恋姫婆娑羅
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「光の先には」

 

 

 

「・・・流れ星?不吉ね・・」

 

「・・・様!出立の準備が整いました!」

 

「・・・様?いかがなさいました?」

 

「今、流れ星がみえたのよ・・」

 

「流れ星ですか?こんな昼間に?」

 

「あまり吉兆とは言えませんね・・・出立を伸ばしましょうか?」

 

「吉とするか凶とするかは己次第でしょう、予定に変更はないわ」

 

「承知いたしました」

 

「総員!!騎乗!!騎乗ッ!!」

 

「無知な悪党どもに奪われた貴重な遺産・・・、なんとしても取り戻すわよ!・・・・出撃ッ!!」

 

 

少女の号令と共に馬の嘶く声と大地を蹴る蹄の音が鳴り響く、彼女たちはまだ知らない、己の運命を大きく変える出会いがあることを・・・・

 

 

 

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「・・・さ・・ん・・、おに・・・さ・・ん・・、お兄・・さ・ん・・」

 

声が聞こえる、なんだか間延びしたようなとぼけたような、なんとも言い難い声色が何度も自分に呼びかけてくる。

 

「どうやら気を失っているだけのようだな・・・」

 

また別の声だ・・・さっきのと違い、凛としたどこか強さを感じさせる声色だ・・・

 

「それにしても、どうしてこんな所で・・・この辺りには街も邑もないのに」

 

三つ目の声だ・・どこか真面目な印象をうける。

 

「どうしましょうね〜放置するわけにもいきませんし〜・・・」

 

「とりあえず、起きるのを待つしかなかろう」

 

「そうね・・・、それにしてもなにかしらこの格好は?」

 

俺の頭上でそんな相談の声が聞こえてくる、どうやら三人とも女だ。声だけで判断するなら三人ともまだ若いだろう、恐らく少女に分類される・・・

夢現でそのようなことを考えていたがどうやら覚醒が近いらしい、徐々に意識がはっきりしてきた。

 

「うっ・・・いって〜・・・」

 

眼を開くとそこには心配そうに見つめてくる三人の少女がいた。

 

「お〜目を覚ましたのです〜」

 

「そうだな、おい、大丈夫か?」

 

「怪我は無さそうですが・・・」

 

気が付いたことに安心したようだ、彼女たちの顔が緩む。

 

「Ah〜 Thankus どうやら面倒掛けちまったようだな」

 

「さんくす?まぁいいでしょう、ご無事なようですし・・それにしてもどうしてこのような所で倒れていたのですか?」

 

真面目そうな少女の問いかけに、

 

「どうしてって・・・ちょっと待て、ここはどこだ?」

 

気が付いた、ここはどこだ、奥州にはこんな場所は無い、そもそも日ノ本ではありえない光景だ。おかしい、ついさっきまで奥州で小十郎や西海の鬼と・・・ってそうだ二人はどうした。少女たちに問うが、ここに倒れていたのは己だけであったそうだ。

 

「おいおい・・・なにがどうなってやがる・・」

 

知らない土地とはぐれた二人を思うと焦りの気持ちが急激に湧き起こる。早く二人を探さねばと。

 

「あの〜お兄さん?落ち着いていださい〜」

 

「そうだぞ、なにがあったかは知らんが冷静になるべきであろう。そうだなまずは自己紹介といかないか?」

 

とぼけた少女と凛とした少女に諭され幾分か落ち着いてきた、そうだ焦っても仕方がない、このような時ほど冷静にと小十郎からも言われていた。

 

「そうだな・・・すまねぇ、俺は伊達政宗だ」

 

「伊達さんですか〜、私は程立と申します〜」

 

「今は戯志才と名乗っております」

 

「姓は趙、名は雲、字は子龍、お見知りおきを頼もう」

 

「・・・・・・ハァ?」

 

三人の名乗りを聞いて政宗は呆然とした、こいつら今なんていった?程立に戯志才に趙子龍だと?どれもとある書物で見た名前だ、なんのジョークかと彼女らの顔を見るが嘘をついている人間の顔じゃない。思わず頭を抱えてしまう政宗を三人の少女は不思議そうに見ている。

 

(こりゃとんでもねぇ所に来ちまったんじゃねぇか?)

 

政宗は胸の内で思った、自分の記憶が確かなら彼女らの名は三国志に出てきた英傑の名だ。嘘だと思いたいが政宗の人を見る目や勘といったものが告げている彼女らは嘘など言っていないと。自分自身がそう言っているのであればもはや疑う気持ちにもなれなかった。

だとするとここは大陸だ、しかも大昔の・・・状況を整理するために頭を働かせる、しかし解せないことが一つあった。

 

(なんで女なんだ?)

 

そう、そこだけがどうしても分からない、自分が知っている彼女らの名は男のものであった。これにはさしもの独眼竜も唸ることしか出来ない。

名を名乗った途端に呆然とし押し黙ったかと思えば唸り出した政宗を見て三人も不安になったのだろう、恐る恐る声を掛けてくる

 

「あの〜伊達さんに質問してもいいですか?」

 

「おっと、すまねぇな、答えられる範囲でならなんでも答えるぜ」

 

程立の言葉で思考の淵から引き戻された政宗はそう答える。聞かれるであろうことはもうすでに大体予測がついていた。

 

「ではお聞きしよう、伊達殿は見慣れない格好をしておられるが一体どちらからいらしたのだ?」

 

「あ〜・・俺は日ノ本の奥州ってとこからきたんだが・・・」

 

どうせ伝わらないだろうと投げやりな感じで問いに答える。その答えに対する反応も予想通りであった。

 

「ひのもとのおうしゅう?稟、そのような地名に心当たりは?」

 

「無いわね・・・南方の国かもしれないけど」

 

「ふむ・・・風はどうだ?」

 

「う〜ん、ちょっとわからないですね〜」

 

この反応で政宗は確信した。日ノ本に生きていて奥州を知らない無いなんてありえない、少なくとも奥州の伊達といえば日ノ本じゃかなり名が売れている。やはりここは・・・と、また思考の淵に潜りかけた時であった。

 

 

 

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「おい!!兄ちゃんにお嬢ちゃん達」

 

奇妙な格好をした三人組みの男たちに声を掛けられた。御世辞にもガラが良いなどとは言えない男たちは腰に差してあった剣を政宗らに突きつける。

 

「へへへ、命が惜しかったら持ってるもんと着てるもん全部置いていきやがれ!」

 

背丈の小さい男が下卑た笑いを浮かべつつ言った。

 

「そうなんだな!おでたち、さっき大きな仕事が成功して気分がいいんだな!おとなしく従えば命までは取らないんだな!」

 

「そうゆうこった・・・バカなマネはすんじゃねぇぞ!」

 

太った男とリーダー格と思しきちょび髭の男もニヤつきながら近寄ってくる。

 

「・・・おい。なんだこのFunnyな連中は?」

 

「あわわ〜、こいつら盗賊なのです〜!!」

 

「くそっこの辺りは盗賊の少ないところなのに・・・」

 

「ふん。この趙子龍に盗賊行為を働こうとは・・・ところで伊達殿、ふあにーとは一体なんのことであろうか?」

 

「あぁ、そりゃな滑稽とかおかしなって意味だ」

 

「なるほど!まさにこやつらにはぴったりの言葉ですな」

 

自分たちを尻目に政宗の言葉で盛り上がる四人にちょび髭がキレる。

 

「うおぉい、てめぇら今の状況わかってんのか?俺らを無視するなんざいい度胸してんじゃねぇか!!」

 

髭の怒声でやっと盗賊たちに向き直る政宗たち

 

「おっと、sorry しかしそんな盗賊行為なんざぁやめといた方がいいぜ?バカを見るのはあんたらなんだからな」

 

「伊達殿、こやつらは一回死なねば分からないような輩ですぞ。ここはこの私が正義の鉄槌を下してやる!」

 

諭す政宗と槍を取り出し臨戦態勢の趙雲、そんな二人に対しチビの男が吠える。

 

「何バカなこといってんだ!!アニキ!!やっちゃいましょうぜ!!」

 

「そうなんだな!!やっちゃうんだな!!

 

「おうよ!!野郎共!!ブっ殺してから身ぐるみ剥ぐぞ!!」

 

堪忍袋が切れたのか、盗賊たちはいきり立ちながら向かってくる。

 

「ふんっ!愚か者共に正義の・・・・」

 

「やれやれ、しょうがねぇな、後悔すんな・・・おい・・お前ら早く逃げろ・・・」

 

やる気になったと思ったら急に青ざめた表情をする趙雲と政宗に盗賊たちは疑念を抱く。

 

「なんだよ今度は!!」

 

「いい加減にするんだな!!」

 

「あぁ!!くそったれ!!もう許さねぇぞ!!殺すだけじゃたりねぇ!!首取って近くの街で晒して「おい・・それくらいにしておけよ?」やるぁぁぁぁ・・・あ?」

 

盗賊たちの後ろに男が立っている。どうやら物凄く怒っているようだ、獣の呻りのような低い声、その声は盗賊たちの肝を冷やすには十分すぎる程、殺気に満ちていた。

 

「あっ・・あの男は一体?」

 

「うわわ〜恐ろしいですよ〜」

 

「・・・・(戯志才硬直中)」

 

「こっ・・小十郎・・・」

 

盗賊だけでなく三人の少女もまた怯えていた。戯志才に至っては北条の爺さんみたいなことになっている。政宗は思った。これはまずい、日ノ本の天下泰平ですっかり鳴りを潜めていたが、ありゃ極殺(ブチ切れ)状態だ・・・やべぇなこのままだとあの盗賊共、この世に髪の毛一本すら残らねぇぞ・・・。

 

「てめぇら・・・誰に刀向けたか・・分かってんだろうなぁ?」

 

地獄の鬼でも裸足で逃げ出すだろう今の小十郎に詰め寄られた盗賊たちは腰を抜かしてブルブルと震えている。

 

「あっあの俺たちは・・・」

 

「ごめんなさいなんだな!許してほしいんだな!!」

 

「あわわわわ・・・なんだよこいつ・・・人じゃねぇ・・・」

 

怯えて二の句が継げないチビ、謝り倒すデブ、漏らすチョビ髭、さっきまでの威勢は見る影もなく情けないことこの上ない状態になっている。

 

「おいっ!小十郎、落ち着け」

 

「政宗様!?なぜ御止めになるのですか!こやつらは・・・」

 

「「「逃げろぉぉぉ!!」」」

 

「あっ!?てめぇら!!待ちやがれ!!」

 

「はぁ〜、いいからほっとけ」

 

政宗の言葉で少しばかり冷静になった小十郎が目を離した隙に盗賊たちは一目散に逃げ出した。追うそぶりを見せる小十郎を政宗が制す。

 

「あんな奴らのことよりも重要なことがあんだよ。とりあえず話を聞きな・・・」

 

落ち着きを取り戻した小十郎に政宗はこれまでのことを話出す、ここが大昔の大陸であること、後ろで様子を窺っている少女たちが三国志の英傑であることを。話を聞いていた小十郎はこれまで見たことが無いくらい呆けた顔になり、政宗の笑いを誘った。

 

「つまり、こういうことですな、我々はあの光によって過去の大陸に飛ばされた。さらに目の前の三人がかの三国の英傑であると」

 

「そういうこった。こんなとこに飛ばされた原因はあの光以外ありえねぇし、こいつらとの話で嘘じゃねぇことも分かったからな・・・」

 

「・・・なんとも、非現実的な話ですな」

 

己たちの身に起きた状況を理解し、二人はため息を吐く、そんな彼らに趙雲が告げる。

 

「伊達殿も探し人に会えたようですし、我々はそろそろ退散しようと思う。この道を真っ直ぐに行けば近くの街に出ることが出来るでしょう」

 

「あぁ、すまねぇな色々と助かったぜ」

 

「政宗様をお助け頂いたご恩、この小十郎、決して忘れないぞ」

 

「そんなに畏まらずとも良いのですよ〜、ほら稟ちゃんいきますよ〜」

 

「あっ、あぁ、それでは伊達殿、かっ片倉殿」

 

「おう!、Good ruck」

 

趙雲と程立はなぜかカチコチに固まっていた戯志才を引きずりながら去っていった。縁があればまたどこかであうだろう。

 

三人と別れ半刻ほど過ぎただろうか、二人の前から砂煙を舞い上げながら騎馬武者の大群が現れ二人を取り囲む、

 

「政宗様、用心召されよ」

 

「やれやれ、今度はこれかよ今日は厄日ってやつだな・・・」

 

盗賊の次は騎馬武者の群れに囲まれた。厄介ごとが次から次へとやってくるこの世界に政宗は少しばかり不安を覚えるのだった。

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

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第2話はこんな感じになりました。ちょっと回りくどいというかどうでもいいこと書き過ぎですかね。勝手が未だつかめませんが続けていきたいと思います。

 

それでは、ここまで読んでくださった方には最大級の感謝を!! 

 

 

 

 

説明
はい、第二話です。このような駄文を幾人かの人たちが読んでくれていたことに感動しました。
今回はちゃんと恋姫キャラが出ます。
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タグ
クロスオーバー 恋姫†無双 戦国BASARA 

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