石×膨大な魔力=黄泉返り
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「何!?姉様の墓と冥琳の墓が荒らされた!?」

 

「はい、そのような報告がありました」

 

政務をしていた孫権…蓮華に思春がまだ新しい情報を報告する

天下二分の計を為した後、平穏が訪れ北郷一刀との子を産んで以来の事件に目を大きく広げている

 

「現在、兵達に墓荒らしを探させています。そう時間は経っていないのですぐに見つかるかと」

 

「そう……でも許せない…!姉様と冥琳の墓を荒らすなんて!」

 

「蓮華!」

 

蓮華が墓荒らしに怒りを露にしていた時、扉から天の御使い…北郷一刀がやってくる

息切れしているところを見ると、そうとう急いで来たのだろう

 

「一刀!今、忙し…」

 

「そうじゃないんだって!捕まったんだよ、墓荒らしが!!」

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玉座の間…ここには呉の重鎮と王である蓮華、そして縄に縛られている冴えない男がいる

その男の後ろには、逃げられないように二人の兵士が立っている

 

「…!まず、貴様は何者だ?」

 

「へ、へぇ…町の町人です…」

 

蓮華は今にも斬りかかりそうな顔つきで男を睨み付ける

蓮華だけではない、一刀も含めた全員もそう言った顔をしている

 

「町人ごときが、何用で先代の王と軍師の墓を荒らした!!ことと次第によっては斬る!!」

 

「へぇ…ちょいとばかし必要なものだったので」

 

「必要…ですかぁ〜?」

 

「変なことに使うわけではないのですよね?」

 

「も、もちろんでさぁ…」

 

「ならその必要なことと言うのはなんなのですか?変なことではないのなら言える筈です」

 

「へぇ、この縄をほどいてくれれば説明できるんですがねぇ…」

 

町人の言葉に、血の気の多い思春と祭は自らの武器を構える

大方ふざけるなとでも言いたいのだろう

 

「…何をするかはどうとして、捕まるとは間抜けじゃったのう…」

 

「へぇ…それには理由があるんでさぁ…」

 

「ほう…?首を跳ねられにきた訳ではないと?」

 

「へぇ…こうでもしないと…」

 

途中で言葉を区切り、顔を見上げる町人

その表情は……笑っていた

 

 

「――その剣に近づけないからね」

 

「なん…」

 

「「ぐああ!!」」

 

「「「!?」」」

 

 

何だと、と言いきる前に、玉座の扉を警備していた兵が扉を開けながら飛んでくる

苦しそうにもがいているが、命に別状はなさそうだ

 

「何事じゃ!?」

 

「し、侵入者…です…」

 

「黒い髪の…女…」

 

黒い髪の女とだけ言うと、兵士は気絶する

そして、壊れた扉には人影がある

 

「ふう……戦闘はあまり得意じゃないんだけど…仕方ないわね…」

 

「もー!遅いって、司馬懿!俺周りの殺気でビクビクしてたんだからな!」

 

司馬懿、と町人に呼ばれた女性は兵が言った通り黒い髪をして、それと同じ位の黒い露出の高い服を着ていた

さらに手に鉄扇を持っている所を見ると、それで兵の相手をしたようだ

 

「貴様!この男の仲間か!」

 

「そうよ。でも勘違いしないでちょうだい。その男の姿は仮のものよ」

 

「そーゆーこと」

 

「!?いつの間に縄を…」

 

男はいつの間にか縄を外し、左指に指輪をはめる

そして腰につけてあった赤い手形のベルトにかざした

 

〈シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!〉

 

「変身」

 

〈チェンジ!ナウ!〉

 

『よっし、そんじゃあ…』

 

「姿が変わった!?」

 

「どこの特撮ヒーローだよ…」

 

『――助っ人君、よろしく〜〜』

 

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男は白い魔法使いに変身し、自身の武器…ハーメルケインで玉座の床に何かを刻み出す

律儀にメモ帳を見て

そして、助っ人と言った途端、――蓮華の腰にさげていた南海覇王が黒い何かに捕まれて何処かに移動する

 

「!?何!?」

 

「南海覇王が!!」

 

南海覇王が向かった先はなんと天井

さらに、そこには何者かが、天井に立って(・・・)いた

 

その姿はシンプルに黒い外套で体全体を覆っている

顔もフードのようなものを被っているので分からない

そして驚くべきなのは、天井に立っているのに外套が垂れていないのだ

 

その人物は黒い何かで引っ張ってきた南海覇王を手に持ち、天井から落ちる

だが、途中で移動速度が遅まり、足を地面につけて着地した

 

『……………』

 

「貴様!南海覇王を返せ!」

 

『……………』

 

「聞いているのか!返せと…」

 

『……すまないな、後で返す』

 

「「「!?」」」

 

何も言わない男に思春は吠えるが、男の声だと思われるものが後ろから聞こえてくる

その声は何かを通しているかのように、くぐもって聞こえた

その事には全員が驚き、その声の出た場所と男のいた場所を交互に見る

 

「なっ…!?…せやぁ!」

 

『…………』

 

「うっそぉ!?いつの間にここに来たの!?」

 

「ちょっと、早く済ませたいんだから早く来てよ」

 

そう、男はいつの間にか呉の重鎮達の近くに来ていたのだ

思春は戸惑いながらも攻撃を仕掛けるが簡単にかわされる

さらに、司馬懿が呼ぶとそこへまたいつの間にか移動していた

 

『ふぃ〜…。で、後は準備だけなんだよね?』

 

『ああ、肉体の一部と魂と共にしてきた武器…そして』

 

「XXXが作った…この石を使うだけってこと?」

 

そう言って司馬懿が取り出したのは、腐臭のする壺と怪しく光る石

男は白い魔法使いが書いた魔方陣の中心に南海覇王を刺し、近くに壺を置く

祭達は何をしでかすか分からない男達を攻撃しようとするが、司馬懿が何かの術を発動

次の瞬間、祭達の目の前に白装束の人形が現れた

 

「邪魔しないで下さる?」

 

「くっ…!」

 

『じゃあ……やるぞ』

 

白装束達が祭達を妨害している間、男は両手を合わせる

そして、その手を魔方陣に押し当てた

するとどうだろうか……魔方陣は石と同じ色に輝きだし、石もまるで鼓動のような音を出す

次の瞬間……玉座から目映い光が放たれた

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「――ちょっと、何なの!?急に目の前がぴかーって!」

 

「う、…ここは…?」

 

光が収まり、魔方陣から聞こえてきたのは二人の女性の声

それは蓮華達にとって二度と聞けないと思っていた声

 

「姉…様…?」

 

「冥琳様!?」

 

「雪蓮!?冥琳!?」

 

「策殿!?冥琳!?」

 

蓮華と一刀、そして他の人物も驚きを隠せず、叫ぶ

それもそうだ、目の前の人物達は…死んでいる筈なのだから

 

『はい、じゃあお仕事修了〜』

 

「おさらばしますか」

 

『…………この剣は返す』

 

〈テレポート!ナウ!〉

 

そう言って白い魔法使い達は瞬く間に姿を消した

一体何者だったのか……そう思っているが、今は雪蓮達のもとへ急いだ

 

「姉様…本当に雪蓮姉様なのですか…?」

 

「なにいってるのよ?そうに決まってるじゃない。何なら蓮華のおねしょした回数でも言ってあげようかしら?」

 

「雪蓮……悪ふざけもほどほどにしろ」

 

「あははは♪冗談よ、じょーだん♪」

 

「グスッ…やっぱり雪蓮姉様だ…」

 

「原因はどうであれ、甦ったと言うことじゃろうか…」

 

「だとすれば、甘術達になんと説明したら…」

 

「あら?あなたたち一刀の子供産んだの?」

 

「はい……もう何年も前に…」

 

「そうか……雪蓮、私たちも北郷の子を生んでみるか?」

 

「あ、それいいかも!どうせ一回死んでるんだから、呉での役職ないし〜♪」

 

「「ええ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もない、暗い空間

そこには白い魔法使い、司馬懿…そして男がいた

 

『いやーそれにしても、俺からあの石が出てくるなんてな〜』

 

「正確にはあなたが変身した、怪物の姿からね」

 

『俺の知る白い魔法使いはカーバンクルにもなれるからな。まあ、できるかどうかは微妙だったけど』

 

『でもさ、あれで人を生き返らすのに膨大な魔力が必要なんでしょ?それを二人分も注いでぴんぴんしてるなんてすごいねー』

 

黒い空間で全身黒い格好でいる男は先程とは違い、少し口調を崩している

これが素なのだろうか

そうしている内に、その空間に四人の男……二人の男と化け物二匹が表れる

 

「「誰が、古今東西の化け物に出てくる身の毛のよだつような筋肉達磨ですってぇん(じゃとぉ)!?」」

 

「何を言っているんだこいつらは…?」

 

「知らぬが仏、と言うものですよ、左慈」

 

何かに向かって叫ぶ筋肉達磨は貂蝉と卑弥呼

そんな二匹に首を傾げる左慈にあまり関わるな、という顔をした于吉

彼らは別の世界…外史に行っていたようだ

 

『おっす、貂蝉〜♪相変わらず身の毛のよだつ見た目してんな♪』

 

「も〜〜♪そんなに褒められると…イヤン♪」

 

「まあ、褒めてないんですがね…」

 

「所でそっちの用は終わったようじゃのう」

 

「ええ。やはり呉の原点基準で孫策と周瑜を生き返らせたことで、他の呉の外史もある程度可能性を産み出しているわね」

 

「と、なると…あと残っている厄介な外史は…」

 

『――あの外史だけだな』

 

男は“あの外史”と言って声のトーンを落とす

まるで何かに責任を感じているような……そんな声で

 

「あなたが気にやむことはありませんよ。そもそも…原因は私の不注意に…」

 

「これ!お主が気にしてどうすんじゃ?」

 

「そうねぇん…たぶん、于吉ちゃんが原因じゃないとしても、あの外史は狂うだけだったのよ」

 

「ふん……壊してしまえばいいものを…」

 

「それはいけないわ。外史の破壊は役割の中でしか認められない。私達の決まりでしょう?」

 

『なら…あの外史には俺が行こう』

 

『あ、それいいねー。君、俺達の役割ガン無視だし』

 

男が自分が行くと言い出し、はしゃぐ白い魔法使い

役割を無視とはどういうことだろうか…

「…確かにあなたは役割を持たない部外者。でも、ここまでする義理はないはずよ」

 

『個人的にあの外史は自分でケジメつけたいとは思ってたんだ。立つ鳥跡を濁さずって言うだろ?』

 

「まあ、それはいいとして。本当にいいのかしらん?もし…」

 

『大丈夫だ。お前の思っていることは起きないよ』

 

「では、もしもの為にと言っていたあの行動をすると?」

 

「お前だけでは事足りない気がするがな」

 

「左慈…心配なら素直に…グハッ!?」

 

『おー、よくとんだー』

 

左慈に殴り飛ばされた于吉を放っておき、男は白い魔法使い達から少し離れると体から緑色の電流を走らせる

 

『もしもの時は連絡はする。もっとも、そうならないようにするがな』

 

そして、次の瞬間には男の姿は暗い空間から消えて無くなった

それを確認した白い魔法使いはふぅ…とため息をつく

 

『…あれ、絶対連絡しない気だよ』

 

「仕方なかろう。あやつは長年一人で戦ってきたと言っていたからのう」

 

「人に頼るのを拒んでいる…と言うことか?」

 

「そうねぇ…そんな気もしなくはないんだけど…」

 

「はいはい、お喋りは終わりよ。今別の外史に行っている連中から応援要請が来たわ」

 

「あたた…、改善すべき外史は後少し何ですがねぇ…」

 

于吉が顎を抑えながら呟くと、黒い空間から白い魔法使い達は消えて無くなった

もうすでに別の外史に行ったのだろう

 

 

 

 

これは始まりではない

 

記録されている部分と部分の間の空白

 

誰も気にしない、余白の物語

 

 

そして始まる、似ているようでそうではない

 

安定しているようで不安定な外史に

 

――“魔の神”は、再び(・・)現れる

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はい、今回は呉ルートアフターの話です

ゲームの中で味方サイドの死人が出たから、甦らせました

まあ、石については仮面ライダーウィザードの最後の部分を観ていた人なら何なのか解りますね

 

後半部分は管理者+αトーク

いやー、恋姫式以来ですね、怪物書いたの

後何気に初登場の否定派二人

左慈はツンデレでいいと思うんだ…!

 

と言う訳で、次回はとうとう長編開始です

と言っても恋姫式挟むかもしれないし、内容自体プロローグ的な物なんであんまり長くはないんですけど

後、まだ借りキャラについての返信来てないのでやっぱオリキャラにしようかな…とか思っている自分がいる

まあ、それはおいといて…長編には私と一刀でのあとがきトークもあるんでぜひ見てくださいね!

 

ではでは

説明
タイトル適当です
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コメント
ゴーレムさん 真紅…あんた、まさか…(XXX)
nakuさん 長編小説なら前半と後半がシリアスで中盤ギャグ&バトルにするつもりっす(XXX)
真紅「よかったわね蓮華」(ゴーレム参式)
アーマイルさん まあ、出てこなさそうですけどね(XXX)
華琳はこの外史には出てこないと思う(アーマイル)
アーマイルさん それやるとどっかの覇王様がやって来そうな…まあ、やるけど(XXX)
じゃあついでに男装もさせますか?(アーマイル)
アーマイルさん それ…チョーイイネ!サイコー!(XXX)
ある本に書いてあった通りに雪蓮と冥琳をメイドにでも、(アーマイル)
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