作戦名:Towering Inferno 前編
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『床主洋上空港の皆様、こちらは空港警備員です。現在空港では殺人病の感染者が大量に出没しておりますので、安全を確保する事は極めて困難です!この場で安全なのは、ターミナルです!状況が好転するまで、窓やドアを施錠出来る所に避難して下さい。その場で連絡を取る手段をお持ちの方は現在地、人数、その他をお報せ下さい。尚、感染者に噛まれた方は擁護出来ません!繰り返します!感染者に噛まれた方は擁護出来ません!』

 

空港のアナウンスがターミナル内で響いた。悪い意味で、俺の予想は見事に当たった。何度もあのアナウンスは聞いて来た。現在ターミナル内にいる人間は、SATも加えて千人と少し。聞いた所によると、空港のスタッフは少なくとも二万近く入る筈らしい。その他の乗客とかも加えれば約三万前後。

 

「ビビって何も出来ないか、する気が起きないか、それかもう既に『なって』しまったのか・・・・」

 

「どちらにせよ、マズいわね。今は狙撃よりも爆撃の方が効果的の様な気がするわ。」

 

「ナパームとかな。」

 

現在俺はリカと葉巻を吸い回ししていた。

 

「コラァ!ここは禁煙だぞ!」

 

若手の空港警備員が声を張り上げて注意して来るが、俺達はどこ吹く風とスパスパ吸い続けた。

 

「今そんな事を心配してる場合かよ?」

 

田島が思わず吹き出し、リカもクスクス笑い始めた。

 

「世界は今大パニックに陥ってるのよ?無くなったらやめるわ。狙撃支援部隊所属の隊員は今すぐプレミアムラウンジ内に集合して。」

 

 

 

 

ラウンジ内では銃と弾薬が種類ごとに分けられており、テーブルとソファー五つが占領されていた。正直俺もその数には驚いている。普通日本の空港にそこまで武器は無いと思っていたが思いのほか数が多かった。ライフルやサブマシンガンはMP5、ハチキュー、そしてHK417、拳銃はベレッタ、シグザウエル、USP、そしてグロックらしき物も置いてある。

 

「良くこれだけ集まったな。俺も未だに開いた口が塞がらないよ。笹塚、どっから掘り出して来たんだ、コレ?」

 

「空港警備が予備の武装と弾薬を非常時に備えて保管していましたので。唯一の問題は、」

 

「銃の扱い方を知っている人間の数が圧倒的に足りないって事ね?」

 

笹塚の言葉をリカが引き継いだ。相変わらず吸いさしの葉巻をくわえている。そうしながらもハチキューの作動桿を引いて調子を確かめる。俺もベレッタの銃身下部についたレーザーポインターが変な方向に曲がっていないか確かめた。

 

「そうです。南隊長、現在は他のSAT隊員、空港警備員等に武装させます。他にも海保のSST部隊、更には麻取りの捜査官も要請に応じてくれました。後は、民間で銃の扱い方を知っている者にも・・・・・」

 

「それは流石にマズいだろ?」

 

調整したベレッタを置いてシグのスライドを引いて調子を確かめながらそう言った。

 

「幾ら人手が足りないからと言って、民間人に銃を与えるのは得策とは思えない。俺達に銃口を向けて来ないなんて断言出来るのか?銃撃戦になってみろ、それこそ取り返しがつかない事になるぞ。」

 

守るべき市民を最悪の場合殺す事になるんだからな。現に俺は警備員をぶん殴ろうとした暴徒を取り押さえた。飛び道具じゃなかったから良かった物の・・・・まあ、撃つ事になれば撃てるけど。

 

「それはそうだけど、貴方も言ってたでしょ?『国民の手助けがあってこそSATは、警察と言う組織は、初めて真価を発揮する。生き残る為にも、どうか手を貸して欲しい。』今は正しくその時だと私は思うけどな。」

 

「僭越ながら、じ、自分もそう思います!」

 

「・・・・・・・分かった。ただし、空港内で銃撃戦になったら、俺を止めるなよ?若い血の気の多そうな奴らは避けろ。選別は俺とリカがする。それが条件だ。良いなリカ?」

 

文句は言わせないぞとばかりにちょっぴりだけメンチを切ってやった。

 

「分かったわ。」

 

 

 

 

 

 

結局、銃を扱えて尚且つ信用に足ると俺やリカが判断した人間は二十人にもならなかったが、誰もいないよりは遥かにマシだ。俺も俺で使ってない武器があるしな。だが、アレは静香捜索・救出の為に取っておく必要がある。ここで消費する訳にはいかない。そうせずになんとか出来るだけ沢山の感染者を潰す事が急務・・・・ある程度賭けにはなるが・・・・・

 

「リカ。」

 

「ん?」

 

「ゾンビって、燃えたら死ぬと思うか?」

 

「何らかの物理的欠損があれば活動停止に追い込む事は出来るかもしれないけど、何で?」

 

「策を見つけた。かなり無茶だし、下手すりゃ死ぬ。それでもやるか?流石に一人じゃちっと無理があるが、二人か三人なら絶対どうにかなる。」

 

説明
今回は少し短めです、すいません。

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