真・恋姫無双 〜虎と狐の三国演義〜 |
壱之二 『 虎に威を貸す狐 U 』
城に入ってすぐ、雪蓮は周瑜に引っ張られて何処かへ行ってしまい、現在狐燐は黄蓋に城内を案内してもらっていた。といっても一度客室に通され荷物を置いた後、簡単に要所だけを廻り(食堂や((厠|かわや))などだが)今は中庭を散策している。
だが、それもしばらくすると退屈になり、中庭に設けられた((東屋|あずまや))で休息という名の質問攻めに遭っていた。
「それでお主、策殿とは((何時|いつ))何処で知り合ったんじゃ?」
「子供の頃に森の中で。それから少しして僕は大陸を離れてたんですが、今日こうして再会したわけです。」
言って狐燐は黄蓋が持って来させた茶を((啜|すす))る。
「ほぅ。大陸の外とは気になるのう。何をしに行っとったんじゃ?」
「ん〜、まぁそれは、内緒です。」
「なんじゃ、ケチくさいのう。」
と今度は茶菓子を頬張る。
「・・・で、お主は本当に策殿を((娶|めと))るつもりなのか?」
「!!けほっ。」
突然の質問の内容に軽く((咽|むせ))てしまった。質問してきた当の本人はなんとも意地の悪い顔でニヤついている。
「あれは一応冗談のつもりで言ったんですけど。」
だが、本心では確かに雪蓮の事を好いているとは思う。
「ほう?断言できんと言うことは案外まんざらでもないという事かのう。」
・・・なんだか見透かされた様な気がした。
「じゃあ、最後の質問だが。」
黄蓋が茶を飲み干しながらそう切り出す。
「なんです?」
「お主武の心得はあるか?」
「どうしてそう思うんです?」
茶菓子の最後のひとかけらを飲み下して質問を返す。
「なに、腰に提げた剣の柄がチラチラ見えておったのでな。」
「ふぅ。まぁ、それなりにはできますけど・・・。」
そのまま茶を飲みほ・・・
「なら手合わせを願おうかのう。」
「ぶっ。」
せなかった。
「けほっけほっ。いきなり何言い出すんですか?」
本日二度目の不意打ちだった。
「最近は相手に困っておってのう。心得があるというのなら、一度どうじゃ?」
「え〜と、それは・・・」
「いいじゃない。私も気になるわ。」
とすぐ後ろから声がする。その声の主の方へ向いてみると、いつの間にそこに居たのか雪蓮とその後ろには頭を抱える周瑜の姿があった。
「はぁ〜、わかりました。じゃあ、ちょっと準備してきますね。」
「おう、では互いに準備が出来次第はじめよう。」
席を立ち荷物を置いた部屋に向かう。途中、一度振り返ってみると楽しみといった顔ではしゃぐ雪蓮と黄蓋に、それとはまったく対称的な周瑜の憂鬱そうな姿が残っていた。
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
「おまたせしました。」
狐燐が準備を終えて戻ったときにはすでに黄蓋は準備万端といった感じで待ちくたびれた様子だった。
「おそかったのう。」
「すみませんね。準備ついでにちょっと着替えてました。」
そう言う狐燐は、先程までの外套を纏っていたときと違い、白に金の刺繍を施した拳法着に身を包んでいる。
「ほう・・・格好だけは一丁前だのう。じゃが、実力はどうかのう?」
言って、黄蓋は自身の得物である弓を構える。
「まぁ、精一杯がんばりますよっと。」
対する狐燐も得物を取り出す。右手には剣の柄、左手には短い金属の棒を2本指に挟んでいる。
「お主もしやそんな物で闘うつもりか!?」
狐燐の構えたおおよそ武器には見えないそれにさすがの黄蓋も戸惑いを隠せずにいる。
傍らで見ている周瑜も同じように怪訝な顔をしていたが雪蓮だけは何故か懐かしげに狐燐の左手の物を見つめている。
「? 雪蓮、何か知っているのか?」
「ん〜まぁね。昔、再会の約束に一本貰ったの。だから一応は知ってるわ。」
二人が話している間に狐燐は取り出した武器を構えそして・・・
「『((鑽心釘|さんしんてい))』!!『((獏耶|ばくや))の宝剣・改』!!」
「「なっ!」」
周瑜と黄蓋の二人が驚く中、狐燐が構える左右の武器、左手の鑽心釘には短く真っ直ぐな刀身が、右手の獏耶の宝剣・改には幅広の曲刀の様な刀身が、それぞれ光によって形成される。
「さて、これで本当に準備完了です。」
未だに唖然としている二人の顔を見て雪蓮はくすくすと笑っていた
。
あとがき
はい、という訳でですね、この作品のオマージュネタですが『仙界伝・封神演義』です。
・・・うん多分今更説明しなくてもばれてたと思うけどね。
で、締めくくるまえに1つ補足。『獏耶の宝剣・改』についてですが形状が変わっておりまして、カトラス(カットラス)のような形状になってます。(ビームザ○バーみたいな)性能としては威力を片刃に集中させているので切断能力が上昇しているくらいです。理由は単純にツナまんはクロス○ーンガン○ムが好きなんです。
次回は狐燐VS祭さんです。なかなか書き進められていませんが・・・
では、また次回
説明 | ||
Uで終わらせるはずが終わらなかった噺 注:オリ主作品です。一部オマージュ要素もあったりします |
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