英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 外伝〜偽りの楽土の崩壊〜前篇
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準備を終えたロイド達はタングラム丘陵にあるブースター地点に向かった。

 

〜タングラム丘陵・無線ブースター地点上空〜

 

「――――カメラの準備はOK!音声テストもバッチリです!」

「こちらもブースターの真上に来た。いつでも始められるぞ。」

ブリッジ内にいるフランとアッバスはそれぞれ報告し

「オッケーオッケー。議長、よろしいですね?」

グレイスは頷いた後マクダエル議長に尋ね

「ああ、始めてくれたまえ。」

艦長席に座っているマクダエル議長は頷いた。

「へへ、そんじゃあ始めるぜ。――――無線ブースターのより、導力ネットへのハッキング開始。」

そしてヨナは端末を操作し始めた。

「よっしゃ!通信機能を掌握したぜ!」

端末の操作を終えたヨナは口元に笑みを浮かべて報告し

「カメラ、切り替えます!」

「ええ、いいわよ!」

フランが端末を操作すると、グレイスの顔が画面端末に映った。

「―――皆さん、こんにちは。クロスベル通信社所属、グレイス・リン報道記者です。念のため言っておきますとクロスベル通信社は今回の件にまったく関知しておりません。わたくしの独断による報道ですのであしからずご了承ください。………さて、早速ですが、ある方を紹介したいと思います。”クロスベル自治州”代表、ヘンリー・マクダエル議長閣下です!」

グレイスが高々と言うと、画面端末にはマクダエル議長が映った。

「―――クロスベルの市民諸君、及びこの映像をご覧になっている全ての方々に申し上げる。”クロスベル自治州議会”議長、ヘンリー・マクダエルであります。」

マクダエル議長が話し始めたその頃、市内にあるさまざまな画面端末にマクダエル議長の姿が映り、その事に気付いた市民達は次々と集まって画面に注目した。

 

〜クロスベル市内〜

 

「皆さんもご存知の通り―――先日、前クロイス市長により『クロスベル独立国』の創立が宣言されました。国防軍という軍事組織も設立され、新たな体制に慣れつつある人もいるかとは思いますが………

 

――――ですが皆さん!今一度、考えて頂きたいのです!果たして我々は、この事態を真に”選択”したかということを!

 

―――無論、現状についての是非は人それぞれあるでしょう!ですが現政府は、真に民主的な手続きによっては成立していません!

 

自治州議員の多くが拘束され、私自身、監禁された状態で、クロスベルの独立は宣言されました!

 

この宣言が、議会の承認を経ずに個人の独断で行われたものである事は改めて指摘しておきたいと思います。

 

―――ならば独立の意志を問う、住民投票が根拠となるでしょうか?いいえ、かの住民投票は”決意表明”を行うかどうかを問うものでしかなかった筈です。

 

国防軍やクロスベル独立国………まして大統領制などの正当性に結び付くものでは決してありません!

 

そして、そうした手続きの正当性よりも何よりも………私が皆さんに問いたいのは他でもありません。果たしてこの状況は、今の体制は、私達の在り方は”正しい”のか?ただ―――それだけあります。

 

それを皆さんに共に考えて頂くきっかけとするためにも………――――自治州代表の一人として私はここ『クロスベル独立国』が無効である事を宣言いたします!」

 

「おお、言っちゃったよ!?」

画面端末に映るマクダエル議長の宣言を聞いたレイモンドは驚き

「で、でもこれで少しは動きやすくなります……!」

エマは明るい表情をし

「ああ………―――セルゲイさん、連中(あいつら)の協力でしょうか?」

ダドリーは静かな笑みを浮かべて頷いた後セルゲイに視線を向け

「クク………それ以外にはあり得ねぇだろ。さぁて――――忙しくなりそうだな。」

視線を向けられたセルゲイは口元に笑みを浮かべて頷いた。

 

「そしてそれと同時に………私は今回の件を自治州政府代表の一人として止められなかった責任を取る為に議長の座を降りると共に………クロスベルを真に栄えさせようと考えている方達に後を託す事にしました。―――ご紹介しましょう………皆様ご存知の”六銃士”にして通商会議にて二大国の思惑を見事打ち破ったヴァイスハイト局長とギュランドロス司令です!」

さらに画面端末に映るマクダエル議長が消えるとヴァイスとギュランドロスの顔が端末に映った。

「―――ご紹介に預かったヴァイスハイト・ツェリンダーだ。今はわけあってクロスベル市外に同志達と共に潜伏している。―――だが、隠れるのはもう終わりだ!」

「その証拠に俺達が率いる警備隊がベルガード門を制圧した!クロスベルの民達よ!もうすぐ暗君ディーターの支配から解放してやる!」

「暗君ディーターと魔女マリアベルッ!!”D∴G教団”を影から支援し、クロスベルを……いや、ゼムリア大陸を混乱させた貴様らの罪は重い!」

「俺達がクロスベル市を制圧したその時、テメェら2人とも纏めて処刑だ!せいぜい首を洗って待っていなっ!勿論、愚かなクロイス家に力を貸している屑共も纏めて処刑だっ!!例えば”風の剣聖”……いや、テメェなんぞに”剣聖”を名乗る資格はない!民達を苦しめる暗君を手助けするテメェは”剣魔”がお似合いだ!”剣魔”アリオスと”赤の戦鬼(オーガロッソ)”シグムント、そして”血染め(ブラッディ)のシャーリィ”!テメェらも当然処刑決定だ!」

「そしてクロスベルの民達よ!俺とギュランドロスがクロスベルの”王”となった時こそ、クロスベルは生まれ変わる!」

「ちなみに『独立国』とかしょぼい名前じゃないえぜぇ?新しく生まれ変わるクロスベルの名前……その国名は………」

 

「「クロスベル帝国!!」」

 

ヴァイスとギュランドロスが同時に叫ぶと画面にベルガード門にあるギュランドロス達が掲げた国旗と同じ国旗が映った!

「今の話を聞いて自治州如きが”帝国”を名乗る事に疑問を抱く者達も多いだろう。確かに今のままでは”帝国”を名乗るには程遠い。」

「んでもってこう思った奴等も当然いるだろう?どうやって土地や民を増やすつもりだとな?―――答えは簡単だ!今まで圧政を敷いていたエレボニアとカルバードに今までクロスベルを好き放題してくれた礼代わりに二大国に同時侵攻する!!」

「今の話を聞いて無謀と思う者達が多いだろう。だが、そこは安心してくれ。既にクロスベルが”帝国”を名乗った暁には我らが盟友リウイ――――いや、”メンフィル帝国”が同盟を組むことを承知している。これがその証拠だ!」

そしてヴァイスが叫ぶと画面端末にリウイが映り

「――――クロスベルの民達よ。メンフィル大使、リウイ・マーシルンだ。既に知っている者達もいると思うがクロスベルは我が愛妻イリーナの故郷でもある。今まで二大国に苦しめられていた妻の故郷に何か力になれないかと思い、我らメンフィルが懇意にしている商人組織―――”ラギール商会”を通して見守っていた。―――だが、それも終わりだ。混迷に満ちたゼムリア大陸に秩序による平和を訪れさせる為に………そして我が盟友ヴァイスハイトとギュランドロスと共に進む”覇道”の為に我等メンフィルも共に戦う戦友となる事をここで誓おう!」

リウイが”覇気”を纏って宣言した………!

 

 

説明
外伝〜偽りの楽土の崩壊〜前篇
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 マジでカッコいいですww Kyogo2012様 そういやそうでしたね………まあ、詳細については次回作でわかるでしょうけど(sorano)
かっこいいですね。マジで漢だな。エレボニアは、今は確か、テロリストに占拠されているはずだけど・・・・・。閃のラストの時期と被ってるからな・・・。(Kyogo2012)
漢4人による宣言・・・カッコイイですね!(本郷 刃)
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