超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編 |
「さぁ、お前の知っていること全て話してもらうぞ空」
「えぇー……」
机に肘杖をして、外を見ていた空に俺は話しかけた。
空は面倒くさそうにそれに答える。ルウィーで起きている謎の誘拐事件をこいつは最初から犯人を知っていたのだ。そしてそれを一緒に行動していた俺達に話さず、勝手に離れてる。
「だから僕は」
「仲間じゃなくても、協力者と自分で言っていたなら少しぐらいは情報を開示してほしいわね」
むむむとアイエフのツッコミに口を尖らせた。
因みに空曰く峰打ちらしくネプテューヌ達とあれほど熾烈な戦いをしたにも関わらず傷一つなく、直ぐに目を覚ました。銃弾で峰打ちとか、訳が分からないが空だから問題ないだろう。
「私も教えてほしいな。空ちゃんのことなんにもしらないんだもん。今の所は対象年齢を無視した過激な口調と、絵に描いたようなチート者だね。あと物凄く料理が上手い!」
「いつも私達が困っている時にいつの間にそこに居て、助けてくれてくれるです。私達が頼りないかもしれないけど、少しぐらいなら役に立てると思うです!」
『破壊神、お前がこっちに戻ってきたのも意味があるだろう?だからとっとと吐けやゴラァ』
最後は最早脅迫になっている。デペアはやっぱり空が大っ嫌いだとネプテューヌ達と顔を合わせて苦笑する。
「デペアから聞いたけど、お前は犯人に心当たりがあって、この事件のことも分かっているんだろう?お前からすれば、俺達は弱くて頼りないかもしれないが、俺達に出来ることなら頼んでほしい」
「う、うぅ……ん……」
困ったように表情を歪ませて、頬を掻き始めた。
女神を圧倒して、そして俺達が束になってもなんなく遊ぶ空の実力からすれば、頼りないかもしれない。
だけど、だからって、俺達はここで黙っていられるような奴らじゃない。
『こいつ等って今まで修羅場を潜ってきたし、覚悟の一つや二つはあるさ』
「……はぁ、分かった」
降参するように手を上げた。
空は、ため息を吐きながらコートの内側に手を突っ込んで取り出したのは新しいメモ帳だ。それを俺に渡してきたので、それを開く。同じく見ようとしたネプテューヌ達の顔が一気に接近してきて、甘い匂いに顔に熱が溜まるが、直ぐに振り払ってメモ帳を見えると、そこには少年少女、青年、老人等の写真が貼られていて、〇印と×印と何も書かれていない三つの種類に分かれていた。
「……これは」
「まさか、あれだよね暗殺者とか使う次のターゲットを記したメモ帳だよね…!」
「違うからね」
冷たく鋭い眼差しと声で即切り落とされた。
「プラネテューヌにいる従者を協力して、ラステイションとリーンボックスを巡って一通りは発見できた。〇が描かれている人はプラネテューヌで療治中」
「大丈夫なんですか?」
「命に別状ないよ。衰弱している人が多かったけど、暫くすれば従者の手で家族の元に返さす予定」
良かったと思う点、×が描かれた人がどんなことになっているのか、分かったしまった。
俺の深刻の顔に気が付いたのか、空は懐から小さなビンを取り出した。それには、髪の毛が入っていった。
「それにしか……回収できなかったのか?」
「……うん。酷い奴だとシュレッダーにぶち込まれたみたいな奴もあったから苦労したよ」
空の持っている小瓶に入っている髪、長さ的に女性のモノだろうか?空の言ったことを想わず想像してしまい気持ち悪くなって口を抑えた。ネプテューヌも察したのか、その口を抑えて数歩下がった。
「大丈夫?」
「……大丈夫」
小瓶を手に取り懐に隠した。吐き気を抑えながら、俺は空を真っ直ぐ見つめて口を開く。
「教えてくれ空、誘拐事件の真相を」
もう止まらない。既にこれは只の誘拐事件ではなくなってしまった。人が死んでいる。それも人の死に方じゃないような惨い殺され方をされていると分かってしまった。空はため息を吐いて、窓を見ながら語り始めた。
「ラステイションで君たちが戦ったハードブレイカーを覚えている?」
「アヴニールが作った物凄いロボットでしょ?女神さまと協力してようやく倒したよね」
「えぇ……それが、今回の事件にどう関与しているの?」
「FDVシステムって、知ってる?」
それにネプテューヌ達は頭を傾げた。そして俺は微かに声を震わせながら答えた。
「フォール・ダウン・ヴィーナスシステム…か?」
「正解」
おめでとう、とても言うように空は拍手を送ってきたが、全く嬉しくなかった。
そして知らないネプテューヌ達に空は顔を向けて口を開く。
「紅夜が言ったけど、フォール・ダウン・ヴィーナスは簡単に言って女神を弱体化させて自身を強化できるシステムだよ。それを造った奴がここの大陸に潜んでいて、ハードブレイカーとオマケにキラーマシンを量産しているのさ」
「なんですって!?」
アイエフが声を上げた。俺は驚愕を通り越して、口を呆然と空けた。
女神を弱体化させて、自身のスペックを向上させる恐怖のシステムに俺達はかなり追い詰められた。
あんなものが量産でも、させられたら最悪だ。数さえ揃えば、大陸そのものを支配することも可能かもしれない。
「僕が調べた情報だと、奴は女神を駆逐する気だ。ちょうどこの国には過激派ギルドがいるからね彼らと組めば隠れ蓑くらいは容易に用意できるだろうね」
「……ゲイムキャラを破壊したのは?」
「本丸を潰す前に保険を潰した…と解釈した方がいいね」
言葉を失った。恐らくこの事件の黒幕であるナイアーラトホテップ、一度は会ったことがある。
俺と言う存在がどのような者で、空とオリジナルである紅夜の間に何があったのか簡潔に教えてくれた人だ。確かにあの時は自分のことで頭が一杯だったが、あの人は俺の体にある((死霊魔境法|ネクロノミコン・ディザスター))を使う為に数々の人を使い潰してきたと言っていた。邪神と呼ばれる存在だったんだ。
「それじゃ、次のターゲットは女神ってことだよね!?こんなところにいていいの!?」
「君は足手まといだから行くな」
今にでも飛び出しそうなネプテューヌに空は冷たい声で止めた。
俺達は何も言えない。彼女が女神だと知っているから。
「記憶を無くしても、そろそろ自分がどんな存在か分かっているんじゃない?」
「…………」
「FDVシステムは女神にしか効果がない。それだけで十分すぎると思うんだけど」
不穏な空気が流れた。
どうネプテューヌに語りかけたらいいのか分からない。同じようにアイエフもコンパも懸命に言葉を選んでいるように焦っていた。
「ねぇ、私は人間じゃないんだね」
「普通の人間が変身できるわけがない。常識的に考えて」
「私はーーー女神なんだね。それも多分、プラネテューヌの女神……パープルハート」
「ネプ子!?あなた記憶が……」
「ううん。そういえば空ちゃんが暴走した時のこぅちゃんの攻撃から身を守ろうとしていた時にそう呼んでいたのを思い出したの」
首を振ってアイエフの言葉を否定した。そしてポツポツと語り始めた
「……今までの旅で、私が出来たことなんてないよ。後先考えず行動して、みんなに迷惑を掛けて、こぅちゃんには酷いことをして、そんな私が女神なんて、そんなのないよ」
「ネプテューヌ……」
「みんな私を気にして、黙ってくれたんだよね。ほら、私って本当にバカ。みんなに助けてもらってばっか」
目元に涙を貯めて、痛々しい笑みを浮かべるネプテューヌに俺は椅子から立ち上がって必殺のデコピンを決めた。ねぷっ!?と突然の痛みに襲われて、額を抑えて丸くなったネプテューヌ。俺はしゃがんでネプテューヌの頭をちょっと乱暴に撫でる。
「女神は全知全能じゃねぇ。失敗の一つや二つはする。大切なのはそれを受け入れることだ。自分を好きになれるのは自分だけ、自分を肯定できるのは自分だけ、自分の許せるのは自分だけだ」
「ネプ子が女神であろうと、あなたはネプ子よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「ねぷねぷがいたおかげで、旅をする決意が持てて、ここまで来れたです!ねぷねぷは私達の太陽です!!」
「……ありがとう、みんな」
ぎゅと俺のコートを握って涙で濡れた顔を隠すようにネプテューヌは胸元に顔を押し付けた。
コンパは右手を、アイエフは左手をネプテューヌの手と重ねた。
ネプテューヌも薄々気づいていたかもしれない。自身が女神であることを。
だけど、葛藤が合った。自分の力で、みんなを守れていることに自信がなくて、黙ってしまった。自分より遥かに強く、みんなを守り通した空に憧れたんだ。
「今日もそしてこれからも、俺にはお前が必要だ」
今度は優しくネプテューヌの頭を撫でた。
◇
………お、おぉ。
なんだか、紅夜達の周り甘ったるい空気が。
そして紅夜の発言が諸にプロポーズに聞こえるのは僕だけ?ここは適当に空中で花火を爆発させればいいのかな?それか大きい鐘の音を鳴らしたらいいのかな?
「あー、もう結婚してしまえ」
聞こえない音量で、ぼそっと呟いてしまった。
今日のコーヒーは無糖なのに絶対に甘く感じてしまうよ。空気になってしまった僕はこれから予定を考え始める。
とりあえずルウィーの本教会にトラップを設置して、そのあとギルド過激派を物理的に潰す。女神化しなくても十分だ。
紅夜達には誘拐事件の真の目的であった。ハードブレイカー並びにキラーマシン製造のための人員の救いだしてもらう形でいいよね?流石に量産がどこまで進んでいるか分からないがアンチ女神のアイツらが実戦に投入される前にどうにかしないと。
ホワイトハートは何にも分かっていないから、紅夜に頼んで説明してもらおうかな。これから順序を決めていると紅夜に呼ばれた。
「何かな?」
「…ありがとうな」
それは何に対してのお礼?ネプテューヌを追い詰めたことに対しての?
「あれたちを一歩進めてくお礼だよ」
「バカだね。神という存在は在り方が定められている。それも分かっていない奴に僕は現実を教えただけだよ」
「ははは、なるほどな」
む、なんか笑われた。どこに面白い要素があったんだろう。
「ネプテューヌ、言っておくよ。例え君が記憶を失っていても君は女神であることは変わりようのない事実だ。その責務と責任から背を向けることは許さないよ」
紅夜に抱き着いたネプテューヌにそういうと泣いた影響なのか、目を紅くしながら僕を見た。
なんともだらしない顔だ。それでも大陸を総べる女神の顔なのかと思ったが、その眼が真っ直ぐだった。
「頑張るよ。私、頑張るから…!」
その一言だけだった。……ま、今はそれでいいとしようか。
さて、とりあえルウィーの本教会に向かってーー………!!
『この魔力の反応……ちっ、破壊神!!』
「分かっているよ!」
転移魔法、それもかなり大規模な!ヤバイ……!!
「先手を打たれた!!」
窓から強引に開ける。
教会の頭上にはいくつも影が落ちていった。
◇
「ロムちゃん、ラムちゃん、お外になにか珍しいものでもあるの?」
「ろぼっと……」
「えっ?」
「ろぼっとが、いっぱい」
「あれは……ロムちゃんラムちゃん直ぐに行きますよ!」
「「??」」
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