嵐の前の静けさ
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「お前ら、やばいぞ。」

 

お茶を飲んでいた静香、麗、沙耶、冴子、ありす、そしてジークの五人と一匹の所へ大股で駆け寄った。

 

「どうしたんですか?」

 

「紫藤の奴が安全な場所を、ここの存在を嗅ぎ付けた。」

 

「え?!」

 

これに一番反応したのは麗だった。プライバシーの事もあるので、深入りはしなかったが、かなり因縁があるらしい。温厚だった顔が一気に殺意に満ちた物に豹変した。

 

「斥候としてやって来た奴がいたが、携帯を奪って叩き出したよ。」

 

携帯を引っ張りだしてヒラヒラと振って見せる。

 

「そんな・・・・!」

 

「心配無い。辿り着いたと仮定しても、俺が奴らを全員殺す。そして仮に俺がやらなくとも、総帥があんな奴を放って置くとも思えない。只の疫病神だ、いない方が遥かにマシだろ。それにこれを聞け。」

 

先程録音した会話を聞かせた。当然この時俺はありすの耳を塞いだ。お子様の教育上よろしくない音声が入っている。

 

「何なのだ、これは・・・・?」

 

冴子の表情は怒りと侮蔑が入り交じった顔になった。

 

「これがコイツの本性って奴だ。これで赤っ恥をかかせてやろうと思ってな。」

 

「い、嫌だ!」

 

「ざけんじゃねえっ!!」

 

「さっさと渡せ!」

 

外か。俺はショットガンを肩に掛けるとコータの声がした方に向かった。銃を奪われたらまずい・・・・・隠しとけって言ったのに。それに何でここまで道が入り組んでるんだ。五分位してやっと辿り着いた。右翼の奴らが合計八人ロッカーから拝借した銃三丁を抱きかかえたコータを取り囲んでいる。

 

「なあ君、こう言うご時世だ。それだけの武器を独り占めしちゃいけない。」

 

「だからと言って人が貸している私物を持ち主に断り無く借りようとするのもいけないと思うがな?」

 

リボルバーの撃鉄を起こして適当な奴に向ける。

 

「な、何だてめえは?!」

 

「その銃の持ち主だ。チームを組んだ奴らにそれを貸してやってたのさ。だけど、お前らに渡す義理は無いな。一心会なら子供から物を巻き上げる必要は無いだろ?一般家庭に比べれば、武装も資源も充実してる。こっちはなけなしの金はたいて買った物なんだ。」

 

「た、滝沢さん・・・・・・」

 

「それに、言っておくが銃の扱いに於いて、この場でコイツの右に出る奴はいない。いたとしても、俺位だ。そんなに欲しけりゃ、腕ずくで来い。けど、こっちもマグナム弾八発も無駄にしたくないから大人しく引き下がってくれればお互いの為になるんだ。」

 

胴体に狙いをつけたが、やはり諦める気配は無い。撃つしか無いか。俺が引き金にかけた指に力を入れようとした時、

 

「コータちゃん!!」

 

俺と同じ様にコータの声を聞きつけたありすがジークと一緒に彼の前に立ち塞がり、右翼の奴らを精一杯睨んだ。肝の座った奴だな、将来は大物になるぞ。

 

「平野!!」

 

少し遅れて孝もやって来た。ありすにコータの身の危険を伝えられたんだろうな。

 

「何を騒いでいる?」

 

高城総帥に百合子さん。少しは話の分かる人達が来たな。起こした撃鉄を寝かせると、銃をホルスターに戻した。

 

「総帥!この子供が銃を玩具と間違えている様で・・・・」

 

「おい。俺の言った事ちゃんと聞いてたか?その銃は俺のだ。コータは銃が何であるか、何が出来るか、どう撃つのが最も効果的かを熟知している。戦闘員としては、お前らよりよっぽどマシだぞ。」

 

「私は高城壮一郎。右翼団体憂国一心会会長である。名を聞こう!」

 

「ひ、ひひひ平野コータ、藤見学園二年B組、出席番号三十二番、です・・・・。」

 

総帥の覇気に気圧されるあまり、コータの声は震えた。どもりながらも名を伝える。

 

「俺は滝沢圭吾。コイツが持っている銃の持ち主だ。」

 

「どうあっても銃は渡さぬつもりか?」

 

「だ、駄目です!嫌です・・・銃が無かったら俺はまた元通りになる、元通りにされてしまう!自分に出来る事がようやく見つかったと、思ったのに・・・・!!」

 

泣きながら頭を横に振るコータ。

 

「出来る事とは何だ?」

 

「そ、それは・・・・それはぁ・・・・・・!!」

 

「貴方のお嬢さんを、沙耶を守る事です!」

 

俺が何か言う前に孝がコータの前に飛び出して来た。

 

「小室・・・・!」

 

「小室?そうか、成る程。君の名前には覚えがある。幼い頃より娘とは親しくしてくれているな。」

 

そう言う仲だったのか、沙耶と孝は。成る程。

 

「はい。でも、この地獄が始まって以来、最初に沙耶を守って来たのは平野です!」

 

「彼の勇気は私も目にしています、高城総帥。」

 

「私もよ、パパ!」

 

いつの間にか冴子や麗、そして沙耶に肩を貸している静香も来ていた。全員集合かよ。麗、何さり気なく孝に抱きついてるんだ?

 

「確かに、ちんちくりんのどうしようも無い軍オタだけど、コイツがいなければ私は今頃死体の仲間入りよ。今まで私を守って来てくれたのは、コイツと、ここにいる皆よ。パパじゃないわ!」

 

「高城、さん・・・・」

 

暫くは俺達の睨み合いが続いたが、壮一郎はフッと顔を綻ばせた。

 

「お前達、この少年に構うな。持たせてやれ。」

 

「総帥?!ですが」

 

「そこまで言うのならば、いずれその腕前を見せて貰おう、平野君。」

 

そう言うと、踵を返して壮一郎は右翼のメンバーを引き連れて去った。内心俺はほっとしていた。あくまで脅しの為に銃を引っぱり出したが、あの場でもし本当に発砲する事になったらと考えると、幸い見られはしなかったが体が震えた。

 

「何とか、なったな。」

 

「けど滝沢さん、いきなり銃を引っ張りだすのは流石にやり過ぎですよ?保護してくれた相手に対して。」

 

「分かってる。悪かった。」

 

両手を上げてすまなそうな顔をしてみせた。

 

「で?皆はどうするか決めたのか?俺は不測の事態が起こらなければここに残るつもりだ。安全である限りここを拠点にして洋上空港に向かう。リカを探さなきゃならない。」

 

「僕も、それに賛成です。一時的にとは言え、ここなら安全ですし。」

 

「僕と麗は、両親を捜しに行かなきゃならない。別行動になる。一日経ってもし戻らなかったら、両親といる事に決めたと思って下さい。」

 

「そうか。わかった。とりあえず荷造りだけは始めよう。雨も降りそうだ。」

説明
とある民間軍事会社に勤めていた傭兵は、僅か二十六でその生涯に幕を閉じたが、次に目を開けた時には、赤ん坊として生まれ変わっていた!

チートな特撮の武器も『神の介入』と言う事で出します。
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R-15 オリ主 神様転生 残酷な描写 特撮武器登場 ヒロインは大人組 オリ主視点 ご都合主義・・・・かな? 学園黙示録 

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