恋姫婆娑羅
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「後日」

 

 

 

 

 

 

 

あの激戦から一夜明け、都の復興が既に始まっていた。

多くの兵士たちが道路や倒壊した建物を片づけている。

 

「随分と早いな・・・。本来ならもう少し時間が掛かるもんだが」

 

「陛下の側近に知り合いがいてね。そちらからすでに許可は貰っているわ」

 

行動の早い華琳に関心しつつ、街を歩いていく政宗。

そこへ何やら、喧しい声が聞こえてくる。

 

「あー! いたのじゃ、麗羽!」

 

「見つけましたわ! 華琳さん!」

 

「また、喧しいのが・・・」

 

「Troublesomeな連中が来たな・・・」

 

やって来たのは袁紹と袁術のバカ殿・・・もとい名家の二人であった。

かなりご立腹の様子で、華琳に詰め寄る。

 

「華琳さん! 何ですの、この工事は! 私達に無断で・・・・!」

 

「大長秋を経由して、陛下の許可は頂いているわ。問題があるようなら、確認して貰って構わないけど?」

 

「なっ・・・・! 大長秋・・・!?」

 

「なんで、おぬしの様な者が大長秋と繋がりをもっておるのじゃ!」

 

驚愕する袁家の二人に、フフンと鼻を鳴らして華琳が続ける。

 

「私の祖父が何代か前の大長秋だったのよ」

 

「ずるいのじゃ! それを言ったら、妾たちとて三公を輩出した、名門・袁家の出身じゃぞ!」

 

「く〜! 点数稼ぎもよい所ですわ!」

 

「機を見て敏なりと言うでしょう。動きが遅い方が悪いのよ」

 

勝ち誇る華琳と悔しさを微塵も隠そうとしない袁家の二人を尻目に、政宗は隣の桂花に訊ねる。

 

「なぁ、大長秋でなんだ?」

 

「皇后府を取り仕切る官の最高位よ。華琳様のお爺様は、以前その地位にあったのよ」

 

「なるほどな、そりゃ大したモンだ」

 

そうこうしている内に華琳と袁家の二人の話が終わったらしく、袁紹、袁術は急いで自陣に帰っていった。

 

「なんだったんだ・・・あいつら?」

 

「さぁね・・・・。あら?」

 

華琳は目の前の光景に視線をむける。

そこでは、劉備たち蜀の陣営が炊き出しを行っていた。

 

「はい、まだ有りますから、慌てないで良いですよー!」

 

「愛紗ー! ご飯が足りないのだ! もっと持って来て欲しいのだ!」

 

「分かっている! 今、忠勝殿が・・・って鈴々、よもや自分で食べているのではないだろうな?」

 

「ほら、二人とも! 喧嘩してないでちゃんと手伝ってよう!」

 

和気藹々と食料を配っていく三人の所に、巨大な箱を抱えた忠勝が舞い降りてきた。

 

「・・・・・!!」

 

「は、はぅ〜・・・。と、桃香様、食料を持って来ました・・・」

 

「ま、全く・・・月にこんな無茶をさせるなんて・・・」

 

「ハッハッ! どうだ、忠勝に乗るのは楽しいだろう?」

 

箱を置く忠勝の背中から、家康と董卓、賈駆が降りてくる。

董卓と賈駆は初めての体験に目を回している。

 

「ああ、家康と劉備か・・・」

 

「・・・もう、普通に空を飛んでる事には突っ込んでも無駄なのでしょうね・・・」

 

「そうだな・・・。本多に関しては、ツッコむだけ無駄だ。それにしても、あの関羽が炊き出しとはな。そっちの方が珍しい光景だな」

 

忠勝の謎には、これ以上、触れない事にした華琳であった。

政宗も家康が董卓をちゃんと世話しているようで安心している。

 

「それにしても、何を置いてもまず、民のために・・・か」

 

「Ah? それはお前も一緒だろ? これまでだって一度も民を蔑にして来なかった、誇っていいぜ?」

 

「・・・・・・」

 

「どうした? もしかして照れてんのか?」

 

「う、うるさいわね・・・」

 

政宗の言葉に顔を赤らめ言葉を無くす華琳。

それを茶化す政宗にそっぽを向いてしまう、しかしすぐに気を取り直して、その視線を劉備たちに向ける。

 

「・・・劉備か、その名、心に留めておきましょう。桂花、劉備にこちらの予備の糧食を届けるように手配しておきなさい」

 

「それは構いませんが・・・華琳様。あの劉備と言う輩、いずれ華琳様の覇業の障害に・・・」

 

「でしょうね・・・。けれど、その時は正面から叩き潰せば良いだけよ。違うかしら?」

 

「・・・御意」

 

自信に満ちた表情で言い放つ華琳。

桂花は不安な面持ちではあるが、華琳の命令に頷くのであった。

 

「ここにいらっしゃいましたか、華琳様」

 

「秋蘭じゃない。どうだった、事後処理とやらは終わったの?」

 

「はい、それで華琳様に会わせたい輩が・・・」

 

「・・・どもー」

 

秋蘭が連れて来たのは張遼であった。

少し遠慮がちに張遼が挨拶する。

 

「そう、元親は見事に働いてくれたのね。それで、元親はどうしたの?」

 

「それが・・・」

 

「まさか・・・冗談よね?」

 

重苦しい表情の秋蘭に華琳が詰め寄る。

 

「ご心配無く、命に別状はありません。が、すぐには動け無いでしょうね」

 

「あの、西海の鬼がそんな事になるとな・・・。張遼、あんた相当の腕だな・・・?」

 

「い、いや! ウチがやった訳やないんやけど・・・」

 

「・・? とにかく一度、様子を見に行きましょう」

 

「華琳様、長曾我部は本陣の救護所におります」

 

「分かったわ。行くわよ、政宗」

 

秋蘭と張遼、桂花を残して、二人は足早に本陣に向かっていった。

 

「すまんな、霞。華琳様には、また後で・・・。どうした?」

 

謝罪する秋蘭の言葉が聞こえていないのか、張遼は一点を見つめたまま動かない。

気になった秋蘭もその方向に目を向ける。

 

「速いね〜、詠ちゃん」

 

「大丈夫、月? ちょっと忠勝、速度落としなさいよ!」

 

「大丈夫だよー、二人とも! あ、忠勝さん、そこ左です」

 

そこには、大量の食糧を背中に括り付けて、董卓、賈駆、劉備を抱えて疾走する忠勝であった。

 

「・・・・・・」

 

「どうした、本多が気になるのか? まぁ、無理も無いが」

 

「いや、何でもない。ちょっと目にゴミが入ったみたいや・・・」

 

(良かったな、月、賈駆っち。なんや、ええ居場所があったみたいで・・・)

 

董卓と賈駆、二人のためにこれまで戦ってきた張遼であったが、戦に負けてしまい、二人の安否が気になっていたのだ。

それが、こんな所で元気な二人の姿を見る事になるとは思っていなかったのだろう。

張遼は心から安心していた、彼女らが生きていた事に、そして彼女らが安心して暮らせる場所が見つかった事に。

秋蘭に悟られないように、そっと目じりを拭う張遼であった。

 

 

 

 

 

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「あ、華琳様と筆頭なの、どうかしたのー?」

 

「沙和、元親はどこ?」

 

「アニキなら、あそこの天幕にいますよー」

 

「そう、ありがとう」

 

本陣に着いてそうそうに、救護所に足を向ける華琳と政宗。

救護所に入って、まず、見えたのは上半身を包帯でぐるぐる巻きにされて、季衣と流琉に心配されている元親であった。

 

「怪我をしたと聞いて来たのだけど・・・。案外元気そうね、元親?」

 

「よお、西海の鬼。遅れを取るなんて、あんたらしくも無いじゃねぇか?」

 

「おう! 華琳に独眼竜じゃねぇか! 情けねぇ所を見られちまったな・・・」

 

「チカ兄ちゃん! まだ動いちゃダメだよ!」

 

「そうです! 傷は浅く無いんですから!」

 

「お、おう・・・」

 

見舞いに来た二人に元気そうな様子を見せる元親であったが、季衣と流琉に心配されて、寝台に寝かされる。

 

「それにしても・・・。本当に何があったの? 」

 

「それが・・・。張遼さんと戦っている時に、袁紹さんの軍から攻撃があって・・・」

 

「それで、チカ兄ちゃんが張遼を庇って矢を受けたんだよ!」

 

その光景を思い出したのか、季衣が少し涙目で語る。

 

「一騎打ちに割り込んで来るとは、本当にどうしようもねぇな袁紹のバカは・・・」

 

「それで、その怪我なのね・・・。元親、あなた、バカなの?」

 

「おいおい! あんたのご所望通りに張遼を生け捕ったんだぜ? その言いぐさはひでぇだろ!」

 

「そうですよ! 華琳様! あんまりです!」

 

華琳の言葉に元親はもちろん、季衣と流琉が反発する。

しかし、華琳は三人を落ち着かせてから言葉を続ける。

 

「いくら命令とは言え、あなたがそんな怪我をしていたら意味が無いでしょう? これでも私だって心配したんだからね?」

 

「お、おう、すまねぇな」

 

「まぁ、良いわ。元親、あなたのおかげで、張遼を生け捕る事が出来た・・・。感謝するわ、何か褒美でも用意しないとね」

 

「太っ腹だな! 華琳よ! こりゃ体張った甲斐があるってもんだな!」

 

「良かったね! チカ兄ちゃん!」

 

「良かったですね! チカ兄様!」

 

喜ぶ三人を満足気に眺める華琳の耳に何やら泣き声が聞こえてくる。

空耳かと思ったが政宗にも聞こえているようなので、気のせいでは無いようだ。

元親たちに別れを告げて声の発生源である、隣の天幕に向かう。

そこには、腕に包帯を巻いた小十郎と、彼に泣きながら謝る春蘭がいた。

 

「何、どうしたの、この状況は?」

 

「ひゃっ!? か、華琳様! あのこれは・・」

 

「あー。俺が説明してやる」

 

うんざりしたような顔で小十郎が説明してくる。

なんでも、城を攻めていた時、小十郎の指示を無視して突出した春蘭が、城壁の上から矢を射られた時に小十郎が庇って怪我をしたと言うのだ。

 

「・・・春蘭。あなたと言う娘は・・・」

 

「ううぅ・・・。すみませんでした・・・」

 

「これを機に兵法を覚えたら良いんじゃねぇか、春蘭よ?」

 

「政宗様の言う通りだ、一廉の将になるのであれば、武術だけでなく、策も学べ」

 

「そうね、その通りだわ」

 

「う、分かりました・・・」

 

畳み掛ける様に言う三人に、何も言えない春蘭は、只々、頷くしかなかった。

 

 

この後、軍議が開かれ、張遼が曹操の軍に正式に降る事になったのであった。

争いは終わり、新たな仲間も加わった。

華琳の覇道の道が徐々に進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

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軍議が終わり、明日にはそれぞれの諸侯が国に戻ると言う時。

都の外に、三人の男たちが集まっていた。

 

「・・・終わったな」

 

「ああ、そうだな・・・」

 

「うむ、これでまた、敵同士でござるな」

 

政宗、家康、幸村は、少しばかり残念そうにこれまでの事を振り返る。

これからは、敵として戦わなくてはならない。

 

「・・・悪いが容赦はしねぇぞ? 俺としては華琳の天下を見てみてぇからな」

 

「それは、某も同じこと! 雪蓮殿に天下を約束した身、全身全霊でお相手しましょうぞ!」

 

「ワシとて、負ける訳にはいかないぞ! 桃香や民のためにも天下泰平を導いて見せる!」

 

三人はそれぞれの決意を確認すると、そのまま別れも告げずに三方向に別れて歩き出す。

三人はどこかで感じているのだ。

遠くない未来に、また会う事になると、その時は全力でやり合う事になると。

 

 

 

 

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書いていた思ったのが、政宗は一騎打ちの乱入に関しては人の事を言えないと思ったww

 

はい、これで、本当に反董卓連合終了です。なんだか、少し雑になっちゃいましたね。小説って難しいなぁと感じる今日この頃です。

 

次からは拠点話を何個か書いて行きたいですね。

 

ところで、各陣営の話とか書いた方が良いですかね? と言っても拠点話程度しか書ける気がしないですが・・・

 

それでは、ここまで読んで下さった方には、最大級の感謝を、ではまた!

 

 

 

 

説明
これで、反董卓連合編は完全に終わりです。
ここまで、付き合ってくださった方には、本当に頭が下がります。
こんな作品ですが、これからもよろしくお願いします!
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コメント
ひっとー さん 基本的に本筋は魏ルートになるので他陣営がどれくらい書けるか分かりませんが、拠点話ということで各陣営のお話も書いていきたいと思います(KG)
禁玉⇒金球 さん アニキは書いていて、こちらも楽しいですねww 後、春蘭はこれからどうなるのか・・・楽しみにしててください!(KG)
元親は人にもてますね流石は皆のアニキです、惇さんに若干の智将へレベルアップの兆しが?。色々恩も売ったし期待してます。(禁玉⇒金球)
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