英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 796 |
〜ウルスラ病院〜
病院の出入り口付近では国防軍の兵士達が談笑していた。
「はあ、暇だよなー。こんな場所で警備なんてタイクツすぎるっての。しかも、病院側からはいつも白い目で見られるから、ホント、嫌になってくるぜ…………」
「ボヤくなって。例の支援課のバニングスが逃亡したままなんだから。しかもバニングスにはあの”叡智”がついているんだぜ?」
溜息を吐いている兵士に他の兵士は注意し
「ハッ、たかが捜査官2人に何ができるってんだ。とっくに外国あたりに逃げ出してるんじゃないか?」
注意された兵士は鼻を鳴らして言った。
「しかし、とんでもない化物を連れてるって噂だが……第4連隊の連中が喰われたってのは本当なのか?」
「ハハ、ただのデマだろ。そんな事より、せっかくだからイリアの顔を拝みたいよな。確か、まだ入院してるんだろ?」
「ああ、そのはずだぜ。とっとと怪我を治してもらって復活して欲しいんだが。」
そして兵士達がイリアの事について談笑をしていたその時
「―――それは同感だよ。」
なんと武器を構えたロイド達が兵士達に近づいてきた!
「ロイド・バニングス!?」
「くう、本当に現れるとは!」
「しかも遊撃士までいるぞ!?」
「クソ……!街からは出られないはずなのに何でいるんだ!?」
「し、しかも姿を消したはずの”真銀の霊女”まで……!」
ロイド達を見た兵士達は驚き
「フフ、私もそれなりに有名だったようね。」
「有名人は人気者で辛いですね。」
エオリアとリタは微笑み
「やれやれ。化物とは失敬な。」
ツァイトは呆れた様子で溜息を吐き
「いや、あの元の姿を見たらさすがに仕方ないんじゃない?」
ワジは口元に笑みを浮かべて指摘し
「そうー?キーアはカッコイイと思うよー??」
「フフ、そうか………」
首を傾げて呟いたキーアの言葉を聞いたツァイトは静かな笑みを浮かべた。
「―――争うつもりはない。だが、立ち塞がるのなら遠慮なく撃破させてもらう!」
そしてロイドは兵士達を睨んで叫び
「生意気な……!」
「少数だ!一気に制圧するぞ!」
「了解(ラジャ―)!」
兵士達は武器を構えてロイド達に向かって行った!しかしその時!
「みんなを襲ったら、メッ!!」
「うっ………!?」
「な、なんだ……!?か、身体が……!」
キーアのクラフト―――叱咤を受けて戦意を喪失し、スタンハルバードを持った兵士達は戦意を喪失し、身体が一時的に動かなくなり
「何をやっている!?」
「回復しかできない薬役が生意気な真似を!」
銃を持った兵士達はキーアに銃口を狙ったが
「遅いっ!!」
「がっ!?」
「ぐっ!?」
エオリアが放ったクラフト――トキシックナイフを受けて怯み
「うぷっ!?」
「気持ち悪い……!?」
さらにトキシックナイフに塗り込んである特製の毒に侵されて、表情を青褪めさせた。そこにロイドとワジが突撃し
「うちのキーアをそんな言い方で呼んだ上、銃口を向けるなんて絶対に許さない!ワジ!」
「オーケー、リーダー!」
怒りの表情のロイドはワジと共に銃を持った兵士達を挟み込み
「イーリュン、ロイド達に力を貸して!アルテミスの祝福!!」
その瞬間、キーアは祈りを捧げて魔術―――アルテミスの祝福でロイドとワジの身体能力を上昇させ
「アークス、駆動!ラ・シャイニング!!」
さらに複数の味方を一時的に集中力を高め、命中力や回避能力を大幅に上昇させる”心眼”状態にするアーツ―――ラ・シャイニングをツァイトとエオリアに放った!
「おおおおおおおおおおおっ!!」
「ハァァァァァァァァァァ!!」
「「ぐああああああああっ!?」」
身体能力を上昇させられた2人はすざましい速さで次々と連続攻撃を放ち
「「ストライク……ヘヴン!!」」
「ぐあっ!?」
「がっ!?」
最後に2人同時に強烈な一撃を放って、銃を持った兵士達を戦闘不能にさせた!
「クソ……!」
「生意気な真似を……!」
一方スタンハルバードを持った兵士達は立ち直った後、後方のキーアに襲い掛かったが
「鳳凰牙!!」
「グアッ!?」
「ががッ!?」
ツァイトの強襲攻撃を受けて怯み
「吹き飛びなさい!玄武の地走り!!」
「うおおおっ!?」
「うわあああっ!?」
リタが放った衝撃波攻撃を受けて吹っ飛ばされて壁にぶつかり
「セリカさん、私達に仇名す者達に裁きの雷を!!セナケリプの雷光!!」
「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!?」」
エオリアが放った魔術―――セナケリプの雷光によって上空に発生し、落ちてきた聖気を纏った雷をその身に受け、その場で膝をついて動かなくなった!
「……ぐうっ……」
「つ、強い………」
地面に膝をついた兵士達は呻き
「さて―――僕の出番かな。」
ワジは静かな笑みを浮かべて呟いた後一歩前に出て星杯のメダルを手に持って前に出した。
(星杯のメダル……?)
ワジの行動を見たロイドは不思議そうな表情をし
「我が深淵にて蒼金(あおがね)の刻印よ………」
ワジが詠唱を始めるとワジの背中に金色の紋章―――”聖痕”が浮かび上がった!
「識(しき)の銀耀と結びつきて、偽りの記憶を彼らに与えよ。」
「…………ぁ。」
「…………………」
ワジが詠唱を続けていると兵士達は声を上げた後虚ろな目をし
(これは……)
(ふむ、教会に伝わる暗示の術のたぐいのようだ。何やら不思議な力も使っているようだが……)
(七耀教会に伝わっている法術にはこんな法術もあるのね…………)
(今浮かび上がった紋章……もしかして”聖痕”………?)
(えへへ、ピカピカしてキレイだなー。)
その様子を見たロイドは驚き、ツァイトは頷いた後ワジを見つめ、エオリアは信じられない表情をし、リタは真剣な表情でワジを見つめ、キーアはワジの背中の紋章を嬉しそうな表情で見つめていた。
「―――君達は先程、大型の幻獣の接近を確認した。何とか撃退したはいいが、全員が負傷してしまったため、一時的に帰投することになった。バニングスの姿は見ていないし、当分現れそうな気配もない。」
「…………………」
ワジの言葉を聞いた兵士達は立ち上がって頷き
「……現れそうな気配もない。」
虚ろな目で呟いた後、それぞれ装甲車に乗り込んで病院から去って行った!
「す、凄いな……」
「ただの暗示の術ならばあそこまで具体的に操れまい。察するに”聖痕(スティグマ)”の力を利用したというところか。」
「ハハ……さすがは伝説の聖獣だね。」
ツァイトの言葉を聞いたワジは苦笑し
「”聖痕(スティグマ)”………?」
「一体何なのかしら……?」
ロイドとエオリアは真剣な表情で考え込み
「確か”守護騎士(ドミニオン)”全員が持つ特別な力……でしたよね?」
リタはワジに尋ねた。
「ああ、そんな所だよ。……ま、特別なトラウマを体験しないと現れないけどね。いずれにせよ、完璧ではないから2,3日で暗示は解けるだろう。軍も警戒してくるだろうから今後は使えないと思って欲しいな。」
「そうか、了解だ……」
そしてワジの忠告にロイドが頷いたその時
「ワジさん、ツァイト……?それにエオリアさんやリタさん……?」
聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声が聞こえた方向に振り返るとそこにはティオがロイド達を見つめていた……………!
今回の話で気付いたと思いますがキーアが使っているオーブメントはロイド達のと全然違います(まあ、10年経てば当然でしょうがwwなんせ、たった2年で何度も変わっていますしねえ(遠い目))………感想お待ちしております
説明 | ||
第796話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 まあ、遊撃士協会で働いていたら自然とそうなるかとww(sorano) リタも異名持ちで有名になりましたね〜w(本郷 刃) |
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