IS 2体の魔神皇帝 |
キャノンボール・ファスト当日、会場アリーナは活気に溢れている。
見物客だけでなく政府関係者もVIP席で見物している。無論十蔵も見ている。
「何だ。男性操縦者は一人しか出ないのか」
「あれだけ出せといったのに・・・」
十蔵「フン。死人が出ても良いなら権力で脅して出せばよかろう。
その代わり外交問題に発展するぞ。どっちにしろワシには勝てんだろうがな」
一夏は十蔵の光子力研究所の所属である為、様々な問題は十蔵に降りかかる。
しかし彼の権威は相当なもので外交問題になってしまった大国家相手でも勝ってしまうほどである。
彼を敵に回せば機械獣を相手に出来なくなるからだ。女性には「マジンガーシリーズなど必要ない!」
との声が大きい。やはりIS至上主義の女性が多すぎる。しかし現実は通常のIS程度では傷一つ付けられない
のが機械獣である。その為十蔵の下にいる一夏や箒達を頼りにするしかないのだ。
現在Drヘルは日本のみを標的にしているが機械獣の試験運用の際は邪魔の無い海外で行なっている。
なのでどうしても被害が出てしまう。もし一夏達が到着してもその時には既に撤退している状態なのだ。
一応イギリス、中国、日本、ドイツ、フランスの政府関係者はそんな事考えていなかったので
聞き流している。現在自国の代表候補生のISが十蔵の手によって改造されてパワーアップしているし
彼と手を組んで機械獣との戦闘に備えているので敵対する事はありえないからだ。
「クッ・・・」
十蔵「それと忠告しておくが我が孫達に手を出したら承知せんからな。
まぁ一夏にやられるのがオチじゃろ。ハァハハハハハハハ!!!」
一部の政府関係者は箒か束を人質に捕ろうと考えたようだがそんな事をすれば一夏がキレるのは目に見えているし
彼のISであるスカルカイザーの性能は箒のカイザーと並び世界トップ。そして一夏の技量も相当な物だ。
しかも力だけならブリュンヒルデの千冬をも凌ぐので力押しだけで大抵の国家を敵に回せる。
一応だが彼に喧嘩を売った政府関係者辺りを全員捕縛し何かしらの仕返しをするという感じだ。
十蔵はそれを止めたりしないし日本政府も喧嘩を売ったそちらが悪いとしか言わない。
何しろ光子力研究所は日本に所属していない一つの国家のような物だからだ。
一夏と箒を捕らえる事が出来たとしてもその姉である千冬や束が黙っていない。
束は千冬、一夏、箒達や光子力研究所の味方のIS以外停止させる事など簡単だし
千冬はISの性能が劣るにもかかわらず一夏と箒を倒す事など容易だからだ。
十蔵「さてそろそろスタートの時間じゃな」
十蔵はアリーナにいる一年生の選手の弾達に優しい目を向ける。
彼等の事を十蔵は気に入っているし何しろ孫のように思っている。
逆に彼等も十蔵を実の祖父のように慕っている。
楯無『さぁさぁキャノンボール・ファストも残るは一年生のレースのみ!
解説は3年生のレースと同じく私更識楯無がお送りします。そしてゲストに
一年生の男子の一人、織斑一夏君を迎えていま〜す』
一夏『真面目にやれ青ゲンゴロウ!』
ガン!
楯無『イタタタ・・・超合金Zのハリセンで叩かなくても・・・。さてレースのメンバーを
ご紹介いたします!まずもう一人のISに搭乗出来る男子五反田弾君!』
弾が出てくると一年生からは応援が、そのほかは殆どがブーイングだった
一夏『テメェら静かにしろ。殺すぞ』
しかし一夏の殺気立った声とガトリングガンの発泡に驚いてブーイングは止んだ。
応援メンバーは一夏の一声に拍手する。弾も居心地が悪そうだったが一夏に手を上げ礼をした。
楯無『さて!続きましてはドイツの代表候補生で織斑先生や一夏君の妹!ラウラ・B・織斑さん!
ってこの前まで織斑なんて名乗ってなかったよね!?』
一夏『姉貴が昨日そうした。反対する理由もないし止めなかったからな。まぁ今回は一番頑張って欲しいな』
ラウラは真っ赤になりながらも弾の横に並んだ。
楯無『続いては元フランスの代表候補生で現在は光子力研究所に所属している小悪魔!
シャルロット・デュノアさん!』
シャルはラウラの横に並んだが若干息が荒い。それにラウラをジーッっと見ている。
一夏『変な癖が出なけりゃ良いんだが・・・出たらこっからミサイル撃ち込むけど』
一夏はそう言いながらもスナイパーライフルでシャルの頭を撃った。
シャル「ガフッ!」
楯無『それほどの癖なの!?』
一夏『黙って続きを紹介しろ青ゲンゴロウ』
楯無『ゲンゴロウはもう止めて・・・お次は中国の代表候補生で織斑先生に鍛えられた期待の新星!
凰鈴音さん!噂では一夏君にも鍛えられその特訓は命がけだったとか?』
一夏『根性あるから少しやりすぎた。だが相当強くなったな。そこらの国家代表とならタメ張れると思うぞ』
鈴はシャルの横に並んで一夏の高評価にガッツポーズを取る。
楯無『え〜続きましてイギリスの代表候補生の
『セシリア・オルコットだな。この中じゃラウラと並んで一番の成長株と言えるな』
台詞取らないでー!』
楯無の台詞は一夏に遮られてしまった。しかし一夏は気にせずそのまま続ける。
一夏『さっきも言ったがラウラと一緒で今回のこのレースの一番の実力者にまで成長していると言っても過言じゃないな。
高機動戦闘じゃ世界レベルで言って10本の指に入ると思う』
セシリアは鈴の横に優雅に並ぶ。そして鈴と火花を散らしながら一夏の高評価を喜ぶという器用な真似をした。
一夏『次は青ゲンゴロウの妹の更識簪だな。妹の方が姉より強くなりつつあるから更識の
頭首交代したほうが良いんじゃねぇか?というか青ゲンゴロウの妹とか止めちまえ』
楯無は自身と簪の評価の差に血の涙を流すが一夏は無慈悲にハリセンで楯無を叩いた。
一夏『最後に織斑家の末っ子のマドカだな。機体は元姉貴の愛機、マジンガーZだ』
マドカはキョロキョロと周りを見回しながらスタートラインにつく。
人の多さに若干緊張しているのが千冬には解った。
一夏『青ゲンゴロウは役立たずみたいだから俺が進行役をやらせて貰うぞ。
後3分でレースがスタートする。途中障害物が何箇所か設置されているから
それを上手く回避しながらトップでゴールした者の勝ちだ。
障害物だけでなくほかの選手からの攻撃もあるから油断するなよテメェら。
下手なもん見せたらロードローラーで押しつぶすが青ゲンゴロウにやったアイアンクローだからな」
一同はアイアンクローだけは嫌なのか気合の入った表情になった。
十蔵「ほぉ〜。今年の子供達は随分と良い人材じゃな」
イギリス政府高官「貴方の所の織斑一夏君に大分鍛えられたと聞いてます」
ドイツ政府高官「まさか彼女が織斑千冬の妹だったとは・・・」
十蔵「そんな事はどうでもよい。そろそろレース開始じゃ」
一夏『レース開始30秒前!5秒前からカウントするからな』
出場者面々は何時でも準備OKのようだ。
一夏『5・4・3・2・1・スタート!』
レースがスタートした。先頭は弾、その後にラウラ、シャル、セシリア、マドカ、鈴、簪と続いている。
簪は最初に目の前にいる鈴にロケットパンチを飛ばす。
鈴「甘いわ!」
鈴は回避して衝撃砲で簪を攻撃したが簪は意に介さず加速する。
舌打ちする鈴だが今度はセシリアから攻撃を受けた。
当りはしなかったがラインがずれてしまい簪に抜かれてしまった。
弾は他のメンバーをあまり気にせず加速を続けていたがラウラが横に並んできた。
弾「ひぇ〜早いなラウラ」
ラウラ「だったら後ろの馬鹿の相手をしてくれ!」
ラウラの表情は何か恐ろしい物から逃げている表情だ。
弾は気になり後ろを見たが直ぐに前に向き直った。
シャル「ラウラ〜〜〜〜♪」
何しろシャルが物凄い勢いでラウラを追っているからだ。
弾「気持ち悪い!」
弾がライフルを使って攻撃するとあっさりと直撃し頭が地面に埋まってしまったシャル。
シャルはその後に追いついて来たマドカがシャルを跳ね飛ばした。
ラウラ「弾、助かったぞ」
弾「まぁ・・・あれは怖いわな・・・」
ラウラ「マドカが跳ね飛ばしたな・・・」
いつの間にか中間地点である塔にまで来ていた。
ラウラ「さて、鈴達も大分追いつきて来たな・・・」
弾「早いな皆」
鈴「そりゃ一夏に鍛えられてからね!」
セシリア「技量も上がりますわ!」
簪「ん・・・」
マドカ「?」
跳ね飛ばされたシャルも追いついてきた。
シャル「弾酷いよ〜(泣)」
泣いているシャルだったが誰も同情しなかった。
その時だった、アリーナの一角で爆発が起こった。煙の中から10体もの機械獣があわられた。
弾「一夏!」
一夏『あぁ、レースは中止だ!皆逃げろ!機械獣だ!」
一年生や2,3年生の一部の生徒は逃げていくが一人の上級生が機械獣に向って飛び出していく。
代表候補生の様で機体はカスタムされた専用機だった。
「生意気なのよ!!」
量産型機械獣GRK−7に向ってマシンガンを撃つ。装甲が一部剥がれ落ちてしまうが
その剥がれ落ちた装甲がパズルのように元の位置にはまり、元通りに戻ってしまった。
一夏「これは・・・」
スカルカイザーを展開してアリーナに出た一夏はその光景が信じられなかったが現実逃避しても仕方が無い
ので牙斬刀で切りつけて機械獣を破壊する。今度は再生されなかった。
一夏「ある程度しか再生できないのか?」
もう一体切りつけて破壊するが今度は再生した。
束『いっくん気をつけて!その機械獣、形状不変体質を持たせられてる!』
一夏「一応一体は破壊できたけど・・・」
束『形状不変体質を司っているパーツが有るみたいだね。それを破壊したからだと思うよ』
箒「一夏、大丈夫か?」
カイザーを纏った箒が遅れてやって来た。
一夏「あぁ、避難の方は?」
千冬「すまん、まだ終っていない!8割方終ったのだが一部の生徒が動こうとしないのだ!」
ラウラ「私とセシリア、鈴でお手伝いします!」
千冬「すまない!手間をかける!」
千冬と3人は避難しようとしない生徒達を力づくで避難させ始めた。
弾はシャルと簪と共にVIP席に居た十蔵達を護っている。一応楯無も居るが全くと言っていいほど当てにされていない。
GRK−7に向かって行った女子へ機械獣は攻撃を開始した。
マシンガンであっという間にSEをギリギリまで削られ、頭部についている鎌で首をはねられる寸前までになっている。
「あ・・・ああ・・・」
箒「チッ!」
箒が咄嗟にターボスマッシャーパンチを使い女子をアリーナの外に投げ飛ばした。
千冬はそれを受け止め、ISから強引に降ろして真耶渡して避難させた。
一夏「邪魔なんだよな・・・ああいう奴。避難が完了しないとウイングクロスも出来ないな」
箒「一夏、あの光っているパーツ・・・」
一夏が箒に言われた場所を見ると紅く光っているパーツが有る。
束もそれを見つけたので解析を急いで行なう。
千冬「どうだ?束?」
束「箒ちゃんナイス!あれが形状不変体質を司る再生パーツだよ!あれごと破壊すれば
あの機械獣は倒せるよ!」
箒「解りました。一夏!」
一夏「あぁ。ウイングクロスするまででもなかったな!」
一夏は牙斬刀で再生パーツごと機械獣を3体破壊する。
箒「ルストトルネードを使っても?」
束「ちーちゃん?」
千冬「構わん!やれ!」
避難が終わったので千冬は箒にルストトルネードの使用許可を出した。
この会話の間に一夏はもう一体GRK−7を破壊していた。
箒「一夏、下がっていてくれ!」
一夏「ん?あぁ、解った」
一夏が下がると箒はルストトルネードで再生できないほどに機械獣をボロボロにした。
しかし再生用パーツは無傷で残っていてしかも再生が行なわれないので研究資料になった。
一夏「終ったか・・・」
箒「しかし厄介な相手になるな。この機械獣」
束「お疲れ様、それにしても厄介になってきたね。機械獣」
マドカ「・・・多分あしゅらも機械獣になるかも」
千冬「やはりか・・・一夏、機械獣の残骸を束の研究室に運んでおいてくれ」
束「再生パーツは私と箒ちゃんで持っていくね。再生されたら敵わないもん」
一夏は頷き、マドカにも手伝ってもらいながら束の研究室に残骸を運び再生パーツは
束の手によって一つを残し研究の為解体され、残りのひとつも機能停止させられ保管される事になった。
騒ぎは収まったがキャノンボール・ファストは中止となった。
一夏や弾達は食堂の一角に集まって夕飯を食べながら喋っていた。
弾「しかしやっぱり現れたな。機械獣」
一夏「以前ドイツで試験運用をしたらしい。それで今回現れたって事みたいだ」
ラウラ「クラリッサ達が大怪我を負ったと聞きましたが・・・」
一夏「あぁ、ラウラの居た部隊が応戦して倒したそうだ。しかしその時は形状不変体質は無かった」
ラウラ「・・・」
既に食べ終えていたラウラは部下達が心配でしょうがないようだ。
箒「心配するな。先程姉さんから聞いたが2日程前にドイツに行って治療をしてくれたそうだ」
ラウラは箒の言葉にほっとして力が抜けてしまった。
清香が慌てて受け止めて様子を見ると眠っていた。
清香「そういえば3日前当りから余り寝てなかったみたいだったなぁ」
シャル(清香・・・ずるい・・・)
一夏「しかし・・・これが通常の機械獣に搭載されるかどうかが問題だな」
こればかりは束の報告を待つしかない。
Drヘルの科学力はとても高く、束でも理解しきれない物がいくつかある。
十蔵も時間をかければ解るようだが、その時間はかなり長い。
(一応Drヘルも束や十蔵の技術、科学力に関しては理解しきれていないものも多数ある)
セシリア「一夏さんは如何思ってますの?」
一夏「・・・凡その予想だけど恐らく搭載されないと思う。これは機械等に使われる
古代の技術だとジジィに聞いた事がある。だから形状不変体質は搭載されないが・・・」
鈴「が?」
一夏「それを奴が理解していると言う事はそれを応用できる可能性が高い。だから再生機能を持つ
機械獣が出てくる可能性は高いと思うぜ」
箒「私も同意見だ。Drヘルの事だ。私達に勝つためなら手段を選んだりしないことが多いからな」
千冬もその意見に賛成した。楯無はそんな馬鹿なと言ったが他の全員は完全に無視した。
簪もDrヘルの科学力を目の当たりにしたので楯無のようにあっけなく否定しない。
それ所か大群で攻めてくる可能性があるか千冬に聞いていた。
千冬「・・・十中八九大群で攻めて来るな」
一夏「俺も同意見」
楯無「でも量産型といっても数をそろえるのはかなり時間が・・・」
箒「十二分に有ったと思うが・・・」
楯無「え?」
簪「林間学校の時から攻めてきてなかったから・・・」
箒「あぁ。その時にはほぼ数は揃えていたと思う。試験運用などで更に時間を食ったみたいだが」
一夏「一応今回の戦闘で奴も結構データを得た。それの解析や弱点の補強でまた暫くは来ないと思うが
油断は禁物だろうな」
千冬は2人の意見に頷き、学園の理事長にもしもの時、学園を光子力研究所に移す事を提案する為に食堂を出て行った。
楯無「そんな事滅多に無いと思うんだけどなぁ・・・」
一夏「大群が来たらそんな事言えるのか?」
簪「お姉ちゃん・・・」
楯無の発言に一夏達は呆れ、簪も愛想がつき始めているようだ。
いくらIS学園最強を名乗っていても楯無程度では多数の機械獣の相手をするのは不可能だろう。
一夏は溜め息をつきながら楯無に一枚のデータディスクを渡す。
一夏「それに機械獣のデータが大まかに入ってる。それを見て考えを改めろ」
一夏は箒、マドカ、ラウラをおんぶした清香を連れて食堂を出て行った。
弾達も今日は早めに寝ようと思い、片付けを終えると楯無を置いて出て行った。
楯無「私の見解ってそんなに甘いかなぁ・・・・・・甘いみたいね。あの言い方だと」
一夏達の冷めた視線を思い出し反省する楯無だった。
機械獣の再生機能はウルトラマンメビウスに出てきたインペライザーと言うロボットが元ネタです。
「形状不変体質」は宇宙交響曲メーテルに出てきた用語です
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今回マジンカイザーSKLに搭乗していたGRK−7が登場します。 | ||
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