英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 780
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〜遊撃士協会・クロスベル支部〜

 

「え。」

「ロイド、どういうことだ?」

尋ねてきたロイドの質問を聞いたミシェルは呆け、スコットは不思議そうな表情で尋ねた。

「『国防軍』の司令長官……いきなり引き受けるにはあまりに重過ぎる役目だと思います。多分、ディーター市長………いや大統領との間で根回しがされていたんじゃないですか?それも”最近”ではなく、”しばらく前”から。」

(フフ、私も真っ先に疑っている事に気付くなんて………成長したわね。)

ミシェルに尋ねたロイドの質問を聞いたルファディエルは微笑み

「………………………」

ミシェルは複雑そうな表情で黙り込んだ。

「ミシェル……?」

「……まさか、本当なのか……?」

ミシェルの様子を見たスコットは不思議そうな表情をし、ヴェンツェルは信じられない表情で尋ねた。

「……確かに、行き先など、報告と食い違っていることはたまにあったわ。あれだけ仕事を抱えてたら当然だと思ってたけど……考えてみれば、アリオスが報告を間違うなんて不自然極まりないのよね。」

「それじゃあ、そうした時間にディーター市長とコンタクトを?」

真剣な表情で言ったミシェルの言葉を聞いたスコットは尋ね

「……その可能性は考えられるかもしれない。ロイド君、さすがね。恐いくらいの洞察力だわ。もう、”叡智”と並んでいるのじゃないかしら?」

尋ねられたミシェルは頷いた後真剣な表情でロイドを見つめた。

 

「いえ……失礼な事を言ってすみません。その、失礼ついでにお聞きしますが……そうしたアリオスさんの行き先やスケジュールの食い違い―――”半年以上前”で覚えはありませんか?」

「半年以上前って……」

「……まだディーターさんが市長にもなっていませんが?」

(………………)

ロイドの質問を聞いたエリィとティオは不思議そうな表情をし、ルファディエルは目を細めて考え込んでいた。

「う、うーん……そこまで前だとさすがに覚えてないんだけど………あ、でもあれがあったか。」

一方ミシェルは唸りながら考え込んだ後ある事に気付いて声を上げた。

「あれ……?」

「創立記念祭の最終日よ。彼、仕事でレミフェリアに出張する事になってたんだけど……それを急遽、キャンセルしたのを報告し損なってたのよ。」

「え……………」

(…………レミフェリア……………そういえば”競売会(オークション)”の目玉になるはずだった人形もレミフェリア方面…………なるほど………まさかキーアとアリオスが繋がっているとはさすがに予想できなかったわ……………そしてワジから聞いた”至宝”の件を合わせると……………どうやらガイ殺害の容疑者候補としてアリオスがかなり怪くなってきたわね……………ただそうなるとガイの死亡原因を考えるとアリオスの可能性は低いのよね………アリオスとガイの腕は互角。となるとアリオスとガイが戦っている間に、クロイス家の者達もしくは彼らの協力者が銃でガイの心臓を撃った可能性が高いわね……………ただそうなると、問題はその協力者なのよね……………)

ミシェルの話を聞いたロイドは呆け、ルファディエルは真剣な表情で考え込んでいた。

「後で気付いて聞いてみたら忙しくて報告し損なってたって言ってたけど……なに、何か気になるの?」

「あの時は殺人的な忙しさだったし……」

「報告に齟齬があったとしても無理もないと思うが……?」

ミシェル達はそれぞれロイドに尋ね

「…………………」

尋ねられたロイドは黙り込み

「……記念祭の最終日……」

「最終日といえば”あれ”がありましたけど………」

「それがどうつながるってんだ?」

エリィ達はそれぞれロイドに視線を向けた。

「……わからない。でも何か繋がりそうな気がする。今まで俺達が、忙しさのあまり、見過ごしていた点と点が………」

全員に見つめられたロイドが考え込んでいたその時、ロイドのエニグマが鳴りだした。

「すみません、失礼します。はい、こちらクロスベル警察、特務支援課で―――」

「んー?『クロスベル国防軍・特務支援課』の間違いじゃないのか?」

「………あなたは……………」

(あら………驚いたわね。”まだ生きていた”なんて。さすがはかかし男(スケアクロウ)と言ったところかしらね。)

通信相手の声を聞いたロイドは厳しい表情をし、ルファディエルは目を丸くした後真剣な表情になった。

「フフフ………サテワタシハダレデショウ?セイカイサレタカタニハモレナクゴウカケイヒンヲ――――」

「……下らないクイズは結構です。一体どのツラさげて……クロスベルにやって来たんですか?」

「やれやれ、嫌われたモンだなァ。俺達を嵌めたお前達クロスベルだって人の事は言えないだろうに。派手な事になってるみたいだがちょっと会って話せないか?ま、損はさせないと思うぜぇ。」

「…………………わかりました。どこに行けばいいんですか?」

「”クリムゾン商会”………いや元”ルバーチェ商会”と言った方がいいか。あそこの会長室にするか。」

「地下のあそこですか……わかりました。」

「そんじゃ、待ってるぜ〜。」

「もしかして……行方不明のツァオ氏とか?」

通信を終えたロイドにエリィは真剣な表情で尋ね

「そういえば通商会議の件以降、一切姿を現していませんでしたね。」

「それに襲撃の時に黒月も参加していたしな……」

ある事に気付いたティオは呟き、ランディは目を細めた。

 

「―――いや、違う。帝国軍のレクター大尉だ。」

「ええっ!?」

そしてロイドの説明を聞いたエリィは驚いた。

「あの人……またクロスベルに来ていたんですか。」

「……確かにどのツラ下げてって感じだな。」

「で、でも”革新派”はかなり追い詰められているという話だし……一体どうして……」

ティオはジト目で、ランディは目を細め、エリィは戸惑った表情で言った。

「どうやら旧ルバーチェ商会で話があるみたいだ。”赤い星座”との繋がりを考えるととても油断はできないけど……行くだけ行ってみよう。」

「だな……」

「虎穴に入らずんば、ですね。」

「………準備だけは万全にした方がよさそうね。」

ロイドの提案に仲間達は頷き

「アナタたちも大変そうね。」

「どうやら面倒な相手とやりあうみたいだな?」

「情報局のアランドールか……恐ろしく厄介な若造らしいが。」

「俺達で良ければいつでも力を貸すぜ。」

「ああ……湿地帯でエオリア達を助けてくれた借りもあるしな。」

ミシェル達はそれぞれ声をかけた。

「ありがとうございます。」

「手に負えなさそうだったら是非、力を貸してください。」

その後ロイド達は準備を整えて旧”ルバーチェ商会”の会長室に向かい、部屋の中に入った…………………

 

 

説明
第780話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 ここでもルファ姉無双ですww(sorano)
ルファ姉が既に確信に迫っている点についてww(本郷 刃)
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