バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第三十七話 |
「はぁ・・・・・どうしよう・・・・・困ったわ。」
木下優子は頭を抱えていた。今日の放課後、担任の高橋女子から明日学園のPR撮影のためAクラス全体で学園校歌を歌うことが決定された。優子の問題はそこにあった。優子自身が自覚するほどの音痴であることが何よりの問題である。
学園では優等生を演じている優子にとってここで醜態をさらすのは優子のプライドが許さなかった。それをどう解決するかどうかを考えながら家のリビングで考えていると丁度秀吉が帰ってきた。
「ただいまなのじゃ、姉上。」
「お帰りなさい、秀吉。」
「どうしたのじゃ?そんなに考え込んで?」
「学園のPRのために歌わないといけなくなったのよ。」
「なんと!姉上はどうするつもりなのじゃ?」
「そこなのよ!どうしたらいいのかし・・・・・・」
優子は秀吉をじっと見る。
「ど、どうしたのじゃ?」
「あんたとアタシってホント良く似ているわよね。」
「まあ二卵性だからのう・・・・まさか姉上!」
「そうよ。あんた私を演じなさい。歌うときだけ。」
「それは無理な話じゃ。明日は補修があるから抜けられないのじゃ。」
「それってでないといけないものなの?」
「そうじゃ。」
「なら仕方ないわ。朝から私を演じなさい。」
「う、うむ。わかったのじゃ。」
「それと!家の私じゃなくて学園での私を演じなさいよ。」
「わ、わかっているのじゃ。」
「間違っても私の修道の本とかをもらすんじゃないわ。もししたら・・・・」
優子はそう言いながら指をボキボキ鳴らす。
「わ、わかっているのじゃ!あっ!」
「どうしたのよ?」
「一つ大事なことを言うのを忘れていたのじゃ。わしの席のことなんじゃがの。」
「どこなのよ?」
「鋼牙の右隣なのじゃ。」
「っ!!!」
翌日の文月学園。秀吉に男装した優子はFクラスの前に立っていた。
「秀吉から聞いていたけど全く新しく作られているわ。」
鋼牙のおかげでFクラスは他の教室には劣るものの和風漂う新鮮な教室になっていた。流石に腐った床などの教室は教育委員会の問題になるため改善したのは言うまでも無い。
優子がFクラスに入ろうとしたときであった。突如襖を破って須川がFクラスから走り去っていった。その刹那、黒いローブを着たFFF団が武器を持ってFクラスから出てきた。
「奴を逃がすな!奴はもはや同士ではない!!反逆者だ!!!」
『反逆者には死を!!!!』
そう言うとFFF団は須川を追いかけにいった。優子はFクラスに入るとそこには武器の手入れをしているFFF団員の中、何食わぬ顔で黙々とプリントを片付けていっている鋼牙の姿があった。
「ん!秀吉か。遅かったな。」
「う、うむ。すまないの、じゃ。」
「まあ今回はプリントだったからよかったもののもし西村先生の直接補習だったら怒られていたぞ。」
「そ、そうじゃな。気をつけるのじゃ。」
「まあそれより今日の補習の課題はこのプリントだ。他のやつらの分ももうやったから後はこれを西村先生に出せば終わりだ。」
「み、皆分もやったの!」
「ん?今変な喋り方をしなかったか?」
「き、気のせいなのじゃ。」
「まあいいか。結構苦労した。」
「大変だったのじゃな。」
「ああ――――――――」
鋼牙はグランドの方を見てたそがれる。」
「――――あいつらなりの解答を考えるのを。」
「そっち!」
「ああ。それより今日はAクラスで学園PR撮影が行われていたな。」
「そ、そうじゃな。」
「少し様子を見に行くか。」
「ヴェ!」
優子は驚く。
「どうした秀吉、そんな声を出して?」
「い、いや、鋼牙の口からそんな言葉が出るとは思わなかったのからの。」
「そんなに変か?まあ仕方ないか。」
鋼牙はそう言うと立ち上がり、プリントを持って教室を出て行った。
「あ、ま、待って!じゃなかった待つのじゃ鋼牙よ!」
優子は鋼牙の後を追いかけた。
「失礼します。」
鋼牙は職員室の扉をノックし職員室に入ると西村先生が鋼牙に声を掛けてきた。
「おお鋼牙か。それに木下も。」
「こ、こんにちわなのじゃ。西村教論。」
「他の奴らはなにやら怪しい服装で須川を追いかけていると耳にしたのだが・・・・・・」
「それは間違っていません。」
「はぁ・・・・・・・そうか。あいつらは後で特別補習をしなければならないな。」
「お疲れ様です。」
鋼牙は西村先生に同情する。
「それより学園長がPRに試召戦争の映像を使うことは聞いているか?」
「いいえ。どうしてですか?」
「実は主に使われる映像が冴島の召喚獣が戦っている映像なんだ。」
「なるほど。格好のいいところだけを編集して注目と関心を集めると。」
「まあそういうことだな。あと涼邑との奈落のまでの戦いの映像も使うそうだぞ。」
「・・・・・・誰も信じようとは思わない・・・・のじゃ。」
「ははは、そうだな。ではご苦労だった。」
「「失礼します。」」
鋼牙と優子は職員室を出ると鋼牙はAクラスのほうへと足を進める。優子は鋼牙を追いかける。
鋼牙はAクラスが学園の校歌を歌っているところを陰で見ていた。
「皆、一所懸命に歌っているな。」
「それを言うなら一生懸命ではないのかの?」
「一生掛けてそれを成し遂げるのは人間には不可能だ。一つのことに懸命になることは簡単だがな。」
「そ、そうなのか・・・・」
Aクラスの生徒達と秀吉が歌っている校歌はとてもいいものだった。優子はそれに少しばかり嫉妬していた。才能のある弟に。
「知っているか。」
鋼牙がそう口を開いた瞬間、優子は疑問符を浮かべた。
「音痴は練習すれば良くなるそうだぞ、優子。」
「っ!!」
「あそこで歌っている秀吉の姿を見てわかった。身のこなしが秀吉らしい方をしている。」
「そ、そうなんだ・・・・・・」
「まあ大方見栄を張って秀吉に代わってもらおうとしたんだろう。」
「うぐっ!」
「図星か。いくら仮面を被っていても見えるものは見えるものだ。秀吉は学力が足りない分を今演劇と両立させながら頑張っている。苦手だと知っていてな。」
「・・・・・・」
「貴様も陰で努力してきたのなら、してみてはどうだ?」
「・・・・・・・そうね。でもまさか秀吉に教えられるなんて・・・・・・」
「ありえないと思っていた、か?」
「ええ。」
優子は鋼牙に笑みを見せながらそう言った。
木下姉弟家のリビング
「秀吉、今日はありがとう。」
「いいのじゃ。姉上にはいつも勉強を教えてもらっているからの。」
「それでちょっとお願いがあるんだけど・・・・・・」
「なんじゃ?」
「その・・・・・発声を教えてくれない?音痴を直したくて。」
「なんと!」
「そ、そんなに変かしら?」
「い、いや。まさかそのような言葉が姉上の口から出るとは思わなかったのじゃ。」
「ま、まあね。それと秀吉。」
「なんじゃ?」
「鋼牙君にバレてたわ。」
「なんと!」
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ダレニダッテデキナイコトヤニガテナコトノヒトツハアル。 「入れ替わり」 サテ、ダレガドウカワッテルンダ? |
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