英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 783 |
〜エルム湖〜
「………………」
ランディが運転している中ロイドは真剣な表情で黙り込み
「何とか警察のボートを確保できたのは良かったけど……」
エリィは不安そうな表情で呟き
「……どうやらミシュラムは完全に封鎖されたそうですね。テーマパークや各種ショップの常駐スタッフも退去したとか。」
ティオは静かな表情で呟いた。
「例の湿地帯に向かった可能性もあったが……こりゃ、間違いなくミシュラムが正解だろうな。」
「エリィ……マリアベルさんとは連絡が取れなかったのか?」
「……ええ、ここ数日、なかなか捕まらなくって。IBCビル爆破の後始末で忙しかったみたいだけど……」
ロイドの言葉にエリィは頷いた後黙り込み、エリィに続くようにロイド達は黙り込んだ。
「あのお嬢さんはともかく……レクターの野郎とキリカさんが仄めかしたアレは本当なのか?」
「クロスベル襲撃の真の黒幕がエレボニア帝国やカルバード共和国ではなく……ディーター・クロイス市長……いえ、大統領である可能性ですか。」
「…………………」
ランディとティオの言葉にロイドは何も答えず黙り込み
「……ロイド。私に気を遣う必要はないわ。昨日からおじいさまとの連絡が取れていないのだけど……執事のヘルマーさんはもしかしたらオルキスタワーに拘束されたかもしれないって……」
「………!?」
そしてエリィの言葉を聞いたロイドは驚いてエリィを見つめ
「……それは………」
「完全にクロじゃねぇか……?」
ティオは不安そうな表情をし、ランディは疲れた表情で言った。
「……ディーター市長が一連の黒幕………そう考えると、全て辻褄が合って来るのは確かだ。その場合、”赤い星座”や”結社”、”黒月”は彼の雇った実動部隊ないし協力者……魔人化したヴァルドや……場合によっては”教団”すらも利用されただけの可能性がある。」
「”D∴G教団”も!?」
「ヴァルドはともかく……ヨアヒムまでもってことかよ!?」
「そんな……でも……」
そしてロイドの推理を聞いたエリィ達は驚いたり信じられない表情をした。
「勿論、直接の繋がりがあった可能性は低いだろう。ヨアヒムの言動から判断する限り、他に黒幕がいた様子もない。だが、彼自身が気付かない形で利用されていた可能性はあり得る。」
「………………………」
ロイドの推理を聞いたティオは黙り込み
「そういえば、太陽の砦からキーアちゃんを連れ去った人物も判明していなかったわね……」
エリィは不安そうな表情で呟き
「そして”黒の競売会(シュバルツオークション)”の出品物に紛れ込ませたヤツか……考えてみりゃ、誰の仕業にしたって”普通の人間”には無理な芸当だ。”銀”や”結社”、”覇王”達クラスの連中、そうでなけりゃ、ありえねえだろ。」
ランディは重々しい様子を纏って呟いた。
「ああ………それに恐らくだがレンは……いや、メンフィルは最初からディーター市長達が怪しいと踏んでいた可能性がかなり高いと思う。」
「ええっ!?」
「オイオイ……!一体どういうことだよ!?」
「何か根拠があるのですか?」
そしてロイドの言葉を聞いたエリィ達全員は驚き
「実は―――――」
ロイドは教団事件後のクロスベル復興後リウイ達が帰る際にレンから『IBCに気を付けろ』という謎の警告を囁かれた事をエリィ達に説明した。
「そ、そんな………!」
「……………あの時の時点でレンさんが全てわかっていたなんて………」
「オイオイオイ……!メンフィルはディーターのオッサン達が今回の事をやらかす事を予測するどころか、下手したらキー坊の正体すらも把握しているんじゃねえのか!?」
ロイドの話を聞いたエリィとティオは信じられない表情をし、ランディは厳しい表情をした。
「ああ………だからこそリィンが俺達特務支援課に派遣された可能性も十分にありえる。」
「リィンが!?」
そして真剣な表情で言ったロイドの言葉を聞いたエリィは驚き
「……なるほどな。いずれ敵対するならば地形を把握する事によって戦争で有利に働くからな……!その点を考えると自国の兵を怪しまれずに、クロスベル全土の地形を調べさせるには、普段の支援要請でクロスベル全土を回っていた俺達の中に紛れ込ませる事はちょうどいいって事か……!」
ランディは目を細めてロイドに言った。
「ああ………俺達と同年代で兵士らしい態度をあまり見せなかったリィンだからこそ、怪しまれないと踏んだんだろうな………恐らく今まで不審な行動が見られなかったリィンの行動を考えると、リィン本人は知らされていないと思うが………」
「………ただそうなると、リィンさんを受け入れたヴァイスさん達もリウイ陛下達から事情を全て聞いて、ディーター市長達の行動なども全てわかっていた可能性も出てきましたね。」
ロイドの言葉に続くようにティオは真剣な表情で呟き
「ああ………姿を消したのは恐らく機を窺ってディーター大統領達……いや、『クロスベル独立国』に対してクーデターを起こすつもりだ……!」
ロイドは厳しい表情で言った。
「IBCでリウイ陛下に言ったギュランドロス司令の発言………ね………姿を消した局長達は市民達に今でも慕われているから、おじさまの今後の政策にもよるけど、残った警備隊と局長達と一緒にいると思われるベルガード門の警備隊の練度を考えると、クーデターが成功する確率はかなり高いでしょうね…………」
「チッ………さすが国を奪い合った経験者達だけあってとんでもねぇ策士じゃねえか……!ミレイユ達を鍛え上げ、自分達を信頼させていたのもミレイユ達を自分達に忠誠を誓う兵士達にし、さらには市民達に慕われるように動いていたのはディーターのオッサンを排除して、クロスベルを奪い取る為ってわけか……!」
「そうなると姿を消したエルファティシアさんやリセルさん達もヴァイスさん達と一緒にいる可能性がかなり高いでしょうね……………」
ロイドの言葉を聞いたエリィは不安そうな表情で呟き、ランディは舌打ちをした後目を細め、ティオは複雑そうな表情で言った。
「ああ………――――それどころかセリカさん達も――――」
そしてロイドが何か言いかけたその時ロイドのエニグマがなり、ロイドは通信を開始した。
「はい……!特務支援課、ロイドです!」
「よっしゃ、繋がったか!ティオにも聞かせたいからスピーカーモードにしてくれよ!」
「ヨナか?わかった、すぐに切り替える。」
通信相手―――ヨナに言われたロイドはエニグマをスピーカーモードにし
「ヨナ、どうしたんですか?」
ティオは真剣な表情で尋ねた。
「どうしたもこうしたもないって!クロスベルの導力ネットだけど……とんでもない化物が潜んでるぞ!?」
「化物……?」
「ど、どういうこと?」
ヨナの言葉を聞いたロイドとエリィは戸惑い
「最初はネットワークの周縁に変なデータ構造体を見つけたんだ!意味不明な配列だったから単なるゴミかと思ってたけど……よくよく調べてみたら例の”結社”が使っていたコートを進化させたものが使われてたんだ!」
「”アストラルコート”………つまり”結社”が仕掛けた何らかのトラップですか?」
ヨナの説明を聞いたティオは考え込んだ後尋ねた。
「いや、日付を見る限り、5年近く前からのものだ!確か導力ネットが導入されたのもそのあたりじゃなかったか!?」
「ええ、確かに………!?」
そしてヨナに尋ねられたティオは頷いた後ある事に気付き
「導力ネットの導入を自治州政府に提案したのはIBCグループ……その結果、財団の技術が導入されIBCも深くかかわって来た……それこそネットワークの基幹部分を知り尽くしているくらいに……」
エリィは厳しい表情で言い
「オイオイ、ってことは――――」
ランディは目を細めた。
「―――ヨナ。その化物とは何なんだ?そいつのせいで何が起きる?」
「そ、それは解析中だけど……ただ、導力ネットの全領域を覆い尽くすような巨大なシステムなのは確かだ!しかもそれと連動するようにリアルなシステムも用意されてるみたいだぜ!?」
「リアルなシステム……?」
「リアルということは導力ネットの世界ではなくて?」
「ああ、ジオフロントの全区画……それとオルキスタワーを結んでミシュラム方面までつなげる仕掛けが構築されてるみたいだ!」
「ミシュラム……!?」
「その名前が出るのかよ!?」
「―――とにかく!解析できたらまた連絡する!何してんのか知んねーけどせいぜい気を付けろよな!」
そしてヨナが通信を切るとその場は無言に包まれた。
「……おいおい。繋がりすぎじゃねえか……?」
「どんな目的のシステムかは現時点ではわかりませんが……財団や”結社”以外でそれだけの巨大なシステムを構築できる人間がいるとすれば……」
「…………………」
「―――今はこのままミシュラムを目指そう。キーアも、アリオスさんも……全ての答えが待っているはずだ。」
それぞれが考え込んでいる中、ロイドは真剣な表情で言った、
〜ミシュラム〜
ロイド達がミシュラムに到着すると鐘の音が聞こえてきた。
「鐘の音が……」
「これは……”鏡の城”の最上階にあった?」
「ええ……そうみたいね。」
「なんか水面もボンヤリ光ってやがるし……ティオすけ、何だかわかるか?」
「どうやら”霊圧”のようなものが高まりつつあるようです……それも奥にあるテーマパーク方面から。」
「そうか……そちらにアリオスさんたちが向かった可能性は高そうだな。」
「ええ……行ってみましょう!」
その後ロイド達はミシュラムのテーマパークに向かって行った……………
説明 | ||
第783話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
868 | 834 | 2 |
コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 上には上がいる……ですねww(sorano) されども、全てはメンフィルの掌の上・・・w(本郷 刃) |
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