太守一刀と猫耳軍師 2週目 第5話
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時刻は早朝。

 

先に考えていた桂花の寝起きを襲撃する計画を実行しに来ていた。

 

まぁ、大抵俺よか朝はやいから起こしに来る機会ってあんまりないんだけど、

 

たまたま早めに目が覚めてしまったので部屋をのぞきにきたらどうにも寝てるようだったので気配を消して侵入してみた。

 

「……」

 

まぁ、気づかれる事はなく、桂花は熟睡中。顔を覗きこんでも起きる気配は無し。

 

なんかドキドキするなぁ……。こー、何だかいけない気分になってしまう。

 

この子寝顔すごい可愛いし。

 

「朝だぞー」

 

「あと四半刻……」

 

疲れてるのか呼びかけても起きない。

 

そういえば桂花の寝顔見るのってかなり久しぶりだなぁ

 

「一刀……様……?」

 

あ、起きた。寝癖がついてたり、微妙に着崩れた寝間着と寝ぼけ眼をぐしぐしとこする仕草がまた可愛い

 

「桂花、おはよう」

 

しばらくぼーっとしていたが、見る間に顔が赤くなっていき……。

 

「ひああ!?」

 

と、情けない声をあげて布団を頭までかぶって隠れてしまった。

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「み、見ないで! 寝起きのこんなだらしない姿見ないでくださいいぃ」

 

「いやー、毎朝起こしてもらえる天泣が羨ましいっていってたからさ」

 

「い、言いましたけど、こ、こんなに恥ずかしいなんて思いもしませんでした……」

 

と、情けない声をあげる布団の固まり。頭まで布団をかぶったので見えてしまっている足をつつきたい衝動に駆られつつ。

 

やったら怒られそうだしやめておこう……。

 

「あ、あの、身支度するまで外に出ていていただけないでしょうかっ」

 

「はいはい」

 

外に出て扉を締めておそらく数分、桂花が部屋から出てきた。

 

……多分、猫耳フードをきっちりかぶってるのは寝癖をごまかすためと見た。

 

よほど寝顔を見られたのが恥ずかしかったのか、顔は真っ赤っ赤。

 

「次は天泣を起こさないとだなぁ……」

 

ため息を一つついて、天泣の部屋に向かう、桂花もなぜだか後ろをついてきた。

 

がちゃりと、気配を消す事もせずに無遠慮に天泣の部屋のドアを開ける。

 

「……寝てますね」

 

無防備に寝る天泣、俺と桂花が入ってきたのに微塵も気づく様子はない。

 

「ちょっと離れてて」

 

「はい……?」

 

言われるままに桂花が寝台から離れたのを見てから、俺はおもむろに足側に移動して。

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「起きろー!!」

 

叫びながら布団の角を掴み、ばっと一気に剥ぎ取った。

 

何で足側からかというと、横から行くと寝ぼけた天泣に殴られるから。

 

「………………」

 

むくりと起き上がって俺の方を半眼でじーっと見て。

 

パタリと倒れて寝直した。

 

「やっぱりこの程度じゃダメか……。」

 

「……普通ここまでやられたら起きるわよ」

 

よほど呆れたのか、桂花が素に戻ってしまっていた。

 

「この起こされ方で羨ましい?」

 

「……、一刀様にされるなら」

 

マジで!? いやいやいや、それはおかしい、絶対何かおかしい。

 

それはさておき、どうやって起こすかなぁ……。

 

「やっぱり、苦労してますね」

 

と、やってきたのは天梁。どうも近くにいて俺の叫びを聞いたらしい。

 

「こうするんですよ」

 

と、弓を取り出して天泣に向け、矢をつがえ……っておいおい!?

 

「!」

 

そこで天泣がバッと飛び起きると、寝台の横においてある大剣を手に取って迎え撃つ体勢に。

 

さすがは武人……

 

そして現状を確認するとまた眠そうな半眼に戻り。

 

「姉さんおはようー……」

 

「天泣、まず顔を洗ってきなさい」

 

「はーい……」

 

天梁の言葉に従うように、大きくあくびをしながらふらふらと部屋から出て行ってしまった。

 

「いつもこうなの?」

 

「ほうっておくとお昼まで寝てますから。今日も鍛錬やるんですか?」

 

「天泣が付き合ってくれるならやるつもりだけど」

 

「では、私と桂花ちゃんは一足先に朝食にいってきます」

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「むー……」

 

朝食を取りながら桂花ちゃんは不服そう。せっかく起こしてもらえたから、一緒に朝ごはんを食べたいとか考えてたのかな。

 

「ごめんなさい」

 

「え? 何で天梁が謝るのよ」

 

「天泣は、毎朝一刀様と勝負するのが楽しみみたいだから、邪魔したくなかったの」

 

「別に邪魔なんてしないわよ? 見てようかとは思ったけど」

 

「桂花ちゃんは、武官じゃないから分からないかな。

 

そういう他人の目とか、どうしても意識しちゃうから居るだけでも邪魔になっちゃうものなの。

 

ほら、事務仕事でもそうだけど、他人に見られてると気になるじゃない?」

 

「それはそうだけど……」

 

やっぱりなにか不服そう、ちょっと申し訳ない事しちゃったかも。

 

「今度お詫びに、桂花ちゃんと一刀様が2人で仕事できるようにするから、機嫌治して欲しいなぁ……」

 

「あら、いいの? ……一刀様と2人だけの時間って結構貴重なのに」

 

わかりやすい……、さっきの不服そうな顔はどこへやら。

 

確かに一刀様は仕事仕事で一人でいる時って少ないし、そう思うと、やっぱり毎朝半刻ほど一刀様を独占してる天泣が羨ましいのかも。

 

「んー、天梁は一度も夢を見たことがないんだったかしら?」

 

「そうだね。そこはちょっと、桂花ちゃんや天泣が羨ましいかなぁ。

 

でも、本当にその夢の中の一刀様は現実の一刀様と同じ人なのかな?」

 

「間違いないわよ」

 

自信満々に頷く桂花ちゃん。まぁ確かに、結構な回数夢を見て、人となりを見たんだろうけど……。

 

「聞きたいなぁ、その夢の話し……」

 

「んー、いいわよ? 聞かせてあげても。そうねどれから話そうかしら……」

 

それから、天泣が食堂にやってくるまで、私は桂花ちゃんから夢の話しを聞くことができた。

 

随分数が多いみたいで途中までしか聞けなかったけど……。

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天泣との鍛錬が終わり、一息つく。

 

いつもはこのまま朝食を取りに行くんだけど、今日は天泣の提案で少し庭で休んでいく事に。

 

「くたびれましたー」

 

庭石に腰掛けて、大剣は立てかけるようにして置く。

 

これだけ運動しても汗の一つもかかないんだもんなぁ。

 

糸のように目を細くしてため息をつく様子に小さく笑う。

 

「でも、毎朝天泣と鍛錬するようになってから、体調がいい気がするなぁ……」

 

こう、以前の愛紗や星に再起不能寸前まで傷めつけられてた鍛錬とは違い、

 

互角の相手と本気で戦うと疲労も心地いいし、気分もすっきりする気がする。

 

最近は天泣にあの独特な足運びのやり方とか教えてもらってるし。

 

っていっても、俺は当然スカートなんかつけないから効果は半減するんだろうけど。

 

「その武器、綺麗ですよねー」

 

「ん、これ?」

 

鉄扇を広げると、磨き上げられた表面は鏡のよう、とまではいかないものの、光を反射して煌めき、真っ赤な飾り紐が風にふわりと揺れる。

 

この紐、最初はついてなかったんだけど、修理してもらった時に紫青が頼んでつけてくれたのだ。

 

こういう飾りって結構大事なのかなぁ。確か鈴々の蛇矛にも布がついてたし、愛紗の青龍刀にも赤いのがついてたよなぁ。

 

星の槍にも長い紐がついてるし。というか飾り紐にかぎらず、将の武器ってすんごい装飾が細かったりするような。

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「街の人からも評判になってますよー? あれ、何か書いてありますねー、んー? し、むぐ……」

 

ゆるく、片手で天泣の口を塞ぐ。

 

「口に出して読んじゃだめだよ、これはこの鉄扇をくれた人の真名だから。

 

とても大切な人達の……」

 

こくこくと頷いてくれたので、ゆっくりと手を離して。

 

「……、その人達とはもう逢えないんですかー?」

 

中々痛い所をつついてくる。勘、なのかなぁ……。

 

「ん、んー。どうだろ」

 

「ごめんなさい、昨日の夜、一刀さんがこの武器を見ながら、ここで泣いてるのを見てしまいましてー……」

 

「っ!?」

 

見られちゃってたのか。

 

確かに、この世界には桂花も居るし、華?も居た。きっと、華琳や紫青、霞達もいるんだろうとおもう。

 

天泣や桂花のように、俺のことを見た人はいるかもしれない。でもそれはやっぱり、過ごしたのとは違う気がする。

 

やっぱり別人……という気持ちがなかなか拭い切れない。

 

世界の終焉と于吉は言った。もしそれが本当ならあちらのみんな死んでしまったのだろうか。

 

俺はまた、たった一人に戻ってしまったんだろうか。そう思うと辛い。

 

「一刀さん、大丈夫ですかー?」

 

「ん、うん。大丈夫」

 

「悲しそう……、ううん、寂しそうにみえますー……」

 

じーっと、俺の顔を覗きこむようにしてくる天泣。

 

「天泣は、一刀さんが寂しくないように、いつもお傍にいますからー」

 

「ありがとう。……先に朝ごはんいってて、俺はちょっと厠によってくから」

 

素直に頷いて、天泣は食堂へと駆けていく。

 

「いつもお傍に、か……」

 

言葉は違えど、華琳にも、紫青にも、桂花にも同じことを言われた。

 

俺はずっと一緒に居ると返答した。

 

胸がズキリと痛む。

 

ゆっくりと、視線を空に向けた。

 

「帰りたい……な……」

 

かなわぬことと分かっていても、どうしてもそれを望んでしまう。

 

せめて誰か……、はっきり俺のことを覚えていてくれれば違ったかもしれない。

 

「気分を晴らすには体を動かすのが一番、か」

 

気分を変えるために、俺は今日も一心不乱に仕事をすることにした。

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あとがき

 

どうも黒天です。

 

今回は拠点、というより日常な感じでしょうか?

 

思い悩む一刀がうまく描けていればいいなぁ……。

 

前回のコメントで結構、華?、華表の親子との絡みを希望するような声がおおかったのでもう少し書いてみようかと悩み中です。

 

あと天梁も個別で一つ書きたい所ですね

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 

説明
今回は糜姉妹と桂花さんのお話……かな?
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コメント
北郷はそこいら繊細だから割り切って次!みたいにいきませんよねぇ…何とかしたいところですが…(はこざき(仮))
>>nakuさん 2週目だからまだいいようなものの、3周4周となるとかなりキツいことになっていきそうですねー……(黒天)
>>雪風さん 一刀はこの後一体どうなっていくでしょうね、果たしてこの外史の人々を受け入れられるのか、それとも……(黒天)
>>風見海斗さん そうですね、鉄扇と関わりが深いのは董卓軍の面々+紫青ですからそのあたりは反応しそうです(黒天)
縁・絆・想い(思い)が重なった時、大切な人に出会えるわ・・でも、この外史で生きてる彼女らに前外史での面影を重ねて見てい行くのも覚悟がいる道・・・行きすぎるとその面影に束縛され続ける可能性も秘めている・・(雪風)
鉄扇を見せて、最初の鉄扇に書いた霞・月・詠辺りが思い出しそうだな。いや、思い出してほしいな・・・。(風見海斗)
>>−火さん それ色々と駄目なパターンのような……(黒天)
>>h995さん、たっつーさん ふむ、究極の孤独、ですか。一刀にはきっと救いはあるはずです。いずれは思い出す予定なので……(黒天)
>>いたさん 陸奥守さん ふむ、そういう意味があったんですね、忍者VS少林寺、またすごいタイトルが……w(黒天)
>>真山 修史 華琳さんだと何がきっかけになるでしょうね、中々思いつかないです(黒天)
>>actさんnaoさん 覚えてる人が出てくるかどうか、は未定です。思い出す事はあるかもしれませんが(黒天)
矢じゃなくて一刀の聖剣でも起きるんじゃないかな?(一火)
逆行物の宿命ですね。相手は自分を知らないのに、自分だけは相手を知っている。しかも自分自身、過去の自分とは変わっているので全く同じ関係にはけしてなれない。ある逆行系二次小説ではそれを指して「究極の孤独」と表現しましたが、この一刀には果たして救いがあるのでしょうか?(h995)
槍の穂先の布を使って相手の視界を邪魔してた映画があったな。確か忍者VS少林寺だったか。(陸奥守)
槍の穂先の布は、飾りも入ると思いますが、人を刺した時に流れ伝わる血を止める役目があるようです。(いた)
記憶を取り戻すきっかけは桂花は毒矢とか墓参り・・・紫青は鉄扇ですかねぇ〜 華琳は思いつかんなぁ〜(真山 修史)
鉄扇がカギになるのでしょうか。(わく惑星)
誰か夢でなくちゃんと覚えてる人がいるかもしれん!華琳とか紫青とかが!(nao)
まあ、覚えているから余計に辛いですね。誰かが覚えている人が出てくるのかな? (act)
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