バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第四十話 |
その後の学園との交渉によって体育祭の野球で優勝したクラスに返品するという結果になった。やっぱり他のクラスにも余計なものを持って来ている者どもがいたのは明確だった。
『いいか同志たちよ!これはわれわれの運命を分ける聖戦である!!斧が実力を最大限にまで発揮し!!!』
『『『『我らの聖書をこの手に取り戻す!!!!』』』』
FFF団の面子が気合入れをする。
「馬鹿どもらしい光景だな。」
「まああいつらはあれのためならば命をも惜しまない者たちじゃからのう。」
「・・・・・本当に。」
「まあ、気合をためにババアがあえて出したんだろうな。」
「だから学園長と言え!」
鋼牙は雄二に裏拳を喰らわせる。
「あだっ!」
体育祭当日。鋼牙達は今野球の方を担当することになった。
Fクラスメンバー
1番 木下秀吉 ファースト
2番 土屋康太 ショート
3番 冴島鋼牙 キャッチャー
4番 坂本雄二 ピッチャー
5番 姫路瑞希 ライト
6番 島田美波 セカンド
7番 須川亮 センター
8番 福原公平 サード
9番 横溝浩二 レフト
まあこの面子ならば問題は無いな。召喚獣の操作がまともな奴らはこいつらしかいない。あとの奴らはイメージと動作がワンテンポずれる。だからすぐに補習室送りになってしまう。
「ところで雄二、教員軍団とはやはり結晶で戦うことになるのか?」
「ああ。どうしてそう思うんだ?」
「生徒から募集したものを管理しているのは学校だ。そしてそれを集めたのは教員。まあ予想通りの結果だな。」
「なるほど。」
「それともう一つ。初戦は何処と当たるんだ?」
「2年Eクラスだ。」
「確かスポーツバカの集まりだったか。」
「アンタ達に言われたくないわ、バカ。」
いきなり人の話を盗み聞きして話しかけてきた方向に鋼牙達は振り向く。
「確かEクラス代表の中森だったか?」
「そうよ、冴島鋼牙君。いくらあなたが試召戦争で強くてもこんなところでは負けないわ。」
「そうか。一つ言っておく。さっきのスポーツバカというのはいい意味でのバカだ。勉学では無くスポーツ方面に特化している。つまりFクラスよりはましな方でもある。」
「わかってんならいいわ。」
「だがしかし!」
「っ!!」
「たかがFクラスと成績の方向だけで人を判断するのはとんだ過ちだ。差はどんぐりの背比べのように容易にわかるほどの成績の差だ。それで勝ったつもりならとんだ御山の大将だな。」
「な、なんですって!言ってくれるじゃない。いいわ、叩きのめしてあげるわ。」
中森はそう鋼牙に言って自分のクラスのほうへと戻って行った。
「いいのか、鋼牙?」
「構わん。それにだ、ああいう人を表でしか判断しない奴は嫌いだ。」
「そうか。」
そして試合が始まった。先攻はFクラス。秀吉、土屋が1ヒットで塁に出る。そして鋼牙の番。ピッチャーは中森。
「あら。初回から当たるなんてね。」
「こっちも好都合だ。」
中森の召喚獣がボールを投げる。そのボールは鋼牙の召喚獣の頭部に向かって投げられた。
「ありがたいな。」
鋼牙の召喚獣はバットを大根切りに振る。ボールはバットの芯に当たりそのままホームランになる。
「な、なんで・・・・」
鋼牙は召喚獣を周らせ、ホームベースを踏む。
そして鋼牙の番がくるたびに中森は鋼牙の召喚獣にボールを投げるがどの位置にどう投げよとしても鋼牙はそれを全て打ち返しホームランになった。
「な、なんであんたなんかに負けんのよ・・・・・」
「貴様が俺に当てることが敗因だ。それさえなければ勝ってたかもしれない。」
「っ!」
「後は召喚獣の操作を少し上手になれば試召戦争でも勝てると思うぞ。頑張れ。」
鋼牙は少し微笑みながら言った。
「っ///////」
中森は少し顔を紅くする。
「大丈夫か?熱でもあるのか?」
「な、なななななんでもないわ!!!」
「そうか?まあ変な症状でもあるのなら保健室に行け。」
「わ、わかったわ。」
そう言って中森は顔を紅くしながらその場を去っていった。その光景を見ていた雄二は溜息を吐いている。
「お前って・・・・・ホント!無神経ジゴロータだな!」
「?」
鋼牙は頭に疑問符を浮かべた。
「雄二、ところであっちは今何をやっているんだ?」
「次の種目が二人三脚だからな、今くじ引きをしているんだ。」
「大方あいつらは姫路か秀吉か美波狙いといったところか?」
「まあそうだな。」
「三手先の未来だが美波と秀吉が一緒になると思う。」
「ははは、まさかそんな――――」
『島田よ、よろしく頼むのじゃ。』
『足ひっぱんじゃないわよ、木下。』
「本当にそうなりやがった!!!」
「安心な展開だ。秀吉が男であるにもかかわらず馬鹿どもが争うのが目に見えているからな。」
「お前、すごいな。」
『おい鋼牙、お前の番だぞ。』
「今行く。」
鋼牙はFクラス達の方へ歩み寄って行く。
「早く引け。」
「ああ。」
鋼牙は適当にくじを引いた。その紙はピンク色であった。
『なにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!』
「うおっ!」
「何故お前が!」
「このラッキースケベ!」
「万死に値する!」
ひどい言い様だな。でもなぜなんだ?
「あ、あの。鋼牙君、よ、よろしくお願いします//////」
なんだ、姫路だったか。しかし困ったな。姫路は身体が弱い上に体力も少ない方だ。どうしたものか・・・・・第一、俺に合わせるというのが無理に近い。
「こ、鋼牙君。あ、あの・・・・もし嫌でしたら・・・」
「いや、誰も嫌とは言ってないぞ。むしろ俺がどうしたら考えていたんだ。お前の体のこともあるしな。」
「そ、そうだったんですか?」
「ああ。」
「う〜ん・・・・・あっ!」
「何か思いついたのか?」
「鋼牙君が担ぐのはどうでしょう?それだったら鋼牙君にも迷惑を掛けませんし。」
「・・・・姫路、二人三脚だぞ。」
「そ、そうでした・・・・」
「だったら姫路が俺の足に乗るというのはどうだ?」
鋼牙の言葉に姫路は度肝を抜かれた。
「そ、そんなこと出来ませんよ!それにその・・・・・・私・・・・お、重いですよ。」
「前に姫路をお姫様抱っこしたときに思ったことなんだが・・・・」
「ど、どう思ったんです・・・・か?」
「軽いと思った。だから心配するな。」
その後、鋼牙に抱きつくように姫路は鋼牙の足に自分の両足を乗せ鋼牙は走った。片足に人一人(女性)の重さが加わっているのにもかかわらず一位を勝ち取った。
一方次の野球の試合は対戦相手になるはずの方が引き分けであってFクラスは不戦勝に終わった。
「まさか不戦勝で終わったな。」
「そうじゃのう。しかし鋼牙のあの走りもすごかったのじゃ。」
「・・・・人間の領域を超えている。」
「そうね。ウチも噂で聞いたけど木と木の間を軽く飛ぶんで森の中をすばやく移動するって話よ。」
「鋼牙君だったら何でもありですね。」
雄二立ち居が鋼牙のことに着いて少しばかり話していると優子達が声を掛けてきた。
「あれ?坂本君たちじゃん。」
「ここで何をしているの?」
「今鋼牙のことに着いて話してたんだ。」
工藤、優子の問いに雄二が答えた。
「・・・雄二、そっちは試合勝った?」
「ん?ああ。一回千は鋼牙のおかげでな。二回戦は不戦勝で勝った。」
「まあな。そっちはどうだったんだ?」
「・・・・負けた。」
「そっか。そら残念だったな。でもあんなもんいらないだろ。」
「・・・・・え?」
「まあ持ってたとしても俺が焼却処分してるだろうがな。」
雄二は何を勘違いしているのかそんなことを口走ってしまった。
霧島は小刻みに震え、そして・・・・
ぱちぃんっ!
乾いた音が空気を伝わり響き渡った。
「・・・・・・・雄二の・・・・・・バカ!!」
霧島はそう言ってその場を去っていった。
「・・・・たくっ!本人の同意も無いもんもっててもしょうがないだろ!!」
雄二のバカ!あれは雄二が私にくれた大切な物なのに!
霧島は瞳から涙を流しながら走っていると人にぶつかった。
「痛っ!」
「すまない。だいじょうぶ・・・・どうした霧島。」
「・・・鋼牙。」
鋼牙は霧島に手をさし伸ばし霧島はその手を取り立ち上がった。
「・・・・・・」
鋼牙は霧島の瞳から流れる涙を見て大雑把に感じたことを言い出す。
「大方雄二だろ。」
「っ!」
「だが安心しろ。きっと勘違いだ。あいつは頭は良いが自身の覚えていることがその通りだと勘違いする癖がある。」
「・・・・何と勘違いしたんだろう?」
「さあな。姫路とかが聞いて着たら何を没収されたか言え。姫路はすぐに雄二の耳に入れるつもりだからな。」
「・・・・ありがとう、鋼牙。」
「気にするな。それとだ。」
「・・・・なに?」
「お手洗いで顔を洗って来い。ゴンザ曰く、女性の泣き顔は好きな相手に見せてはいけないものだそうだ。」
「・・・・わかった。」
鋼牙のアドバイスを聞いて霧島はお手洗いの方へと走り出した。
「鋼牙、アノコト言ワナクテモイイノカ?」
「すぐに耳に入るだろう。それより雄二はいつになったら正直になるものなのかと思ってしまう。」
「無茶イウナ。若イウチハ正直ニナレナイノガ当タリ前ダ。ミナ、己ヲ偽ッチマウモンナンダ。」
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ハジマッタタイイクサイデボッシュウウブツヲトリモドソウトスルバカドモニツイキアウノモタイヘンダナ。 「体育祭・前編」 アノアカガミコゾウ。ナニトカンチガイシテンダ? |
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