結界かな。・・・・・・『コール・別荘』」

 

棺の蓋に付いていた蒼い玉が一刀の言葉に反応し、蒼く光ると一刀の手元に蒼い量子が集まりひとつのモノを形成する。

それは、フラスコの中に塔らしきものがあるミニチュアであった。

 

「これが別荘?」

「ああ、これが俺の別荘、五代目バベルの塔さ」

「ふーん。・・・・ん? 五代目? 一代目と二、三、四は?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

真紅の質問に一刀は目を遠くにして、窓の外を見つめる。

 

「初代ハ実験ノ失敗デオ陀仏ニナッテナ。二代ト三代ハ御主人ト御主人ノ義妹ガ模擬戦ノトキニ壊シテ、四代目ハ御主人ノ義妹ガ持ッテルゾ」

「あ〜、なるほど」

 

一刀はどうやら先代の別荘と妹のことを思い出したのだろう。

それと同時に四代目バベルの塔を預けた義妹のことも。

 

「御主人〜 シンミリシテルトコ悪イケド、サッサト別荘ヲ準備シテクレ〜 久々ニ体動カシテーンダヨ」

「っと! そうだった」

 

一刀は別荘を戸棚に置き、別荘の時間設定と転移する術式を起動させる。

フラスコの底に魔方陣が現れ、フラスコのボトルチャップに文字のようなモノが浮き上がる。

 

「これでよし」

「終わったの?」

「ああ、あとは蓋に触れば別荘に転移できるぞ」

 

一刀は頭にチャチャゼロを載せ、首に真紅をかけて、フラスコの蓋を触った。

瞬間、一刀たちは転移された。

 

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別荘『五代目バベルの塔』

 

 

「よっと、到着」

 

草原の中央に置かれた魔方陣から一刀たちが現れた。

 

「此処ニ来ルモノ久シ振リダナ」

「あら〜 素敵なところね〜♪」

 

アルプス山脈のような景色が広がり、広大な草原に巨大な螺旋状の塔が立っていた。

 

「一刀、あれは?」

「あの塔が俺たちの別荘だよ真紅。塔の隣には牧場もあるんだ。あと、此処での一日が外の一時間だから長いとこ居られるぞ」

「へ〜、魔法て便利ね〜」

「あれ、真紅は魔法の道具じゃなかったけ? なんで魔法を珍しそうにしてるんだ?」

(あっ、まずい)

「えっ、えーと、そう! 私は管路に作られてホヤホヤだから魔法を見るのは初めてなのよ。だから初めて魔法を見て驚いて・・・・・」

(これじゃあ、ますます怪しまれるわね。これを信じる人なんていな――)

「へー、ならあとで模擬戦のとき、俺の魔法見せてやるよ」

(あれ? 信じた?)

 

一刀のお気楽さに驚く真紅。

その後、三人は塔の中に入った。

塔の中は薄暗いが窓から射す光により見える。

フロントには屋上に続く螺旋階段に100以上あるドアがあった。奥には三つのエレベータもあ。

 

「長い階段ね〜、天まで届きそう」

「ハハハ、天まで届いてないよ。ここフラスコの中だし」

「そんなの分かってるわよ。…ところで、此処って電気通ってるの? なんか暗いわ」

「あぁそうだった」

 

一刀はパンパンと手を叩くとフロントは明るくなった。

 

「地下に原子炉になっていてそれで自家発電になってるから年中無休で電気が通っているんだ」

「っえ、原子炉って危険なものじゃないの?」

「大丈夫、・・・だと思う」

「ちょっぉ!」

「しょうがないだろう。錬金術の実験とかで莫大なエネルギー使うから・・・・・、いちよう放射線が漏れないよう原子炉の周りに重度のコンクリートとレアメタルで囲んでいるから爆発しても別荘は壊れないよ」

「・・・・・・・・・・」

 

一刀の説明に不安が残るがそのことはひとまず横に置くことにした。

一行は螺旋階段を上り(修行のため)51号室の扉を開けた。

扉の先には大型の機材や、PCなどが置かれていた。

一刀は機材を点検しパネルを操作する。

液晶画面に塔の見取り図や塔のシステムの状態を映し出される。

 

「すべての部屋の全機器異常無し。チャチャゼロ、真紅、保管庫や動力部に異常はないか?」

「保管庫ニ入ッテル道具ヤ武器、トクニ封印指定ノモノハ異常ハナイゾ」

「動力部の原子炉も異常はないわ」

「なら、食料や生活スペースを点検する際、武器の点検と全部の部屋を確認するからその間、牧場のほうを見てきてくれ」

「了解ダー、御主人」

「わかったわ」

 

真紅はチャチャゼロの首にかけて、二人は牧場に向かった。

一刀は食料や生活スペースなどを確認するさい、すべての部屋と機材、棺に入ってる武器を点検した。

 

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塔の横にあるカフェテラス

 

 

「やっと終わったー」

 

仕事を終えた一刀はカフェテラスの椅子に座り真紅とチャチャゼロたちを待っていた。

フラスコの空にある太陽は真上にあり、現在はお昼ぐらいだろう。ただし外では30分しか立っていない。

お茶を飲んでいると真紅とチャチャゼロが戻って来た。

 

「オーイ、御主人」

「一刀〜! 見てみて、こんなのが取れたの」

 

蜂蜜とキノコを大量に持って来る。

 

「おっ、大量だな。なら牧場も問題なかったのか」

「イヤ。畑ノホウハ雑草ガ生エテテ、一度耕ヤサナキャイケネェ」

「虫の罠は壊れてて、鉱山は穴が塞がってるのよ。使えるのはキノコと蜂蜜の養殖と漁業、あと肉焼き機器くらいね」

「うーん。薬草の補充はまだあるからいいが、鉱山が使えないのいたいなぁ。鉱物の在庫はあまり無いしい・・・・・まっ、あとで開拓すればいいか。二人ともご苦労さま」

 

真紅とチャチャゼロにお茶と茶菓子を出す。

三人はのんびりと休憩をする。

しかし、チャチャゼロの一言で休憩は終わる。

 

「御主人。模擬戦ハ?」

 

ギック!

 

この一言に一刀は反応した。

どうやら別荘の点検だけをして模擬戦を持ち越しにする手筈だった様だ。

女の子や友人らが関わらないとさぼるのが一刀であった。

もっとも、相棒が手加減をしないというのにも理由でもある。

 

「えっ! いや、今疲れてるし明日でもいいか? シュミレーションも使ってもいいから」

「イイジャネーカ。シュミレーションモイイガ、今、俺ハ御主人ト殺リタインダ」

「物騒なことを言うな!」

「一刀、男(乙娘)なら言った責任は取らないと」

「オイ! 今、脳内で男を変換しなかったか!? 乙女の娘で乙娘(オトコ)って!」

「それは置いといて、ちゃんと貴方の証言は取ってるわよ。ほら」

 

真紅はデバイス機能で記録した一刀の言葉を流す。

 

『チャチャゼロ、真紅。朝の五時ごろに別荘の準備と道具の点検、それにこの体に慣れるために模擬戦するから時間になったら起こしてくれ』

 

「それに私に魔法を見せてくれるんじゃなかったの」

 

『へー、ならあとで模擬戦のとき、俺の魔法見せてやるよ』

 

「・・・・・・・・・・・・」

「でっ、返事は?」

「・・・・・・チャチャゼロと模擬戦をさせていてだきます」ガックリ

「それでいいのよ」

「ケケケ、サンキューナ真紅」

「いえいえどういたしまして♪」

(ほんとは二人の実力を見たいからだけどね♪)

 

本音は彼らの実力を知りたかっただけである。

 

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闘技場

 

三人はカフェテラスから出て牧場の反対側に向かった。

そこには広い草原しかなく四角いオブジェしかなかった。

 

「ここでするの? 何も無いから戦え安いけど」

「まあ見てなって」

 

そう言ってオブジェに触ると、オブジェは変形してタッチパネルになり、地面が割れて、そこから柱とステージが出現した。

 

「す、すごい仕掛けね・・・」

「ダロ。チナミニコノ闘技場ハ知リ合イノ河童ガ作ッタ代物ダ」

「あと、このタッチパネルで今まで会ったモノたちとシュミレーションで戦える機能を持ってるんだ。これについてはまた今度な」

 

一刀の人脈と技術力に驚きを隠せない真紅。

だが、このあとに一刀と チャチャゼロの戦いを見られることに気持ちを切り替える。

真紅はパネルの上に置かれ、二人の審判をする。

一刀とチャチャゼロはステージに立つ。

 

「チャチャゼロと戦うのひさしぶりだな。『コール・一騎当千』『コール・黒竜』『コール・核鉄』」

「ケケケ、タシカ半年ブリダッタナ」チャッチーン

 

棺から転送され地面に刺さる木刀。一刀の左手には拳銃、そして右手に核鉄を持つ。

チャチャゼロはホルダーから愛用の双剣の干将『血』と莫耶『骨』を出す。

 

「武装錬金モスルノカ?」

「あぁ、体が小さくなっても武装できるからな。もちろん武装はアレだ。・・・・・・武装錬金! シルバー・スキン!」

 

核鉄が展開され、一刀の周りに銅色の服が構成される。

現れたのは銅色の帽子と同じ色のコートと手袋、ズボンと靴を履いた一刀であった。

オリジナルと違って銅色で今の一刀のサイズに合わせて子供用。また、顔は隠れていない。

 

「小サイナ」

「しょうがないだろう。今は子供なんだし・・・・・でも、能力は変わらないさ」

 

地面に刺さった木刀『一騎当千』を右手で抜き、拳銃『黒竜』と構える。

 

「マァ、戦エルノナラ別ニイイサ」

 

干将『血』と莫耶『骨』を構える。

 

「二人とも準備はいい」

「ああ!」

「イツデモ」

「それでは・・・・・」

 

真紅は息を吸い上げる。

ステージにいる一刀とチャチャゼロはギリギリまで引っ張られる弦のように真紅の言葉を待つ。

 

そして、

 

 

――試合開始!!!

 

 

【天の御使い】と【殺戮人形】との対決が始まった

 

 

つづく

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あとがき

 

 

 

 

五代目バベルの塔

 

元ネタ ネギま

 

一刀の別荘。エヴァの別荘を習って作った

名前の由来はバベル二世をモデルにしてるから。先代は壊してしまい、現在はこれと四代目バベルの塔の二つしかない。

アルプスの山脈に囲まれた草原に百階立ての塔がある。一階ずつ10部屋になっている。

また、塔の中にある部屋は空間操作でさらに広くしている。部屋の番号で種類を分けている。1〜10は食堂や台所。11〜20はリビングや遊び場。21〜30は住まい。31〜40は服や生活品の倉庫。41〜50は空部屋。51〜60は別荘の管理や演算機器のスーパーコンピュータールーム。61〜70は書庫。71〜80は封印指定のモノの倉庫。81〜90は工房。91〜100は武器庫。101〜108は作った道具などの倉庫。屋上は植物園となっている。

塔のとなりに牧場(モンハン使用)がありいろいろな材料が取れる。

牧場の反対側に闘技場が地下に収納されて、オブジェに触ると現れる。

闘技場では一刀がいままで出会ったモノたちをシュミレーターとして戦える(GS美神の霊感シュミレーター)。

別荘の動力は塔の地下にある原子炉で動いている。

 

 

説明
別荘の点検する一刀たち
別荘の機能に真紅は驚く
そして、この世界に来てはじめての戦う相手は……

それでは第五話をどうぞ
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