恋姫婆娑羅
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「独眼ルー語」

 

 

 

 

 

 

 

「おい、華琳、頼まれた書類持ってきたぜ」

 

「あら、随分早かったわね・・・流石は元国主さまと言ったところかしら?」

 

政宗が持ってきたのは、つい昨日に華琳に頼まれた街の治安維持の向上に関する書類だ。三日の猶予を貰ってはいたが、政宗にとってこんな事は朝飯前である。さっさと終わらせて華琳に渡す。

 

「当たり前だろ・・・独眼竜は伊達じゃねぇのさ、You see?」

 

「・・・・そうね、なるほど・・・。分かりました。この案採用させてもらうわ」

 

書類を真剣な目で読み込んでいた華琳だったが、非の打ちどころの無い計画に満足そうな顔をする。

 

「本当にNo problemだったのか?後から文句言われても知らねぇからな?」

 

「何よ・・・。疑り深いわね。いつも言ってるでしょ?私に二言は無いのよ」

 

素直に受け入れる華琳を政宗は疑う、そんな彼にむくれる華琳

 

(私って、そんなに素直じゃないかしら?)

 

自分の性格を見つめ直す華琳を尻目に、政宗は伸びをしながら執務室から出て行こうとする。

 

「Piece of cake 楽な仕事だったぜ・・・」

 

「待ちなさい、政宗、あなたに話があります」

 

「Ah?」

 

さっさと帰りたい政宗だったが、用事があるなら仕方ないとその場で止まる。

 

「でっ?何の話なんだ?」

 

「それなんだけど・・・・」

 

華琳の話は単純だった。政宗の英語を禁止するという。理由は様々あるらしいが一番大きいのは華琳が分からないからというものだった。

 

「華琳、てめぇッ!俺からIdentityを奪う気かッ!?」

 

凄む政宗を歯牙にも掛けず、華琳が言う。

 

「別に良いじゃない・・・無ければ無いで、困らないでしょ?それに愛伝帝邸が、すでに分からないのだけど・・・」

 

「うぐ・・・だったら俺が教えてやるよ!お前も分かるようになれば・・・」

 

藁にも縋る勢いで政宗は提案するが現実は非情であった。

 

「あら・・・ごめんなさい?私は為政者として多忙の身・・・あなた一人のために時間を割いていられないの・・・分かるでしょ?あなたも国主だったのだから・・・」

 

勝った・・・華琳は確信した。ここ最近は政宗の破天荒な行動にしてやられているばかりであった。今日ぐらいは私に勝ちを譲っても良いでしょうと。心の中で思い、フフンと鼻を鳴らす。

 

「それでは、私は、い・そ・が・し・い・から、そろそろ退散してもらえるかしら?」

 

 

もはや、言い返すことの出来ない政宗は最後の足掻きと言わんばかりに、小さな声で呟く。

 

「全く、この国の王様は、背も小さけりゃ、胸も小さい。その上、知らねぇ言語を覚えるための頭の容量も小せぇらしいな・・・俺なんかこの国の文字、三日で習得したってのに・・・」

 

ぶつぶつ文句を言いながら退出しようとする政宗の言葉が華琳の耳に響く・・・

 

「・・・待ちなさい・・政宗・・」

 

「ッ!!いい加減にしろ!?話は終わったんじゃ・・・?」

 

振り返り怒鳴る政宗の目に映ったのは、ふるふると体を小刻みに震わす華琳の姿、表情は俯いているため、窺い知れないが、確実に怒っていることは分かる。

 

「・・・私が・・・小さい・・・?この大陸に覇を唱えようと言う・・・私が・・・」

 

「お、おい・・・華琳さんよ・・・?」

 

華琳から発せられる覇気に怯む政宗・・・

 

(な、なんだ・・・?あの一騎打ちの時より、凄くねぇか!?)

 

唖然をする政宗にゆらりゆらりと近づく華琳、政宗は何故か動かない自分の身体を呪う。そして華琳の手が政宗の胸倉を掴むと一気に捲し立てた」

 

「上等よ!!この挑戦・・・この曹孟徳、受けて立ってやろうじゃないッ!!例え武ではあなたに劣ろうとも、智では負けないわ・・・・ッ!! 行くわよ、独眼竜ッ!!」

 

「・・・お手柔らかに頼むぜ・・・・」

 

政宗の言葉を挑戦状と受け取った華琳は政宗を引きずり自室に閉じこもると、怒涛のように勉強し始めたのであった。

 

 

 

 

 

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三日後・・・突然部屋に閉じこもり、扉には入ってきたら斬刑に処すと書かれた張り紙。春蘭は何事かと、ただ、おろおろとし、秋蘭はそんな姉を宥めつつも溜まっていく書類を黙々と片づける。桂花も鬱陶しそうに春蘭を見ながら仕事の手は休めない。

 

「か、華琳様は一体どうされたのだ・・・?部屋からは何やら珍妙な声が聞こえるし、伊達の声も・・・・って、まさかッ!!伊達が華琳様を手籠めに・・・ッ!?」

 

「ちょっとッ!!バカなこと言わないで・・・ッ、華琳様があんな眼帯男に汚されるなんて、有り得ないわッ!!」

 

「お前たち・・・少し落ち着かないか・・・。華琳様には華琳様のお考えがあるのだ、今は黙って見守ろうではないか・・・なぁ片倉?」

 

華琳を心配するあまり思考が思わぬ方向に飛んでいく二人を諌める秋蘭が、隣で書類を片づけている小十郎に声を掛ける。

 

「秋蘭の言う通りだ・・・お前らは華琳に対して過保護が過ぎる・・・。それに政宗様はそんな男じゃねぇから安心しろ・・」

 

話しかけられた小十郎も冷静になれと諭す。だが、どうやら二人には火に油だったようだ。ますますヒートアップする。これには秋蘭も小十郎もため息を付くしかなかった。

 

 

 

その時である。執務室の扉が勢い良く開かれた。敵襲かと身構える四人の目に華琳の姿が映る。

 

「「か、華琳様ッ!?無事だったんですねぇ〜!!」」

 

駆け寄る春蘭と桂花に華琳がくつくつと笑う、なにやら様子がおかしい。

 

「・・・No problemよ!・・私のCuteな子猫ちゃんたち」

 

その言葉に駆け寄っていた二人が固まる。

 

「か、華琳様・・・?」

 

「い、今・・・、なんと・・・?」

 

華琳の口から有り得ない言葉が紡がれたような気がした・・・いいやッ!!気のせいだと二人は華琳を確認する。

 

「ふふ・・・何をそんなに驚いているの・・?春蘭、桂花。Evolutionした私がそんなに眩しいのかしら・・?」

 

春蘭と桂花は、魚のようにパクパクと口を動かすが言葉が出ない・・・。そんな二人を尻目に華琳は流暢な英語を次々と話していく。

 

「・・・片倉・・・これは・・・?」

 

「ようやく話が見えて来たぜ・・・」

 

冷静な後ろの二人は大体の状況を悟った。またいつものアレだと・・・・・。華琳と政宗がまた意地の張り合いでもしたのだろうと。

 

(まぁ・・・あのように無邪気な華琳様を見れたのだから良いとしよう・・)

 

(政宗様の負けず嫌いにも困ったものだ・・・)

 

そこに華琳の後ろから件の政宗が現れた。というより政宗だったと思われる物体だ。思わず小十郎が悲鳴を上げる。

 

「政宗様ッ!?いかがなさったのです!?」

 

小十郎に抱えられ政宗が呟く。

 

「女って怖ぇなぁ・・・。なぁ・・小十郎・・俺は・・誇れるか・・?」

 

「ま、政宗様ァーーーーッ!!!」

 

力尽きる政宗に、叫ぶ小十郎。その隣では華琳が高笑いしているのであった・・・

 

ちなみに介抱を申し出た、季衣と元親の作った、海賊お宝・許緒粥を食べた政宗は二週間の間、目を覚ますことは無かったと言う・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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今回は拠点話だったので少しハジケテみました。最近は少しづつですがコメントも頂けるようになり嬉しい気持ちで一杯です。

 

それにしても海外版の筆頭は六爪くらいしかアイデンティティーが無いような・・・言い過ぎですかね?

 

次回も、もしかしたら拠点話になるかと思いますのでよろしくどうぞ

 

それでは、ここまで読んでくださった方には最大級の感謝を・・・

 

 

 

 

説明
皆さんの温かいコメントで元気100倍のKGです。

今回は拠点話になります。真面目な話でもないのでどうぞ気軽にご覧ください。
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コメント
M.N.F. さん 初コメント感謝です 恐らく華琳もこれから少しだけ使うと思いますが・・・今回は寝不足やら筆頭への対抗意識やらで我を忘れているので・・ww(KG)
naku さん  初コメントありがとうございます! 一度は皆思うと・・・。ただ筆頭がルー語使うと、そこはかとなくイケメン臭がするので不思議ですww(KG)
劉邦柾棟さん コメありがとうございます。 今回の筆頭には少しいじられ役というか・・・・そんな役を演じてもらいました。色々、不憫な感じになりましたがww(KG)
以降の華琳は英語交じりで話すようになるのだろうか・・・(M.N.F.)
寧ろ、季衣と「ティクビ(元親)」が政宗に『トドメ』を刺したな。(劉邦柾棟)
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