超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編 |
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………((out|あかん))」
「言ってよかったの?」
「……黙る訳にもいかないだろう」
ゲイムキャラの協力を得ようと意気込んでいたブラン様にゲイムキャラが破壊されたことを伝えると、膝と手を地面に付けて直視出来ないほどの痛々しい負のオーラを放っていた。
この世の秩序と循環を司ると言われる存在であるゲイムキャラ。その力は未知数だが、ブランの反応から見れば最後の希望に近い物だと見える。相手は、対女神を大量に持っていると思われる自身の信仰する女神を絶対と崇めて他の女神に対して攻撃的になる過激派ギルドとその裏に潜んでいる邪神ナイアーラトホテップが全ての黒幕だと言われている。
「邪神って、もうラスボスオーラ全開だよね」
「空さんと関係者ですから、きっと規則外です」
「だろうな…デペア。ナイアーラトホテップの実力はぶっちゃけどんな感じなんだ?」
『…僕も直接戦った所を見たわけじゃないけど、破壊神とほぼ同格と言われているよ。ただ……』
…ただ?
『奴は、所謂((道化師|ピエロ))。自分の手を使う事をあんまりなくて、周囲の者を操って混沌に陥れそれを鑑賞して愉しむタイプだから、直接的に向かってくることは、ほとんどないと思う』
「なるほど、キ〇ガイね」
実に分かりやすい。ただ、俺にとって最初の印象はとても冷たかったが、本気でオリジナルの紅夜を気にしているように見えた。…いや、今はそんなこと関係ない。誰だろうと関係ない、ただそいつが人々を攫って、FDVシステムを搭載した兵器で、この大陸の希望を摘もうとした。それだけで敵意を向ける条件は十分果たしている。
「それにしてもどうしよう…あれ相手は女神化だったら、こっちは弱体化されて相手は強化されちゃんでしょ?」
「吸収されない方法はないんですか?」
「そもそも、メカニズムが分からないからな。対処の方法がない」
一番はFDVシステムを破壊することだが、どこに搭載されているのか分からない。俺のブラッディハードはFDVシステムの対象に入らないことが唯一の助けだが、あいての戦力が分からない以上突っ込んでも意味がない。
「ねぇ、ブラン。落ち込んでいないで次の手を考えようよー」
「どうしろって言うんだよ…。それになんで、別の国のことなのにあなたが首を突っ込むのよ」
「目の前に困っている人がいて、それを何事もなかったようにスルー出来る?私は……絶対にできない」
ブランは顔を少しだけ上げてネプテューヌを見た。
「それに女神って自分の信仰者しか救っちゃいけない制約があるの?違うでしょ、私には女神としての記憶なんて覚えていないけど、女神は人を救って守る存在でしょ?」
当たり前のことを言うようにネプテューヌは淡々を喋った。
アイエフもコンパも俺もその姿勢に驚いて、納得した。これが女神なんだと。
暫くブランは、ポカーンと口を開いて口を閉じて立ち上がった。
「……まさか、ネプテューヌにそんなこと言われるなんて思ってなかった」
「女神としての私ってそんなに評判悪かったの?」
「少なくても、回りくどい言い方でウザかったわ」
ブランは口に手を近づけて小さく笑った。
立ち直ってよかったと安心するが、空と同等とされるナイアーラトホテップ。
あの俺達じゃ手の届かない規則外なら、一体どんな手を使ってくるのか想像がつかない。
「それにしてもどうするか、相手の戦力が分からない以上、迂闊なことは出来ないぞ」
「いっその事、粉砕覚悟で突入してみる?」
「ダメです!パーティーの回復担当として了承できませんです!」
「パーティー……あ、そうだ!ねぇねぇブラン。ゲイムキャラって他の国も存在するの?」
「勿論、存在するわ。!……まさかあなた」
「プラネテューヌのゲイムキャラに会ってくる」
戦慄が走った。流石にそれは馬鹿げているとしか言えない。
今のプラネテューヌは他の国と比べて、女神不在とモンスター大量発生という危機的状況なのだ。そして、この状況こそゲイムキャラの力が、最も必要とされている時だ。そんな時に……!
「あなた、正直それはネプ子としては正しいと思うけど…女神としては最悪よ」
「あはは……やっぱり?」
「やっぱりじゃねぇ!お前、お前自分が言っている意味が分かってんのか!?自分の国を見捨てるような真似だぞ!」
「少しだけ力を貸してもらいに行くだけだよ。それに、ここでなんとかしないと他の国にも手が出るかもしれないんだよ?」
ブランとアイエフが血相を変えて事の重大さを訴えるが、ネプテューヌの正論に黙った。
FDVシステムは、アンチ女神として最悪なほどの効力があり、ハードブレイカーとキラーマシンの戦闘能力には目が廻りそうになる。空がいなければ、今頃ルウィーそのものが制圧されていたかもしれない。それが分かったから、俺は何も喋らなかった。隣にいるコンパも、きっとそれを理解したからこそ黙ってネプテューヌを見つめていた。そして静かに口を動かした。
「……ねぷねぷは、それでいいのですか?」
「……お前のしていることは自分の大陸を削るような真似だぞ」
最終確認のつもりで、俺は言った。
ーーーそれでいいのかと。
ーーー後悔はないかと。
問い掛けるように見つめて、ネプテューヌは真っ直ぐな瞳で返してきた。
「ここで後味悪い結果で終らせたら一生後悔するよ。けど、みんながハッピーエンドで迎えるために少しだけの苦労を重ねるだけなら、私は間違いなく後者を選ぶよ」
簡単なことをはっきりと言った。後味が悪いから、関わった以上は全力で自分のすべきことをする。それが女神パープルハートのやり方。
「はぁ、分かったわ。ここまで来た以上、冥界まで付き合うわよネプ子」
「私も頑張るです!」
「俺は最初からそのつもりだ。ハッピーエンドを迎えてやろうぜ」
俺達の覚悟は固まった。最高の終わりにしてやると決心した。
ブランは、口を歪めて、その瞳から涙を堪えながら消えそうな声で呟いた。
「……お願い、ネプテューヌ。どんなことでも、するから………助けて…」
女神と言う重圧と国民からの期待の目を一身に受けている((一人の少女|・・・・・))の助けに掛ける言葉は決まっている。ネプテューヌは二つ指だけを上げて、vサインを作って太陽のような笑顔を作って、力強く言い放つ。
「−−−任せて!!」
◇
「−−−ということでやってきました。プラネテューヌ!!」
「なんだか過程だけが飛ばされて、結果だけが残った気分だ」
ブラッディハードになってルウィーからプラネテューヌに飛んできた。
アイエフ、コンパと勿論ブランはルウィーでお留守番だ。いつまた本教会に襲ってきても対処できるように。
「それにしても、やっぱプラネテューヌは凄いな流石四大陸で一番発達している大陸だ」
「えへん」
隣で何故か誇らしげに腰に手を置くネプテューヌ。
それに無視しながら足を進ませると慌てて付いてきた。
近代都市として高層ビルが立ち並び、街の中央にはゲイムギョウ界で一番高いタワーとして有名なプラネタワーが天空を突き刺す勢いで立っている。ラステイションと比べて、あちらはまだ開発途中としてイメージがあるが、この街は完成された形だと言ってもいい。
「さて、こっからがどうするか問題だな」
「問題って?ゲイムキャラと合って力をちょこっと貸してもらうだけじゃない?」
「……お前はプラネテューヌのゲイムキャラがどこにいるのか知っているのか?」
「あ」
あまり時間を掛けたくないが、やっぱりゲイムキャラがどこにいるのか探すのが一番難しい。接触しないとそもそも交渉も出来ないだろうからな。
「それじゃ教会に行こうよ!私女神なんだしVIP待遇間違いなしだよ」
「……行くなら、女神状態で頼むぞ。正直、普段のお前には女神の威厳とかオーラが一欠けらもないから」
「ひどーい!」
ありのままを言っただけだ。
空中に投影されているテレビに目を向ければモンスターの大量発生についてキャスターと専門家が住民にモンスターの危険性について話していた。
「モンスター…か」
「こぅちゃん?」
ブラッディハードになる前にオリジナルが話してくれた内容が脳裏に浮かぶ。
モンスターの正体は人の負だ。モンスターに人を襲わせて負とシェアの低下を引き起こし、女神がモンスターが討伐することで女神は信仰され力を得る。そして人の負でモンスターが生まれ、人に襲わせるそのループ。そのバランス調整をしている空に色々と問い詰めたかったが、あの重体じゃ流石に言えないな。
「…どうしたの?ものすごい難しい顔をしているよ」
「なんでもない」
心配そうに覗きこんできたネプテューヌに顔を左右に振って言い張る。
この事は、いつか女神であるネプテューヌに伝えるべきだ。今は余計なことを言って混乱させるわけにはいかない。
「……えい!」
「どうして、俺の腕に抱き着く」
「そうしたいからだよ……言いたくなったらいつでも言ってね。待ってるから」
……こいつは超能力でもあるのか?それにしてもボケでも飛ばしてくるかと思ったが、思いのほか顔に出ていたようだ。
「…ありがと」
「うん」
ネプテューヌの両手が腕に絡む。彼女の温かみを感じる。こいつを守ってやると誓ったのに、こういうところで本当に救われる。
二人で道を歩く。教会として機能があるプラネタワーの出口付近に人間ではない気配を感じた。そいつはナイアーラトホテップが着ていたような燕尾服を着こなしていたが、あっちがコスプレと言うのならばこっちは本物。一分の隙もない完璧な振る舞いに見せる上品で優雅な姿だった。髪をかきあげたオールバックの髪型で、お姫様に仕える執事だと言ってもいいほどだ。容姿は造られたように整った美顔で周囲の視線を集めていて、体型は服の姿からは分からないが、それなりに戦ってきた身で分かる。−−−かなり強い。
「テケリ・リ」『お待ちしておりましたネプテューヌ様、零崎様。』
「ねぷっ?私達のこと知っているの?」
『こいつは、破壊神の従者さ。大方既に連絡を受けているんだろうね?』
「空の……従者?」
「テケリ・リ」『はい、私は夜天 空様の従者、デペア様。ポチと申します』
……………ポチ?
「そ、それ、誰につけてもらったの…?」
「さ、さすがにそれは…犬のペットじゃあるまいし…」
「テケリ・リ?」『主が付けてくださった名前です。…なにか可笑しなことでもありましたか?』
動物の鳴き声のように聞こえる後、喉についているマイクから発せられるポチさん。
正直な所……空よ。流石に人の名前にポチはDQNネームだと思うぞ?
横のネプテューヌは、あまりの外形と名前差に顔を真っ赤にして笑いを必死で堪えているぞ。
『こいつの名前のツッコミは放置で、とにかく……ここにいるという事はゲイムキャラの場所を教えてくれるんでしょ?』
「テケリ・リ」『えぇ、緊急を要することなので今すぐにでも出発します。よろしいですね?』
「よ、よろしくお願いします」
コクリとポチさんは頷いて、ゲイムキャラの場所を目指して歩き出した。
俺達もそれに付いていこうとするが、ふと上から視線を感じた。
「ーーーーー!」
「……あ」
ネプテューヌを気づいて振り向き、プラネタワーの窓からこちらを見つめてくる視線。
その娘は不思議と隣いるネプテューヌの面影を感じさせる少女だった。彼女は必死に誰かを呼ぶように声を出しているのが見えた。
「知り合いか?」
「…分からない」
否定するようにネプテューヌは頭を降った。小さくなっていくポチさんを見失わないように付いていくが、ネプテューヌは、ずっとその少女を何度も振り向いて少女の姿が見えなくなった時、小さな声で呟いた。
「……ネプ…ギア……?」
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